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36:2013年2月1日

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2013年2月1日(金)10時30分

 午前中、清水明史と学生の共通した空き時間は、2限目の時間帯であった。
 清水と3人の学生、それに仲介役としてゼミ教員である河内寛、ハラスメント防止委員会の大月賢一、女性教員として山崎祥子。
 それに学生課課長である高石昇(たかいしのぼる)が、記録係として入った状態でセクハラ事件を話し合うことにする。
 この時間帯、会議室は全て使用されており、ちょうど良い部屋が見つからず苦労したが、小さめ空き教室で会談を行なうことにする。

 会談の目的。
 清水としては示談交渉であるが、その他の者たちが求めるものは、全く別のベクトルを向いている。

 学生にとっては清水への糾弾と罪状公開。
 河内は事態悪化。
 大月は事態沈静化。
 山崎は椅子に座って時を過ごすことであった。

 学生課長の高石は、終始、頭を抱えてノートをとっていた。

 そして70分ほどの時間を椅子に座って時が過ぎた。
 この会談では、河内と山崎の目的が達成されたようである。

 学生3人は怒鳴り、泣き、悲鳴を上げた。

 山崎は、目の前をペンケースやメモ帳が飛んでいく様を、椅子に座って眺めていた。


 その日の社会福祉学科の学科会議に、清水明史の姿はない。
 学科長の鈴木利信は、「外せない所用があって、清水先生は欠席ということです」と話していた。

 事情は鈴木利信にだけ知らされていたが、当然のことながら、午前中にあったセクハラ被害学生との会談が原因であろうことは、同席していた山崎祥子の「ここだけの話ですけど・・・」という口を通して全員に広まっていく。

 学生とSNSをしている教員からの情報では、青葉大学のコミュニティサイトのページで、清水がセクハラをして学生から訴えられている、という趣旨の話題でもちきりであるということだ。




37:2013年2月6日