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センター試験とか入試におけるアレコレ

今日の記事は,はっきり言ってどうでもいい内容です.
何かの問題提起をするでもなく,珍しい考え方を提唱するでもなく.
なので,得られるものは何もないので,それを承知の上で読み進めてください.

では.
私もこの仕事に就いて5年.センター試験とか大学入試の業務をやり始めて久しいわけですが,その内情はどんなものなのか?外部の人には珍しいのではないかと思いましたので記事にしてみました.

センター試験や大学入試を控えている受験生にとっては,あの緊張感漂う入試会場の裏側で何が起こっているのか察しながら受けるのも楽しい(なわけないか)でしょうし,同じ大学人からすれば「あーっ,それあるある!」ってことで楽しんでもらえるんじゃないかというわけです.

まず,センター試験とか入学試験において外部の人(つまり受験生)が目にするところと言いますのは,検問所(受験会場への入り口)と受験会場ですよね.
で,その受験会場においては「試験監督」と呼ばれる人達がその場を取り仕切っているのですが,この試験監督も役割分担がされています.
大きく分けると以下の3つです.

1)監督主任
その試験場(部屋)を統括する役回りで,たいていその大学所属の教員が担当している.偉い役職についているから任される,というわけでは全然なく,適当に決められることが多いが,ことセンター試験においては「ヤバい」キャラの人は選ばれていないように思う.センターの場合は間違いが許されないので,少しでもマシな人選がされているはず.
ちなみに,センターの主任をやりたがる人は稀で,そのプレッシャーと業務把握量の多さからして可能な限り避けたい仕事である.
ご案内の方も多いだろうが,監督主任が発する言葉は99%が「監督要領(監督者の手引き)」に書かれていることの読み上げである.本人の意志や配慮から発せられる言葉は全く無いと言ってよい.


2)監督副主任(タイムキーパー)
監督主任を助ける役回り.試験時間や伝達事項,指示内容の読み上げなどを一緒に確認しながら進めるために配置されている場合が多く,センター試験においてはその役回り通りに「タイムキーパー」と称される.大学独自の入試や試験場の大きさによっては,この副主任を置かないことも多い.


3)監督者
監督主任以外の試験監督者は,総じて監督者と呼ばれることが多い.教員ではなく職員やパートのおばちゃんが担当することもある,文字通り試験場を監督する役回り.大学によっては,大学院生や非常勤講師の先生が担当することもある.
センター試験においては,これに追加して「監督補助者」というのがあり,大規模な試験場において解答用紙・問題,英語リスニング用のICプレーヤーを配るお手伝いとして配置される.


このように試験場では役割分担されている人々が活動しているのですが,こうした人々にも様々な人間模様があるのです.
それは以下の様なものです.

(1)監督副主任が仕事をしない
ことセンター試験において頻出するのですが,「私はタイムキーパーですから.タイムキーパーをしますので」などと言い,監督主任と一緒に試験場正面(たいてい教卓の前)に突っ立って,頑なに動かないというケースが見られます.
タイムキーパーや監督副主任であっても解答用紙や問題の配布をするのが普通なのですけど,特にセンター試験のような緊張感漂うところにおいては「私はなるべく作業に関与しないようにしとこ」という方略に出る人がいます.気持ちは分からんでもないですけど.
その場の状況からして周りの者は,「はい・・,そうですか.わかりました」と言うしかないのですが,結構迷惑な存在として有名です.
受験生におきましては,解答用紙・問題配布をしている中にあって,教卓の前に2人の人間が突っ立っている状態を見かけましたら,ちょっと笑ってください.試験前の緊張ほぐしになるでしょう.


(2)監督主任も仕事をしない
「監督主任は試験場の統括をする」ということで,特にこれといった作業は割り当てられていないことが多いのです.センター試験がその典型です.
そうは言っても,何もしないことが義務付けられているわけではありませんから,なるべくなら余裕をもって作業したい監督者一同としては,猫の手ならぬ主任の手も借りたいところであります.
ところが,「私は監督主任ですから」ということで一切の準備業務をしない人がいます.他の監督者は大急ぎで問題配布やら写真照合をすることになります.
作業に手間取り,焦る姿をこれ見よがしに見せつけるも,こういう主任は動かざること山の如しです.空気読めよと思われます.
受験生におきましては,試験場に入るなり教卓の前に陣取り仁王立ちして(または椅子に座って)全く動かない人を見かけましたら,ちょっと笑ってください.試験前の緊張ほぐしになるでしょう.


(3)問題冊子を包んでいるビニルパックが結構しぶとい
なるべく手際よく進めたい試験場における準備ですが,その中でもちょっと手間取るのが問題冊子を包んでいるビニルパックです.
かなり薄い素材で作られているのですが,これを剥ぎ取るのが結構面倒なんです.苦労している人をよく見かけます.
私としては,この時期にあわせて左手の親指の爪をやや伸ばし気味にしておくことで作業を円滑にするよう準備しています.これで冊子側面を引っ掻くことで,あっという間に包装袋を取り除くことができます(これは結構オススメです).
なんにせよ,ここまでガッチリ包まなくてもいいんじゃないかと思うほど,入試用問題冊子を包むビニルパックは強敵です.
受験生におきましては,問題冊子の包装袋を剥ぎ取るのに苦労している監督者を見かけましたら,ちょっと笑ってください.試験前の緊張ほぐしになるでしょう.


(4)なんだかんだで眠い(らしい)
毎年,大学入試の試験場で居眠りをする教員がいて,大学にクレームが入ることがこの季節の風物詩のようになっています.
私は試験場で居眠りをするたちじゃないのですが,周りの先生方に聞きますと,やっぱり眠いんだそうです.かなりキツいとのこと.センター試験ならいざ知らず,大学独自の入試においては監督者の緊張感が一気に落ちますから,主任以外は眠気との戦いになるのでしょう.
私も居眠りをする監督者に居合わせたことがありまして,その監督者を受験生が何度も見ていたので,その監督者のところに行って肩を叩いたこともあります.
センター試験や入試にあたっては,その説明会が毎度開かれるのですが,そこで毎度言われるのが「居眠り厳禁」です.ガキじゃないんだから,と思いつつも,やっぱりやらかす人は後を絶ちません.
居眠りをしたからといって受験生の試験結果に影響するわけではないのですが,中には大イビキをかく人もいるそうですから,やっぱり注意が必要です.


(5)座りっぱなしがキツいからってんで,試験場後方にて体操をしている
これは私のことなのですが,他にもこの戦略に出ている人はいるようです.居眠りするよりよっぽど健康的じゃないかと思っています.これは結構オススメです.
どういう事かというと,受験生は前を向いて(同じ方向を向いて)問題を解くのに必死ですよね.すると,試験場の後方にある程度スペースがあれば,そこで受験生に気づかれないようにいろいろな事ができるのですよ.
私は今年のセンター試験ではタイムキーパーでしたので,主任と違って試験場後方にいることができました.で,試験中,そこでずっとストレッチ体操をやっていたのです.さすがに動的なものは音が出ますので無理ですから,スタティック・ストレッチングをすることになります.
そこは体育スポーツを専門とする私ですから,1時間や2時間のストレッチ・プログラム作成は余裕です.試験場後方という限られた空間でも有益なものを選定して実施した結果,今年のセンター試験を心身ともに心地よく終えることができました.
あ,もちろん大学入試もです.こちらは主任をやっていましたが,センターほど縛りはないので,座り疲れたら試験場後方に行って息抜きです.来年は筋トレに挑戦してみようと思っています.
受験生におきましては,たまに試験場後方を覗いてみてください.私みたいな監督者がストレッチ体操をしている姿を見ることができるかもしれません.


(6)試験問題を読んでる
これは試験監督者なら誰もがやることとして有名です.
「へぇー,こんな問題なんだぁ」と読んでみて,そのあと巡視に向かいます.そこで受験生の解答を見て「あ,こいつ間違えている」とか「ふーん,それが正解なんだぁ」と覗きに行くわけです.
監督者や監督補助者の中には,気を利かせて予め監督者全員分の問題冊子を用意したり配ってくれる人もいたりします.
今年(2015年)のセンター試験の「国語」の問題が話題になりましたよね.
佐々木敦 著『未知との遭遇』を使って出題されたのですが,たしかに興味深いものでした.試験問題が,じゃなくて佐々木氏の文章が.
普通におもしろい内容だなぁ,というわけで「読書」です.本学の入試においても同様,やっぱり国語の問題冊子は読み込んでしまいます.・・・おっと,実は試験時間中における監督者の「読書」は禁止されていまして.でもこれも読書の一つですよね.
日本中の試験監督がルール違反をしていることになるのですけど,ま,それくらい許してください.


(7)センター試験の英語リスニングに愚痴る
そのままです.
とにかく英語リスニングを嫌う,恐れる,見下す監督者は多いものです.
その象徴がICプレーヤーの動作不良です.こちらの業務の出来とは無関係に,仕事を増やすことになるわけですから(動作不良が起きたら,再開テストをすることになる).
私としては,一度でいいから動作不良を見てみたい,という好奇心もあったりするのですが,それで業務が増えることを思えばやっぱり嫌ですかね.
ところで,センター試験に英語リスニングテストを導入したことによる好影響はあったのでしょうか? そろそろ結果を調査・公表してもらいたいものです.
私の実感としては,「無い」というのが本音です.やっぱり,試験用のリスニングではリスニング能力はつかないですし,そのリスニング技術は大学以降のトレーニングでいかようにもなる程度のものなんだと感じています.


(8)解答用紙を手渡ししてくれる受験生がちょっぴり嬉しかったりする
解答用紙の回収作業における一コマです.
「解答用紙に触れないで」とアナウンスしている手前,受験生は監督者が解答用紙を回収する際は不動になることが多いでしょう.いえ,それが正しいのですが.
でも,中には気を利かせてくれて解答用紙を手渡ししてくれる受験生がいるのです.あれが実は嬉しかったりするんですよ.
というのも,解答用紙を机から取り上げるのって結構面倒なんです.机の端に寄せてつまみ上げるようにすれば楽なのですが,受験生によっては体を机にかなり接近させていたり,机の端に筆記用具を置いていたりするので,それが邪魔でできない場合があります.
中には一つの机に3人以上座らせている試験場もあり,そんなところに体をねじ込ませながら回収するのって,かなりの面倒です.
そんな時,こちらの作業の都合を知ってか手渡ししてくれる受験生がいます.そんな彼ら/彼女らに私はしっかりと「ありがとう」と優しく声をかけています.もうその時点で「合格」にしてもいいんじゃないかと思うほどです.
それは言い過ぎにしても,受験生におきましては,解答用紙の回収時に手渡ししてくれると,こちらとしては嬉しかったりするので,ご配慮頂けますと幸いです.


途中に出てきた佐々木敦氏の著書はこちら↓