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自殺が注目される昨今

今日の午前,スマホのニュースアプリで号外が出ていて,そこで竹内結子さんの急逝が報じられていました.

とても良い女優さんだっただけに,残念なことだと思っていたのですが,早速,各メディアが一斉に死因報道を始めたことも残念でなりません.
女優の竹内結子さん死去 自殺か(産経新聞 2020.9.27)
27日午前2時ごろ、東京都渋谷区のマンションで、女優の竹内結子さん(40)がぐったりした状態で見つかり、搬送先の病院で死亡が確認された。現場の状況から自殺とみられ、警視庁渋谷署が詳しい状況を調べている。
渋谷署によると、家族が意識がない竹内さんを発見し、119番通報した。遺書は見つかっていないという。

よほどの公益性が認められる事情がない限り,死んだ人の死因報道はずっと後でもいいんじゃないかと思います.

逆に,公益性が認められる事情って何だってことですけど,例えば,戦争相手となっている国の指導者とか,そんなところくらいじゃないですかね.
それなら,「死因」に意味があるわけですから.

そうでもないなら,あれこれ詮索するのは控えたいものです.

今回の竹内さんの件にしても,実際のところはまだ分かりようがないですからね.


また,私としても,過去記事では「自殺」について学校現場での「いじめ問題」と絡めて論じてきた経緯があります.
端的に言えば,学校等で発生した自殺について,それを簡単に「いじめ」が原因と断定したがる世論の風潮に,
「自殺の原因をわかりやすく論じるな.自殺の原因は多面的で複雑だし,たとえ遺書があったとしても,それが本当に事実・真実を示しているかどうか解明しようがないのだから」
と述べてきました.

そして,ブログを通じて親交のある教育評論家である和田慎市さんも,学校において発生する生徒の自殺報道について苦言を呈しております.
例えば,和田さんのブログ記事にこのようなものがあります.
緊急提言! マスコミはWHOの「自殺報道ガイドライン」を遵守せよ!(わだしんの独り言 2019.3.14)


さて,そんな自殺について,昨今の日本の状況.
いよいよ危険信号が灯り始めた可能性が高いようです.


今年の3月から懸念されていたこと|やっぱり自殺者が徐々に増えている


今年のコロナ禍では,過剰な自粛措置,理不尽な対抗措置をとってしまうと,ウイルスによる被害に加えて,経済的ダメージと心身へのストレスが原因で「自殺」が発生してしまうのではないかと恐れられていました.

日本では,緊急事態宣言を始めるか否かの時に,この話題が取り沙汰されていましたね.

しかし,緊急事態宣言を発表してから後,6月くらいまでは「自殺者」は増加していません.
これをもって,
「ほれ見ろ,自殺者なんて増えなかったじゃないか!」
と言い出す「自粛警察系」の人達がいたんですけど,そりゃ自粛の真っ只中に自殺を考える人なんて少ないでしょうからね.

私も過去記事では「来年(2021年)から増える」という話をしていたはずです.
これまでの歴史を振り返ってみても,経済的ダメージを負った年の後半,または次の年から自殺者は増えるからです.

当たり前ですよね.
例えば,今年仕事を失ったとしても,人間はその年は頑張ってなんとかしようと藻掻き苦しみます.
しかし,その頑張りが報われない状態が続くと,張り詰めた糸が切れる事態が訪れるのです.

そして,人によって経済事情は異なりますし,精神力にも差があります.
ですから,自殺に至るまでの期間にも差が出てきます.
だいたい2〜3年くらいは,自殺者が増えた状態が続くんじゃないかと危惧されます.


冒頭に取り上げた竹内結子さんが,自殺かどうかは不明ですが,ここ最近は芸能界で自殺と報じられることが続きましたよね.
俳優の三浦春馬さんに続いて,女優の芦名星さんのニュースもありました.

このように女優さんの急逝が続いたわけですけど,ここ最近は女性の自殺が顕著に増えているそうです.

女性の自殺急増 コロナ影響か 同様の韓国に異例の連絡(産経新聞 2020.9.21)
国内の女性の自殺者が増加し、8月は前年より4割増えたことが20日、分かった。韓国も同様の傾向がみられたため日本の自殺対策機関は韓国の自殺対策機関に連絡、情報を共有し分析に役立てる。
(中略)
日本国内では、1~6月の全体の自殺者は前年同月よりも少なかったが7、8月になり増加。8月の自殺者数(速報値)は全国で前年同月比15・3%増の1849人に上り、大幅に増加。とくに女性の増加が顕著で、6月は前年同月比1・2%増の501人、7月は同14・6%増の645人、8月は同40・1%増の650人だった。
画像:産経新聞https://www.sankei.com/life/news/200920/lif2009200043-n1.html


前年比で4割増えた,って尋常じゃないですよね.

これは何か特別な要因があると考えてしまいますし,その代表的なものが新型コロナ騒動だと分析したくなるものです.


自殺者数には男女差があることが知られています.
まず,自殺者数は圧倒的に男性が多いのです.

令和元年(2019年)のデータを以下に示します.
元データにあたりたい人はこちら→■自殺者数(警察庁Webサイト)

以下のように,自殺者は男性の方が顕著に多いんです.
画像:https://www.npa.go.jp/safetylife/seianki/jisatsu/R02/R01_jisatuno_joukyou.pdf より



で,その理由ですが,これにも男女差が現れます.
※なお,ここで自殺者数となっている数値は,2019年の自殺者における「自殺原因」としてカウントされた数です.これを合計しても,2019年の自殺者数にはなりませんのでご注意ください.
警察庁では,
「遺書等など、自殺を裏付ける資料により明らかに推定できる原因・動機を自殺者一人につき3つまで計上可能としているため、原因・動機特定者の原因・動機別の和と原因・動機特定者数(14,922人)とは一致しない」
としているからです.
警察庁のデータを基に作成(グラフ中の数字は自殺者数)

上記のように,「経済・生活問題」と「勤務問題」において,男性が圧倒的です.
40代〜50代でピークになるようですね.

逆に,女性はそうした「経済・生活問題」「勤務問題」以外の理由で自殺する傾向にあるということ.


では,今年の様子はどうなのか? が気になるところですが,これが発表されるのは集計・分析が終わって次の年になってからです.
もしかすると,例年の様子とは異なる原因になっているかもしれません.
例えば,女性においても,経済・生活問題で自殺している人が増えているとか.


いずれにしても,自殺者を減らす取り組みや,心がけを講じていきたいものです.




なお,お亡くなりになった竹内結子さんの作品としては,私は「大空港2013」が印象的ですね.
約100分間,最初から最後までカメラを止めず,ワンカット一本取りした映画.
実際,今日はこれをもう一度見返してみました.

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