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思い出の楽曲|A Song for ××|blogger共有


※2022年6月現在,このブログ内では視聴できないみたいなので,YouTubeに行って聴いてください.


これまでに「思い出の楽曲」ってことで何本か記事を書いてきましたが,これもかなり思い入れがある曲でして.

浜崎あゆみの「A song for ××」です.

学生時代から私は「ポップミュージックの趣味はない」というのを公言していて,それだけに珍しがられながら「そんな中でも何かあるでしょ?」ってことで,友人との世間話としてお気に入りの曲を話題にされることがありました.

そんなことが大学生の頃にもあって,「最近聞いた曲で良いって思うのは?」っていう話になった時,どこかで聞きかじったことのあるこの曲を取り上げたんです.

「私」のキャラと「浜崎あゆみ」の組み合わせが意外だということで驚かれたのですが,私としては歌詞がどストライクだったので,よく覚えていたんです.
たしか,ラジオ番組か何かでかかっていた曲で,タイトルもそこで紹介されていたからこれを答えられたのですけど,今の今まで忘れていました.

覚えていたのに忘れていた,とはこれいかに?
って思うかもしれませんが,当時は覚えていて話題にできたけど,今となってはタイトルを忘れてたってことです.

最近,「思い出の楽曲」という記事を続けて書いているので,まさに「思い出」を思い出すようにiTuneのなかを探ってみたり,YouTubeでいろいろ検索かけて聞いてみたりしています.
そしたらYouTubeで浜崎あゆみの曲としてこれが出てきて,「あぁ,これだこれだ」ってことになったわけです.


当時,
「浜崎あゆみのどこがいいの?」
って言われたんですが,
「いや,歌詞が普通にいいと思うんだけど」
って答えても,いまいちピンときてくれなかったようで.

2000年頃の浜崎あゆみって,メインのファン層は女子高生で,男子はちょっと置いてけぼりな感があったように記憶しています.
実際,私も浜崎あゆみのファンではありません.

「ちょっと変わった子」的な感じがしましたよね.
すみません,浜崎あゆみについては,それ以上は知りません.
今も現役で活動しているのかどうかも知らないですから.


話を歌の歌詞に戻すと,あからさまに「女性視点」の歌詞ではあるのですが,私のティーンエイジの心理状態と強烈にダブるんですよ.
こういうところが,当時のティーンエイジャー,おいても女子高生たちから強く支持された要因なんでしょう.

そんな話をしても,これまたピンときてくれていない.

ダメだこいつら.
ここでは歌詞の話をしても不毛だ.

以来私は,大学においてポップミュージックの話題を極力避けることにしました.
もちろん,カラオケにも行かない.

歌詞がいいと言っても,実際のところ稚拙な内容ではないか? っていう意見もあるかもしれません.
私としても,今になって聞いてみたらそう思うところもあったりするわけで.

だけど,「琴線にふれる時期・タイミング・場面」ってのがあると思うんです.

この曲の歌詞にこんなのがあります.
「もう日が昇るね.そろそろ行かなきゃ.いつまでも同じ所にはいられない」

よほどの寝坊体質の人でない限り,ティーンエイジにおいて類似した状況に置かれたことがある人は多いでしょう.
私の場合だと,高校入学に向けた時がこれに相当します.



こういう歌詞を書けるのって,やはり才能というものでして


あと,この曲の話題をしてて思い出すのが,関西の女子大に勤めていた頃の学生です.

その学生(以降,Kさん)は1年生の夏頃から授業の欠席数が目立つようになっており,そういうのを学生課が集計・管理していたその大学では,Kさんはたびたび学科会議で問題視されていました.

で,そのKさんてのは,私が担任をしていた学生なのです.
大学なのに担任とはこれいかに? って思うかもしれませんが,近年の大学では「初年次教育」っていうのが充実していまして,学生のケアを徹底するところが増えています.
いわゆる「基礎演習」っていうやつです.

一方,私としては,Kさんについては問題視していませんでした.
高等教育機関における指導的立場(助手とかポスドクとか技師も含む)の経験がある人なら,この感覚を理解してもらえる人は多いと思うのですが,こういう,一見「問題児」に見える学生であっても,実際に一言二言話をしてみたら,
「あぁ,こいつ賢い奴だな」
と察することができる場合があるものです.
大学とか研究所を舞台にしたドラマや小説のキャラ設定にもよくあるじゃないですか.

Kさんがまさにこれに該当します.

でも,職員や一部の教員からは,「大学を舐めている」「態度が悪い」「やる気が感じられない」と散々な言われようでしたが,私としてはむしろ大学側がちゃんとした方がいい,って思ってたくらいです.


そんなこんなで年末にさしかかった頃,さすがに欠席数が多過ぎるということで,担任である私に,
「個人面談をして,今後のことについてカウンセリングをしてほしい」
という指示が,大学および学科から出ました.

で,仕方なくKさんを研究室に呼び出して,個人面談しました.
イヤイヤやりました.
なんなら「大学から言われたからやってるんだけどね」などと口走ってたと思う.
そして,
「ここは学校じゃなくて大学だし,僕は君のことを問題視していないから,好きにやってくれ」
ということにして帰らせました.

その後ですが,私はその大学に3年間しか勤めていませんので,Kさんの卒業に立ち会っていません.
けど,Kさんは学科トップの成績で卒業したということを,後に聞いています.


そんなKさんですが,あの個人面談では「学外での活動をがんばっている」っていう話をしてくれていました.
それが音楽で,バンド活動とのことです.

そこでは歌詞を書くこともあるらしく,結構本格的な音楽活動を目指していたらしい(今も続けているかどうかは知らないが).

で,担任をやってた基礎演習の話に戻るわけですけど,そこでは全学部学科共通で,最終提出物に「エッセイ」というのがあってですね.
1年間に学んだことの成果物として,書き方の自由度が高いエッセイを書かせるんです.

自由度が高いって言えば聞こえはいいですが,ようするに「なんでもいいから書かせて提出させろ」っていうことです.
なので,担当する教員によっては,かなりやっつけな提出物になります.

欠席の多いKさんも,さすがにこの課題はマストだろうということで提出してきたのですが....
いやね,これがまた凄い出来のエッセイでして.
もちろん,非常に優秀ということですよ.

彼女が書いた内容を掲載することはできませんが,それがまさに浜崎あゆみの歌詞のような雰囲気を漂わせるものでした.
Kさんは,いつも無表情で黙ったまま不満そうな顔をしている学生でしたが,エッセイに書かれた内容は,そんな静かなものではなく,かなりパンチとエッジが効いた文章になっています.
とても印象深い内容だし,簡略化すれば歌の歌詞にできそうだなって思いました.
さすが作詞活動をしているだけのことはある,と.


このエッセイという提出物ですが,当時は各クラス(担当教員ごと)から1名の推薦作品を抽出して,その中から最優秀作品を選んで表彰するという制度がありました.

当然,私としてはKさんのものを推薦したわけです.

選考は文学系の教員がやってくれたのですが,めでたく,Kさんの作品が最優秀賞を受賞したのです.
「当然の結果だな」というのが私の感想です.

もっと驚いたのは学科の先生方です.
「あのKが!?」
ってな感じです.


ここで私は,「Kは俺が育てた」などと言いたいわけではありません.
ぜんぜん指導した自覚はないからです.

それに,こういうのって指導したり教育したりで開花するものでもないと思っています.
9割くらい才能でしょう.
だって,こんなの教えられないもの.
実際,あんな文章私は書けないし.

こちらができることとしては,そういう才能を発揮できる場を提供することと,寛大な態度で見守ることくらいではないでしょうか.

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