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コロナ禍で罵り合う保守系言論人についての話

藤井聡・中野剛志・適菜収・佐藤健志ほか


なんかそんな状況になっているらしい,ってのを最近知りました.

私はYouTubeとかで藤井聡氏の「コロナ感染状況の解釈」や「コロナ対策」を目にすることが多く,そこでチラっと藤井氏の口から「ボクのことを批判して離れていった言論人もいて・・・」などいう言葉を聞くことがあったわけですが,どうやらそれがこれのようです.

藤井聡氏の言論仲間であった,中野剛志氏,適菜収氏,佐藤健志氏などが,藤井氏のコロナ対策を否定的に批判していたとのこと.

これ,もう1年近く前(2020年8月)のネット記事らしいんですが,全然知りませんでした.
どうりで,この御三方の言論をここ1年ほど目にしなかったわけです.
新型コロナがあぶり出した「狂った学者と言論人」【中野剛志×佐藤健志×適菜 収:第1回】
「緊急事態宣言」は本当に意味がなかったのか?【中野剛志×佐藤健志×適菜 収:第2回】
西浦批判の繰り返しこそ「全体主義への大衆煽動」【中野剛志×佐藤健志×適菜 収:第3回】
国家の軽視と新型コロナの軽視は同根!【中野剛志×佐藤健志×適菜 収:第4回】
現実を直視できない日本と新型コロナのゆくえ【中野剛志×佐藤健志×適菜 収:最終回】

私自身,コロナ騒動についての考え方は藤井氏と近いものがあるので,どっちかって言うと中野氏らの藤井批判にはちょっと違和感があるわけで.

もちろん私も,藤井氏の言説をまるごと全部肯定するわけでもありません.
中野氏らが指摘する,藤井氏のおかしな言説にも首肯できるところが結構あります.
特に,感染防止策として「目鼻口を触らないことを徹底する」といったものは,さすがに無理があるだろうと.


ただね,この批判合戦って,お互いがお互いに要点を外し合ってるっていうところがあると思うんですね.

御三方は藤井氏に対し,「どうして藤井氏は西浦教授をこんなにも執拗に批判するのか」などと語っていますが,私からすれば,このセリフをそのまま御三方にも問いかけたい.
なぜこんなにも藤井氏を徹底否定してかかるのか.

藤井氏(および京都大学グループ)らは,当時の政府が招集した感染症対策の専門家たちの提言について,別の角度からの代替案や改善法を提示したり,批判をしているに過ぎません.

たしかに藤井氏の口調が高圧的に映るところがありますが,事態が事態だけに内容で判断すべきところが大きいでしょう.


推測の域を出ませんけど,おそらく今回のコロナ騒動以前から,彼らの間にはお互いへの不満があったのかもしれません.
それがコロナ騒動をトリガーとして爆発したのかも.
なんかそんな気がするんです.


もともと,藤井氏は「経済を止めて自粛させるなら潤沢な所得補償を」と言ってました.
これは御三方の主張とも反しません.

ところが,時の日本政府はいつまで経っても所得補償する動きはありませんでした.

だったら経済を止めず,自粛をさせない方向で感染防止策を提言するのが筋ってもんじゃないか,というのが藤井氏が展開していた理屈です.
私はこれに同意します.

御三方の主張は,経済は政府が所得補償すればなんとかなるが,ウイルス感染は国民を自粛させなければ止められない.
であれば,政府に対して徹底的に所得補償を要望するのが正当ではないか,ということだそうですが,いやいや,私もこれには激しく同意ですよ.

でもさ,実際のところ政府はろくすっぽ所得補償はしなかったんです.
所得補償せずに自粛を徹底する方向で進んできました.
つまり,御三方の主張は,現実世界においては実現不可能な絵空事だったというのが事実であり,結果なわけです.


で,当時の政府専門家会議は,所得補償しない方針の政府に対して「国民同士の接触機会8割減」という活動自粛を提言していたわけで.
それは感染症対策の専門家が提言する内容として,あまりにも無責任で杜撰だろ,っていうのがこっちの言い分なんです.

所得補償するなら8割減の活動自粛を,補償する気が無いのなら別の方法を.
という提言をすべきだったと思います.


そりゃ,公務員の中野氏や,作家業をやってる適菜・佐藤両氏にとっては「活動自粛」なんて楽なものかもしれませんが,活動自粛が即,生活破綻につながる国民だってたくさんいます.
文字通り,路頭に迷う人がたくさん出るわけで,実際に出たわけで.


佐藤氏なんぞは,「彼らは経済を止めると自殺者が増えると言っていたが,実際には増えなかった」とも述べていますが,いやいや,増えてるし.
それに,どうやら佐藤氏は自粛措置をとった瞬間から自殺者が増えると考えているフシがあるんですけど,いくらなんでもそれはねぇ.
私としては,2020年は増えなくても,2021年以降から数年間に渡り自殺者が増える危険性があると考えていましたし,今もその危険性があると思っています.


私は別に御三方の考え方を否定したいわけじゃありません.
けど,なんだか「藤井憎し」のモチベーションから言論を展開しているような気がしてならないのです.


日本政府に「MMTに基づく国民の所得補償を!」と要望するのは大切なことですが,でも,それが御三方の努力で実る可能性は(大変失礼ながら)ほぼ無いでしょう.

そうした要望を出すこと自体が無意味だと言ってるわけではありません.
実現可能性が極めて低いと言っているだけです.

それなりに売れてる言論人である御三方ですらそうなのですから,ましてや一般国民が日本政府に対して何ができるのかと言えば,手っ取り早い対応としては「政府の指示に従う」または「従わない」という行動によります.

私としては,政府の指示に納得できないのであれば,「従わない」というのが真っ当な行動だと考えています.
自由主義・民主主義の日本国なのですから,国民として当然行使できるものです.

っていうか,主に飲食店なんぞは,自粛指示に従ってたら自分たちの生活がままならなくなる,っていう人達がたくさんいるわけで.
そんな人たちは国や自治体からの自粛要請とか,営業制限なんて無視していいと私は考えています.
国の要請に応じていたら不幸になるなんて,自由主義・民主主義の国に住む人間として間違ってると思うし,そんな国なら存在するだけ害悪です.

国のために国民がいるのではなく,国民のために国があるはずですから.

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