2009年4月23日木曜日

測定する


全然違うんですよ,握力計によって値が.

このたび,わけあって 「握力計が異なることによって測定値が違うか?」 を調査することになりました.

アナログ式 (針がバーッて回るやつ) を1種類と,デジタル式 (数字がパーって出るやつ) を2種類.計3種類の測定器を用意してその測定値を比べてみました.

違うわ違う.
測定器への相性もあるのでしょうが,けっこう機種によって値に差があります.
その幅が大きい人で13 kgくらい違います.

何を隠そう,私です.

しかも,自慢になりますけど測定器によっては握力が65 kgもありました.
たまたま学生と一緒に測ったんですけど自分でもビックリしました.この測定器は壊れてる と思ったほどです.
ラグビー選手以上,陸上部投擲並みです.

日頃,ずっと座ってパソコンをタイピングしてきた成果がここに集結です.
握力を鍛えるには無心に座ってパソコン.そしてネット.
これですよ.

……,思い返せば一念発起してブラインドタッチを始めたのが5年前.マウスのクリック数も,数えんとすれば砂粒の数よりも多いでしょう. 最近は高速タイピングの修羅場である医療事務も経験しました.
重い荷物や資料を担いで,明日の大学のためを想い,校内を駆けずり回ったのも良いトレーニングだったのかもしれません.

その甲斐あって,気がつけばアスリート越えを果たしていました.

・・・・・・・

でも感慨にふけっている場合じゃありません.
非常に由々しき状況です.

実は私の大学は握力測定を入学試験で実施します.
機器によって測定値が違うとなると大問題であることが誰にもわかるかと思います.

今年から採点方法を変えることになっており,その採点基準の見直しを迫られる状況になっているんですね.

で,どの握力計でやるのかも決断しなきゃならないし,どちらにせよ採点基準もそれに合わせて変更しなきゃならないし.
んでもってその仕事,例によってホントは無関係の職員である私達に回ってくるんじゃないかと考えられるんです.完全に無関係ではないから別にいいんですけど...

怖いのは,この大学.てーへんだー!って騒いでも,結局

ま,いっか.

ってことになりそうなんですが,良くないはずです.私は非常に気がかりです.
どうなることやら.


先日の科学を取り上げた記事でも,測定のことも取り上げました.
「測定」 できることが科学の条件の一つであると.

握力は科学じゃないんですね.めっちゃ適当だってことですもん.

この件で私が思い起こすのは,2年前に助手をさせていただき,今は退官されている某先生が,常日頃からおっしゃられていた,
「握力計が適当な測定器だと思われている.医学系の人達からはバカにされている.なんとかしたい」
という想いです.

その時は,へーそうなんですか.としか思っていませんでしたが,今となってはその髄を見たり といった感です.
まあ,ここで告白しますけど,その先生がそういう想いで握力計の信頼性を高めるための啓蒙活動として,握力計専用のキャリブレーション (較正作業) 装置を製作されていたのですが,

それ,先生が退官されるに当たり,捨てちゃいました.
ま,いっか. ってね.

今となっては後悔の念にかられています.
先生,すみません.我々が未熟でした.

測定値は正しいのか.測定方法は妥当なのか.信頼性は.だいたい,そもそも,それで何を測っているのか.その測定しているものの本質は何か.

やっぱり,身体運動科学の黎明期を支えてきた人の視点には唸らされます.

しょーもない身近な騒ぎから,
「測定する」 ということの哲学,
「科学的である」 ということのエッセンスを垣間見た気がします.