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危ない大学でもちゃんと卒論を書きたいとき

そろそろ卒業論文やゼミ論の提出締切が近づいている頃かと思います.
でも,ぜんぜん書けていないどころか,テーマすら決まっていないという学生もいるのではないでしょうか.
結構焦ってくる時期です.

「“近づいている” とかじゃなくって,もう目の前なんです」 という人は,
【やってはいけない】卒論・ゼミ論を1日で書く方法
に手を出しかねません.
が,タイトルにあるように「やってはいけない」わけで,“バレたら” マズイのでやってはいけませんよ.
私はしっかりと忠告しておきます.

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自分の大学が危ない(ブラックな)大学であった場合,まともに論文を書けないまま卒業という悲劇も予測されます.
今回は,そうした卒論にまつわる悲劇を少しマシにする方法をご紹介しましょう.
この記事では,今の時期(12月)からでも間に合う内容に絞っています.
ブラック大学ではない学生にとっても,きっと参考になるはずです.

※ブラック大学とは何か? という点については,
こんなホームページの大学は危ない
こんな挙動の教員がいる大学は危ない
を参照してください.

具体的な取り組みに進む前に,この記事を見つけた学生諸君に知っておいてほしいことがあります.
前回の,ブラックな大学でも少しはマシな大学生活をおくる方法
危ない大学に入学してしまったとき
でも取り上げましたが,こういうことは,まず学生側の心構えが重要な要素になってきます.

卒論をしっかりと書けるようになることは,大学を卒業する上で非常に大切なことです.だから卒業論文というのです.
しかし,ブラックな大学では卒論・ゼミ論をしっかりと指導する教員はいません.
そもそも,「論文」を指導できない教員がいます.結構います.
そういう教員は,本人が学問や研究ができないし,究極的には,論文なんて書いたことがないという場合もあります.
今まで面倒見の良い先生だと思っていたのに,卒論になって急に放任になった.という場合で発覚するパターンです.

自分が書けないものを,人に指導することはできません.
「書けるけど書かない」,ではなく,ホントに書けない教員のことですよ.お間違えないように.

指導できないとかじゃなくって,指導する暇もない教員がブラック大学にはいます.これは可哀想な教員です.結果,学生も可哀想なことになります.

論文の指導って,結構な重労働です.時間もたくさんとられます.
ところがブラック大学の教員は学生募集や就職斡旋に忙しい.
そんなわけで,
「卒論なんて時間の無駄」
という言葉が,なんと教員側から“本音”として語られるのです.
これを聞いて学生が「ラッキー」などと思ってはいけません.

「少なくとも現代の大学教育において,卒論指導は大学教育の根幹に関わっていることですから,やたらと簡略化しない方がいいと思いますが」

私が会議で発言したものです.本当に言っちゃいました.20代最後のクソ生意気な暴言です.
返す刀で,
「大学教育で,唯一まともに大学教育らしいことができるのが卒論指導なのですから...」
と言ってやりたかったのですが,それは飲み込んどきました.
(まぁ,そんでも「簡略化」にはなっちゃったけど)

本当に卒論は大切なんですよ.
だから,卒業論文を適当に“こなそう”とは考えないでください.
本気で取り組めば,きっとそれがあなたの「力」になるはずです.

では,ブラック大学の学生でも卒業論文を本気でやるための手順をみていきましょう.

●指導教員以外で,論文をみてもらえる人を探す
当たり前ですが,自分の指導教員がまともに論文をみれないのですから,みてもらえる人を探すしかありません.
「私の先生,ダメじゃん」と諦めた時点で,学問は終了です.
「諦めたら,そこで試合しゅ・・,」やめときましょう.でも,そういうことです.
「(誰か)さん!卒論が・・・,したいです!」
と依頼できる人を探しましょう.

というか,実は普通の大学でも,指導教員が真っ向から卒論指導をするなんてことは少ないのです.
では誰が指導するのか?というと,院生であったり研究生であったり,助手とか,そんな人たちです.
普通大学の学生にしたって,
「なんだ,助手(院生とか)の人に任せて,先生は指導しないのかよ」
なんて不満が聞こえるくらいですから.
ブラック大学の学生におかれましては,自分からこういう状況を作ってしまえばいいのです.

だから,テーマ決めも含め(今の時期からじゃ遅いけど),こういう人たちに相談すると良いでしょう.
私も過去7年間,院生,助手,若手教員という立場から,そうしたことを4年次生にしてきました.

仮に自分の指導教員がしっかりと論文指導ができる人であったとしても,メチャクチャな文章,稚拙な論理展開をいきなり見せるより,院生や助手(場合によっては若手教員)の人に予め指導を受けておいた方が良いのです.
優秀な先生なんだけど,雑務に追われていて論文をみてもらえる時間がない,という場合に有効です.

指導教員以外の人に卒論指導を受けること自体,普通のことです.
ただし,指導教員には,助手や別の先生から指導を受けていることの了解をとっておく必要があります
諸事情あって指導教員から了解がとれそうにない場合は,絶対にバレてはいけません.
大学教員にはプライドが高い人が多いし,自分とこの学生を囲いたい人も多いことと,ブラック大学ほど複雑な事情があって大問題になることがあります.


●論文の書き方を紹介した本をしっかり読む
一応これも書いておきました.
というのも,ブラック大学の学生ほど,論文の書き方を紹介した書籍があること自体を知らない場合が往々にしてあるからです.この記事を読んでいるあなたも,知ってましたか?
院生や助手がいない大学,まともな教員が見つからない場合,これで我慢するしかありません.
今(12月)からだと時間は少ないですが,がんばって読みましょう.

以下,卒論を書く上でオススメの書籍です.
小笠原喜康『新板 大学生のためのレポート・論文術』
中田亨『理系のための「即効!」卒業論文術』
戸田山和久『新版 論文の教室 レポートから卒論まで』
木下是雄『理科系の作文技術』
これ以外にも,まだまだたくさんありますよ.

恥ずかしながら,私も学生時代には論文や卒論の書き方を具体的に紹介している書籍が,こんなにたくさんあることを知らなかったんです.
偶然,いつだったか図書館で木下是雄『理科系の作文技術』をみつけ,「文章の書き方を書いた本があるんだ」という驚きとともに読んだ覚えがあります.

図書館で借りようと思わず,買ってください.そんなに高い買い物ではないはずです(そもそも,ブラック大学の図書館には上述の書籍がなかったりする).


●とにかく書く,早めに添削を受ける
論文というのは,最初から最後まで順番に一気に書けるものではありません.
まともなレポートの提出を課されないブラック大学の学生であれば,そもそも「論文」を書くという経験が全くないのですから無理もありません.
どうしても論文に取り掛かれないからと,キーボードを前にして全く動けない学生がたくさんいます.
さしずめ,泳いだ経験がない人に対して「この川を渡れ」と言っているようなものです.

森博嗣 著 『喜嶋先生の静かな世界』でも,そういった学生(主人公)を描写したシーンがありますが,そこでも,助手の人に「とにかく書け.僕がみるから」と指示されています.

戸田山氏は,『新版 論文の教室 レポートから卒論まで』で「論文は育てるもの」ということを紹介しています.その通りです.
あとづけを繰り返して,自分の論文を磨きあげていくものなのです.

指導してくれる人の存在に甘えて,とにかく書いてみましょう.書かなきゃ進みません.
そして,提出締切のできるだけ前から添削を受けることです.

普通大学の学生にもいるのですが,締切間際になって「書いてみたんスけどぉ,みてくれますかぁ?」というバカ野郎がいます.
こういう学生の論文は,良くしようにも,時間がないから育てられません.

ブラック大学の学生であっても,とにかく早め早めに指導を受けている人に読んでもらい,議論することです.
ここはどういう意味なの?こことここは矛盾している.これには先行研究がある.この理論は怪しい.君はどう考えているの?
といった議論を通して,論文は少しずつ成長していきます.

何を隠そう,これが高等教育たる大学での学び,学問ではありませんか!
卒業論文は,ブラック大学に残された最後の「大学教育」というのは,そういうことなのです.

これまた恥ずかしながら,私も指導教員に「途中でいいから早く出せ!」と怒られていました.
言い訳すると(言い訳にならないけど),全部きっちり書き切ってからじゃないと,先生に見せちゃいけないものだと思っていたのです.どうせきっちり書けないくせに,おこがましいものです.

卒論指導というものを分かっている人なら,書いてる途中であろうがメチャクチャな文章であろうが,そんなことを気にはしません.
それを添削し,議論する中で論文が出来上がっていくことを知っています.


とりあえず,この時期から実行に移せそうなのは,以上のようなものでしょうか.


 
 

参考になりそうなネット記事もあります
授業が終わったら教員に質問しよう(個人ブログ)
教授と仲良くなること間違いなし!大学教授と仲良くやっていく方法9選

後日,具体的な文章の書き方を記事にしました.
【やったほうがいい】卒論・ゼミ論をまずまずの日数で書く方法 その1