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「仮面ライダー BLACK SUN」を見たよ

これぞ待ち望んでいた仮面ライダーだ


アマゾンプライムビデオで配信されている「仮面ライダーBLACK SUN」.
早速,配信開始の10月28日から昨日29日(30日未明)までで一気観をしておきました.

昨晩のうちにレビューしようかとも思いましたが,夜も遅かったので一晩おくことにして現在に至ります.

仮面ライダーBLACKのリブート作品で,先般,いろいろなところで広告が出ていたこともあり,とても楽しみにしていました.


動画ページはこちら.


YouTubeで予告編が見れます.






主演は,南光太郎(ブラックサン)が西島秀俊,秋月信彦(シャドームーン)が中村倫也.
監督は,映画「凶悪」とか「孤狼の血」を撮っている白石和彌氏が務めています.

白石和彌監督いわく,「大人の仮面ライダーを撮ってほしいという依頼で引き受けた」とのこと.

そして実際,アマゾンプライムでは,このタイトルそのものが18歳以上コンテンツになってしまいました(全10話構成だが,その多くが16歳以上や18歳以上指定になっています).
暴力描写,性的描写が強いためです.


中身ですが,これまた大人の映像作品になっています.

「人間と怪人の共存」を目指している世界が舞台です.
この世界では,人間の他に「怪人」と呼ばれる特異な人種がおり,人間社会で共存を試みているのです.
なぜ怪人が誕生したのか? どうやって怪人が繁殖しているのか? といったことの多くが謎になっていますが,そんなことは目先,お互いが生きて生活するためには脇に置かれている感じ.

このあたりの雰囲気が「現実離れしている」ってなると,あんまり受け付けられないかもしれませんが,「なんにせよ,そういう世界があるんだな」とSF思考でスタートできれば楽しく見れるでしょう.

怪人が誕生した経緯とか,怪人の繁殖・繁栄が無視されているわけでもありません.
むしろ,それこそが本作の肝になっています.


自民党政治,統一教会,左翼活動,右翼活動


本作のキーワードを私なりに挙げれば,上記になります.

っていうか,このタイミングで本作が配信開始になること自体,ちょっとタイムリーだなって思いました.


自民党と統一教会の関連が取り沙汰された今年ですが,まさに,仮面ライダーBLACKSUNでは,これと似たような話が展開されているのです.

本作に登場するメインキャラクターの一人である日本国首相(演者:ルー大柴)は,祖父も首相をやっていて,しかもその祖父が怪人(およびその政治団体:ゴルゴム)を誕生させた黒幕です.
細かい説明を始めると長くなるので省きますが,諸々の経緯や描写がそっくりそのまま岸信介と統一教会です.

このあたり,多分,ネット界隈では話題になると思いますよ.


あと,物語は1972年と現在(2022年)を行ったり来たりします.
仮面ライダーが誕生した50年前の1972年といえば,「あさま山荘事件」もあった年ですね.
描写も完全に,戦後学生運動とか連合赤軍をオマージュしたものになっています.

劇中でも,南光太郎と秋月信彦は,連合赤軍とか左翼活動みたいなことをやってるんです.
で,現実世界における「左翼活動」をやっていた人たちの50年間をモチーフにしているとも考えられます.

実際,この50年で歳をとって老けた南光太郎(ブラックサン)と,当時のままの秋月信彦(シャドームーン)の対峙は,
「歳月を経て世間擦れした元左翼思想家と,未だ当時の情熱や思想を捨てきれずにいる左翼思想家」
のぶつかり合いと解釈することもできます.

このあたりの描写が,人によっては「ムキーッ!」ってなってアレルギー症状を引き起こす場合があるでしょう.

ですが,私としてはこれはナイスチョイスだったと思います.
ものすごく良かった.

特に,最終話におけるシャドームーンの今際の時の言葉,「俺はあの頃に戻りたい」にはグッとくるものがある.
このへんが「あの時代に左翼活動をしていた人たち」の素直な感覚じゃないかな,って.

つまり,彼らは彼らの理想を追い求めていたし,実際にそれは追い求める価値があったはずなのだ.
彼らの理想は,時代の波に揉まれ流され押し戻されながら,結局,現代においてはそのエッセンスが滲み出るものになっている.

それに対し,右翼活動をしている者からすれば「50年前の亡霊がいまだ生き続けている」などと言うが,果たしてそんな解釈だけでいいのだろうか?

そんな気にさせてくれる全10話でした.

私自身歳をとったし,時々,学生時代,青春時代を思い返すことがある年齢になってきました.
それだけに,余計に感情移入しやすかったですね.


他にもいろいろ考えさせられる点はあったのですが,まだ整理できていません.
あともう一回,二回ほど見たら違った見方もできるでしょうから,その時また記事にしたいと思います.

とりあえず,仮面ライダーに思入れのある人はもちろん,社会派SFとしても楽しめるのでオススメです.



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