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14:2012年8月12日

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2012年8月12日(日)10時30分

 穂積里香は切り立った山岳の岩肌を登っている。
 ロープが手元にあるものの、それを離すと命の保証がないことを実感できるほどの傾斜。
 しかし、その足元を見てみる気にはならない。
 ロープを握り締めるクライミング用の手袋が内部で擦れ、ズレてしまう。
 いっそ素手のほうがいいのではないかと思うほどだが、山麓での準備時に、担当講師から絶対に手袋をつけて登ってくださいとの指示があった。

 穂積は、今月末に予定されている野外活動実習のため、その事前勉強をしたいと考えた。
 それを橿原一如に相談すると、大学教員用に開催されている野外活動授業のための研修会があるという。

そのとき橿原は、「実質、実習では僕と永山さんがメインで回すので、穂積先生は研修会に行くほどではないと思いますけど」と言っていたが、それでも名目上は実習主任となるわけだから、専門的な訓練を受けておきたいと考えた。
 参加申込締め切りは過ぎていたが、研修会の受付担当は、「今からでも参加可能です」とのメールを丁寧に返信してくれた。
 その受付担当の名前と所属を見ると、よく見聞きする大学の准教授だった。
 穂積が出席している学会発表やシンポジウムでも名前を見ることもある。
 こんな人が研修会の事務作業をやっているのかと驚いた。

 穂積はこれまで、野外活動実習には3年ほど帯同していたが、主に野営地での待機や事務係として参加していた。
 自分自身は学生を指導する立場ではなかったこともあり、指導担当者がどのようなことをしているのか把握できていない。
 いざ自分がやってみろとなると、なかなか難しいものである。
 それに、穂積は野外活動の経験はほとんどなく、友人とハイキングに何度か出たことがあるくらいだ。

 下にいる時に目標としていた地点まで、あと数メートルに迫る。
 意外と疲労感が大きくないことの安心感があったが、その油断が事故になるのではないかという不安もあったりで、あえて緊張感をもつことに注力する。
 手、腕、足、それぞれの意識を高めて、慎重に体重を預けていく。

 ほぼ登りきれた。
 そういう姿勢まできたところで、目の前に手が差し出される。
 穂積より先行していた、この研修セッションの担当講師である西森浩司(にしもりこうじ)だった。
 50歳。口元に無精髭を蓄えた、いかにも山男然とした体格のいい男である。
「どうぞ、穂積先生、掴まってください。引き上げましょう。焦らないで、ゆっくりとどうぞ」

 穂積は西森の手を掴む。
 そして力強く引き上げられることに大きな安堵感が広がった。

「あぁ、ありがとうございます。いやぁー、登れましたぁ」

「お疲れ様です。登れましたね。どうぞ、そっちの方に広いところがありますので、そちらで休んでください。ここで例のアイスコーヒー、作ります」

「はい、ありがとうございます。うわぁー、凄い景色ぃ」

 目の前には、これまで行ったことのあるハイキングでは見られない光景が広がっていた。
 遠いところから空、海、街、山、谷と迫りくるグラデーションが美しい。
 いや、こういう景色は過去のハイキングでも見たことがあるかも知れない。
 しかし、ここまでの登山の道のりと、この切り立った崖の上というポジションが、その感動を何倍にも引き上げている。

 穂積は思わず両腕を広げ、胸を張って深呼吸する。
 狭い崖の上という危うさを感じつつも、その姿勢をとってみたい衝動は抑えられなかった。

「うわぁー、涼しいぃ。気持ちいいですねぇ」
 思わず笑顔が溢れる。

「そうでしょう。まずは休んでいてください。あっ、そろそろ佐伯先生ですね」
 西森は崖から下を覗き、穂積の後ろについていた佐伯敬二郎(さえきけいじろう)の方に注意を向けた。
「佐伯先生、もうちょっとです。頑張ってぇ」

 佐伯は63歳のメガネをかけた小柄な男性教員である。
 専門は運動生理学で、勤務している大学で指導しているのは陸上競技の長距離走だと話していた。
「はいっ、もうちょっとですか。分かりました。頑張りましょう」
 佐伯は元気そうな声を出している。

 巨大な入道雲が西の方角で高く立ち上っている。
 その雲と濃い青空のコントラストがこの星の生命力を感じさせる。

 西森は、崖のすぐ下まで迫った佐伯に声をかけた。
「さあ、佐伯先生、どうぞ。掴まりますか?」
 そう言って手を下に差し出した。

「いえ、先生、大丈夫。一人で登りきりますよぉ。うおっ、おおっっと。いやいや、これはこれは」
 そう言っておどけながら佐伯は、崖の上に上がってきた。

「ナイスです、先生。お疲れ様でした」

「いやぁー、これは大変だった」
 佐伯は目に滴る汗を拭いながら笑う。
「もうね、いやね、歳だね。そろそろ厳しいよ」

「まだまだぁ」と西森は笑いかける。

 穂積は手頃な石に腰掛けて休んでいた。
 そこから声をかけた。
「佐伯先生、お疲れ様です。凄いですね、お若い」

「いやいや、もう何年もやってますから。それにしても、穂積先生は参加が初めてだったんでしょ? あれですか、登山とか野活も初めてなんですよね」

「はい、今度実習をしなきゃいけなくなりまして。それで」

「でしたよね。いやぁ、それにしても女性なのに、結構登るのが早い速い」

「そうですよね。穂積先生は登り方がうまいですよ。飲み込みがいいです」
 そう言って西森は、リュックから氷と豆、そしてガスバーナーとコーヒーミルを取り出しながら言う。

 佐伯がそれを見ながら言う。
「おおっ。来ましたね。穂積先生、これが下で言ってた西森先生のアイスコーヒーですよ。ここで豆を挽いて、わざわざ熱湯でドリップして、それを氷の上に垂らすと」そして大笑い。「そこまでしてこだわったコーヒーなんですけどね、いやぁ、これがまた実に旨い!」

「へぇーっ、凄い」
 穂積もつられて笑った。

「2年前から西森先生がこのセッションの講師をしてくれてるんですけどね、もう名物ですよね。豆から何からこだわってて。なんでしたっけ、今日の天気とか山の状態をみて、持っていく豆の種類を選ぶんですよね」

 西森は照れ笑いだ。
「そうですねぇ。でもまあ、大方、適当ですよ。これがいいんじゃないかなっていう。あまり厳密なものじゃないです」そう言って、西森はガスに火を入れた。

 佐伯は水筒の水を飲みながら言う。
「ところで西森先生。先生のところの実習では、こんなコースの登山はやるんですか?」

「いやいや、やらないですねぇ。さすがにこの斜面は急だし、危ないですよ。それに、私の大学だと参加学生数が多い割に引率が少ないですから、手も目も回りません」

 穂積は少し驚く仕草をしながら言った。
「そうなんですか? そしたら、実習する際にはどんなことに気をつけたらいいですか?」

「いや、この難度のコースを登らせる実習って、あんまりないんじゃないかなぁ。かなり事前講習とか練習をやってる学生で、しかも少人数だったらいいんですけど。でも、そんな授業ってあまりないでしょう。例年、こういう研修を入れているのも、先生方の経験づくりのためですね。やっぱり、難しいところを登った経験があるのと無いのとでは、指導する際に現れてきますから。逆に言えば、穂積先生としてはですね、今回こうやって登ってきたようなところは、学生に行動させない方がいいということになります」

 佐伯は、西森の言葉に頷きながら付け加えた。
「そうですねぇ。とにかく事前計画で決まっちゃうところがありますしね。事故だけはダメだからね。穂積先生は、今度やる実習の内容も決めてるの?」

「あ、いえ、そういうのは例年のものを踏襲します。これまでやっていた先生にお任せすることにしています。私は主任っていう名前だけです」

 佐伯がそれに応える。
「そうですね。それがいいですよ。いやぁ、それでもさぁ、野外活動未経験の人を、いきなり実習主任にするっていうのも、なかなか気合いの入った大学だねぇ。青葉大学でしたっけ、凄いですね」

「ははは、そうですかねぇ。ですよねぇ」穂積はわざとらしい作り笑いになってしまったことを自覚した。

 西森は意識的に声色を変えて言う。
「いや、ホントに気をつけてくださいね。とりあえず、今回の実習は、前の主任の方にいろいろとお任せした方がいいと思います。でも、青葉大学がどんな方針なのか置いとくとしても、こういう野外実習とかスキー実習、あとは海洋実習ですか。そういうのを軽く見ている大学って多いんですよ」

 佐伯がそれに勢いよく同意している。
「そうそう、ホントホント。あれ勘弁してくれってところあるよね。結構危ないことやらせてたり、安全対策の予算を取ってなかったりするんだよ」

 それに西森が続けた。
「そうです。で、さらに勘弁してほしいのは、じゃあ予算が増えるんだったらやらない。危ないんだったら廃止、ってなる大学もあるらしいです。議論を尽くしてるならいいんですけど、凄く簡単にその判断をしちゃう。これまで、一体なんのために開講してきたんだって話ですよ」

 山を這う風が大きく動いた。
 木々が一斉にどよめき、そして3人の体を意外と優しく撫でていく。

 佐伯が景色を眺めながら、思い出したように口にする。
「でも、今年は少ないですね。ここは私と穂積先生の2人だけだったし」

 西森も山を眺めながら言った。
「そうですねぇ。今年は全体的に参加者が少ないですよ。裏でやってるカヌー研修の方も、予定より少なくなったそうですから」

「あれじゃない? こっちの方は暑いしさ、しんどいから敬遠したのかね。あっちは川だから涼しいと」

「いや、本当は、このアイスコーヒーがまずかったんじゃないですか。それでもう、こっちのセッションは嫌だと」

「そんなことないでしょうっ!」と言って佐伯と西森は笑っている。
穂積もこうした会話が素直に楽しかった。

「いやぁー、でも穂積先生がこっちに来てくれてよかった。いなかったら私と西森先生だけだったからね」大きく笑う佐伯。「野郎2人がさ、崖の上でアイスコーヒー飲んでてもつまらないでしょう。そんな世の中、なにか間違ってるよねぇ」

「僕はいいですよ。佐伯先生となら」と西森は笑う。

「ところでね、聞いてみたかったんだけど、西森先生のご専門はなんですか? あんまり学会でもお見かけしないなぁと思ってて」

「あっ、あの、私は経済学です」

「え! 経済学の方ですか? スポーツ経済とかでもなく? じゃあ、この分野の専門じゃないんですか?」

「はい、実はそうなんですよ。すみません、そんな奴なのに、偉そうな口で講師をやっていました」

「いやぁー、こちらこそすみません。てっきり野外活動をご専門にされてる先生かと。そもそも、もらってる研修冊子に、講師の方のご所属やご専門が載ってるはずですよね。すみません、私みたいな老人の参加者は、そういうの全然見てないから。おまけに受け取った冊子だって、もう無くしてるからね。世話ないよ」と言って笑ってみせる。「ああぁー、すみません。経済学の方ですか。え? じゃあ、なんでこういった研修会で講師をするようになったんですか」

「はい。もともと私は登山とかキャンプが好きだったんです。それで、前に赴任していた大学でキャンプ実習があったんですけど、教員の人数が足りないし、担当されてた方が御高齢ということもあって、だったら西森、お前が参加しろと。そんな感じで学長命令が下りまして。あるじゃないですか、担当する科目に、その教員の専門もなにもないような大学。あれですよ」

「はいはい、ときどき聞きますね。あぁっ、もしかしたら穂積先生のところもそうかもしれないなぁ」と言って佐伯は穂積に笑いかけた。「じゃあ、西森先生はそんなところにいたんですか?」
 佐伯はタオルを取り出し、顔や首の汗をぬぐっている。

「そうですね。でも、参加しろって命令されたときは、正直楽しみだったんですよ。専門じゃないけど、それなりに野外活動に自信がありましたし、専門外の人間だったからこそ、むしろ、変な優越感もあったりしました。参加する前の事前打ち合わせでも、担当の体育系教員の方々と一緒に、あれしようこれしようって計画立てて。で、いざ行ってみると、これがまた全然」

「大変でしたか?」と同情を窺う顔を佐伯がする。

 それに西森は素早く何度も首を縦に振っている。
「いやぁー、自分が出来るってことと、それを教えるってのは違うんですね。もちろん、家族でキャンプすることもありますから、妻や娘にいろいろ教えてきたこともあります。でも、学生となると全然違います。しかも、一度に10人、20人を一緒に教えるでしょ。しかも、全体行動となると30人以上じゃないですか」

「しかもまたねぇ、やる気が無い学生が混ざったりしてるでしょ。あれが厄介なんだよ」

「おっしゃる通り。そうなんですよねぇ。あくまでも授業ですから。友人知人、家族に教えるのとは全然違います。ところが、同行していた、私よりもキャンプとか登山のことを知らないはずの先生が、とても上手に学生をまとめてくれるんです。段取りが分からずあたふたしていたら、いろいろとサポートしてくれました」

「まあねぇ、そのあたりは体育教員の腕の見せどころですから」

「いや、それ以上ですね。私、そのキャンプの授業をやったときに感じたんですけど、技術とか知識を伝えて、それをできるようにさせても、やっぱり気になるのが、大学生にこんな事を教えて何になるんだ、ってことです。だって、たんなるアウトドア・レジャーですよ」

「楽しさが伝われば、それだけでもめっけもんですよ」

「はい。それでもいいんですけど、同行してくれてた体育の先生が、自然の中で遊ぶ意義ですとか、目にする動植物のこととか、あと道具の使い方やメンテナンスを学ぶ意義だとか、本当に上手に伝えてくれて、あれは私にとっても凄く勉強になりました。不思議ですよね、キャンプのテクニックは私のほうが上のはずなのに、その先生から大事なことを学んだ気がします」
 西森はガスバーナーの火を調節している。
「そんなわけで、話が長くなりましたけど、それがきっかけで野外活動の授業に本格的にハマってしまいまして。一緒に授業をやってくれていたその先生にもよくしてもらったので、ここまでやってこれたんです。で、その先生、もうかなりのお歳だったんですが、実は昨年お亡くなりになりまして」

「あぁ、そうですか。えっと、お名前は」

「山田総一(やまだそういち)先生といいます」

「あああぁーっ、はいはいはい、山田先生ですか。いやいやっ、我々の分野ではレジェンドですよ。体操競技がご専門だったかな。体育科教育法の研究をされてましたね。ってことは、西森先生、以前は建志学園におられたんですか?」

「はい。あの大学はかなりブラックなところでして、山田先生も定年後の天下りで来られてたみたいですけど、私としては出会えてラッキーでした。あ、このアイスコーヒーも山田先生に教わりました」

「へぇーっ、そうだったんですか。良いこと聞いちゃいましたね」

 ガスバーナーでお湯が湧いてきているようだ。
 西森はコーヒー豆を手回し式のミルに入れ、ゆっくりと回している。
 豆の香りが周囲に広がっていく。
「技術や知識だけじゃダメなんですよ。これは私の分野である経済学でも同じことが言えると思います。なんていうのかなぁ、哲学、思想っていうんですか。あと、好奇心、探究心ですかね。大学院の頃にも、授業で先生方がそんなことを仰られていましたけど、やっぱり聞いてないんですよね、当時は」

「なかなか、私達の分野では実感できないですけどね」と佐伯が笑っている。

「そんなことないですよ。事実、私がそれに気づかされたんですから。むしろ、こういう活動にこそ、人間として大事なことや、学術的な重要性が潜んでいると思いますね。そうっ、佐伯先生がさっき言った実感っていうやつですよ。それが大事なんです。言葉遊びとデータいじりだけで大学を卒業させちゃいけないんです」

「へぇー・・」と佐伯と共に、穂積も感嘆の声を口にした。

 氷をカップに入れ、ドリップの準備をしながら西森は続ける。
「例えば、さっき穂積先生がここに上がってきた時、『涼しい』って言ったじゃないですか。でもね、ここの気温て、27.5度ですよ。湿度も70%です。さっき計測器を見ました。これってね、家にいて、何もしてなかったら、とてもじゃないですけど、涼しいとは言えませんよね。むしろ、暑苦しいんです。でも、穂積先生には涼しかったわけですよね。それっていうのは、ここまでずっと南側の山を登ってきていて、しかも急勾配で、さらに緊張感のある岩を攻略したあとだから出てきた実感です。人間の生活って、必ず実感を伴いながら送るものだし、ましてや、私がやっているような経済の世界では重要なファクターのはずです。ところが、案外これが無視されてしまいます。こういうの、自然を相手にするレジャーでは当たり前に感じたり考慮するものですけど、知識偏重の学問領域だと忘れてしまいがちです。むしろ、実感というのを蔑むところがありますよね、特に最近のアカデミックの世界では」

「うーん、そうなんですかねぇ」
 佐伯は口をへの字にして少し考えるが、すぐにこう切り出してきた。
「たしかにね、最近は私達のところでも、客観的データが大事、統計学的有意差が大事っていう話をすることが多くなっているんですけど、私はちょっと待てよ、って思うところがあるんです。というのも、ここまでずっとスポーツ科学の研究をやってきたけど、その結果、一体どれくらいのことがトップアスリートの育成や、皆さんの健康づくりに役立ってるのかって。実はね、ほとんど役に立ってないんですよ。それがまさに実感。たしかに科学的な研究成果というのは山のように出ているし、それに意味がないとは言わないんだけど、でもね、それを生かして競技力が上がっただとか、健康づくりに貢献したっていうのはあまりないんです。だって、当たり前ですよね。世界のトップを目指す人を科学的に作り出せるなら世話ないし、健康うんぬんかんぬんと言っても、結局は幸せな生き方やライフスタイルって人それぞれ違うわけでさ。で、気がついたら科学的なトレーニングやアプローチを無視してる人の方が成果を出したり、幸せだったりするんです」

「そうなんですよ。それが実感を伴う学問だと思うんですね。これは経済学でもスポーツでも一緒だと思います。べつに、理論や研究成果を無視することが正解っていうのじゃなくて、使い方の問題、はめ込み方の問題だと考えています。でも、アカデミックの世界ですら、なぜかこのあたりがゴッチャになって語られることが多いのが残念です。あっ、すみません、どうぞ、コーヒーを入れましょう」

「おっ、きましたねぇ。どうぞ穂積先生も」

「ありがとうございます、いただきます」

 西森は濃い目にドリップしたコーヒーを、氷が入ったカップに注ぐ。
 カップの中で、氷が軋み弾ける音がしている。

 佐伯はニヤつきながら言う。
「あぁ、いいですね。この音がまた涼しい」

「そうですね、これも実感ですよ」

 酸味の効いた爽やかなコーヒーの香りが、周りの木々の匂いと混ざって踊る。

 穂積はカップに口をつけた。
 おいしいアイスコーヒーだった。

 たぶん、一生忘れないと思う。




15:1986年7月22日