2016年8月17日水曜日

高知の酒事情

Uターンのための高知空港.
そのレストランにこんなものが置いてありました.

高知県下でのキリンラガービールの広告です.
「たっすいがは,いかん」というのは「弱いものではダメだ」という意味です.

以前,高知県では全国売り上げナンバーワンとして有名なビール「アサヒスーパードライ」は飲まれていないということをご紹介しましたよね.
都知事選と抹茶ビールの間にあるもの
ビールの消費量の都道府県ランキング(アサヒスーパードライ)
一人あたり年間消費量:全国平均23.3缶に対し,高知は13.3缶でダントツ最下位です.

じゃあ代わりに何が好まれているのかというと,実はキリンラガーなんです.
高知県とキリンラガーの関係は知る人ぞ知るところでもありまして,そのエピソードが最近になって新書として出ています.
それがこちら↓


冒頭のキャッチコピーに戻りますと,ようするに高知県民はスーパードライのような「のどごし重視のあっさりした味」よりも,ラガーのような「苦味の効いた気合の入った味」を好む傾向があるようなのです.

実は私も「ビール」と言えばキリンラガーが好きで,学生の頃の飲み会でも「どうしてラガーなの?」と不思議がられていました.
こっちからすれば「どうせ飲むならラガーでしょ」という感覚なのですが,県外の人にはラガービールを嫌う人が多いんですよね.スーパードライが売れる理由もそこにあるのでしょうし.

全国的にはスーパードライが好まれてしまう.そんなわけで,1995年にキリンラガーはスーパードライのような「あっさりテイスト」に味を変えていた時期があるのだそうです.
当然のことながら,そんな「たすい(弱い)味」のキリンビールに高知県民は激怒.
キリンの高知営業担当を通して「味を戻せ」と訴え,1998年,キリンラガーは元の味に戻ったのです.

で,その後のキリンのキャッチフレーズがこちら.

「この国には、キリンラガービールがあります。」
「時代は変わる、ラガーは変わるな」

これが保守思想の原点のように思います.高知県民には本格保守が多い.

なお,前回記事でもご紹介していますが,実は高知は飲酒量がさほど多くありません↓




その代わりに,高知は飲酒費用が多いんです↓
それもブッチギリで.
つまり,高知では飲酒時の料理や肴にお金をかける傾向にあるのです.
「どうせ飲むならより良い酒を,より良い料理と共に」
これが高知スタイル.


ちなみに,高知は「アサヒスーパードライ」は飲みませんが,東京に次いでビールを飲む地域です.
どれだけラガー好きなのか容易に類推できましょう.

「どうせ飲むならより良い酒を,より良い料理と共に」ということでしたが,これは逆に言えば,
「どうでもいい時はどうでもいい酒を飲む」ということの裏返し.
事実,発泡酒・第3のビールもよく飲みます.

「目くそ鼻くそ」「アサヒスーパードライを飲むくらいなら,もっと安い発泡酒でいい」
と構えるのが高知スタイル.
その感覚,よく分かります.


その他のアルコール飲料について.
まずは焼酎.
これは九州(特に南部)がおかしいだけですが,どっちかっていうと高知は焼酎を飲まないところです.
でも,私の実家である幡多地域には,全国的にも珍しい「栗焼酎」があります.
なかでも「ダバダ火振」が有名です↓

九州の人たちからすれば「栗の焼酎なんぞ邪道」と言われるでしょうが,私はこれを愛飲しています.
湯割りにして飲もうものなら,幡多の山々の香りが体いっぱいに充満して幸せになれます.


さて,次は日本酒です.
高知には「土佐鶴」「司牡丹」「酔鯨」といった,「安いくせに旨い」という傑作酒がたくさんあるのですが・・・.
今度はさっきと南北が逆転.やっぱり東日本で日本酒は飲まれていて,高知は平均的.
そんなに飲まれているわけではないのです.


ウイスキーはというと.
東日本が圧倒的.


対するブランデー.
なんともきれいに反転.ブランデーは西日本が多いのですね.
「東のウイスキー,西のブランデー」という構図があるようです.

このブランデーですが,私のオススメはこちら↓
これならお手頃ですし.

ブランデーって安いものが売られているでしょ.20代の頃,スーパーで売られているものを買って飲んだら「うわっ,まずっ」ってなったんです.
でも,Amazonとかで調べたら,ウイスキーと同様,ピンきりじゃないですか.
なので,思い切って高めのやつを買ってみたんです.
全然味が違いました.スーパーで売っているものとは別次元の味です.
私は「ブランデー:水」を「2:1」の比率で割って,秋から冬にかけて常温で飲むのが好きです.
ブランデーを「まずい酒」だと思っている方は特に,お試しあれ.


ちなみにワインの消費量はというと.
東京と山梨で特に飲まれているアルコールなんです.
この感覚もよく分かります.
「ワイン,ワイン」ってよく目にするけど,実際のところ飲まないですよね.
東京の人だけが集中的に飲んでいるものなんですよ.


というわけで,高知は「ビール」それも「キリンラガービール」が好きだということが分かっていただけたかと思います.
ですが,これだけビール好きな県なのに,意外にも「地ビール」が無い県でもあるのです.

だから高知で地ビールを作ったらウケるんじゃないか? そんな声もあるのですが.
いえ,そんなことしなくても,事実上の高知の地ビールは「キリンラガー」である.それでいいじゃないですか.

それに,南国風土で作ったわけわからん地ビールなんかより,保守的な高知県民はキリンラガーを飲むに決まっています.


※最近,キリンが都道府県別のキリンビールを作っているようですね.
47都道府県の一番搾り(KIRIN)
まだ飲んだこと無いのでわかりませんが,そのうち飲み分けてみたいものです.