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忘れられない不思議な人々(11)農業機器の修理屋

万事休すの農業機器を執念で直した修理屋


私は今,疲れ果てながらも気分爽快でブログを書いています.
体を癒やしながら穏やかな夜空のもとで散歩&ストレッチ体操.

そして,最近のマイブームである「ウイスキーのホットミルク割り」で祝杯.

今日は気分が良いからって,オールドパー12年を使って作ってみたものの,オールドパーのらしさが消えてしまったので残念.
ミルク割りは,スコッチとの相性は悪いようで.
やっぱりバーボンウイスキー,なかでもアーリータイムズがベストらしい.
なお,知多は論外だ.



4日前,私の仕事における重要な作業機器が動かなくなりました.
これまでのように,疑いのある部分に手を入れていれば,そのうち直るだろうと思って1日頑張ってみたのですが,ぜんぜんダメ.

この機械が動かないと,収入が得られないんです.
代替機を入れることもできないし,別の手段で対処することもできない,そういう機械.

大型の作業機器と,それをROMコンピュータとマグネットスイッチで操作する電子機器で構成されているものです.
しかも大量生産されているものではないし,作業環境に合わせて1台1台に個性がある.
だから新品でも数百万円するし,中古でも100万〜200万円くらいします.
導入するとしても日数がかかるし,簡単になんとかできるものではありません.

俄然焦ってくる.
このまま1日,また1日と過ぎていくだけで,何十万円単位で損失が出てきます.

なので,こうした専門的な機器を修理・メンテナンスするために全国を飛び回っている職人さんに修理を依頼することにしました.
父の代からずっとお世話になっている人で,絶大な信頼があります.
年齢的にも父たちと同年代のようです.


一昨日お願いした時は,長野に出張していたようですが,そのまま高知入りしてくれることになり,昨日から修理作業に取り掛かってくれました.

この人も,この機械が動かないと莫大な損失が出ることを知っています.
だから慎重かつ不退転の覚悟で挑んでくれるのです.


作業は昼過ぎに始まり,まずは診断.
でも,故障原因がぜんぜん分からない.
コネクションのあるメーカーの技術員と,ハンズフリーフォンで電話連絡しながら進めます.

あの手この手で原因特定をするのですが,それに立ち会っていると,この修理屋とメーカーの技術員のプロ魂に驚かされる.

休みなく,ずっと夜中まで機械と格闘.
私もなんとかお手伝いできることはないかと,作業が早く進むことをいろいろと考えました.

そうして,ようやく原因特定できたのが夜の11時頃でした.

そこから改善案をいくつか試し,ひとまずこの日は終了.


修理屋さんもだけど,メーカーの技術員の人もずっとこれに付き合ってるんですから,凄いよね.
電話の向こうでは,職場に保存してある機械の図面やメンテナンスメモを引っ張り出してきて,連絡を取り合っていたらしい.
なんかさ,こういうのが「日本の底力」って感じがする.
映画「フクシマフィフティ」より,よっぽど感動しますよ.


今日も朝から作業開始.
原因は分かったのですが,その修復作業がこれまた難儀しました.

なんせこの機械,かなり古いもので,メーカーでも取り扱いを終了している代物.
メンテナンスは受付ているものの,あまり対応したくないのが本音の機械らしい.

それでも,あの手この手でなんとか復旧.
作業が終わったのは夕方です.

稼働確認をして,正常に稼働することが分かった時は,修理屋さんと一緒に,天を仰ぎ,両手を上げて歓喜しました.

2日間,トータルで15時間くらいですかね.

曰く,途中で「もうこれは復旧不可能な機械かもしれない」と思ったことが何度もあったそうです.
電話の向こうのメーカーの作業員も,意味不明な状況に頭を抱えて図面とにらめっこする時間も長かったらしい.

無事に直ったのは,皆さんの執念ですよ.


こういう感動って久しぶりです.
実験とかデータ分析など,研究生活をしていた頃にはよく感じていたけど.

嫌なストレスでもありますが,たまにはこういうのも良いかもって思っちゃいます.


この修理屋さん,仕事が終わったら,
「では,私は次の仕事が入っているので,これで失礼します」
と言って,そそくさと帰り支度.

否,帰り支度というのはウソになります.
また別の県へと移動するそうです.


なんだこのカッコいいオヤジは!


その先には,絶望的な気分で困っている依頼人がいるのです.
そうやって日常的に全国をまわる生活をしています.

この人がいないと,この業界の人たちはやっていけないんじゃないかと思う.
修理やメンテナンスをメーカーに正規ルートでお願いすると,とんでもない金額を請求されるらしいですから.


なんにせよ,私はこれで大損害を被らなくて済みました.
今こうしてほろ酔い気分でいられるのも,この修理屋さんのおかげです.

とりあえず,心身ともに疲れたから,まだ早い気もするけど,もう寝よう.

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