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忘れられない不思議な人々(2)浅草にいた年の差カップル

シリーズ化して,何本か書こうと思いました.
その2本目です.


浅草のもんじゃ焼き屋で隣のテーブルにいたカップル


昨年度のこと.
知り合いの大学教員の方々が,学会出張で東京に来るっていうんで,現地組である私が浅草周辺を紹介して回ったんです.
その夕飯&飲みのお店はどこにしようかということで,せっかく東京に来たんだから,もんじゃ焼きでも食べましょうか,という話になりました.

ネットでググった評判のお店よりも,歩いてるうちに見つけた空いてる適当なお店に入るのが好きな我々としては,文字通り浅草を見て回っているなかで「空いてる適当なもんじゃ焼き屋」に入ることにしました.

ちなみに,その店は,ちゃんと美味しいもんじゃ焼きを食べさせてくれるところでした.


尤も,私達としては「もんじゃ」を味わうというより,「飲み」の方がメインですけどね.

酒のおつまみとして,もんじゃは最適です.

なかでも,アサヒスーパードライとか,ホッピーみたいな安っぽくて不味めのお酒とよく合います.
「ホッピーっつっても,白と黒があるんですよ」などと言いながら,4人で大衆酒場の雰囲気を楽しんでおりました.



そうこうするうち,隣のテーブルに,50代くらいのオバちゃんと20代くらいの青年という2人組が座って,もんじゃを始めました.

母子かな? 叔母さんと甥っ子かな? 職場の先輩後輩なのかな? などと思っていましたが,そうは言っても隣のテーブル.
特に最初は気にもしていなかったのです.

しばらく経って,私達もアルコールがまわってくるし,隣のテーブルでも特にオバちゃんのテンションが徐々に高まってくる.

使うソースや調味料,あとはヘラとかの貸し借りなんかをしているうちに,互いに会話しやすい空気になってきたんです.

そのうち,こっちのグループの誰か(てか,私だったかな)がオバちゃんに話しかけたんです.
「(お二人は)お仕事かなにかですか?」
って.

そしたらオバちゃん,なんだかニヤニヤしながらはぐらかす.

気味が悪いなぁと思いつつも,私達はその推測のなかでも最悪のシナリオである「この二人は恋人同士」ということを感じ取っていました.

そして,オバちゃんがトイレに立った時を見計らって,その青年に聞いてみます.
「え? もしかして,二人って付き合ってるの?」
って.
そしたら,その青年,
「はい,まぁ・・・」
と答える.

ハハハハ・・・(へぇそうですかぁ的な感じの),っていう乾いた笑いを浮かべる4人でした.

トイレから帰ってくるオバちゃん.
すかさず,
「お二人,いつからですか?」
っていう感じで(もうお二人の関係は分かりますよ的な)楽しい雰囲気を演出してみたんです.

そしたらオバちゃん,結構楽しそうに馴れ初めを話し出しました.

どうやら,青年は現在30代前半,オバちゃんはたぶん50歳代.
青年が大学生の頃から付き合い始めて,その当時オバちゃんは40歳くらい.
茨城県つくば市在住のオバちゃんは,東京在住の青年と会うために時々上京しているんだそうです.
そうやって10年くらいが経過しているとのこと.

今日も東京デートで,夕食としてこのお店に立ち寄ったらしい.

ただ,この青年がなかなか本腰を入れて「付き合って」くれないというのが不満のようで,気さくに介入してきた私達の存在を利用しながら,この青年に「そろそろ次のステージに進もうよぉ」的なおねだりをしていた.

なかなか奇妙な関係だなぁと思いつつも,私達の間では,
「この青年,オバちゃんを弄んでるんじゃねえのか?」
「オバちゃんを金蔓扱いしてんじゃねぇのか?」
という疑念が湧いてきます.
声に出して話し合わなくても,そういう感覚は共有できるものです.

また,オバちゃんがトイレに立ちます.
酔っ払っている私達は,思い切りがよくなっているので,青年に聞いてみたんです.
「君さぁ,あの女性を金蔓扱いしてんじゃねぇの?」
って.


誠に残念なことに,正解でした.


なんでも,大学生の頃はお金を出してくれる便利なATMだったようですが,そのうち恋人関係を迫られるようになってから,スペインの闘牛士の如くヒラリひらりとかわしてきたそうです.
今では,月に1回くらい会いながら,いくらか貢いでもらってるらしい.

絵に描いたようなゲスな関係ですが,オバちゃんもオバちゃんですよね.

それにさ,こういう話を聞いたら,このオバちゃんのことを「美魔女」チックな色っぽい女性を想像するかもしれませんが,なんていうかその,泉ピン子みたいな人なんです.
っていうか,泉ピン子そのものと言っていいくらい似ていた.
画像元:オフィスアイリス plof_01.jpg

とてもじゃないけど,どんなにお金積まれても・・・.

ねぇ・・・.


トイレから帰ってきたオバちゃん.
私達に,
「あなた達からも言ってやってくださいよ.今日は私,そろそろ『答え』が聞きたいなぁって思っててさ(笑)」
とか楽しそう.


おい,ババァ!
あんた,騙されてるよ!


年の差カップルは先にお会計.
二人が去ったあと,そこに残った酔っぱらい4人組の研究者は,この男女関係についての論議と考察を始めます.

「そもそも,あの男がダメなんですよ! 人間として終わってる」
「オバちゃんもオバちゃんだよぉ.いい加減気づかなきゃ」
「そう言えば,つくば市から来る際は,つくばエクスプレス使ってるのかな?」
「そうだと思いますよ,結構便利ですから,つくばエクスプレス.僕もたまに使ってます」
「つくばエクスプレスって,あれ,T-レックスだっけ」
「T-レックスって,ティラノサウルスですよ.TXです」
「ティラノサウルスってさあ,ジュラシックパークみたく,実際には走り回らなかったっていうの,ホント?」
「いえ,骨格とか化石状態の研究から,結構な速度で走っていたのは事実らしいですよ」
「そうそう,たしか,骨盤の形状から,尻尾でバランスとりながら走ることができたらしいです」


って言うか,こういうのって実在するんですね.
週刊誌とかワイドショー用のネタかと思いました.

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