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かなりのレア経験なのに,口外したことがない話|なんばグランド花月での一幕

ほんと,マジで口外したことがない話なんです.
知り合いの皆さんも,この話は初めて聞くっていう人ばかりだと思う.

結構な勢いで貴重なオモシロ体験にも関わらず.私にとっては人生における些末な些末な,砂粒よりも小さく,オブラートよりも薄い印象しか残っていない話題でして.

とは言え,記憶はしっかりあるんです.
かなりエネルギーのいる仕事(依頼)でしたから.

せっかくですから,こういうブログでメモとして残しておこうと思います.
個人的ウェブログの本来の使い方かもしれません.


大学4年生の頃の話です.

ゼミの先生から呼び出されて,
「お前に頼みたいことがあるんだ.◯◯先生のところに行ってきてくれ」
って言われたんで,その先生のところに行ったんです.

そしたら,よくわかんない「企画書」的なものを渡されて,その先生の知り合いの人から頼まれたとかそんなので,大学生を一人紹介してほしいということになったらしく,んで,なんやかんやで私に白羽の矢が立ったとのことでした.
実際,これは私にとっては本来の意味での「白羽の矢が立つ」という事案です.


どうやら,大阪市内でイベントがあるとのこと.
企画書を読んでみると,
「現代の大学生の生活をテーマにした,お笑い芸人と実際の大学生を交えたトークイベント」
みたいな感じでした.
感じでした,っていうのは,私がちゃんと企画書を読んでいないからです.

ざっとななめ読みして,「大学の先生から依頼されたことだから..」ってなぐあいで,ひとまず数日後に出演者を集めた打ち合わせがあるから,「とりあえずそれに出席してくれ」って言われたんで,そのスケジュールをしたくらい.

実際のところ,私はそのとき,卒論の実験準備と文献調査とかが大変で,この話をあまり気にしてなかったんですね.


打ち合わせ当日,会場である市内のなんか凄そうなビルに入っていくと,すでに何人か集まっていました.
どうやら,このイベントには6校くらいの大学から一人ずつ学生が出てきているらしい.
いずれも関西を代表する大学ばかりで,覚えてるところでは,阪大とか甲南大とか関大とか,そんな大学です.
そんな中に,私の大学と私が入ってるんですけど,一体どんな基準と判断材料から選ばれてるのか意味不明なところはあります.

会議室に入ると,プロデューサーみたいな感じの人が寄ってきてコミュニケーションをとってきます.
「さすが,◯◯(私)君はスポーツマンですねぇ.部活の帰り?」
って.

もちろん,部活の帰りではありません.
私も当時は完全なる「ザ・学生」だったので仕方がありませんが,服装が普段着であるスポーツウェアだったんです.
他の学生はかなりめかし込んでたのに.
関大の男とか,学生のくせに洒落たジャケットとか羽織っ来てて.
さすが,現代の「普通の大学生」はこんな感じなのかと興味深いものでした.

まあ,打ち合わせとは言え,市内の凄そうなビルに入るのに,アシックスのヤッケにミズノウェーブなやつはあまりいないのでしょう.


打ち合わせが始まると,この依頼内容がかなり仰々しい話であることに気づきます.

会場は,なんばグランド花月.
関西以外の人はナンノコッチャっていうところでしょうけど,関西の人なら馴染み深いところです.
こんなとこ↓

そこで,お笑い芸人と一緒にトークをするっていうもので,司会進行はどっかのテレビ局の女子アナがやるとか,主軸はどっかで見たことがあるベテラン芸人がやるとか,そのサポートみたいな役割で若手の漫才コンビが配置されるとか,そんなの.
なお,打ち合わせにはこれらの人たちは来てません.
この日に集まったのは,出演予定の大学生たちです.

打ち合わせでは,プロデューサーとか現場の調整係みたいな人たちと,あと「放送作家」っていう人が同席して,私達大学生の「雑談」をもとに,「なんか考える」っていう感じでした.

打ち合わせを仕切ってる人が,「さあ皆さん,大学生の生活について語ってよ」みたいなことを言うから,いろいろとしゃべるわけですけど.
はっきり言って,よくわかんない打ち合わせです.
こんなので,一体どんなイベントが展開されるのか,終始疑問でなりませんでした.

あとは,「その雑談を元にして作られた」とかいう「台本」が,当日手渡されました.

当日も,私のなかに渦巻くのは「このイベント,一体なんのためにやってるの?」っていう疑問.
企画書でも打ち合わせでも,このイベントをなんのために開催するのか分からないし,説明も提案も一切ない.

今になって思えば,開催目的なんて,もともと無いのかもしれません.
もっと言えば,「理由はなんでもいいから,なんかやる」っていうのが,この業界の人達のスタイルなんでしょうかね.


会場に着くと,さすがに緊張してくるものの,この活動の意義を見いだせない私の気分はいまいちノッてきません.
こんなことするくらいなら,今週中に読まなきゃならない文献があるんだけどなぁ,って.

まあ,大阪・なんばグランド花月でお笑い芸人と一緒にトークショーをする,っていうのは,なかなかレアな話ではあると思うのですけど,これがまた,全然ピンとこない.
当時,卒論指導でゼミの先生から「研究は目的を明確にしなければダメだ」とこっぴどく叱られ続けていたこともあって,その点がどうしても気になってしまう.
あと,開催の「背景」とかも.
そういうことを気にしだすのが,この大学4年生というものです.


さて,そんなこんなで控室に通されると,お笑い芸人さんたちと挨拶します.
当時からテレビを見ない生活をしていた私は,
「誰この人達?」
っていう感じでしたが,どうやら他の学生たちは知ってるらしく,「ファンなんです!」とか言ってはしゃぐ人もいた.

やばい...
どうしようもないほどの場違い感.

言えない.絶対に言えない.
私,皆さんのこと,誰一人として知りません,なんて.


なお,イベント当日はさすがにヤッケにランシューではありませんでした.
チノパンにポロシャツくらいは着て行ってたと思います.


ステージに上がると,あとは台本に沿っていろいろと話が展開されます.
いついつどこそこのタイミングで誰が話をする,っていうところまで台本で決まっているので,心の準備ができていて気楽でした.
もちろん,お笑い芸人さんたちがいるわけですから,アドリブで展開されるところもありますが.


ちなみに,イベントそのものは,大盛況とは言えないものでした.
舞台の袖で待機している時に,スタッフ同士が,「あかんなぁ,あんまり客が入ってへんわ」ってしゃべってるのも耳にしましたし.

まあ,あんまり面白そうなイベントじゃないしね.
素人の大学生をステージにあげて,何をさせたかったんだよと.
芸人さん達にとっても,かなり過酷なミッションだったのではないでしょうか.

なんにせよ,私にとってこの経験は,なんの価値も重みも意義も見い出せないままに,胸の奥にしまわれることになりました.


その後,ゼミの先生に,
「あの話ってどこから来たものなんですか? なんで私にふったんですか?」
って聞いてみたことがあるんです.
そしたら,
「覚えてない.たぶん,お前ならなんとかしてくれそうだから,じゃないのか?」
っていうものでした.

超絶適当な人選です.

これ,おそらくは学科会議とか教授会的なものを経てると思うんですが,他に誰かいなかったのかよ,って.
もっと適正のある学生はいたろうに.
とは言え,こういうザックリとしたところが,私の大学の魅力でもあるんですけどね.

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