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学生の成長をみる

大晦日ですね.
今年最後の記事ですが,ゆるい記事をひとつ書いていこうと思います.
ゆるい軽い短い記事を増やすつもりだったのに,結局記事数は増やせませんでした.
来年への課題です.

さて.今年の帰省は新幹線でした.
本当なら飛行機での移動が楽なのですけど,今年の帰省は年末の予定が読めなかったので12月まで引っぱっていたこともありチケットをとれず,昨年に味をしめた新幹線「グリーン車」も予約が間に合わず,最初から最後まで自由席ということに.
安いには安いのですけど,案の定,新幹線は立ち乗りということになってしまいまして.
ところがそこは長距離移動については百戦錬磨の私です.
うまいこと位置取りをして,キャリーケースに座って読書しての東京・岡山.それほど疲労せずの到着です.
そこからは四国方面に特急列車で向かうのですが,愛媛で仕事をしている弟の自動車と合流するため松山行の特急「しおかぜ」に乗ります.

そこで偶然にも前任校の卒業生と一緒になりました.
メールに「先生,今,しおかぜ乗ってません?」って.で,慌てて辺りを見回したらその卒業生がいたのです.
聞けば「私も帰省です」とのこと.彼女は実家が松山なので,同じ特急しおかぜに乗っていたのですね.

感慨深いものです.
彼女は私が大学教員を始めて最初の学生です.
18歳の学生ってこんなものかなぁ,って思いながら暗中模索していた頃を思い出します.

当時のブログ記事を読み返してみました.
但馬國:ローアングルで写真を撮る日々
に出てくる,ローアングルでの写真を依頼してきたのがその卒業生です.当時1年生.懐かしいですね.
もう6年になるのかぁ.

この人には学内のいろいろなイベントの学生スタッフをお願いすることも多かったので,よく知る間です.
いやいやながらも引き受けてくれる頼れる人でした.

いやぁ~,いい女になったなぁ,って.ホントそう思います.
決して厭らしい意味ではありませんよ.
たしかにエロい雰囲気は当時のまま保っていたものの,大人になったし,話し方もすっかり社会人です.こうやって成長していくんだなぁって微笑ましくなります.

いい男になった奴もいます.
今年,私の研究室で卒業論文を書いている学生です.

3年生までは目立たなかったし,成績も悪いし単位もギリギリ,体育会だけ頑張ってます的な学生だったのですが,「単位が危ないから」という理由をつけて卒業論文を書くことにしたのです(本学は卒業論文は選択制なので).

「単位が危ないから」と言いながら履修してきましたが,私はこれでも「卒業論文学生」,つまりは「3・4年生」を見るのも10年になりますから,そうした言動の真意を推し量ることができるようになっています.
彼の場合も,他の少なくない学生のように「研究をする楽しみ」を見出したのです.
「単位が危ないから」というのは彼なりの照れ隠しです.

この手の学生に多いのは,周りの友人は面倒臭がって「卒論」を履修しない奴が多いので(たいてい体育会系),そんな中でもあえて「卒論」を履修しようとする自分が恥ずかしいのですよ.「えっ,お前なんで卒論なんか書くんだよ.めんどいじゃん!」って言われるから.
だから「単位が危ないから」などと履修理由をこじつけようとするんです.
(私自身も素直に「卒論がやりたい」と言えずに始めていた一人なので余計に分かります)

こういう学生は,本人は至って苦労して論文を書きますが,意義や楽しみを見出しているので,そのプロセスや出来栄えの質が違います.
実験・調査で良い結果(「きれいな結果」とも言う)が出なくとも「良い論文」を書きます.
面白くない論文が出来るかもしれません.けど,本人の力は確実にアップしているものです.
卒業論文とは,華やかな出来栄えのものを作ることが目的ではなく,学術的なモノの見方を鍛えることにその意義があります.

実際,彼の卒論研究は山あり谷ありでしたが,彼の「モノの見方」を鍛えることにはつながったと思います.
※これについての細かいことは,
これが身につけば大学卒業
を読んでください.

そんな彼は「本学らしい学生」の一人に選ばれてしまい,来年の大学パンフレットに載ることになりました.体育会活動も研究活動もこなし,就職も「本学らしいところ」だったということが採用理由とのことです.
「僕,勉強やる気ありませんよ」っていうオーラを出していた3年生の頃からすると見違えるようです.
こういうのがあるから大学は面白いのです.

では,2015年も残すところ僅かとなりました.
良いお年をお迎えください.