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派遣に思うこと

登録型派遣 共・社・国民新が「原則禁止」要求。
労働者派遣法の改正をめぐる調整が、与野党双方で本格化してきた。野党は共産、社民、国民新の3党が、限られた業種以外は登録型派遣を原則として禁止する案で一致し、民主党に歩み寄りを求めた。
一方、自民、公明両党も実務者による協議を始めた。与党の新雇用対策に関するプロジェクトチームは9日、派遣契約の中途解除防止や製造業派遣の禁止などについて来週後半に議論を始めることを決めた。派遣先が派遣社員との契約を中途解除する場合、30日前までに予告しなければ賃金に応じた賠償金を派遣元に支払うことが厚労省の指針で定められているが、罰則がないため、プロジェクトチームではこれを派遣法に取り込むことを検討。残りの契約期間について、賃金の一定割合を派遣元に保障させることや、事業の許可要件の厳格化も議論されそうだ。 [asahi.com 2009年1月10日8時36分]


私の職場でも “派遣さん” がいます.本職の人よりも仕事をこなしているのではないかと思うことも間々あります.派遣に関する問題点がいろいろと取り沙汰されていますが,そもそも「人材派遣」という雇用方法がここまで活発になった背景は,“必要な労働力を必要な分だけ安い給与で確保できる” という点が企業にとって美味しかったから,もっと言えば,そうでなければこの数年間の不況を乗越えられなかった企業がたくさんあることです.
派遣切りに対する企業への批判が起こっています.不況を乗り切るために安い給与で雇い働いてもらった人達なのだから,苦しい時こそ派遣社員を守れと.しかし切られなかったとしても,切らなきゃ沈む舟に乗っていては近々一緒に沈むことになるわけで,そこをどうこう言っても仕方がありません.企業としては法律の範囲内で自分が沈まないようにマネジメントしただけのことですから.派遣を雇って儲けたあくどい企業なんてごく一部.今が不況でないのならその話も通用しますが,ずっとこのかた不況続きなのですから,正社員も一緒に切るような事態に派遣を守ることなんてできません.

実は私も学生のとき人材派遣系のアルバイトをしたことがありまして,その時はむしろ「派遣ってカッコいい働き方」とまで思われていた記憶があります(その後ドラマまであった記憶も [探したらありました.「ハケンの品格」]).正社員とは違う一つの生き方として認知されつつあったようにも思いますが,現実は厳しい雇用状態だった人達もいるようですし,それが一気に噴き出した2008年だったのではないでしょうか (ちなみに,昨日も触れた秋葉原通り魔事件については,派遣社員の勤務状態を世間に示した出来事でしたが,私は “派遣” が事件の主原因では無いと思っています).

上記のニュースについて思うことは,派遣を禁止にしても失業者が増えるだけで意味無しかと.限られた業種以外というのがどこまでなのか詳しくは不明ですが(民主党案では製造業は禁止だそうです),こういう後先考えない政策よく出すなと.
以前にも「コンビニ営業時間を制限」なんてわけ分からん政策をとろうとしてた人達もいましたし(私的には: コンビニ営業時間制限 → 大量の深夜バイトが他の仕事探す → 派遣でまかなってた深夜の仕事に旧コンビニ達が侵出 → 失業者が増える/派遣問題に油を注ぐ :という流れになる気がするのだが.そもそも夜間の電気は昼間とは違い,火力発電を抑えて原子力発電に依存させている.Co2発生がほとんどない原子力発電(しかも原子力は発電量が莫大な上に調節が難しく,余剰に発電している)の電気を消費しているに過ぎず,Ecoの観点からみても間違いな政策),場当たり的な対策はやめてもらいたいものです.

派遣という雇用形態が悪いのではなく,この問題の本質は景気の低迷 + 雇用の低下です.派遣に頼らざるを得ない経済状態では,派遣を禁止したところで別の形でこの不況を乗り切ろうとまた劣悪な雇用形態が生まれます.
給与の低さが問題なのであれば,最低賃金の引き上げというのがありますが,私はあの政策によるメリットがどうもまだイメージできません.この経済状況で給与の増加は現実的とは思えないので,言うなれば働き先を増やす政策を打ち出してほしいのですが.でもそれが簡単に思いついたら苦労しないんでしょうね.