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忘れられない不思議な人々(9)女子アナになった学生

そんな職業を目指す女性はお高くとまった奴かと思ったら結構クソ真面目だった


ゼミ生ではないんですけど,いろいろとお世話になった(お世話した)学生の一人が,いわゆるテレビ局の女子アナになっています.
局のホームページはもちろん,ウィキペディアにもちゃんと載ってるし,YouTubeでもその活躍を見ることが出来ます.

最近,あの子どうしてるだろうなと思ってYouTubeで検索してみたら,かなり元気そうにしてるし,その子らしさを出した活躍をしているようです.


その学生は,周囲にも,
「将来はテレビ局のアナウンサーを目指しています」
と公言して,大学1年生の頃から頑張っていました.

ボイストレーニング教室とか,アナウンサー志望の人たちで構成された,大学をまたいだサークルとかがあるらしく,そうした活動でスキルアップをしていたようです.
あと,ネット動画でも,アナウンサー志望の学生たちによるニュース原稿読みの経験づくりを提供している場もあるとか言ってました.

そういうのに積極的に参加してたようですね.


私との関わりは,大学関連のイベントで「アナウンサー的な作業をさせてほしい」と言ってきたことが始まりです.
私は(今もそのつもりですが)若手だったので,大学のイベントとかの実働部隊になっていたのです.

例えば,大学とコラボしたプロスポーツチームの地域貢献事業とかがあるじゃないですか(あるんですよ).
そういうイベントでは普通は,裏方の仕事(受付,用具運び,会場設営など)として大学生を呼びかけ・けしかけするなどして派遣するんですけど,そこにこの学生は,
「場内放送とか,司会とかできないですかね? 私やりますよ」
と自分から売り込みに来たんです.

当初,「女子アナになりたい」というその学生を,私は「華やかな事が好きな学生なんじゃないの?」と訝しんでいたのですけど,ゴメンナサイ,まるで違っていました.

めちゃくちゃクソ真面目で,とにかく一生懸命.

こういう大学のイベントに参加したがるのも,
「とっさの出来事への判断力や,それへの冷静な対応は,とにかく場面を選ばず,場数を踏まないとダメだ」
と思ったからだそうです.
真面目でしょ?


それに,こういうイベントに参加するとして,アナウンサーの練習になることだけやって帰るわけじゃないんです.
ちゃんと他の作業もやってくれました.
テント設営とか,用具運びとか,女子学生が嫌がりそうな力仕事も,嫌な顔ひとつせず汗だくになりながら取り組んでくれます.


結局,2社のテレビ局から内定をもらったそうです.
凄いですよね,2社ですよ.
とてつもない競争率だというのに.

女子アナになりたいと思ったきっかけは,幼少の頃から憧れていた「天気予報のお姉さん」だそうです.
いつか天気予報のお姉さんになるんだと思っていたら,実はこの人達の多くは「気象予報士」だということに気づき,手っ取り早く「天気予報のお姉さんっぽい仕事ができる仕事」として女子アナになることを目指したそうです.
凄いですよね.
東京ドームで野球をしてみたいからって,東京ジャイアンツの選手になるようなものです.

ちなみに,現場からのリポートとして台風中継をしていたので,それっぽい夢は叶ったようです.


なお,冒頭で「その子らしさを出した活躍をしているようです」と述べましたが,その子らしさってなんぞ? って思うかもしれません.

「天然」なんです.

それも超絶天然.
私の大好物ですね.
ファンタジスタの称号を与えることができます.

YouTubeとかでも,可愛らしさとともに,この天然キャラで親しまれているようです.


学生時代,イベントでアナウンス業務をしてもらった際に,ずっとその場を動くことができずに大変そうだなぁと思って,
「なんか必要なものある?」
って聞いたんです.
当然,お茶やコーヒーなどの飲み物とか,摘めるお菓子とか,そんなのを想定するじゃないですか.
そしたらその学生,
「そうですねぇ,シビンがあると助かりますね.トイレに行けないので」
って.

「あのさぁ,シビンがあったとして,それをここに持ってこれたとして,お前,それをここで使えるわけ?」
って言ってやったら,急に自分が言ったことが可笑しいことに気づいたらしく,
「あっ,今の無しでお願いします! ちょっとぉ,何言わせてるんですか! 恥ずかしいじゃないですか!」
って怒り出した.

いや,徹頭徹尾,自分で言ったんだから.
俺,何も誘導してないから.


私が「君は紛れもない天然だよ」と指摘すると,かなり強固に否定してきました.
これは天然キャラ特有の反応です.
天然は,特に20代前半においては自分自身のことを天然だとは自覚しないからです.
至って普通だと思っている.

しかし,歳を重ねるごとに,自らの天然キャラへの気づきと,それを「おいしい」と思うようになります.
倉木麻衣が典型ですね.


この学生も,今では自分の天然キャラを受け入れることができたようで,このキャラで売っているようです.
なにわともあれ,彼女の今後の活躍に期待しています.

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