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「円周率は3」ゆとり世代を叩く前に,円筒の巻紙の長さを計算しろ

実際,円周率は「3」でいい


そう言えば,もう既に廃れた話題かもしれませんが,

「円周率=3」

という教え方への批判がたくさんありました.

「3.141592・・・,と続いていく概念を教えることが大事なんだ」
といった話もありましたが,実のところ教育現場で「円周率は3です」と教えているわけではありません.

体育の話題で言えば,「運動会は,手をつないでみんなでゴール」というのもウソです.
っていうか,別にそういう指導があってもいいじゃないですか.

プロ選手でも任意で出場した試合でもないのに,生徒同士の身体競争の優劣を眺めて喜ぶなんて,趣味が悪いことこの上ない.
競馬やカブトムシの対戦じゃないんだから.
そもそも,運動会を完全な競争性にする必要もないでしょう.


こういう誤解は,ゆとり教育に関する「あるある」ですね.


ゆとり教育世代であっても,円周率は「3.14...」であることは必ず教えられていました.

「円周率は3」の騒動については,ウィキペディアにも詳細がまとめられています.
円周率は3(Wikipedia)


「円周率は3」で教える場合というのは,「3.14...」の数字で計算させると面倒な場合です.

ご案内の通り,円周は,

= 2 × 半径 × 円周率

で計算されますし,面積は,

=半径 × 半径 × 円周率

このように,円を扱う場合には必ず「円周率」が出てきます.
なので,円周率の部分を「3.14...」という数字を使うと面倒なんです.


例えば,

「半径:5cm」の円の円周の長さを求めよ.

とかいう問題があったら,「円周率は3」で教えておけば,

5 × 2 × 3 = 30

答え:およそ30cm

と,瞬速で計算できます.
これが「3.14....」だと,そりゃたしかに「より正確な円周」が求められるかもしれませんが,「円周の計算」をする上では足かせになるんですね.

「精緻な計算結果を求めたければ,電卓で計算すればいい」というのが,ゆとり教育でした.


当然のことながら,この計算方法の指示にも批判はありました.

「どんな場合であっても『3.14』は外せない」

というもの.


うっせーな,老害.
そもそも,「3.14」だって「正確な答え」を算出できる値じゃないだろ,ボケが!

と言われつつ,「円周率は3」の騒動から約20年ほど過ぎました.


そんな折,ひょんなことからこんな状況に出くわしたことがあります.





「円周率は3」であることを知らないと,こんな課題も突破できない


「円筒状のものに,ラベルを巻きつけたい」
ということで,その長さについて話し合ってるオッサン達がいたんですね.

状況をシミュレーションするために,以下に図を用意しました.


さて問題です.
この青い円筒状の物体に,この緑のラベルを一周させることはできるでしょうか?



当然のことながら,それは無理です.届きません.

なぜなら,円周の長さは「直径の約3倍」だからです.

= 2 × 半径 × 円周率


パッと見ても,この緑のラベルの長さは,円筒の直径の3倍以上はありません.


ところが,このオッサン達は,
「長いかな? 短いかな? 実際に一度巻いてみようか」
などと言っています.

実際の物体は結構な大きさで,安易に扱える素材じゃなかったので,「一度巻いてみる」とか「試しに作ってみる」っていう作業がかなり面倒だったんですね.

でも,巻いてみなくても届かないことくらい「円周率は3」であることが分かっていれば判断できます.


実は,「直径の3倍が円周の長さになる」ということを知らない「ゆとり教育以前の世代」はかなり多いようです.
なまじ「3.14...」などと覚えたせいで,この数値が意味するところを知らないんです.
私の皮膚感覚では,ゆとり教育以後の若者の方が,この円の特徴を知っている人が多いかと思います.


そうこうするうち,このオッサン達は,
「学校の算数の教育は,こういう場面で役立つことを教えるべきだよな」
などと言い出しました.

さらには,
「最近の学校では,円周率を3.14じゃなくて3だと教えているらしい.これからは私たちよりバカな奴がいっぱい出てくるようになるよ」
と笑っています.


みなさん,円周率は正しく覚えましょう.

「3.1415926535・・・」などと自慢気に記憶する必要はないのです.

円周率が何を意味しているかを覚えるべきです.



これと似たような話題を記事にしたこともあります.
私なりの「数学教育論」ですので,お暇でしたらどうぞ.