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黒川検事長がダメなのは当然のこととして,ホントにヤバいのは新聞記者だろう

この際,映画『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』を見よう


現役の権力者とジャーナリストが懇ろになっていました.
しかも渦中の人が.

黒川検事長が今月、産経記者や朝日社員と「賭けマージャン」か…週刊文春報道(読売新聞 2020.5.20)
「週刊文春」の電子版は20日、黒川弘務・東京高検検事長(63)が緊急事態宣言下の今月中に、産経新聞と朝日新聞の記者らと賭けマージャンに興じていたとする疑惑を報じた。 電子版は、「接待賭けマージャン」の見出しで、黒川氏が1日夜から2日未明と13日、産経の記者2人と、朝日社員の元記者1人と、産経記者の自宅マンションでマージャンに興じたなどと報じた。産経関係者の証言として、黒川氏が以前から賭けマージャンをしていたとも記している。


黒川検事長への処分が「訓告」だけで,退職金7000万円が満額もらえるとか,そんなことはどうでもいいんです.
どうせ森法務大臣も責任取らないし,当然,安倍総理も責任をとりません.
こんなのは現政権では当たり前ですから,もう慣れっこです.


問題はこの新聞記者のほう.
むしろ,新聞記者を糺すことくらいしか日本に希望はありません.

いくら取材のためとは言え,検事長と賭け麻雀やるくらいのズブズブの関係だったわけでしょう.
そんな記者が,まともなジャーナリズムを発揮できるわけない.

こんな状態では,どう考えても黒川氏にとって有益な報道しかしないし,黒川氏が求める記事しか書かないだろうし,黒川氏にとって都合のいい世論誘導がされていた可能性があるわけです.

そんな黒川氏を,森法務大臣や政府は,
「余人に代えがたい逸材だから」
ということで,法律を後付で変えてまで検事総長に登用する算段でした.

ということは,政府の都合に合わせた報道をマスコミにさせる思惑で黒川氏を総長にさせる腹積もりだったと疑われてもおかしくない話です.


こういった権力者や社会的影響力の強い人に対する,記者と取材対象者の距離感をテーマにした映画が,スティーブン・スピルバーグ監督 『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』です.


以前,このブログでも取り上げています.
体育学的映画論「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」


コンスタントにまずまずの政治ネタを楽に手に入れるためには,政治家や高級官僚と仲良くなって,食事会やお茶会などをしながらニュースになりそうな話を聞き出す.
それが前時代における政治記者・社会記者の姿でした.

しかし,それでは国民にとって本当に必要な記事を自由に発信することができません.
なぜなら,記者は取材対象者と「仲良く」なることでニュースネタを入手しているのですから,その仲良くなった相手に都合の悪い報道ができないからです.
もしネタ元の人物を窮地に追い込む報道をしたら最後,もうニュースネタをもらうことができなくなります.

ですから,現在の世界のジャーナリストは,政治家や高級官僚などの取材対象とは,距離をとっているのが一般的です.
食事会などもってのほか,頻繁にコーヒーを一緒に飲んでも怪しまれるとのこと.

もちろん,これらは違法なわけでも捕まるわけでもないのですけど,そんなことをしてネタを取ろうとするジャーナリストは「信頼できない」と思われるだけです.


今回の黒川氏との賭け麻雀に関与していた新聞記者が書いた記事を,ぜひ整理してみるべきです.
もし彼らが書いた記事が,黒川氏に都合のいいニュースや,政府与党に資する作文に溢れているようであれば,これは由々しき事態です.
産経新聞や朝日新聞は,これらの記者を厳罰に処するべきです.
でなければ,ジャーナリズムの死を意味します.


スクープした週刊文春の記事には掲載されているのかもしれませんが,出回っているニュースを見る限りでは,関与した新聞記者の氏名はわかりません.

黒川氏なんかよりも,私はこの新聞記者の方が公表されるべきだと思う.
どうせマスコミ各位は事の重大性に気づいて沈静化を図ろうとするから,これは国民が追い詰めるムーブメントを起こしたほうがいいでしょう.

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