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日本歴史上の重要地点|大山祇神社に行ってきました

超地味だけど超重要な日本の聖地「大山祇神社」を参拝してきました


以前から行こう行こうと思っていたのに,ぜんぜん足を運べなかったところが「大山祇神社」.

今回,九州中国地方の出張にかこつけて大三島に上陸することができたので参拝してきました.

大三島・伊豫國一之宮大山祇神社は,瀬戸内海に浮かんでいます.
「しまなみ海道」でつながっている大三島の西側に位置する神社です.






私が通っている寿司屋の大将は行ったことがあるそうで,
「大山祇神社の宝物館と能島城は絶対に行くべき」
ということで推薦されていました.

今日も,その土産話で盛り上がってきたところです.


大三島は,出張の「ついで」にフラッと簡単には立ち寄れないところにあり,島に渡るためには時間がかかります.
今回は結構ゴリ押しで行ってきたんです.


とは言え,最近では「しまなみ海道」が開通しているので,広島側からも愛媛側からも楽に渡れるようにはなっています.

今回は時間をできるだけ有効利用するため,宿泊を因島にとりました.

「ホテルいんのしま」
部屋もきれいだったし,食事もスタッフの皆様の対応も素晴らしく,また来たいと思うところでした.

以下は,そのホテルの部屋からの眺め.


朝,送迎バスで土生港まで送ってもらったら,次はバスで大三島に行こう.
・・と思っていましたが,実はそれだと結構時間がかかる.

タクシーの人に聞いたら約6000円だというので,ここは思い切ってタクシーで大山祇神社まで直行することにしました.

これまでにも,終電逃してタクシーで6000円という事態になったことは何度かあるので,それに比べれば大山祇神社のためなら安いもの.
それに,私は昼過ぎには広島市へ行かなければならなかったので,午前中には瀬戸内海を離脱したかったのです.


約25分くらいで到着.
ついに来たぞ,大山祇神社.

タクシーに乗っていた時から気になっていたのですが,神社の背後にある「安神山(あんじんざん)」という特徴的な岩山.
やっぱり,こういう神秘的で特徴的な場所に大事な社は建てられるんだと思う.





午前8時半.
参拝客は私を含めてまだ数名.

厳かな雰囲気をたっぷり楽しめました.


ちなみに,境内にある社務所には大型コインロッカーがあるので,かなり大きなキャリーバッグでも預けられます.
100円を入れたら鍵がかかるタイプで,しかも鍵を開けたら100円が戻ってきます.
これは非常に良心的.

ということで,大山祇神社の写真をいくつか.







この参道の先にあるのが,有名な楠の大木.
樹齢2600年だそうです.






他に参拝客がいない中,ちょうど巫女さんたちの清掃業務とかぶっていたので,神社らしく「茶・緑・白・赤」の色が映える写真が撮れました.
朝一というのはなにかと得をします.


拝殿がこちら.



その他,境内の様子.









さて,この神社の脇には「宝物館」と「海事博物館」が設置されています.



こっちが宝物館.



こちらが海事博物館.
バカでかい船のスクリューのオブジェが特徴的です.
今治造船が奉納したものとのことです.


なお,どちらも撮影禁止になっているので,内部の写真はありません.


大山祇神社にある宝物館ですが,そこには本当に凄いお宝が奉納されています.
理由は,この神社の特性によります.

ウィキペディアから大山祇神社を引くと,以下のような説明がされています.
三島神社や大山祇神社の総本社であり、山の神・海の神・戦いの神として歴代の朝廷や武将から尊崇を集めた。大山積神を祀る代表的な神社ということもあり、山神社の総本社とされることもある。■大山祇神社(wikipedia)
なので,古来の天皇や武将たちからの奉納品で溢れています.
奉納品ですから,適当な安物ではありません.
その時代を代表する逸品
その人物を代表する逸品が奉納されているのです.

実際,日本における武具の国宝・重要文化財の約4割がこの神社にあります!
とんでもない国宝・重要文化財の密度.
マジで凄いところなんですよ.


国宝として有名なところでは以下のようなもの.
・源義経が奉納した甲冑:赤糸威鎧(あかいとおどしよろい)
・源頼朝が奉納した甲冑:紫綾威鎧(むらさきあやおどしよろい)
・日本式大鎧として最古のもの:沢瀉威鎧(おもだかおどしよろい)
・180cmの巨大な刀:無銘の大太刀

他にも,斉明天皇が奉納した鏡や天智天皇が奉納した鏡などがあり,古代からこの大山祇神社が,時の権力者や武将たちから尊崇されていたことが伺えます.

なにより驚くのが,こうした国宝・重要文化財が,予算潤沢な展示館ではなく,予算も雰囲気も寂しい「倉庫」にあって,まさに所狭しとお宝たちが詰め込まれていること.

特に弓矢類はありったけのものが「ザザザ〜」っと並べられていて,そのどれもこれにも「重要文化財」とラベリングされているんですけど,これじゃその有り難みが薄れます.

「重要文化財とはなにか?」

と問い直したくなるくらいです.


大三島(おおみしま)は,水軍(海賊)の拠点


国宝や重要文化財が集まっている大山祇神社ですが,その鎮座する大三島は,日本の歴史において地政学的な重要拠点でもあります.

特に潮の流れが複雑で速い瀬戸内海は,渡航する際に「水先案内人」が必要な交通の要衝でした.

その水先案内人(ようするに海運業)でビジネスしていたのが,当時の海賊だったようです.
大三島のある芸予諸島は,海賊で有名な村上水軍の拠点でもあります.

実際,
「瀬戸内海を制する者は日本を制する」
と言っても過言ではない時代が長かったと思われます.

中国朝鮮といった大陸との連絡も瀬戸内海を通りますし,記紀神話にある「神武東征」にしても,この瀬戸内海平定の歴史を伝えるものかもしれません.

大山祇神社の別名・社号が「日本総鎮守」という仰々しいものである理由も,そこから類推できます.

もっと言えば,大山祇神社に祀られている大山積神(オオヤマツミノカミ)は,天照大御神(アマテラスオオミカミ)の兄にあたる重要な日本の神様です.
そしてその娘が,天孫・瓊々杵命(ニニギノミコト)の后となり,今に続く天皇の祖となっている木花咲耶姫(コノハナサクヤヒメ)です.

そんな重要な神様を,瀬戸内海における交通の要衝に鎮座させていることからも,日本の歴史の深淵が覗けそうな気がします.

今回,「村上水軍博物館」と「能島城」にも行ってこようと思っていましたが,時間がないので断念しました.
近いうちにリベンジしに行きます.

せっかくなので,次回は自転車で回ってみようと思います.

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