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過去記事の「大学が危ない」はどこまで実現しちゃったか
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「こんな大学は危ない」と題したシリーズが過去記事にたくさんあります.
古いものだと,
■こんなホームページの大学は危ない
■こんな挙動の教員がいる大学は危ない
■こんなパンフレットの大学は危ない
っていう記事を7年前(2012年)から書いています.
あと,それに先立ち,当時から喧しかった「大学改革」に反対する記事も7年前からシリーズで書き続けてきました.
例えば,2012年の9月には,
■反・大学改革論
■反・大学改革論2(学生からの評価アンケート)
■反・大学改革論3(学生はお客様じゃない)
■反・大学改革論4(喜んでる教員)
とか.
ようするに,「大学改革は百害あって一利なし」ということであり,「このまま大学改革を続けると,危ない大学がどんどん増える」.
そして,その当時に「危ない大学」と私が認定する特徴が,(その当時において)まだ大丈夫な大学にも波及していくだろう,という警鐘を鳴らす記事だったわけです.
さて,7年経ちましたが,それからどうなったでしょうか.
あの当時に卒業した学生は,もう30歳に手が届くところです.時が経つのは早いですね.
当時,私が予想していた「これからの大学の未来」は以下のようなものでした.
おさらいしておきましょう.
ざっとまとめると,こんな感じです.
(1)学術活動よりも就活・インターンを重視するようになる
(2)「学生目線」「現場」「実践」「キャンパス外」といったキーワードが多用される
(3)卒業論文を廃止するようになる
(4)書類上の業績だけの,研究できない教員が増える
(5)学生に媚びた授業・指導をする教員が増える
(6)学生募集・広報活動に時間を割いて,教育研究の比率が下がる
(7)教員の教育研究にかけられる時間が減る
(8)教員の研究費が減り,さらに研究業績も減る
(9)得体の知れない資格関連授業が増え,授業管理が困難になって教務担当が死にそうになる
(10)企業が求める「コミュニケーション能力」とか「リーダーシップ」の育成をはじめる
(11)入試の制度や日程が増え,会場も地方出張しだす
(12)入学生の水増しのため,留学生が増える
(13)水増し留学生を言い訳するため,大学の国際化が推進される
(14)オープンキャンパスの日程が増え,やることも派手になる
(15)大学の経営・運営について文部科学省が口を出すようになる
上記は,2011年〜2012年当時,経営難とか底辺大学とされる「本当に危ない大学」において散見された現象です.
でも,私としては「大学」という組織の特徴として,経営難とか底辺とか関係なく,そのうちどんどん広がっていくと考えていました.
むしろ,経営が安定していて上位校とされるところほど,こういうことに手を出しやすいわけですから.後先考えないパッパラパーな教員や幹部が,「◯◯大学でやっているんだから,うちも取り組もう」とか言い出すのは目に見えていました.
でも,これに手を出したら最後,麻薬のように後戻りできなくなってしまいます.
実態調査をすることができないものが多いので,これはこのブログを読んでいる大学の教職員の皆様の実感に頼るしかありません.
うちは比較的余裕のある大学だったのに,最近は上記の15項目がいくつか当てはまるようになったぞ.という人はいますか?
分かりやすいところで言えば,「水増し留学生の言い訳のための国際化推進」というのは,2014年から始まった「スーパーグローバル大学」っていうのがそれにあたります.
もちろん,「水増し留学生の言い訳」という名目ではやってません.
でも,どうせ留学生を入れなきゃ経営が成り立たないなら,いっそ吹っ切れてしまおうという要素はきっとあったはず.
上位校が国策としてやってくれれば,底辺校の実態が隠せる,みたいな.
後にして思えば,これって2012年末から始まった政権・安◯首相のオトモダチである加◯学園の大学に水増し留学生が多か・・・,おっと妄想はここまでにしておこう.
「大学の経営・運営に文部科学省が口を出す」というのも,2014年から始まった「大学ガバナンス改革」がそれに相当すると思います.
2012年の反・大学改革論で論じたように,「大学改革」っていうのは絶対に上手く行きっこない活動だったわけですけど,それをゴリ押しするために圧力を高めてくるだろうなと警戒していたら,案の定,分かりやすい圧力をかけてきましたね.
「教員の研究費と研究業績が減る」というのも実現しちゃいました.結構な勢いで大問題になりましたね.
■文科省主導の大学改革が国立大学の首を絞める(ヤフー・ニュース2016.7.24)
研究費の選択と集中は,日本の科学研究能力を大きく破壊してしまいました.
っていうか,あの当時は「大学改革を進めることで,研究費が実力のある人に公平かつ適正に分配されて,これまでより優れた研究業績が増える」とする考え方が主流でした.
これはちょうど,もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら,甲子園に行けるようになるのではないかと考えるくらい愚かなことです.でも,当時はそれに対する批判に耳をかさない人が多かった.
これについては,あえて非難しません.
もう手遅れですから.回復させるとしても半世紀くらいはかかるでしょう.
今はただ,日本の学術研究の基盤を崩壊させたことを悔いて,静かにお墓に入ってもらえればと思います.
ま,悔いも反省もしないんでしょうけど.
あとの項目は検証が難しいですね.
でも,電車にある大学広告なんかを見ていましても,「現場」「実践」「キャンパス外の学び」といった文言は目にするようになったと思いますし,「コミュニケーション能力」を謳うコピーは多いと感じますが,いかがでしょうか.
オープンキャンパスについても,私なりに実感はしてます.
猫も杓子も,底辺大学も優良大学も,皆してオープンキャンパスを盛り上げています.
私としては,行きたくもない合コンやカラオケに付き合わされている感じがして,面白くありませんでした.
さて,では今後の大学はどうなるでしょう.
過去記事の一つでは,「2022年頃に大学業界に混乱期が訪れる」と予言しておりましたが,今もその考えは変わっていません.
ドンピシャでなくとも,だいたいこれくらいの時期になったら今の大学内部で燻っている問題が表面化してくると思います.
詳細は以下の記事をどうぞ↓
■大学教育を諦める
もちろん,全国あちこちの大学で問題が噴出するのは本意ではありません.
私の友人・知人が苦しむのは見たくありませんから.
では,どうすればいいのか.
これについて具体的な考えがまとまったら,また記事にしたいと思います.
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