2015年8月1日土曜日

学校教育対談(2回目)

今年も,このブログでは何度かご紹介している和田慎市先生と教育対談をしてきました.今回は都内で高校教諭をやっている私の後輩も交えて,新宿でお酒を交わしながらの会でした.

現在,和田先生は定年退職されていますが,これまでずっと高校教師として教鞭をとられていた方です.
現場の教師の立場から,地に足をつけた学校教育の論議を展開したいという思いで書籍を上梓されています.
※和田先生のご著書は本文末でご紹介していますので,ご関心のある方はお読みください.

和田先生の主張を一言で言えば,「教師も生身の人間.出来ることと出来ないことがある.現実性のない理想論だけで教育現場の事を語られても,むしろ害悪の方が多い」ということでしょうか.
その上で,学校で繰り広げられる様々な問題にどのように対処するのか? という事を論じられる方です.

現役教員をサポートしたいということで,以下のようなウェブサイトも立ち上げております.
先生が元気になる部屋

そんなわけで,ということでもないのですが,現役高校教員を交えた今回の対談.
教育困難校で働く私の後輩の質問に,和田先生が真摯にそして熱心に答えていたのが印象的です.
数々の修羅場をくぐり抜けてきた和田先生のアドバイスに,私の後輩も非常に満足しておりました.

例えば,若手教員がベテラン教員の指導スタイルに口を挟まなければいけない時,どうすれば円滑で最適な状況作り出せるのか? といった話題があったのですが,こういうのって頭では分かっていても実際に行動にするとなったら難しいことです.

教師も人間ですし,それぞれに様々な性格や信念を持って,それぞれの生活をするために仕事をしている集団ですから,そこらへんを上手く考慮した方略が求められるところです.
学校の先生というのは,ほとんどのことに一人で対処しなければなりませんから,若手教員がこういったアドバイスをもらえる機会は貴重なものとなります.

今回の対談で共有できた話題の一つに,多くのメディアと世論が形作る「教育問題」の語られ方が劇的に改善するということはないだろう,というものです.
ボチボチやっていきましょう・・,とそんな話で盛り上がりました.

むしろ危険なのは,今の学校や教員が抱えている “悲壮な実態” にメディアや世論が感化されて,今度は逆に「学校の先生って大変なんだ」「先生たちがかわいそう」「学校や先生を守らなければいけない!」なんていう感想やコメントが頻発する状態にになることの方です.
これはこれで問題だと考えています.

なぜかというと,今,私や和田先生が学校教育問題について,
「教育現場をないがしろにした議論をしてはいけない.学校(大学)や教員がおかれている立場は大変なんだ」
という主張をしているのは,あまりに現実離れした理想論が過ぎる教育論議の現状を憂いてのことです.このまま放置していると,真っ当な教育ができなくなってしまう,という危機感からなのです.
決して,学校や教員を「守ること」が大事だというつもりはありません.

和田先生が目指しているのは,一人の立派な国民,真っ当な社会人を育てる学校教育と,それを可能とする「職場」です.生徒と全力で向き合える職場があれば,きちんとした教育は自ずと達成されるというわけです.
決して「学校教育はこうあらねばならない」という理論を展開したいわけではないのです.

人は人をみて育ちます.
制度やルールによって育つわけではありません.
であるならば,そこで働いている人が生き生きとできるような環境を準備することが大切なはずです.



和田先生の書籍はこちら↓
(Amazonではよく在庫切れになるので,タイミングをみて購入してください)
 

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