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安倍晋三氏の暗殺|民主主義への挑戦,個人的恨み,社会への復讐

安倍元首相が暗殺されました


昨日のうちに記事にしたかったのですが,昨晩はそれどころじゃない用事があったので出遅れちゃいました.

衝撃的な事件が発生しましたね.
とても影響力の強い長期政権を担っていた,自民党国会議員・安倍晋三氏が暗殺されるという事態です.
昨日は日本中がこの件について大騒ぎになっていました.

私はネット記事やYouTubeくらいしか見ていないのですけど,その中でもいろいろと考えさせられることがありました.


民主主義への挑戦ってどういうこと?


この事件について「民主主義への挑戦」という趣旨で怒りを表現している人が結構たくさんいます.
ネットニュースのコメント欄だけでなく,岸田首相とか小池都知事とか,その他のいろんな政治家やコメンテーターもそんなことを言っている.

そしたらちょうど今,毎日新聞にこんな記事が載りました.
安倍元首相銃撃は「民主主義への挑戦」なのか 参院選にどう臨む(毎日新聞 2022.7.9)

記事で取材している識者も述べているのですが,今回の事件が「民主主義への挑戦」といった趣旨で語られるのは不適切です.

だいたい,何がどう民主主義への挑戦になっているのでしょう.

今回の犯人は,民主主義に対して挑戦したのでしょうか.
否,そんな様子は事件からは汲み取れません.

安倍晋三氏を撃ち殺すことで,民主主義に挑戦したことになるのか?

そもそも,現時点で警察が発表している犯人の動機をかいつまんでみると,
「安倍晋三が某宗教団体と関係していることが,自分の家族を不幸に陥れる原因になっているため,その恨みをはらしたかった」
というものです.

つまりこれだけみれば,民主主義への挑戦というよりも,個人的な恨みをはらしましたよ,っていう事件です.
たまたま相手が政治家であり,選挙期間中に実行されただけであり,犯人には民主主義をどうにかしようという意図はないように思えます.

まだ事態の詳細がわかってもいないのに,どうして「民主主義」と絡めた言説が飛び交うのか?
私に言わせれば,フライングも甚だしい.真相解明のための余計なノイズになっています.


フライングと言えば,レイプ事件を起こした某ジャーナリストも妙な情報でフライングしています.
午後5時頃に死亡した安倍晋三氏ですが,このジャーナリストは午後3時半頃にSNSに「安倍晋三が死亡した」という投稿をしていたらしい.

実は私,リアルタイムでこのジャーナリストが生出演していたYouTube動画を見ていたんですけど,そしたらその時間に突然この男が「安倍さんが死亡したとの報告が入りました.残念です」などと言い出したのです.
きっと,SNSにもこのタイミングで流したんだろう.

おいおい,そんな重要な情報をアッケラカンと公表していいのか?
驚きとともに,このジャーナリストの人間性を疑いました.
さすが,レイプ事件を起こしてもアッケラカンとしているだけのことはある.

なので,ついでに調べてみたら,昨日の出来事としてなんともタイムリーなニュースが入っていました.
伊藤詩織さんの性被害、元TBS記者への賠償命令が確定 最高裁決定(朝日新聞 2022.7.8)
ジャーナリストの伊藤詩織氏(33)が性被害を受けたと訴えて元TBS記者の山口敬之氏(56)に損害賠償を求めた訴訟の上告審で、最高裁第一小法廷(山口厚裁判長)は山口氏の上告を退けた。山口氏が同意なく性行為に及んだと認定して約332万円の賠償を命じた二審・東京高裁判決が確定した。

死亡情報を独自に入手していただとか,関係者やご家族に配慮して発表しているなどと主張しているそうですが,もうね,そういう問題じゃないんですけど,って感じです.
正式な死亡発表がされる前なんだから,常識的な感覚なら,せめて「安倍さんは現在,極めて絶望的な状況であると報告が入っています」などと言うものだろう.


なんかね,いろいろな人が,今回の安倍晋三氏の暗殺事件を利用して何かアピってやろうという魂胆が見えるんですよ.

そんなことより,今は事実解明と原因究明に注力し,そして再発防止のための緊急対策について論じるべきなんじゃないのかな,と.
つまり,事件が起きた状況として,今回のような「政治家」「選挙期間」という条件を特別視せずに,もっと根本的なところから話をしていく必要があるんじゃないかと思うのです.


選挙妨害対策というより,市街地テロ対策を考えた方がいい


こういう事件が起きると,「社会への復讐」というテーマで語られる向きもあります.
実際私も,「犯人の年齢は41歳」という情報を聞いて,どうしてもそう考えてしまいましたからね.

似たような事件が続いてますし.
秋葉原通り魔事件とか,京都アニメーション放火事件とか,電車内で暴れた事件とか.
アカデミー賞映画であるホアキン・フェニックス主演の「ジョーカー」(2019年)と一緒に語られることも多いですね.

日本ではロスジェネ世代と言われている,ちょうど私と同世代が抱えている問題.
見えにくい社会的弱者であるこの世代は,社会や権力への不満を強烈に溜め込んでいる世代でもあるのです.

そんな社会的弱者は,わざわざ選挙を妨害するということよりも,なんでもいいから市街地でテロ行為を起こすことで社会に復讐していると考えられます.
そして,そういったテロ行為を防ぐ手段は現実的に考えて不可能に近い.

実際,今回の安倍晋三暗殺事件にしても,県警とかSPの失態とみる向きもありますが,犯人による「1発目の発射」を防げた可能性は低いと思うんです.
もし犯人が,安倍晋三個人を狙った銃ではなく,無差別殺人を狙って爆弾を放り投げる戦術に出ていたら,あのガードレール内の人たちは皆殺しになっていたわけだし.
投げ込まれた爆弾を弾き返すのは,警察もSPも無理ってものでしょう.

なので,こういう市街地におけるテロ行為を企てている人を,警備担当者の経験と勘だけではなく,テクノロジーで判別・対応する必要もあると思います.

これについては京王線放火事件の時にも触れましたが,市街地テロを防ぐための監視システムは,やっぱり導入を検討したほうがいいと思うんです.
これのことです↓


もちろん,監視システムを張り巡らせればOKっていう話でもないとは思っています.
復讐心を持つに至る不満を軽減する工夫や政策も求められるでしょう.

これについて私は,さしあたって有効性が期待できるものとしてベーシックインカムという政策があると思っています.

ベーシックインカムがテロ対策になる,っていう話をし始めると長くなるので割愛しますが,他人に不満をぶつけなくてもいい状況をつくり,生きやすい社会にしていくことが今後の日本に求められると思うのです.


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