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映画「ランボー最後の戦場」みたいなことになってきた

ランボーを見れば,その時代を映す「戦場」がわかる


ミャンマーが大変そうです.

ミャンマー軍が少数民族側に空爆で報復 住民が隣国タイへ避難(NHKニュース 2021.3.29)
国営テレビは28日夜「停戦協定に署名している勢力の一部が協定に違反して軍の拠点を攻撃した」と伝え、南東部カレン州の武装勢力から27日に攻撃を受けたことを認めました。
そして「必要な行動を続ける」として、軍が武装勢力に対して報復を行っていることを示唆しました。
これに対しカレン族の団体は声明を出し、ミャンマー軍による空爆を受けて住民3000人以上が隣国のタイに向けて避難を始めたと訴えています。

こういうニュースを読むと,反射的に映画「ランボー最後の戦場」を思い起こします.

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1時間半という短い時間ですが,非常に濃厚な内容.
もう13年前の映画ですけど,いまだにミャンマーではこんな事が起きているようです.

映画でも,このミャンマー軍に抵抗している少数民族「カレン族」の武装勢力というのが出てきますね.


ランボーを見れば,その時代の「戦場」がわかります.
そして,ランボーという一人の人物を通して,戦場の移り変わりを知ることが出来るのです.

第一作では,ベトナム帰還兵の戦場は「アメリカ国内」であり,その敵は同じ国民でした.
国民から「自由と正義のために戦ってこい」と言われてベトナムに行き,帰ってきたら「人殺し」と罵られ,仕事にも就けず,戦友たちは軍が使用した毒ガスの後遺症で死んでいく.
そんな哀しい帰還兵の姿を,アクション映画として描いた傑作です.

思想家で哲学者の内田樹氏がどこかで述べていましたが,
「ランボーみたいな映画は,日本では作れない」

もし日本映画として,例えばイラク・サマワに駐留していた自衛隊員が,国や国民の意識・態度に対して怒りを露わにし,どこかの田舎町で銃を乱射して暴れまわったらどうなるか.
おそらく,「不適切な作品」として企画が通らないし,作ったとしても,どこぞの右翼団体や保守活動家などが上映妨害を画策するのではないか,とのこと.

アメリカが有する世界に冠たる「国力」の正体とは,愚かな判断をとってしまったとしても,それを自浄するだけの文化的素養が内包されているからだと,内田氏は言います.

それに対し日本は,「国民が納得したから」という理由を用意すると,エンターテインメント業界はもちろん,ジャーナリズムもそれに沈黙する.
「多数派が正義」をそのまま実行しようとするのです.


そうは言っても,第二作目「ランボー怒りの脱出」では,「国家・国民が敵」という,それを観るアメリカ人としては気分の良くなかった第一作目を作り直し,敵を「ソ連」と「無能な軍人」という分かりやすいものにして,助ける人間を「見捨てられた捕虜」にしました.
内容は第一作と同じです.
ただ,アメリカ人の心象を害さないものになっているのが第二作目の特徴.


そして第三作目「ランボー怒りのアフガン」は,アフガニスタンのムジャヒディーンと共闘するものでした.
ムジャヒディーンといえばアルカイダ,そしてウサマ・ビンラディンですよね.

「ランボー怒りのアフガン」を見れば,アメリカの中東政策のメチャクチャっぷりがよくわかります.
今日の友は明日の敵って感じです.

こういうお話も,日本では難しいでしょうね.
尤も,話のネタとなるようなものもないでしょうけど.

なんにせよ,アメリカという国のご都合主義と身勝手さがよくわかります.


そんなわけで,泥沼化してゆくミャンマー情勢を予言するかのように作られていたのが,第四作の「ランボー最後の戦場」でした.
また,最新作である「ランボーラスト・ブラッド」では,昨今話題となっているメキシコ犯罪組織がテーマになっています.

ということは,アメリカの対メキシコ政策に注目です.

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