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TRICKの山田奈緒子が住んでるような貧乏アパートなんて実際には存在しない,って思っていた外務省職員

同年代の私の知り合いに,某有名私立大学出身の大学教員がいるんですけど,その方からお聞きした話です.

その方の同級生に,外務省に入局した人がいるとのこと.
で,卒業後に同窓会的なところで会った時に,仕事のことをいろいろ話したことがあったそうですが.

どうやらこの同級生,外務省が企画した研修か何かで,東南アジアに行ったことがあるとのこと.
で,その感想を聞いてみたところ,
「東南アジアには,住むところに困っている子供がたくさんいたことに驚いた.日本ではそんな子供はいないから恵まれていると思った」
などとホザイていたそうです.
省に提出する報告書にも,そんな感じで書いたらしい.

この話をしてくれた大学教員の方は,両親ともに公立学校の教師をやっていることもあって,現在の日本の子供たちが置かれている過酷な状況を聞かされています.
一方,この外務省に勤めている同級生は,どうやらいわゆる「上級国民」と称されるお坊ちゃんらしいんですね.

「日本にも貧乏暮らしをしている人はたくさんいて,住むところに困っている子供も増えてきて社会問題になっているんだよ」
っていう話をしても,全然ピンとこない奴なんです.

日本は裕福な国であり,「貧乏暮らし」っていうのは小説やドラマなどで扱われる「ネタ」の一つだと思っている.

で,それを示す典型例がこれ.
ドラマ『TRICK』に出てくる山田奈緒子が住んでる貧乏アパートってわかりますか?
知らない人はこちらを参考にしてください.
TRICKロケ地ガイド(個人ホームページ:全国ロケ地ガイド)

このお坊ちゃん,こういうアパートに人が住んでいると思っていないフシがあるようで.
つまり,「TRICK」というコメディドラマにおける,「ボロボロの貧乏アパートに住んでいる若い女性」というのは現実離れした笑いのネタ・設定であり,実際にはこんなところに住んでいる人間はいない,って思ってるってこと.

「そんなバカな.街を歩けばそこら中にそんなアパートがあって,そこに人が住んでいることは自明のことではないか」
と思うかもしれませんが,つまりこういうこと.

こういう人たちには貧乏アパートで暮らしている人々という事実が,生理学的な現象として目に写っていても,意識下において「見えていない」んですよ.

なぜなら,この外務省職員さんは,そういう生活をしている人間と関わったことがないから.
お話をしてくれた大学教員の方曰く,この外務省職員さんは一流企業にお勤めお父さんがいて,住んでるところも都内の高級住宅地にある高級マンション.
私立の幼少中高で来ているので,「日本の平均的な生活レベルの人間」と全く関わらずに生きてきた人なんだそうです.

何年か前に,「ペヤングやきそば・ゴキブリ混入事件」ってあったじゃないですか.
そのとき私は,すでに関東に引っ越して時間が経っていて,しかもコンビニやスーパーを頻繁に利用していたにも関わらず,
「ペヤングやきそばって何?」
っていう認識だったんです.
そんな私の周囲の人は,「ペヤングやきそばを知らない人を初めてみた」って言ってました.

「ペヤングやきそば」が,関東においては「UFO焼きそば」や「一平ちゃん」よりもメジャーであることを,そこで初めて知りました.

実は,関東以外の人ってそんなもんです.
ほぼ毎日「ペヤングやきそば」を陳列棚で目にしていたはずなのに,その隣の「UFO焼きそば」と「一平ちゃん」しか認識していなかったってわけ.
私にとっては,
カップ焼きそば = UFO or 一平ちゃん
という認識しかないから,ペヤングが意識下に入ってこない.

それと同じことが,件の外務省職員の「貧乏アパート」とそこに住まう人間を見る目にも発生しているということ.


別にそういう視座を持っている人を否定するつもりはありませんけど,こういうのが国家の中央官庁で仕事してるっていうのが危ういですよね.


そう言えば最近,こんなネット記事を読みました.
「最近の若者は海外に行こうとしない!」→「お金がないからですよ」 官僚のずれっぷり発言に絶句(Yahoo!ニュース 2021.10.25)
豊かな環境にあるがゆえに官僚にはそれが実感としてして感じられなかったというこのエピソードに、SNSユーザー達からは 
「いると思う…。自分も旦那も公務員、その親も公務員でよい住宅地に住んでる人が『なんで生活保護を受けるくらいお金がなくなるのかわからない』そうで…当然住んでた地域も良いので同級生も富裕層が多く、生活困窮者を見たことがないのだそうです。」
 「車の若者離れも、興味が無いんじゃなくて買えないって事に、政治家は目を向けない」
 「外務省のそこそこ上の官僚の人も、全ての職業にボーナスが出るものだと思い込んでいましたね。話が噛み合う訳がないですわ。」
 「海外に行きたい若い人は多いと思います。観光ではなく、海外で働きたい若い人は多いのではないでしょうか?」 
など数々の厳しいコメントが寄せられている。

これと似たような状況にあるのが,実は大学教員だったりもする.
そんな記事を書いたこともありました.

「実のところ,大学生はお金に困っている」っていう話.
私が大学教員をやっていた数年前に,大学のFD研修会とかで「最近の大学生の実態」として取り上げられたことがあったんですけど,この手のデータを見て唖然とする教員がたくさんいました.

てっきり,大学生は小金持ちでチャラチャラ遊んでる,っていう認識のままの大学教員が結構多いんですよ.

「いや,もうそんな学生は20年くらい前からいなくなってるから」
って思ってるのは,アラフォー世代の若手教員くらいのものでしょう.

で,そんな困窮する大学生が一気に周知されるようになったのが,この新型コロナ感染症騒動ですね.

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