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種苗法改正の件|柴咲コウの指摘は至極真っ当です
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こんなに一人の女性タレントについて調べたのは初めて
先日,日本のタレントさんたちによる「政治的発言」について取り上げました.
■芸能人による政治的発言が増加した理由を考えてみた
そのなかで,「種苗法改正」についての発言をしたのが柴咲コウ氏.
結果的に,これが元で国民の関心に火が付いて,今国会での成立を断念させるまでに至りました.
■「種苗法改正案」今国会成立を断念へ 柴咲コウさんの懸念ツイートで慎重論拡大(毎日新聞 2020.5.20)
以前の記事では「種苗法の是非」そのものについては割愛しておりましたので,今回はこれをテーマにします.
私も今では農家の一人ですので,それなりに関心が高いものです.
正直なところ,まさかこんな知名度の高い女性タレントが「種苗法」について情報発信するとは思ってもいませんでした.
せっかくなので,柴咲コウ氏の発言を下敷きに書こうと思い,彼女なりの種苗法改正に対する問題意識を調査してみたんです.
でも,柴咲氏って女性タレントなんですよ.
ネットを検索しまくるわけですけど,なんだかそんな自分が恥ずかしかった.
「何やってんだ俺は」って気分になる.
それが率直な感想です.
ウィキペディアとかSNSとかホームページとか.
タレントのホームページ見たの,これが初めてだと思う.
あとはユーチューブも結構見ました.
ついでに,アップしてくれてる音楽も聴かせてもらった.
■柴咲コウ(Wikipedia)
■KO SHIBASAKI - 柴咲コウ Official Site -■Ko Shibasaki柴咲コウ(Twitter)
■柴咲コウ 公式 'Les Trois Graces' Channel(YouTube)
本件については,特にちゃんと調べておかねばなりません.
なぜなら,柴咲氏は今回の騒動に関連して,Twitterに,
ミスリードしさらなる事実誤認した記事の作成元に関しては法的措置も検討しています。
と明言しています.
私のはしょうもないブログ記事とは言え,事実誤認しないように気をつけないと.
ただ,いろいろと調べてみたんですけど,柴咲コウ氏の「種苗法改正」についての問題意識は,私も賛同するものです.
この種苗法改正問題については,私はもともとジャーナリストの堤未果氏からの情報発信で知りました.
このユーチューブ動画に簡潔(それなりに長いけど)にまとまっています.
「種苗法改正は売国法案である」
ということですので,露骨な反対のための情報配信です.
ただ,ここで堤氏が述べていることは,種苗法改正に賛成している人からの効果的な反論がありません.
なので私としては,現状,種苗法改正には反対の立場です.
ちなみに,堤氏の著書や情報発信は,かなり以前から参考にさせてもらっています.
最近だとこんな本を読ませてもらいました.
種苗法改正に至るまでの,日本のヤバいことを取材されています.
種苗法の改正趣旨それ自体は問題じゃない|他の法改正とのコンボがヤバい
種苗法改正の趣旨ですが,農林水産省ホームページによると以下のようになっています.
法律案の概要特に賛成派から聞こえるのは,日本で開発された種苗が不当に海外流出してしまっているため,これを防ぐために「種苗法改正」するのだという主張が多いようです.
1 育成者権者の意思に応じて海外流出防止等ができるようにするための措置
2 育成者権を活用しやすくするための措置
出典:種苗法の一部を改正する法律案の概要(PDFページ:農林水産省HP)
たしかに,日本の種苗が海外流出することは防ぎたいものです.
そのための法整備は喫緊の課題とも言えるでしょう.
しかし,種苗法の改正で日本の種苗を海外流出することは防げません.
なぜなら,種苗の海外流出を防ぐためには,流出先となる外国でも種苗登録してもらわなければならないからです.
ようするに,種苗法を改正することと,種苗の海外流出を止めることは別問題なんです.
どんなに種苗法の中に「海外流出を防ぐぞ」という内容を盛り込んだとしても,これは日本国内の法律です.
種苗を海外流出させようと日本国内で企む人を取り締まる上では効果がありますが,その効果は海外には及びません.
たんなる「意気込み」を書いているに過ぎません.
日本の法律である金融商品取引法違反で逮捕されたカルロス・ゴーンが,外国であるレバノンに逃亡しましたよね.
そしたら,日本の「金融商品取引法違反で逮捕」という効果はレバノンには通用しませんので,日本の警察機構は手も足も出ません.
もしこれを打開したいのであれば,「カルロス・ゴーンは犯罪者である」という認識を共有するための外交交渉となります.
種苗の海外流出への対策も,これと一緒です.
もっと言えば,別に種苗法改正しなくても,これまでの法律のままで「海外流出対策」はとれたことになります.
これは言い換えれば,今回の種苗法改正の理由として「種苗の海外流出を防ぐため」というのはダミーである疑義が濃厚です.
つまり,上述した法改正の理由として挙げられた2つのうち,
1 育成者権者の意思に応じて海外流出防止等ができるようにするための措置
が実は法案成立のために用意されたダミーであり,もう一つの理由である,
2 育成者権を活用しやすくするための措置
が,この改正の本丸である可能性が非常に高いわけです.
そうなると話がつながってきます.
これまで,農業における主だった法改正はどのようなものだったでしょうか.
2017年には,「農業競争力強化支援法」が成立しました.
これは,日本国内における農作物のデータを民間企業(外資を含む)に開示することで,農業競争力を強化させようという法律です.
第二章 国が講ずべき施策
第八条
四 種子その他の種苗について、民間事業者が行う技術開発及び新品種の育成その他の種苗の生産及び供給を促進するとともに、独立行政法人の試験研究機関及び都道府県が有する種苗の生産に関する知見の民間事業者への提供を促進すること
■農業競争力強化支援法(PDFページ:農林水産省HP)
その上で,2018年には「種子法廃止」となりました.
廃止の理由は,日本の主食である米などの種子データを国が管理してしまうと,民間業者の介入ができないため競争力がつかないから,というものでした.
■主要農作物種子法を廃止する法律(農林水産省HP)
そして今回,「種苗法改正」が検討されているわけです.
その理由が「海外流出を防ぐ」ではないとすると,つまり,
品種登録をした権利者にとって利益が出やすい状況を用意するため
というものになります.
種苗法改正を単体で見ればそうなりますが,この一連の流れから読み取れるのは,
日本国内で種苗の権利を利用したビジネスをやりやすくする
というものです.
せっかく国や都道府県が管理してきた育種データを公開し,種苗権利を強化する.
ここまでくると,気持ちが良いくらいの売国と言えます.
種苗法改正に賛成派の方々がよく言うのは,
「農家が負担する種苗の利用料は非常に安いし,その登録品種も現在は全体の1割で少ない」
というもの.
しかし,今この現状ではそうかもしれませんが,この先品種改良が進んで,登録品種となっている種苗が農業におけるメジャーな品種になってくると,話は全然変わってきます.
家庭菜園なら良くても,商品として出荷し,農家として儲けを出すためには登録品種となっている品種を栽培するしかない,という状況になることも考えられます.
さらに危険なのは,外資系企業が参入をたくらんでいる「農薬・種子セット」のビジネスです.
これは,その種子を効果的に栽培するための農薬とのセットで販売する方法のことで,その種子を栽培するには同時にその農薬を買わなければならない状態を作り出し,しかも,一度始めたら辞められない状況をも作り出します.
というのも,この農薬は非常に強力なため,使っている農地をその種子以外の農作物が栽培できないようにしてしまうからです.
で,その種子はなぜ農薬に耐性があるのかというと,遺伝子組み換え作物だからというカラクリです.
■遺伝子組み換え作物と除草剤、「実はセット」という深い闇(ビジネス+IT 2018.9.12)
こういう状況下においては,改正されようとしていた種苗法は完璧に機能していたでしょう.
廃止の理由は,日本の主食である米などの種子データを国が管理してしまうと,民間業者の介入ができないため競争力がつかないから,というものでした.
■主要農作物種子法を廃止する法律(農林水産省HP)
そして今回,「種苗法改正」が検討されているわけです.
その理由が「海外流出を防ぐ」ではないとすると,つまり,
品種登録をした権利者にとって利益が出やすい状況を用意するため
というものになります.
種苗法改正を単体で見ればそうなりますが,この一連の流れから読み取れるのは,
日本国内で種苗の権利を利用したビジネスをやりやすくする
というものです.
せっかく国や都道府県が管理してきた育種データを公開し,種苗権利を強化する.
ここまでくると,気持ちが良いくらいの売国と言えます.
種苗法改正に賛成派の方々がよく言うのは,
「農家が負担する種苗の利用料は非常に安いし,その登録品種も現在は全体の1割で少ない」
というもの.
しかし,今この現状ではそうかもしれませんが,この先品種改良が進んで,登録品種となっている種苗が農業におけるメジャーな品種になってくると,話は全然変わってきます.
家庭菜園なら良くても,商品として出荷し,農家として儲けを出すためには登録品種となっている品種を栽培するしかない,という状況になることも考えられます.
さらに危険なのは,外資系企業が参入をたくらんでいる「農薬・種子セット」のビジネスです.
これは,その種子を効果的に栽培するための農薬とのセットで販売する方法のことで,その種子を栽培するには同時にその農薬を買わなければならない状態を作り出し,しかも,一度始めたら辞められない状況をも作り出します.
というのも,この農薬は非常に強力なため,使っている農地をその種子以外の農作物が栽培できないようにしてしまうからです.
で,その種子はなぜ農薬に耐性があるのかというと,遺伝子組み換え作物だからというカラクリです.
■遺伝子組み換え作物と除草剤、「実はセット」という深い闇(ビジネス+IT 2018.9.12)
こういう状況下においては,改正されようとしていた種苗法は完璧に機能していたでしょう.
さて,そんな種苗法改正問題ですが,これを廃案に追い込んだ立役者である柴咲コウ氏は,
「タレントが政治的発言をするな」
と叩かれまくったそうです.
これについて,柴咲氏がどれほど問題意識を持っているか,その見識をうかがえるものがないか調べてみたんです.
すると,このユーチューブ動画にヒントがありました.
動画は合計34分と長いですが,以下の再生時間部分だけでも見てもらえれば,柴咲氏の見解が分かります.
16分45秒から「種子法・種苗法についての話題」です.
16分45秒から「種子法・種苗法についての話題」です.
で,柴咲氏の種苗法に対する見解は,20分08秒から聞けます.
シークバーをいじりながら動画を見るのが面倒な人もいるかと思いますので,柴咲氏の発言を書き起こししておきます.
(種苗の海外流出と,国内農家の種苗権利について)一緒にどちらも解決することは難しかったとしても,それをAとBに分けて,例えばそれを流出を防ぐっていう法律,法改正はやっていく.一方で,その日本の農家さんを守るような仕組みも考えていく,っていうのができたら一番いいんですけどね.
(中略)
個人的には,一市民としては,そういうふうに流出しちゃうとか,盗まれてしまうというのは良くないと思うので,すごく急に対応してほしいなとは思うんですけども,やっぱりそういうふうに実直に農作物を育てている農家さんが傷つくことがないように,中長期的な目で見て判断していかなければいけないところだと思うので,でもそれを作っていくのって国民みんなの役割なのかなと思うので,そういうふうに議論を活発に行われるのは,良い傾向なのかなと思います.
推測でしかありませんが,たぶん柴咲氏は上述してきたような種苗法の問題点を把握していると思います.
つまり,
「種苗法の改正では海外流出を止められるわけではない」
「将来的には,品種権利による農業衰退が懸念される」
ということについてです.
それが窺えるような発言ですよね.
他にもいろいろしゃべっていますが,この柴咲コウさん,結構ちゃんと農業問題を考えている人ではないでしょうか.
関連する話題にもかなり詳しいですし,この人が農業に対して思い入れがある理由も語られています.
「実際にやってみないと理解できない」
という考え方の持ち主でもあるようで,北海道で農業をしてみる計画もあるようです.
今回,調べてみて分かったその他のこと.
この人,私より年上だったんですね.
「柴咲コウ」っていうのは芸名で,その他にもシチュエーションに合わせて芸名を複数持っている.
本名は非公開だけど,ネット上では結構周知されている.
「ファンデーションは使ってません」の人だった.
やっぱりお顔が中谷美紀や宝生舞との区別が難しい.
深作欣二監督『バトルロワイヤル』がはまり役だったと思います.
そんなわけで,今後のご活躍を期待しております.
PS.
PS.
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