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9月, 2017の投稿を表示しています

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井戸端スポーツ会議 part 50「最も強い表現で非難する」

昨日の記事でも書きましたが,現在日本は北朝鮮に対し「最も強い表現で非難する」という声明を出しています. ■ 菅官房長官「最も強い表現で非難」 北朝鮮のミサイル発射で (日経新聞2017.7.29) 「『最も強い表現で非難する』とは,これいかに?」 というネット記事も見かけますが,案の定,国際的な声明の出し方に準拠したものなのだそうです. ようするに,日本語で最も強い非難の言葉を述べたとしても,相手国の言語にとってはどの程度の非難なのか解釈するのが難しくなるのですから,「私は今,最も強い非難をしているんですよ」ということを表すために,それをそのまま伝えているということです. 例えば,相手国に「怒髪天を衝く心境です!」と伝えたとしても,言われた国によっては「ヘアジェルの量が多すぎて困っている」と捉えるかもしれませんし,「はらわた煮え繰り返る思いです!」と伝えても,「モツ鍋が美味しそう」と間違われるかもしれない. つまり,「最も強い表現で非難する」というのは, 「私は今,あなたが思いつく中での最大級の非難表現をしていると脳内変換してください」 という日本外交の約束事なのです. ちなみに,私も過去のブログ記事で似たような手法を用いたことが何度かあります. 例えば,■ 子供の自殺原因「いじめ」は2%,という記事への反応への反応 実際の使用例は以下のとおり. これについて私から言えることは,もうこの国の大勢,少なくともネット閲覧者の多くが,想像を絶するほどに◯◯だということです. ※上記の◯◯には,考えられる最も侮蔑的表現を想像で入れてもらって結構です. 本当に諦めました.やっぱりこの国はダメかもしれません. やばいです. 直接言及しても,それは相手にとっては侮辱にはならないかもしれませんし,最大級の侮辱的表現は人によってマチマチでもある. だから,その表現については読み手に一任しましょう,ということです. それに,直接的に言ってしまうと,いわゆる “コード” に引っかかるということもあります.それを回避するためにも有効な手法でしょう. 総理大臣や官房長官が「このハゲー! テメエらはクソだ! 死んじまえ!」って言ったらマズいですよね. そんなわけで,外交において非難声明を出す際には,あらかじめ表現にグレードを用意しておい

このタイミングでの解散選挙って凄くね?

にわかに「衆議院解散」が喧しくなってきました. どうしてこのタイミングなのか? 我が国の首相はトチ狂ってしまったのでしょうか,さっぱり意味が分かりません. ■ 安倍首相 25日に会見 解散に踏み切る理由を説明へ (NHKニュース) もっとも,トチ狂っているんじゃないかと思うのは今に始まったことではありませんから,あまり驚きもしないのですけど. いよいよこの国の社会も末期を迎えたのかもしれませんね. ネトウヨと称される人たちが,つい先日まで, 「北朝鮮問題や災害対策に予断を許さない中,森友学園だの加計学園だの言ってる場合じゃない!」 などと熱り立っていましたが,彼らの教祖である安倍晋三の頭の中には,今は北朝鮮や災害よりも選挙をした方が良いという予断があるようです. 見事なブーメラン(©ウヨク)と,梯子外し(@ウヨク)ですね. そんなこと言うと,こんな反論もあるかもしれません. 「この選挙は,北朝鮮問題や災害対策に注力するための基盤づくりのための選挙だ」 でもそれは,つい先日に内閣改造した政府に対しては苦しい擁護です. 安倍首相は先の内閣改造でこう言いました. ■ 安倍晋三首相、信頼回復へ「仕事人内閣」 第3次改造内閣が発足 (産経新聞2017.8.3) 政権の信頼を回復するため、新内閣を「結果本位の仕事人内閣」と名付け、経済最優先で政策を推進していく考えを示した。 (中略) 今回の改造について「幅広い人材を糾合し、国民のため、しっかりと仕事に専念できる態勢を整えることができた」と強調した。 ところが仕事せずに,結果も出さずに解散する運びとなるわけですから,これでは「危機対応よりも自己保身を目的とした選挙」と言われても反論の余地はないと考えられます. ウヨクこそ安倍晋三を批判すべきではないのですか? 森友だ加計だと言ってる場合じゃなかったのですから,尚の事,今は「選挙」どころではないでしょう. ましてやミサイルがポンポン飛んできている最中.すぐまた次のミサイルが撃ち込まれるかもしれない状況です. そんな事態にあって,政治の空白期間を作っても良いという自信はどこからくるのか. つまり,我が国の首相は,この極東での不穏な動きに対しては,慎重に対応しなければならない喫

「本能寺の変」に関する明智光秀の書状が見つかったらしい

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今日,こんなニュースがありました. ■ 明智光秀:密書原本 本能寺の変直後,反信長派へ 室町幕府再興目指す (毎日新聞2017.9.12) 本能寺の変で織田信長を討った重臣の明智光秀が、反信長勢力とともに室町幕府再興を目指していたことを示す手紙の原本が見つかったと、藤田達生(たつお)・三重大教授(中近世史)が発表した。変の直後、現在の和歌山市を拠点とする紀伊雑賀(さいか)衆で反信長派のリーダー格の土豪、土橋重治(つちはししげはる)に宛てた書状で、信長に追放された十五代将軍・足利義昭と光秀が通じているとの内容の密書としている。 (中略) 藤田教授は「光秀が、まず信長を倒し、長宗我部元親(ちょうそかべもとちか)や毛利ら反信長勢力に奉じられた義昭の帰洛を待って幕府を再興させる政権構想を持っていたのでは」と話す。 過去記事の「鳥無き島の蝙蝠たち」シリーズで取り上げていた,「本能寺の変・長宗我部元親暗躍説」と関連するかもしれないということです. ■ 鳥無き島の蝙蝠たち(2)長宗我部元親 今回発見された雑賀衆・土橋に宛てた文書と,以前から注目されていた斎藤利三に宛てた「石谷家文書」から,本能寺の変が案外簡単な理由で動いていたことが推察されます. 摩訶不思議な謎も,分かってみればシンプルな解というのはよくあることです. つまり,織田信長と対立した四国の長宗我部元親が,信長による「四国征伐」を止めるため,明智光秀を利用して信長を暗殺したのではないか? ということ. そして,光秀としては主君である信長を暗殺するほどの大義名分を「室町幕府再興」に求めたのではないか? ということです. おそらく, 元親は光秀に対し,室町幕府を再興する手伝いをする代わりに信長を討ってもらう約束をしていた可能性が高い .もちろん,光秀としては幕府再興のためとは言え,主君を不意打ちするのですから事後に何を言われるか不安だったでしょう.その時に加勢してくれる味方は多い方がいいし,自分の行いを「あっぱれ,光秀,日本一のサムライ」と認めてくれる仲間(サクラ)を用意したいところです. その一人が元親だったのではないか. 室町幕府再興という大義名分であれば,将軍・足利義昭を保護している毛利輝元は支援してくれるだろうし,元親(四国)と輝元(中国)の伊予・瀬戸内海

体育学的映画論「告白」

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興行的には大成功した作品ですので,見たことがある人も多いものと思います. ■ 告白 (wikipedia) 2010年に公開された,監督:中島哲也,主演:松たか子の映画です. 私はつい最近になって見ました. 学生の頃はTSUTAYAを利用してたくさんの映画を見ていましたが,2008年頃から数年前までは映画から離れた生活をしておりましたので,この映画のことも知りませんでした. かなり興味深い作品でしたので,先日,気になったので原作も読んだほどです. 見たことがない人もいるかもしれませんので,ウィキペディアから「あらすじ」を引っ張ってきます. とある中学校の1年B組、終業式後の雑然としたホームルームで、教壇に立つ担任の森口悠子が静かに語り出す。「わたしは、シングルマザーです。わたしの娘は、死にました。警察は、事故死と判断しました。でも事故死ではありません。このクラスの生徒に殺されたんです」一瞬にして静まりかえる教室内。この衝撃的な告白から、物語は幕を開けた。 映画でもこの「衝撃的な告白」から始まるのですが,その時の女性教師役である松たか子さんの演技が非常に上手いので,ここで一気に惹きつけられます. 冒頭のこの30分間だけで十分な作品じゃないかと思わされるほどですが,実際に,原作者によればこの部分だけで一つの作品だったようです. ■ 告白 (湊かなえ) (wikipdida) 映画としてのエンターテイメント性の高さもさることながら,私としては本ブログで度々取り上げているテーマと共通することが興味深かったんです. 具体的に言えば, 「世間の目」 「大衆の反応」 「いじめ問題」 「教育の役割」 といったところでしょうか. こうした点は,原作の小説よりも映画のほうがよく現れています.映画監督によるところが大きいのかもしれません. 「少年法により裁くことができない『犯人』への復讐劇」というスタイルで進行する物語ですが,当然のことながら, そこで描かれているのは少年法に関する問題提起などという陳腐なものではありません. 「衝撃的な告白」から年度が明けたこのクラスでは,殺人犯と目される生徒への「いじめ」が始まります. 「お前,ぜんぜん反省してねぇだろ!」 と吐き捨て,物が投げつけられる. 私物が捨てられる.

危ない大学には危ない教員がいる

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先日,本ブログの「危ない大学シリーズ」を読んでくれている大学教員のお一人から,私と情報交換をしたいとのお誘いがありましたので一席設けてきました. 興味深いお話とビールをありがとうございます.この場を借りてお礼申し上げます. この先生,いわゆる「危ない大学」として,その名を業界の津々浦々まで響き渡らせている,知る人ぞ知るマジで危ない◯◯大学に勤務されている方です. 関係者の皆様に悪影響があると良くないので,大学名は伏せさせていただきます. 赴任した後「まさかこれ程までとは」と思われたそうですが,実はその大学とは私もちょっとしたご縁がありましたので,内部事情が気になっていたところでして. 私がその大学の採用面接を受けた時,面接担当者が話す建学の理念を聞いて「この大学はダメだ」と思っていたので,あぁ,あそこはやっぱりダメだったんですね,と確認できたところでございます. 「建学の理念なんて,あってないようなものだ」と言う人もいますが,建学の理念を舐めてはいけません. 自分たちがどのような大学を作りたいのか,それが人間のためになるのか否かが大切です. 大学が運営方針などに悩んだ時,そこでどのような舵取りをするのかは建学の理念に依るからです. 建学の理念がおかしいと,そこに所属する人たちの行動もおかしくなります. まともだと思っていた人も,タガが外れたように狂った行動をとるようになる. 結果,建学の理念がおかしくて運営方針がデタラメな大学は「危ない大学」になってしまいます. 危ない大学の条件はいろいろありますが,その一つに「教員として危ない奴がいる」というものがあります. まあ,これは上述したこととの合わせ鏡になっているので, 危ない大学だから教員も危ない奴になってしまう という側面もあります. ですが,危ない大学では危ない教員がのさばりやすくなるのは確かです. 以前,そんな記事も書きました.お暇でしたら,こちらもどうぞ. ■ 危ない大学に奉職してしまったとき「厄介な教員対策」 ■ こんな大学の教員は危ない part 1 でも,今回お話ししたいのは,危ない大学にいることによって「危ない教員」になってしまうことではなくて,「もともと危ない教員」が危ない大学に奉職することによる害悪です. 冒頭にご紹介した危ない大学においても,やっぱり危な