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芸能人による政治的発言が増加した理由を考えてみた

将来は政治家として立候補するのかな?


最近,芸能人がSNSを使って政治的発言をすることが増えているとのこと.
以前はそんなことがなかったのに,どうして増えてきたのか訝しがる人も多いようです.

それに焦点を当てて分析しているネットニュースもあります.
芸能人の政治的発言、どう思う?(西日本新聞 2020.5.11)
会員制交流サイト(SNS)のツイッターで9~10日にかけ、俳優やタレントなどの著名人が「 #検察庁法改正案に抗議します 」と相次いでツイートしました。歌手のきゃりーぱみゅぱみゅさんも投稿した一人でしたが、間もなく削除。その理由を「ファン同士での意見が割れて悲しくなり」と説明していますが、ツイッター上では「勇気ある行動」と賛同する声の一方で、「イメージが壊れる」「影響力があることを自覚して」「政治的発言は勉強してからにして」などの批判が寄せられていました。

芸能人の「政治的発言」急増のワケ コロナ禍でスポンサーに気を遣う必要なし? SNSは事務所のセーブもきかず(夕刊フジ 2020.5.14)
「コロナ禍でほとんどの仕事がストップしている今、特にスポンサーに気を遣うことがありません。政治色がつくことは企業が嫌いますからね。映画の公開やドラマ放送などが控えているとスポンサーの顔色をうかがうことになります」
さらにコロナ禍の影響もあるという。
「芸能人がSNSで発信することにより抵抗がなくなっています。テレビでは発言を控えるところも、SNSなら制約なく発言できる。事務所的にもセーブがきかないのです」

たしかに,この分析はかなり的を射たものだと思います.
単純にタレントさん達が「世間の風潮」とその「社会正義」に便乗したという部分もあるのかもしれませんが,それだけ政治的発言へのハードルが低くなっている状況なのでしょう.

私は芸能関係に詳しくないのですが,大学の先輩にテレビ業界にいた人がいるんで(関西で誰もが知る人気番組を製作していた),以前そのあたりの話を聞いたことがあります.

曰く,やっぱり芸能界は「事務所」と「スポンサー」による縛りが非常に強力なようで,どんな企画や演出をするにしても,ここを通さないと始まらないとのこと.
特に政治的発言については徹底的にコントロールされるようです.
こういうのは昔から言われていますが,事実みたいですね.


それに,ここ最近よく見聞きする芸能ネタとして,「事務所脱退」がありますよね.

だとすると,昨今の政治的発言をする芸能人が増えていることの原因には,上記の「スポンサー」の要素が低下している現状に追加して,芸能界における「事務所」の掌握力が低下していることも考えられます.


実際,ここ最近は芸能界オンチである私の目にも止まるくらい,芸能人の事務所脱退とフリーランス化が進んでいるようです.
どれくらい信用できるか知りませんけど,こんな記事がネットにありました.
米倉に小雪、柴咲、アラフォー大物女優…相次ぐ大手事務所脱退の”大人の事情”(AERAdot. 2020.4.14)
女優にかかわらず、人気タレントの所属事務所からの退社に関しては中居正広のジャニーズ事務所の退社もあり、芸能マスコミを賑わせている。ある週刊誌の記者は「やはり、ジャニーズ事務所をはじめ多くの芸能プロに対する公正取引委員会の注意喚起が遠因にあるのでは」と話す。
(中略)
一方、いまだ古い体質の残る芸能事務所ならではの「不透明性」に所属タレントたちが不信感を抱いているという意見も。民放テレビプロデューサーは言う。
「大きな収入となるCMなどの取り分は5対5だと言われていますが、その割に事務所スタッフは営業をかけるわけでもなく、来た仕事を横に流すだけになってしまっています。さらにスキャンダルから守ってくれるのか、と言われたらそれもない。テレビドラマに出ても視聴率が悪ければタレント本人のせいにされてしまう。現場のマネージャーは薄給で土日関係なく仕事をしてるので辛い面もありますが、こうした部分にも労働環境改善のため国から監視されており、そうなればますますタレントのケアはできない。結果的に『マネジメント契約の意味ってなに?』というところにたどり着くようです」
おそらく,タレントと事務所の間にあったこれまでの関係性に,私たちの目には見えない大きな地殻変動が発生している可能性がありますね.

たしかに,こんな調子の芸能事務所なんだったら,
「これからは自分で『私らしさ』をプロデュースしていくしかないな」
と考える芸能人が増えてもおかしくありません.


(私の目には)典型的に見えるのが,柴咲コウさんです.
最近は,「種子法」と「種苗法」についてSNS上で改正審議の進め方に懸念を表明したところ,これが結構な勢いで叩かれまくっているそうです.
柴咲コウさん、種苗法改正案に関するツイートへの誹謗中傷に言及「意見を言うことは、誰にも平等に与えられた権利」(ハフィントンポスト 2020.5.27)
女優の柴咲コウさんが5月27日、Twitterを更新し、4月の種苗法改正法案に関する自らの発信について改めて見解を示した。
その上で、「事実とは異なる投稿、提造、誹謗中傷、脅迫行為、ミスリードしさらなる事実誤認した記事の作成元に関しては法的措置も検討しています」と明かした。
柴咲さんはTwitterで、文章をつづった画像を2つ添付して発信。
まず、「今回のことに限らず、例えば学校や会社などで何かを決めるときに、誰か一部の人の意見で物事が決まっていってしまうと、残された人の懸念や不安が置いてきぼりになってしまいます」とし、自身が言及した種苗法改正案に限らず、物事が一部の人の意見のみで決まることへの懸念を示し、議論を深める必要性を訴えた。
「意見を言うことは、誰にも平等に与えられた権利です。賛成、反対だけでなく、その間にある声も聞きながらベストを探っていく。その時間が必要だと思うのです」と賛否に関わらず、自らの考えを発言をする権利について触れた。

なんとまあ,極めて真っ当な意見表明でしょうか.
と思わされると同時に,どうしてこんな真っ当な意見が批判されなければいけないのか不思議でなりません.


今回の柴咲コウさんの発言は,「種子法廃止」「種苗法改正」に反対する意見ととられても仕方がない形になったとは思います.
しかし,元の発言を読めば明確な反対を表明しているわけではありませんし,そもそものメッセージは「議論の進め方」についての懸念です.

私もこの種苗法改正についての議論の進め方には意見があるのですが,今回は置いときます.

ちなみに,この「種苗法改正」は,柴咲コウさんが発言したことも手伝って,一気に国民の関心を集めることとなり,結局,今国会では成立を断念することになりました.
「種苗法改正案」今国会成立を断念へ 柴咲コウさんの懸念ツイートで慎重論拡大(毎日新聞 2020.5.20)

いやいや,普通に大金星じゃないですか.


いずれにせよ,芸能人が政治的発言をすることを嫌う人が多いわけですけど.
私は芸能人と言えど,意見表明するくらいは放っておけばいいと思います.

よく,
「ちゃんと勉強をした上で発言しているのか?」
とか,
「誰かの入れ知恵や,怪しい団体からお金をもらって言わされているのではないか」
といったコメントを見ることがありますけど,そんなこと言い出したら,今いる政治家のほうが怪しい奴が多いですよね.

実際,現安倍内閣はこれまでに,徹底的に日本国を破壊してきたし,現在もその手を緩めていません.
もはや手遅れの状態になってしまいましたが,このまま放置するより,柴咲コウを農林水産大臣,きゃりーぱみゅぱみゅを法務大臣にした方が,今の大臣よりはマシではないかと思います.
そのほうが,官僚たちも一生懸命がんばるかも.


だいたい失礼じゃないか.
その人がちゃんと勉強しているかどうかなんて,一つや二つの発言・ツイートだけで判断なんか出来ないし.

「だったら尖閣諸島や竹島についてはどう思うんだ!」
とか,
「テレビ業界の闇については知らんぷりか!」
だとか,全く関連性のない話題で批判をするネットコメントをする人もいますが,いやいやいや,今は検察庁法の話をしてるんですけどって感じです.

他にも,
「影響力のある芸能人がデマを広げることにつながるのはどうかと思う」
とか,こういうの明白な言論封殺ですよ.
もし発言がデマであったなら,その報いは一般SNSユーザーより芸能人の方がリクスが高いわけですよね.
芸能人であることのリクスを背負って発言してるんだから,そのような目で見てあげればいいと思います.

誰かから入れ知恵されてるとか,怪しい団体からお金をもらって便宜を図っているということにしたって,この国のトップにこそその嫌疑がかかっている.
森友,加計学園,桜を見る会,竹中平蔵,統一教会,日本会議,反社会的勢力などなど,数え始めたらキリがない.


それに,以前は怪しい政治的活動をしていた芸能人が,勉強をすることで一角の人物になる例もあります.
例えば,れいわ新選組の山本太郎とか.
山本太郎(Wikipedia)

かつては目立ちたがり屋のタレント議員に見えましたが,一体どこで勉強したのか,今では至極真っ当な経済政策を打ち出して,それを精力的に発信しています.
かなり注目の政治家となってしまいました.



さて,今回話題にしてきた「芸能人の政治的発言の増加」についてですが,皆が皆とは言いませんが,
「将来,政治家になることを狙っている」
という人はいるんじゃないかと思います.

実際,タレント議員が重宝がられる理由として「当選率が高い」というものがあります.
芸能人であれば,もともと知名度が高いことから当選できる可能性が高いとされていて,これを利用する政党は少なくないわけです.

もちろんこれは,健全な選挙行為に抗う振る舞いであるという批判もされています.

しかし,昨年の参議院選挙で市井紗耶香(元モーニング娘)が立憲民主党から立候補したとき,人気アイドルだったから当選は確実だろうと言われていましたが,落選しました.

つまり,人気のある芸能人だからといって当選できるわけではないのです.

それこそ最近はインターネットやSNSを通じて,その芸能人がどんな人物でどのようなライフスタイルを送っていて,どういった嗜好をしているのか一気に拡散できるようになっています.
そうすると,選挙で芸能人が出た際に,その人が「政治家」として相応しいか否かが瞬時に評価され,話題となって広がります.

そのような時代にあって,芸能人が「タレント議員」を目指そうと思えば,立候補するより以前までに,普段からコンスタントに政治的な発言をしていて,一定の理解を得ておくという「政治的な業績」を積まなければいけないのです.
つまり,下積みですね.

そうでなければ,なんの脈略もなく突然現れた,いわゆる「議席確保のためのタレント議員」として見られてしまい,そこに当選の芽は出てきません.


それに,政治的発言を繰り返していく中で,自分の発言に対する人々の反応も知ることができるし,どういうキャラクターで売ればいいか分析することもできます.
そうした発言を繰り返すことは緊張感が伴いますので,致命的な批判を浴びない程度の知識を得るためのモチベーションにつながりますから,一石二鳥と言えます.

実のところ,かなり将来を見越した上で展開されているのが,昨今の「芸能人による政治的発言の増加」なのではないかと思います.

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