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鉱泉開発継続中|ドロコン(赤土&セメント混合コンクリート)がネット上で紹介されていない件
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自宅で毎日温泉に入りたい
そんな男の浪漫を叶えるため,2週間前ほどから,鉱泉が湧いていた岩をハンマーと石鑿で砕いている生活が続きました.
開発当初の記事はこちら.
■暇つぶしに自宅で温泉を掘りあてた
掘る前はこんな場所で・・・,

掘り出した当初はこんな感じでした.
この時はまだ,オタマで濁った鉱泉を掬い取っていたのです.

けど,こんなに小さい泉だとすぐに濁ってしまうし,一度に大量に採水できません.
なので,その後も掘削作業を進めて泉を拡大したんです.
これにより,透明な澄んだ鉱泉を,オタマじゃなくて柄杓で汲めるようになります.
その後もさらに掘削作業を進め,周囲に赤土を盛って嵩を上げます.
これにより,澄んだ鉱泉を電動ポンプで一度に40Lくらい汲み取れるようになったのです.
この鉱泉の取水量は結構多くて,毎時10Lくらい出ています.
現時点で,「自宅で毎日温泉に入りたい」は達成されました.
ところが人間の欲望は果てしないもので,この鉱泉を1000L(一般的なお風呂4杯分)くらい常時貯め込んでおきたいと考えるようになります.
そうすれば,地域の住民の皆さんにもお裾分けできるだろうとか,入浴以外の使い道もあるんじゃないかと思ったり.
「1000L」というのは目標ではなくて,自宅の作業場に今は使わなくなった貯水タンクがあるので,それがちょうど1000Lサイズだからです.
現在,そのための拡張開発を継続中.
赤土とセメントによるコンクリート「ドロコン」で取水堰を作る
こうした農作業にも通じる取水工事に精通しているのが私の父です.
地元でも名人クラスらしく,その息子であることがラッキーでした.
そんなわけで,鉱泉を貯水タンクにつなげるための取水堰を作ります.
ここで使用するのが赤土とセメントによる「ドロコン」です.
実はこの「ドロコン」というのは,この地域の人達が使っている名称のようで,ネット上で「ドロコン」と検索すると,それらしき解説は,
■泥コン(土建屋社長のブログ)
がヒットするくらい.
このあたりの農家の方々は日常的に使っていますが,全国的な名称ではないようです.
この記事では「ドロコン(泥コン)=流動化処理土」だと述べていますので,ではその流動化処理土とは何かというと,以下のサイト,
■「流動化処理土」とはどんなもの?(流動化処理工法研究機構)
で解説されているように,工事現場で発生した土を利用したコンクリート工法のことを指すようです.
一方,私達が住んでいる地域の方々が称する「ドロコン」というのは,一般的には,
「赤土にセメントを混ぜた,治水能力の高いコンクリート工法」
を指すのです.
ちなみに,「赤土 セメント」で検索すると,
「赤土にセメントを混ぜていいのか?」
という趣旨のヤフー知恵袋的なものが散見されます.
また,そのなかの回答の一つに,
「赤土はセメントと馴染みにくく粘度がある為、完成したコンクリートが脆くなってしまいます。」
といった否定的な意見が見られるのですが,これは実際には誤りです.
上述したように,赤土にセメントを混ぜたもの(ドロコンと称する)は,治水能力が非常に高いコンクリートで,しかも耐久性に優れ,少なくとも高知県西部(幡多地域)では水田や取水堰などの整備に欠かせない工法となっています.
では,ドロコン(赤土+セメントによるコンクリート)の作り方を紹介します.
めちゃくちゃ簡単です.
用意するものは「赤土(粘土質の土)」と「セメント」.
一口に「赤土」と言ってもさまざまなものを指すため,「これこそが赤土です」というものはありませんので注意してください.
■赤土(Wikipedia)
私達の地域では,
「水分を含むと明るい赤色を発する粘土質の土」
を一般的に赤土と言います.
この赤土とセメントをトロ舟などに入れて混ぜ合わせます.
なお,ここで使用する赤土は粘土質が強すぎてもダメで,父曰く「やや小石の混ざりが多いものがドロコンに適している」とのこと.
我が家では,ドロコン用に使う赤土は写真の場所で採取しています.
また,用途に応じて赤土とセメントの割合や混ぜ方が違ってきます.
しっかり固定したいのであればセメントの割合を増やし,耐水性(防水性)を高めたいのであれば赤土の割合を増やします.
一般的には,耐水性の高い施工をしたい場合には赤土で盛ったり塞いだりするわけですが,赤土だけでは流水に耐えられず,穴があいたり削れたすることが多いんです.
これにセメントを混ぜることで,赤土の強靭性と耐水性に,セメントの形状維持性をプラスしようというのがドロコンなんです.
今回のような鉱泉の取水堰であれば,「貴重な少量の鉱泉をしっかり汲み取りたい」という目的があるので,セメントを増やして頑丈にするよりも,赤土を増やして粘り強く耐水性の高いものにすることにしました.
取水堰の作成は,すべてドロコンでやってもいいのですが,それだとセメントがもったいないので,まずは「芯」になる土手を赤土と石で組み立てます.
今回は以下のように,泉の周りに赤土と石で基礎を作りました.
なお,この取水堰では整備用として底部に排水口を取り付けました.
そのあと,この表面にドロコンを貼り付けていくのです.
今回の取水堰の場合では,厚さ3cmくらいで覆います.
すると以下のようになります.
上部に汲み取り用のホースを埋め込みました.
ここから鉱泉を採水する予定です.
排水口のバルブを閉めると鉱泉が貯まってくれます.
鉱泉が満杯に貯まった状態がこちら.
まだホースを貯水タンクまでつなげていないので,溢れ出ています.
およそ1日くらいしてセメントが凝固すれば,
「赤土の粘りと防水性を合わせ持った,ひび割れしにくいコンクリート」
になってくれます.
なお,赤土が混ざっているので,表面を擦ると少し赤土が付きます.
脆そうに思われるかもしれませんが,このドロコン,めちゃくちゃ頑丈です.
用途に応じて赤土とセメントの割合を変えて,目的に合致したものを施工できれば何十年と耐えます.
特に,水回りの農地工事には無類の強さを誇ります.
例えばこの岩清水の岩をくっつけているドロコン.
もう20年以上が経過していますが,ひび割れもせずにしっかり貼り付き,まったく問題なく使えています.
こちらの農家の方が作った貯水池に使っているドロコンは,もう50年くらいになるでしょうか.
当然,時々補修はしているのでしょうけど,ドロコンであれば簡単に治水ができてしまいます.
参考になりましたら,ぜひドロコンをお試しください.
コメント
はじめまして、赤土とセメントで検索したらヒットしました。
返信削除こちらのドロコン、割合はどのくらいで混ぜていますか?
コメントありがとうございます.割合ですが,実はそれらを紹介する記事を別途用意しようかと思いつつ,そのまま放置で現在に至っています.すみません.
削除というのも,用いる赤土の質によって結構違ってくるからです.実際には,混ぜながら粘度と色を見つつ「こんな感じかな?」で決めています.
ちゃんと計量して作ったことがないのであくまで参考程度と思ってほしいのですが,添加用の水を除いた計算で,重量が「セメント1kg:赤土3〜5kg」くらいでしょうか.
記事中の写真にあるように,赤土を広げたところに上からセメントを適量まぶして,そこに水を少しずつ添加しながら練っていきます.
はじめまして。とても興味深い紹介記事で参考にさせてもらいます。ちなみに上の写真「農家の方が作った貯水池」の地面にコンクリート部分がありますが、そこもドロコンでしょうか? 分かれば教えてください。
返信削除コメントありがとうございます。ご指摘のコンクリート部分は、普通のコンクリートです。ドロコンは貯水池だけに使用しているようです。
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