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4月, 2018の投稿を表示しています

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「崖っぷちの大学が生き残る茨の道」の追記

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動画配信 Huluで「崖っぷちホテル!」っていうドラマをみかけたので,現時点までの3話分を見てみたんです. 主演の一人である戸田恵梨香さんは,以前から良い女優だなぁと思っていたので,それに惹かれたのもあります. あと,「崖っぷち」と言えば,だいぶ以前に書いた記事に, ■ 崖っぷちの大学が生き残る茨の道 というのがありまして,きっと境遇が現在の少なくない大学と似てるんじゃないかと思ったのも理由の一つです. ドラマですが,3話で見るの終わっときます. これ以上見なくてもいいかなって. どうしても批判的になってしまうのですが,もうちょっと作り込んでほしいところです. 役者さんの演技に不満があるわけじゃありません. 戸田さんもそうですけど,渡辺いっけいさんとか鈴木浩介さんといった個性的な役者さんを使っているし(この3人の組み合わせって「LIAR GAME」ですね),厨房の2人(中村倫也さんと浜辺美波さん)もなかなか良かった.特に浜辺さんは強烈なキャラの役ですけど,「こういう本当に無垢な娘,実際いるよね」っていう不自然な自然さが出ているのは素晴らしい.今後に期待. それだけに,どうしてもドラマ自体の作り込みの粗さを感じてしまいます. 内容が気に入らないってわけでもないんです. 崖っぷちの経営組織が,再起を目指して奮闘するっていうのには魅力を感じます. 現代の大学って,どこもまさにそういう状態ですので,シンパシーもある.まぁ,こっちの方は峠を越えたと思ったら滑って転んで谷に落ちてる状態で,もう再起不能ですけどね.     崖っぷちに立たされた経営組織が復活しようとする時,そこで大事にすべきことは「我々の仕事は何なのか?」という点であることも普遍性があって良い.いつぞやブームになったピーター・ドラッカーのマネジメント論で最も重要なところでもあります. もっとも,少なくない大学経営陣はドラッカーのマネジメント論を誤読しました. それについても昔記事にしてます.■ 教育現場,結局,ドラッカーはどうなった? 昔,「王様のレストラン」というドラマがありましたが,「崖っぷちホテル!」はそれと雰囲気や出演キャラがよく似ています.「王様のレストラン」を見たことがない若者たちには見る価値はあるかもしれません. 逆に言えば,王様のレス

初めてのオーダーメイド・スーツ(4)

今回は(4)ですので,それ以前に(1)から(3)まであります. ■ 初めてのオーダーメイド・スーツ(1) ■ 初めてのオーダーメイド・スーツ(2) ■ 初めてのオーダーメイド・スーツ(3) もう既に「初めてのオーダー」ではないですし,スーツではなくシャツの話になってたりするんですけど,そのへんはご了承ください. 前回は,量販店であるAOKIでもパターンオーダーによるシャツが作れるということで,それを人気テーラー店のものと比較してみようと注文してみた,という話でした. その後,オーダーしたシャツを受け取ったので,その感想です. 比較するにあたっての条件ですが,以前作った人気テーラー店のものと同価格帯(約1万円)で,類似した生地とデザインを注文しています. AOKIでは既製服をベースとしてサイズ変更&デザイン設定するため,左右の袖の長さを変えるとか,袖や袖口の太さを変えるといった細かい変更はできません.そのため,既製服と同様に袖のボタンは「2つ」になります. それ以外は,よほどこだわったデザインにしなければ,テーラー店と同じようなオーダーができます.私は凝ったデザインにしたいわけではないので気になりません. 実際,出来上がったシャツを着比べてみましたが,着心地に大きな違いはありませんでした. 今回,私は先にテーラー店でシャツを作っていましたので,AOKIで採寸・注文する時にサイズ感に対する経験が活きています.しかし,全くゼロの状態からオーダーするのはハードルが高いかもしれません.基準がなければ,どこまで広くしたり細くしたりして良いのか迷うものです. その場合,対応してくれたAOKIの店員さんが,シャツのサイズ調整に詳しい人であることを祈りましょう. これまでAOKIでは,肩と袖丈の関係からMサイズを購入していたんですけど,今回はSサイズをベースにして肩幅を広く,腹囲を小さく,裄丈を長めに変更して注文しています.それで丁度良いサイズでした. でも,だとすると普段のMサイズシャツよりも腹囲が10cmも細くなっている計算です. 事実,以前まで着ていた既成シャツは腹回りがダボダボのブカブカで,腰や脇腹あたりがもっこり膨らみます.鏡に映るシルエットは全くの別物. どれだけ既製服が「多くの人が着れる」という点を重視しているかが分かります.

大学におけるハニートラップの話を交えて

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財務次官のセクハラ疑惑が,彼を標的としたハニートラップ疑惑として話題になっています. 世も末ですね. セクハラ事件については,一連の記事にしています. ■ 財務次官セクハラ問題を論じる ■ 追記:財務次官セクハラ問題を論じる ■ 一般的なセクハラ問題を論じる 昨日もこんなニュースがありました. ■ セクハラ疑惑 麻生財務相「はめられたとの意見ある」 (毎日新聞 2018.4.24) 麻生太郎副総理兼財務相は24日の閣議後記者会見で、財務省の福田淳一事務次官の辞任承認を公表した際、セクハラ疑惑について「はめられて訴えられているんじゃないかとか、世の中にご意見ある」と語った。被害を受けたとされる女性の訴えを軽視するかのような発言に野党から批判の声が上がっている。 疑惑の段階ですから何を言っても自由とは思いますけど,政治家なのですから,その言葉によって招く結果には責任をとってもらいたいですね. 過去記事でも書いていますが,どうして現在の自民党・安倍政権は,こういった後々ダメージが蓄積してしまう軽はずみな言動をするのか理解に苦しみます. 断末魔でしょうか? ネットのコメントには「ハニートラップであるとの声は実際にあるのだから,本当の事を言ったまでだろ」と擁護するものもありますが,それを言い出したら,私のように「ハニートラップに自分からはまりにいった助兵衛を,財務次官に任命したお前が責任をとれ」という声もあるのですから,これらを公平に取り上げて頂きたいものです. なぜ麻生大臣や政府は,「一部に,女性記者を貶めるような報道やご意見がありますが,彼女の名誉のためにも,そして事務次官のためにも,早計な憶測での報道はつつしんでもらいたい」などと言えないのか. なぜに,「むしろ,ハニートラップの疑いがある」などと,セクハラ対応における最低最悪のコメントを出すのか不思議でなりません. そんなこと言ったって,自分たちの置かれてる状況が好転するわけじゃないんだし. 十年くらい前に,子供が行方不明になった事件がありましたが,その時にその父親の人相が悪いことや言動の怪しさを理由に,「この父親が犯人じゃないのか?」などと世間は騒ぎましたよね. それをブログで主張した女性タレントが非難されていましたが,これと同じものだと思います. 世間が「これは

一般的なセクハラ問題を論じる

先日まで財務次官セクハラ問題に触れてきたわけですが, ■ 財務次官セクハラ問題を論じる ■ 追記:財務次官セクハラ問題を論じる そろそろ飽きてきたので,一般的な話もしてみましょう. 海軍だった祖父から存命中に聞いた話ですが,旧日本軍の理不尽さを象徴するものとしてメディアでよく見聞きする「上官からの鉄拳制裁」は,そのほとんどが理不尽なものではなかったと言っていました. そりゃもちろん,「理不尽な状況」での鉄拳制裁は理不尽だと感じるんですけど,現在伝えられている「旧日本軍の鉄拳制裁」は誇張が過ぎるということです. 「殴られた奴は,殴られるような奴だった」というのが祖父の印象. 殴られる奴は,それなりに理由があって殴られていたとのことです. もちろん,だからと言って上官が部下に暴力を奮って良いということではありません. 何かにつけて暴力で指揮系統を保とうとする組織が,まともに機能するわけがない. 例えば同時期のアメリカ軍では,かの名将ジョージ・パットンが,負傷した部下を「臆病者」と罵り殴ったことで,指揮官をクビにされるという重い処罰を受けています. ■ ジョージ・パットン (wikipedia) 名将であろうと,軍事組織であろうと,暴力を使って運営することは許さない,というのが,大きな成果を得る上でも理性的な判断なのです. 旧日本軍による部下への鉄拳制裁は,負けが込んできた中にあって苛烈になっていったとされますから,追い詰められて正気を保てなくなった上官ほど部下に八つ当たりしたという側面もあるでしょう. そういう意味でも,日本はアメリカに勝てっこなかったわけです. さて,これをセクハラ問題と強引に結びつけようと思うわけですが,私の経験上は,「セクハラで訴えられる奴は,セクハラで訴えられるようなことをしている奴だ」ですね. セクハラを訴える方にしたって,好きで訴えたいわけじゃない. できれば穏便にしていきたいのが一般的な感覚です.ましてや日本人ならそう考える傾向が強いでしょう. 昨今のセクハラ報道のたびに,「こんな調子だと,なんでもセクハラで訴えられるようになる」などと煽り立てる人がいますが,そんなものは杞憂です. そいつ,どんだけセクハラで訴えられるのが怖いんだか.

追記:財務次官セクハラ問題を論じる

前回記事の ■ 財務次官セクハラ問題を論じる の追記です. セクハラ疑惑が浮上した財務次官の更迭が決まってから2日が経ちましたが,予想以上に「これはハニートラップだ」との声が大きいので,この点について追記しておきます. 前回記事でもお話ししたように,これがもし「ハニートラップ」だったとしたら,財務次官としてはセクハラ以上の大問題でしょう. なんせ,一国の財務次官がハニートラップにかかってるんだから. 彼はそこらへんの企業の社員や経営者ではありません.日本の財務次官なのですよ.そんな立場にある人が,記者と称する女性に鼻の下を伸ばして猥褻な言葉を交わすなんて情けないにもほどがあります. マジで,「セクハラ」で訴えられただけで良かったと思います. もし財務省の機密事項をすっぱ抜かれたら目も当てられないし,もしこの女性記者が外国勢力のスパイとして仕掛けたものだったら,責任問題などと言ってる場合じゃない. そんな事態の話を,「これはハニートラップだ」などと,まるで財務次官や財務省を擁護するかの如き見解が流布されている日本. 今回のセクハラ問題は,この国に「危機管理能力が全く無い」ということを,全世界に知らしめた事件だと私は認識しているんですけど,ネトウヨほどそういう自覚が無いのかもしれません. これが本当の「お花畑」ですね. 記者はスクープや物事の裏事情を求めて取材するのが仕事です.そのためには可能な限りの手法を使うでしょう.それが問題視されることだってあります. それはそれで話を別にして批判されなければいけませんが,今回の事件の論点ではありません. 今回の女性記者にしたって,彼女なりに福田財務次官も同意する手法でニュースのネタを引き出そうと取材したに過ぎません. それに対し,「女を武器にした」とか「本人にもその気があったのでは?」などというのは筋違いです.現時点で確かめようがないし,きっと永遠に確かめられない. この福田財務次官に妻子があるのか知りませんけど,仮に結婚していなかったとしても,記者と会話するのであれば,相手の女性に「その気」があると期待していても慎重にならないといけません. だって彼は財務次官なんだから. 一国の行政機関のトップとしての常識と覚悟が求められる立場なのですから,取材に来たと称する女性とイチャついてる

財務次官セクハラ問題を論じる

授業が始まる前,何人かの学生が世間話してたんですけど,そんな彼らが体育教員である私にこんな質問をしてきました. 「愛媛で脱走した脱獄犯ですけど,きっと海を泳いで逃げたんだと思うんですよ.先生が脱獄犯なら,どうやって泳ぎますか?」 って聞かれたんで, 「ん〜〜,そうだなぁ,『平泳ぎ』だね」 って答えました. そしたら互いに向き直って, 「ほらなっ,ほらなっ,先生も言ってるじゃん.やっぱり長距離は平泳ぎなんだっつーの」 って盛り上がってるんです. 私としては容疑者の名前を使ったダジャレのつもりだったのですけどね・・・. ■ 脱走の平尾容疑者、翌日にドラッグストアで牛乳や菓子購入 (産経WEST 2018.4.16) 実際のところ,渡海するつもりなら浮き輪かチューブみたいなものを抱いて,休みながら泳ぐと思いますよ.そうじゃないと高確率で死ぬから. びっくりニュースがテンコ盛りな昨今ですが,最近はこれに「財務次官セクハラ問題」が急浮上してきました.これだけの浮力があれば瀬戸内海を渡るのも怖くない. ■ 財務次官、セクハラ疑惑で更迭 (時事ドットコム 2018.4.19) 私もネットニュースをつまみ食いしてみたんですけど,なんとも情けない話です. 更迭で済んで良かったですね.いやホントに. ところが,このセクハラ問題について斜め上を行く「財務次官(福田)擁護論」を説く方々が結構いらっしゃるようです. なんでも,「女性記者にも問題がある」とか「セクハラの存在を知りながら取材を継続させた記者の上司が悪い」とか「これはハニートラップだ」とか. どれもこれも,まるで次官擁護になっていないのが哀しいところですが,これらを説く方々の声がかなり大きいので,この際,箴言しておこうと考えました. まず,そもそもの話として,この福田財務次官は「記者を相手に,セクハラをした覚えはない」ときっぱり明言していたのにも関わらず,証拠がボロボロと出て来る事ここに至ってセクハラを認めたわけですね(建前としては「職責を果たせる状況ではない」という理由で更迭の扱い). つまり,己の罪を自覚していながら,その指摘に対し,言い逃れるための嘘をついていたのです. この時点で完全アウト.もう救いようがありません. せめて一番最初に「

モリカケ問題とか日報問題を,大学教育で例えてみる

「その問題というのは,例えて言うなら,総理大臣と懇意にしていた会社が特別に利益を得られる仕組みになっていたようなものだ.だから政府や総理大臣は,その疑惑をすぐに払拭できるよう準備していないといけいないし,それが出来ないのであれば責任をとって退陣しなきゃいけないでしょう.それと一緒だよ」 などという例え話が通用しなくなっているのが現代日本なのです. もう既に末期症状だと思います. 「メディアは疑惑ばかり報じるだけで証拠を出さない」 とか, 「総理は悪魔の証明を求められている」 などと,おおよそ民主主義国家の国民とは思えない言動をしている人が結構います. 少なくとも我が国の首相は王様ではありません.政府も教会ではない. 国民は,政府や政治家を常に疑ってかからないといけないし,政府と政治家の側も,疑惑をかけられたらそれをすぐに払拭できる証拠を用意しておくのが健全な状態というものです. 例えば,夫が女と週に何度も食事していて,ラブホテルへ一緒に出入りしているところを,妻が写真に収めて「この女は誰なのよ!」と迫ったとします. その夫が, 「こいつとは何もないよ.浮気だというのならその証拠を出せ!」 と反論してきたからって, 「そうね,これは浮気を示す決定的証拠じゃないから疑惑のままね.その女とやってるところをおさえることが出来るまでは,夫を信じるわ」 なんて悠長な妻はいないでしょう. 「浮気してるんじゃないか?」 という疑惑,それ自体が夫婦関係の問題になっているわけですから. 国家運営で言えば,この政府は議会制民主主義を進行していく上で信頼できるのか? ということが問題となっているわけですよ. 「じゃあ,代わりは誰かいるのか!?」 なんて,トンチンカンにもほどがある. そんなの,離婚してから考えればいい. 夫が本当に潔白なのであれば,妻からの信頼を取り戻すために証拠をこれでもかと出し,件の女を呼び出して事実関係を証言させるはず. 国家運営で言うなら,公文書公開とか証人喚問ですね. もちろん,それだけじゃ妻は納得しないだろうから(都合のいい証拠しか出さなかったり,女と口裏合わせしているだろうから),ラブホテルに女と同行した退っ引きならない事情や,その事情を知る関係者を集めるなどして,疑惑を払拭する

初めてのオーダーメイド・スーツ(3)

■ 初めてのオーダーメイド・スーツ(1) と, ■ 初めてのオーダーメイド・スーツ(2) の続きです.なので(3)です. 先般,故あってスーツやシャツをオーダーメイドにしたことから本記事を書き始めたのですけど,今回書こうとしていたことと関連するかもしれないニュースを見つけました. こういうのです↓ ■ 生き残りをかけた紳士服チェーンの戦略、軍配が上がるのは多角化か本業重視か? (投信1 2018.4.14) 今後、少子化などにともない、スーツ市場はさらに縮小することが予想されます。生き残りをかけて、各社ともに新たな取り組みを進めています。その一つが「非スーツ」の多角化です。 大手4社の中で、早くから多角化を進めてきたのがAOKIホールディングスです。連結子会社を通じて、結婚式場・披露宴会場の運営、カラオケ・複合カフェ・フィットネスクラブの運営などの事業を行っています。同社グループでは現在、ファッション以外の売上構成比が4割近くに達しています。近い将来にはそれを5割にするとしています。 (中略) AOKI、青山、コナカが「非スーツ」の多角化を進める中、独自の戦略を展開しようとしているのが、業界4位のはるやまホールディングスです。多角化には走らず、オリジナル商品などの「本業」に力を入れています。 創業二代目の治山正史社長は「スーツで日本を健康にする」宣言をかかげ、健康をサポートする機能性商品の開発を積極的にすすめています。 過去記事でも書いていますが,私はこの15年ほど服装はほぼ全てAOKIで購入しています. 偶然ですけど,引っ越すたびに近所のアパレル店がAOKIだったというご縁だからです. わざわざ都市部へ出かけて服を買いに行くのも手間だし,こだわりがあるわけでもないので,店員と相談しながら「最近の」,そして「無難な」スーツやカジュアルウェアを買っていました. ちなみに,ここ数年はAOKIでもカジュアルウェアのコーナーで服を買うことはなくなりました. カジュアルはジャケパンとスポーツウェアで済ましています. どうしてこんなことになってきたのかと言うと,当然のことながら私の現在のライフスタイルとしてスーツとジャケパン,あとはスポーツウェアで事足りるからというのもあるのですけど,実は(近所の)AOKIの品揃えや売り方の影響も多少ある

国立新美術館の「ビュールレ・コレクション」に行ってきたよ

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印象派好きとしては見逃せない. そう思いまして,国立新美術館で催されている「ビュールレ・コレクション日本展示」に行ってきました. これがそのチケット. ■ 至上の印象派展 ビュールレ・コレクション (国立新美術館) ■ ビュールレ・コレクション (wikipedia) 感想としては,大変満足です. 「美術作品の良さがわからない」という人もいますよね. こういう仕事をしているとそんなことを言う学生も時々いるのですが,その折に話すのが「美術作品をしっかり何度も見ること」と「本物をちゃんと見ること」を勧めています. それで「つまらない」と思うのであれば,それはそれで美術に合わない人なのですから仕方ありません. 何度か野球を観戦してみて,しかも結構本気で選手や試合分析をしてみて,それでも「面白くない」と思う人は,野球というスポーツが合わなかっただけのこと. 無理して観戦しても幸せにはなりません.それと一緒です. ちなみに,私は元野球選手ですが野球観戦は嫌いです.誘われて見に行くことはありますが,自分から進んで行くことはありません.プレーは好きなんですけどね. 美術にしても,見るのは嫌いだけど,描いたり彫ったりするのは楽しいという人だってたくさんいるでしょう.そんなものです. 「本物をちゃんと見る」ということについてですが,今は美術作品をネットで見れるようになったとは言え,やっぱり実物を肉眼で見るのとは大きく違います. 文書の推敲にしても,PCモニタで確認するのと,紙に印刷されたものを確認するのとでは,誤字脱字の発見とか文章スタイルの直しが違ってきますよね.あれと類似しています. 作者は,その作品が完成した時のサイズや見られ方などを全て考慮して仕上げています.PCモニタではそれが再現できません. だから実物を見なければ,美術作品を楽しむことはできないんです. 私が一番好きな作品に,ゴッホの「花咲くアーモンドの木の枝」という絵があるんですけど,これがまた写真とかウェブ画面ではクソみたいな絵に見えるんですね. なお,「花咲くアーモンド」ってのは,この絵です↓ フィンセント・ファン・ゴッホ「花咲くアーモンドの木の枝」(wikipediaより) ご覧の通りのつまらない絵ですが,実物を見ると感動します.そりゃもう目が釘付けにな

体育学的映画論「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」

スティーヴン・スピルバーグ 監督『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』 を見てきました. モリカケ問題に揺れる日本の政界との類似性とは関係なく,この映画は以前からちょっと関心があったので,公開して間もないこの時期から映画館へ. モリカケ問題とベトナム戦争を同列には見れないですし. 社会派ドラマで,しかも平日の真昼間というのに結構お客さんが入っていたのが意外. 率直に言って,エンターテイメント性が低くて映画としての盛り上がりには欠けます. ウィキペディアの記事を読んでみても,スピルバーグ監督は本作を手の込んだ作りにはしていないような節があります. 「スピルバーグの作品で「最も短期間で完成」した作品となり、「この映画は私たちにとっての『ツイート』のようなものです」とも発言をしている。」 ■ ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書 (wikipdeia) 実際,メリル・ストリープとトム・ハンクスの演技を楽しむ映画です. 特にメリル・ストリープは,「敏腕でもない元専業主婦が,大手新聞社の経営を頑張っている」という中年女性の姿を,わざとらしいんだけど,何故か自然に見えるという離れ業で演じています. トム・ハンクスも老練な新聞記者を,これまたわざとらしく,且つ,自然に演じている. これを見るための2時間と言っていい. ただ,先述したように,エンターテイメント性は低い映画ですから,何人かのお客さんはイビキをかいて寝てました. はっきり言って退屈な映画です. さらに言えば,ベトナム戦争を対岸の火事のように感じる日本人としては,件のニューヨークタイムスによる機密文書スクープへの思い入れは皆無でしょう. たぶん,「シン・ゴジラ」が国内ではヒットしたのに,海外では反応が低かったことと似ています. けど,描かれている問題意識は日本にこそ重要な視点を提供しています. 本作でメリル・ストリープ演じるワシントン・ポスト社の経営者キャサリン・グラハムにつきつけられる重大な選択は,「報道の自由か,安定した経営か」ということになっています. でも,私がもう一つ考えさせられたのは,彼女につきつけられているのは「ジャーナリズムに人間関係を入れない」ことではないかと思うのです. 作中にも描かれているように,かつてのアメリカの政治新聞記者は,政治家や有力者と食