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2012年11月22日(木)18時25分
明日に学科会議を控えた鈴木利信は、各学科に配属されている女性の助手職員と一緒に、学科事務室の長テーブルで会議資料を作成・整理している。
2012年11月22日(木)18時25分
明日に学科会議を控えた鈴木利信は、各学科に配属されている女性の助手職員と一緒に、学科事務室の長テーブルで会議資料を作成・整理している。
学科事務室に配属される職員は、たいてい青葉大学の卒業生であることが多い。
この助手もそんな一人である。
まだ卒業して3年しか経過していない25歳の女性職員だが、学科長に就任して1年目の鈴木よりも、会議資料作成のコツを知っているので頼りになる。
むしろ、彼女の指示に従って鈴木が動いているようにも見えた。
前回からの継続している事項、そのなかに「教育研究シンポジウムの実行委員会からの報告」があった。
前回からの継続している事項、そのなかに「教育研究シンポジウムの実行委員会からの報告」があった。
「そうだ、これはどうなっただろうか」
鈴木は少し不安になった。
まさかとは思うが、東郷のことだ。
まさかとは思うが、東郷のことだ。
こちらとしては期待していないものの、実行委員会でどのような話がされたのか、その様子をあらかじめ聞いておいたほうが会議の進行にもプラスになる。
助手にも聞いてみた。
助手にも聞いてみた。
「そうした方がいいですよ。東郷先生なら、明日学科会議があることも忘れてるかもしれませんから」という意見が鈴木の背中を押す。
東郷に内線することにした。
鈴木は、助手に前回の議事録を確認するよう指示を出すと、学科事務室の受話器をとって、東郷の内線番号を押す。
東郷に内線することにした。
鈴木は、助手に前回の議事録を確認するよう指示を出すと、学科事務室の受話器をとって、東郷の内線番号を押す。
すぐに東郷は出た。
「あ、東郷先生ですか? 鈴木です。どうも。えぇとですね。明日の学科会議で議題にしていることなので確認しておこうと思いまして。教育研究シンポジウムの件です。実行委員会ではどんな感じになっていますか?」
東郷はぼそぼそと応える。
「あ、東郷先生ですか? 鈴木です。どうも。えぇとですね。明日の学科会議で議題にしていることなので確認しておこうと思いまして。教育研究シンポジウムの件です。実行委員会ではどんな感じになっていますか?」
東郷はぼそぼそと応える。
「ああ、実行委員会ですね。あれはまだ始めていません」
鈴木は自分でも予想以上に驚いたが、動じないことにした。
鈴木は自分でも予想以上に驚いたが、動じないことにした。
「はい。そうですかぁ。えぇと・・・、そうですねぇ。そうですかぁ・・」
いや、意外とショックを受けている自分がいる。
東郷は淡々とした口調で言う。
東郷は淡々とした口調で言う。
「なかなか事務と連絡がとれなくて、始められなくてですね。もう少しお待ちいただけると助かります。事務の人が話を聞いてくれません」
鈴木は「わかりました」とだけ言って内線を切る。
19時40分。
鈴木は「わかりました」とだけ言って内線を切る。
19時40分。
鈴木は帰宅するために廊下を歩く。
トイレの前で、学長の兵藤芳裕と鉢合わせた。
「あ、学長。お疲れ様です。先日の温泉ではどうも」
「あ、学長。お疲れ様です。先日の温泉ではどうも」
軽く礼をする。
「あぁ、鈴木先生。お疲れ様でした。おかえりですか?」
「えぇ、でも結構たいへんな事になっておりまして」
「あぁ、鈴木先生。お疲れ様でした。おかえりですか?」
「えぇ、でも結構たいへんな事になっておりまして」
鈴木は思わず東郷のことを話したくなった。
「東郷先生ですよ」
声を小さくした。
兵藤は眉間にシワをよせる。
兵藤は眉間にシワをよせる。
「なに? やっぱり何か起こしてるの?」
「いえね。むしろ起こしてほしいくらいでして」
「いえね。むしろ起こしてほしいくらいでして」
鈴木は軽く笑う。
「例の年度末のシンポジウムですけど、あれが全然進まないんです。担当者は東郷先生ですから、しかも、東郷先生自身が自分のやりたいようにやる、という態度ですから。なかなか口出しが難しいんですけど。でもねぇ、ちょっと度が過ぎるほど、なにも進まないですから」
兵藤は、他の社会福祉学科の教員からその件を聞いている。
兵藤は、他の社会福祉学科の教員からその件を聞いている。
学内では、同じ一匹狼タイプとして昔から雑談をする機会のある清水明史からだ。
清水からある程度、東郷問題の詳細を知らされていた。
清水は昔気質であり、田之浦理事長のやり方に反抗している数少ない教員でもあった。
清水は昔気質であり、田之浦理事長のやり方に反抗している数少ない教員でもあった。
清水をなんとか味方に引き入れておきたいと考えて、清水と話す機会を積極的に作っているという側面もある。
しかし、この男も穂積里香と同様、どこかの派閥に寄り添うタイプではない。
清水は、青葉大学のなかでも特にその傾向が強い。
鈴木のマネをするように、兵藤は大きく溜息を一緒についた。
鈴木のマネをするように、兵藤は大きく溜息を一緒についた。
「やっぱり東郷先生は東郷先生だったかぁ。マズいなぁ」
「ええ、実行委員会を一緒にやらせることにしたのが、山崎先生でもありますし、ここに何かを期待するのも難しいです。やっぱり失敗だったかと、ちょっと後悔しています。でも、じゃあ、他に誰を一緒にやらせるのかってことですし」
「ええ、実行委員会を一緒にやらせることにしたのが、山崎先生でもありますし、ここに何かを期待するのも難しいです。やっぱり失敗だったかと、ちょっと後悔しています。でも、じゃあ、他に誰を一緒にやらせるのかってことですし」
鈴木は持っているバッグの持ち手を変えた。
「まぁ、うちの学科のことですからねぇ。私の力不足というところもありますし・・」
「あの、何年か前に入った若い先生はダメなの? 彼なら」
鈴木はそれにすぐ反応する。
「あの、何年か前に入った若い先生はダメなの? 彼なら」
鈴木はそれにすぐ反応する。
「笠谷先生ですね。でも、彼は仕事が多過ぎるんです。だから、今回は見送ったんですけど。まぁ、ベテラン教員でいいから、山崎先生以外の人をあてておけば良かったと、今は後悔していますよ。しまったなぁ~」
兵藤は少し声のトーンを下げた。
兵藤は少し声のトーンを下げた。
「まあねぇ、東郷先生のことについては、今に始まったことじゃないから。でも、そろそろ・・・。そろそろ何か言わないといけないなぁ。あんまりな事をしてると、この大学全体のことに飛び火していくからねぇ」
兵藤は鈴木と別れると、学長室に戻ってパソコンの前に座る。
東郷宛にメールを書いた。
「東郷先生 明日の2限目の時間帯は空いていますか? お話したいことがあります」という趣旨のメールだった。
次
27:2012年11月23日
兵藤は鈴木と別れると、学長室に戻ってパソコンの前に座る。
東郷宛にメールを書いた。
「東郷先生 明日の2限目の時間帯は空いていますか? お話したいことがあります」という趣旨のメールだった。
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27:2012年11月23日
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