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行政がやってくれてる農業支援について思うこと

それって支援なのか?

率直な感想としては,そう思うんです.

今日,農協に呼ばれて「国が補助金を出してくれるから,面談形式の申請準備作業をしてほしい」ということでした.

町役場と行政の担当者による面談で,そこではつまりは,
「補助金を出すに値する農家かどうかを調査する」
っていうテイで展開するものでした.

どうやら,補助金を出すにあたっては,国が提示する条件を承諾する必要があるようでして.
その条件というのが,これ.

「現在使用している農業資材を国産化させること」

というものです.


農業のことに明るくない方にとっては,「なるほど,さすが日本国が提示する補助金事業っていうのには,そんな条件が課されのかぁ」などと思うのかもしれません.
でも,実際その場で私も担当者の方々に事情を説明したのですけど,端的に言えば,
「無理です」
ってことなんですよ.

笑いを交えつつ,
「これ考えた人って,ギャグで言ってるんですかねぇ」
とも言いました.
たぶん,一緒に集められていた他の農家さんも同じこと言ってると思う.


農業にちょっと関心のある人はご案内かもしれませんが,日本の農業は,そのほとんどが「輸入資材・飼料等」によって生産されています.
国産のものなど,ほとんどありません.

つまり,「国産の農産品」といっても,それを栽培する課程では輸入品に頼っているのが実情.
「頼っている」という言い方も適切ではありませんね.「依存」とか「命綱」くらいの感じです.
ですから,農業業界ではこれを「事実上の食料自給率ゼロパーセント」と揶揄されています.

なので,円安とロシアによるウクライナ侵攻の影響を受けて,今大変なことになっているわけで.
最悪のシナリオとして,今年・来年度は大量の農家が廃業するという見立てもあるくらいです.

そんな状況下で,
「補助金が欲しければ,使っている資材を国産化しろ」
などと言われても,やりたくてもできないのが実情なのです.

っていうか,国としてはなんでそんなこと “知ってるはずなのに” 言ってくるのか理解に苦しみます.

もしかすると,無理やり「資材の国産化」を推し進めることによって,日本の農業資材の国産化が促されるのではないか,などという思惑があるのかもしれません.

でも,どう考えても現在の「無い状態」で,いくらこちらが頑張っても,国産化はできません.
だって,使いたくても買いたくても,国産の農業資材が流通してないんだから.

せめて,国産資材を復活させる事業を進めてから言ってきてほしいもの.
現状で国産資材を探し回ったところで余計な経費がかさむだけだし,資材の安定供給ができない状態にするのは,昨今の農業情勢からしても極めてリスクの高い運営になります.


こちらの事情を説明すると,担当者の方々も頭を抱えていました.
まあ,ヒアリングをしているこの人達としては,そこまで農業に詳しくないのでしょうし(担当する人がそれじゃ困るんだけど,っていうところもあるんですがね).

ただ,補助金を出す方向で話を進めてくれる姿勢はあって,なんとか「国産化した」っていことにできないか,あの手この手を考えることになりました.

「国産化するために努力してみたが,結果,ダメだった.という最終報告をすることにして補助金を受け取ることにしてはどうか」
などと,なんだか科学研究費補助金事業みたいなことになっています.

補助金事業なんて,どこもそんなものかもしれません.


ところで,今回の補助金事業,一体いくら貰えるのか,そこも気になるところです.
現時点で,一切言ってくれません.
どうやら,ヒアリングを進めるなかで決まってくるようです.

でも,こういう面談・ヒアリングもこちらとしては結構手間取るものです.
あれやこれやと繰り返し長時間拘束を受けて,結果としてスズメの涙ほどの金額しか受け取れないというのでは,面談・ヒアリングにかかった時間を仕事にまわした方が得だった,ってことになりかねません.


実際,奴らには前科があります.
昨年,新型コロナの影響を受けた農家に補助金を出しますってことで,面談とか集会が開かれて説明を受け,さんざん待たされた挙げ句に受け取った金額は「3万円」でした.

私の場合,年間にかかる経費は約3000万円くらいなんですけど,そこでこの「3万円」がどれくらいの足しになるのか,この人達には分かっているのかとても気になりました.

むしろ,こっちの仕事をさんざん邪魔して手を止めさせて,そこで失った金額の方が遥かに多いと思います.
例えば,説明会に出席するために作業を1日分止めると,そこで約10万円の損失が出ます.
その分を挽回することはできない構造なので,これは純粋に損失です.

これが冒頭にも述べた,

それって支援なの?

ってことなのです.

こういうの,農業業界以外でもたくさんあるでしょうし,このコロナ禍において頻発していたのではないかと思います.

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