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ベーシックインカム ≒ とりあえず国民全員に生活保護を配っておくこと

新型コロナ騒動で,生活保護が注目されていますけど・・・


我が国の総理大臣も,そんなこと言ってました.

菅首相「最終的には生活保護も」 コロナ禍の“困窮”対策きかれ...(YouTube|FNNプライムオンライン 2021.1.27)



この菅総理の発言に対し,いろいろと批判的な意見が出ています.

菅首相「最終的には生活保護がある」は何が問題か あまりに受けにくく自死に追い込む日本の生活保護制度(Yahoo!ニュース 2021.1.28)
つまり、生活保護を受けたくても窓口で追い返される事例が散見されている。
厚生労働省も厳しく「水際作戦」をしないように再三戒めているが、効果が見られない。
要するに、日本の生活保護制度は受けにくいだけでなく、なるべく受けないように排除する傾向が止まない。
この状況でいくら菅首相が「最終的に生活保護がある」と述べても、何ら説得力がない。


「最終的には生活保護がある」発言で見えた菅総理の「上級思想」(FRIDAYデジタル 2021.1.28)
「最終的」とは、どういう状態をいうのか
首相がいう「最終的」というのは、路上生活より「もっと先」の困窮なのか。
「生活保護を申請したくてもハードルが高すぎるんです。役所の窓口にいっても、申請の用紙すら手に入らないこともあります。そして、さらに壁になっているのが『扶養照会(ふようしょうかい)』です」
生活保護の申請をすると、親族に「この人を扶養(援助)できませんか」と連絡がいってしまう。長年会っていない兄弟や、事情があって離れた高齢の親に現状を知られることになる。そして、その「照会」から「扶養」に繋がる例は「ほぼ0%」だという。

どれもごもっともな意見ではありますし,おそらく菅義偉が安倍晋三に引き続いた稀代の迷宰相であることは間違いありません.


生活保護が,必要な人に届いていない.
これは厳然たる事実です.
特に日本が酷い.

このニュースに関連して,こんなデータをよく見かけるようになりました.
日本の生活保護受給率が低いという話です.

https://www.nichibenren.or.jp/library/ja/publication/booklet/data/seikatuhogo_qa.pdf


日本は生活保護を求める国民を,きちんと捕捉できていない.
つまり,受給率が非常に低い国とされています.


上述した記事にもあるように,日本の生活保護制度は,とかく「申請しづらい設計」であり,「受け取りにくくなるように設計」されていることが問題です.

さらに行政が卑劣なのは,そうやって「受け取らない」という状況設定を,
「本人が選択した」
と解釈するように設計されていること.

すなわち,
「ちゃんと受給できる体制にはなっているのですが,いかんせん,本人が受け取ろうとしない・受け取りたがらない・受け取りようがない状態ですので,私達としては仕方がないのでござます,はい」
ということ.


私は幸運にも生活保護を受け取るような境遇ではないのですが,いつなんどき生活保護が必要になるシチュエーションに陥るか分かったものではありません.
人生,一寸先は闇ですから.


なので,だったら最初から国民全員に「生活保護」を配っておけばいい,という考え方もできます.
これがベーシックインカムです.

ベーシックインカムを導入するとどうなるのか?
どのようなベーシックインカムが現実的なのか?

それらについて,私の意見や予見と類似したものが,岡田斗司夫氏のYouTube動画で見ることができますので,オススメしておきます.




もともと,「生活保護の代わりに,ベーシックインカムを」と言い出したのは,この日本経済を奈落の底に突き落とした張本人・竹中平蔵氏です.

竹中平蔵氏の「月7万円」ベーシックインカム論が炎上…導入は本当に不可能なのか?(Yahoo!ニュース 2020.10.17)
生活保護については、生活保護を受給することに負い目を感じ、生活が苦しくても給付を受けない人も多くいると言われています。国立社会保障・人口問題研究所の生活保護に関する「世帯類型別被保護世帯数及び世帯保護率の年次推移」を見ると、2016年度で保護率は「32.6%」にすぎません。つまり、保護されるべき人の内、約3割しか生活保護を受けていないのです。 ベーシックインカムという考え方は、世界的にも注目されており、フィンランドやカナダでは実証実験も行われました。この実験でわかったことは、ベーシックインカムを受けたとしても雇用は減らず、健康的になり幸福感が増したということです。
一方、財政負担が大きいことからいずれも実験は途中で中断しており、十分な給付を継続することは財政的にかなり難しいということもわかりました。


引用した文の最後の「財政的にかなり難しい」については,論者によって評価が分かれています.
そもそも,実験的に行うベーシックインカムと,国全体の政策制度として行うベーシックインカムでは,財政に与える影響が全然違います.

例えば,このコロナ禍において「一律給付金」がありましたが,そのほとんどが「貯蓄」に回ったとされていますよね.

これは,コロナ禍の給付金が期限付き・一過性のものだからです.
不況下・困窮しているなかで,次にまたもらえる見込みがないのですから,これが「将来不安への備え」として貯蓄に回るのは必然です.

しかし,岡田斗司夫氏の動画でも述べられていますが,政策制度としてベーシックインカムが恒久的に稼働するとなると,おそらく経済・景気は活性化し,消費行動は活発になります.
当然です.
日本国憲法に照らして言えば,「健康で文化的な最低限度の生活」が送れるお金が常に手に入るわけですから,「貯蓄」する人は減ります.
だって,貯蓄したって意味ないんですから,使わないと損です.

そもそも不況とは,人々が「貯蓄行動」をとることで発生するのです.

これに対し,ベーシックインカムが稼働すると,まさに「宵越しの銭は持たない」生活を送る人が,今以上に増えることは必然.
ベーシックインカムによって景気が活性化することはほぼ間違いないのですから,つまり,国や地方の税収は確実に増えます.

もっと言えば,そもそも,税金は「財源」ではないという事実が指摘されていますし,その理論はかなり理解できるところがあります.



私はベーシックインカムは良い制度だと思っています.
もちろん不安視される事柄もあるのですが,今の制度よりはマシだ,という認識です.
特に,生活保護がろくすっぽ機能していない日本においては,大真面目に,かつ,早急に実現すべき政策だと思ってます.


上記の動画では,岡田氏はベーシックインカムによって「仕事をする人は減る」という見立てを述べていますが,私は逆.
仕事をする人は今以上に増えるんじゃないかと予想しています.

ただ,貧富の差はかなり大きくなるとは思う.
岡田氏も述べているように,「経済・経営のセンスがない人間が,経済活動の場から排除される社会」になると考えられるからです.

なぜなら,経営者側の立場から「雇用」を考えると,
「働かなくても生きていけるんだから,無能な人材は容赦なく切り捨てさせてもらうよ」
ということになるからです.

現状,経営者の多くは,無能な労働者を前にしても「この労働者の生活を守るために,安易に首を切ることはできない」という縛りがあります.
しかし,ベーシックインカムが稼働した社会では,それがなくなります.

結果として,その職業や仕事内容について,エキスパートや資質の高い人しか携わらなくなる業界・業務が増えてくることが考えられるのです.
そうなると,多くの職場では仕事効率は極めて高くなり,経済レベル(つまり「稼ぎ」)も大きくなっていきます.


その一方で,ギラギラした経済活動をしている「職場」から排除されてしまった人たちはどうなるのでしょう?
こういう人たちは「働かないニート集団」になるのでしょうか?

いえ,そんなはずはありません.
人間というのは,
「どこかの誰かに貢献できている」
「私の存在意義を肯定してくれる」
ことを求めます.

ですから,ギラギラバリバリと経済活動をする人たちから距離をとって,身の丈にあった経済活動を展開するはずです.
仮に一月当たり10万円の給付があったとして,これが赤字になったとしても「仕事」をする人が多いと思います.

そうなると,もはや仕事というより社会貢献活動(俗に言うボランティア)になるのかもしれませんが,そうやって自分の存在価値を高めることに,人生の意義を見出す人が増えると考えられます.

言い換えれば,自分がやりたいこと・自分の才能を活かすことを徹底できる社会になるのですから,その点で妥協するしかないのです.


以前,SF小説であるジェームズ・P・ホーガン 著『断絶への航海』を紹介ましたが,まさにその世界観です.





ベーシックインカムに関する過去記事はこちら.

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