注目の投稿

標準得点と散布図を用いた分析と評価方法

今月の記事として,
点数・得点を段階評価するためのエクセルシートの作成
標準偏差を用いた段階評価の仕組み
四分位とパーセンタイルでの段階評価をエクセルで作成を紹介しました.
どちらもテストや測定結果を対象者(クライアントやチーム)に返却(フィードバック)する際に威力を発揮するエクセルの分析・評価方法です.

今回も平均値と標準偏差を使ったフィードバック方法として利用できるものをご紹介します.
「標準得点」を使った評価です.
後半で紹介する「散布図」との併用で,解釈が楽な上に視覚にも訴えることができる優れものです.参考にしてみてください.

では,
例として使うデータは以下のものです.
早速,このAさん〜Kさんのデータを標準得点化します.

標準得点(z得点という)の算出式ですが,
標準得点(z) = (測定値 − 平均値)÷ 標準偏差
で計算します.

 エクセルの例では以下のように入力します.
まずは垂直跳びの標準得点化のために,D列2行目に
=(B2-$B$13)/$B$14

を入力します.
その調子で,脚筋力の標準得点化,
E列2行目には
=(B2-$B$13)/$B$14

そんな感じで,この2つをオートフィルします.
これでAさん〜Kさんの垂直跳びと脚筋力のデータの標準得点を算出することができました.
以下の図では,桁数を小数点第一位に調整しています

ところで,この標準得点ですが,平均値と標準偏差を基にして,そのデータが平均値からどれだけの標準偏差のぶんだけ離れているかを算出したものです.

そんなわけで,この標準得点の平均値と標準偏差を算出してみると,
 上図のように,平均値は0,標準偏差は1になるという性質を持っています.

どうってこと無いように思うかもしれませんが,この標準得点は非常に便利な数値なのです.
代表的な利用例をを以下に紹介します.
それが冒頭でも述べた「散布図」によるものです.

では,算出した標準得点で散布図を作成しましょう.
 このようにして,
 散布図を作成しました.
 これを,きれいに正方形にしたのが以下のものです.
うるさく見える線も消して,スッキリさせています.
 察しの良い方は気づかれたかもしれませんが,こうすることで,
散布図中央「0,0」付近にプロットされているのが,垂直跳びと脚筋力が平均的なデータ,そこから離れたデータは特徴的なデータということになります.
それが非常に見やすいということなんです.

標準得点による散布図がいかに見やすくて便利か.
試しに,生のデータで散布図を作成してみましょう.
 こんな感じで出力されます.
同じように解釈できなくもないのですが,これだと「垂直跳び」と「脚筋力」でお互いの測定値のスケールが違いますから,なんだかボンヤリとしたものになります.
グラフの目盛やサイズを調整すれば,標準得点を使った評価と同じようなことができなくもないのですが,これがけっこう面倒です.

詳細はまた後日取り上げますが,以下に紹介する作業により散布図を改造することで,さらなる視覚化を実現できます.
まず,エクセルのデータを以下のようにしておきます.標準得点を算出したデータの左列にAさん〜Kさんの名前を挿入するんです.

そして,とある以下の様なサイトから散布図を改造するためのマクロをコピーしてきます(これはマイクロソフト社のHP).

そんでもって,エクセルのマクロとして貼り付け,

このマクロを採用して,
実行.

 すると,Aさん〜Kさんの名前が散布図に表示されるようになります.
これで,どこの点が誰なのか分かるっていう寸法です.

エクセルシート全体を俯瞰してみましょう.
ついでに,4つに区切られたマスにも名前をつけてみました.
今回は,垂直跳びと脚筋力で作ったものですから,適当ですが以下のような名前をつけております.

これで,誰がどんな体力的な特徴を持っているのか把握しやすいということです.
例えば,
Eさんは垂直跳びも脚筋力も優れているのに対し,Iさんはどちらも劣っている.
Hさんは筋力は平均以下だけど,非常に優れたパワーを持っている.
Gさんは筋力が優れているけどパワーは平均以下だから,もしジャンプ力を求めているのであれば筋力トレーニングよりもパワートレーニングをしよう.
なんていう評価ができますね.
それが,全てのデータ間でどのような関係性なのか,ひと目でわかります.

2つの関連するテスト結果や測定データがあれば,その関係性をみるのに重宝するかと思います.
持久力と瞬発力,国語と数学,価格と満足度...,いろいろあるでしょう.
何かの時にはこれを応用して使ってみてください.

この記事の参考文献は以下のものです.