2011年12月30日金曜日

卒論が終わったので紀要を書いてみた

「データがあれば,卒論は1日で書ける」
と豪語(豪語とは思えないが)している私.
卒論学生からは「なら書いてみてくださいよ.無理っすよ」と言われますが,本当にそうなんだから仕方がない.

これは大学院生くらいになったらわかってくれると思います.
学部の卒論って,そんなもんですよね.

でも実際.それに近いことを年に1回はやっておかないと感覚が鈍ってしまいます.
年に何回か全力ダッシュしておかないと,全力ダッシュの仕方を忘れてしまうでしょ.
アレに近いものです.

ということで今日は, “データがあったので”,論文を一つ書いておきました.

論文といっても大学内で発行される “紀要” という大学教員のレポートみたいなやつです.
事実上,学術的価値の高い論文とは言えない代物.

このブログをまとめて出した方が価値があるんではないかと思うくらい.

ならなんで書いてるのか,って?
それは紀要の一つか二つ,書いといてあげないといけない政治的理由があるからです.
できれば一般的な学術雑誌への投稿だけに絞りたいのですが,書ける余裕があるのであれば書きなさい,という雰囲気と言いましょうか.
まぁ,これは大学によって区々だと思います.

どーでもいいデータでもありますし,一日がんばれば書けることは事実ですし.
これで今年の仕事は最後と思い,いっちょ気合いを入れて書いたろっ,と.
これで上の方々も御喜びになられるでしょう.

大きく分野分けすれば私,生理・医学系なんでしょうけど,この分野の論文はデータを分析して結論(紀要論文的に言えば「落としどころ」とか,時間と相談して妥協した結論に近い「何か」)を決めてしまえば,それに沿って書いていくことになるので,けっこう早く書けちゃうものです.

本格的に書こうと思ったら,結論をきっちり吟味しなければいけないので,ここに時間がかかります.解釈に間違いがないかいろいろな視点からまさしく考察しますし,先行研究などの文献にしっかりあたるなど,慎重になります.

そのへん紀要は,大学の宣伝めいたことや気の利いたジョークを交えつつ,ざっくばらんに「Ⅴ.結論..カクカクシカジカ」と書くことができます.
自分で書いてて「うわー,テーキトー...」
と笑いが込み上げてくるものです.

大学教員によっては,この「紀要」が主戦場という人もいますが,なかなか...うん,ナイスですね.
なかには一切論文も書籍も書かない人がいますしね.
人生いろいろ,教員もいろいろ,でいいんではないでしょうか.

実際,論文を書いているからといって「良い大学教員」というわけではないでしょうし.
でも,論文を “書けない” のは大学教員としてはどうかと思いますから,「書けるけど書かない」という設定ではいてほしいものですね.

「大きな論文をドーンと出すからな!」
と言い続けている教員がいますが,そろそろ痛い感じになってきています.
「紀要で100ページくらいにするゾ!」
と言ってるんですが,規定には「50ページ以内」と書かれているんですけどね.読んでないでしょ.
それにその “大きな論文” とやらが紀要て...

「凄いですねっ.期待してます!」
と返し続けるのも虚しくなってきました.


さて,
明日から故郷に帰ってきます.
あの世界遺産よりも素朴で懐かしい,味のある場所です.

2011年12月29日木曜日

卒論が終わったので遊んでみた

なんか長く感じた大学後半でしたが(と言っても,まだ終わっていませんが),やっと年末を迎えて一段落しています.

というわけで,この一週間ほどは卒論をみた学生や大学の職員さんと遊びに出かけておりました.


まずは学生との日帰り旅行.
淡路と香川へカメラ片手に気の向くままに.

淡路では,以前私が記事にした事もある「おのころ島神社」に行ってパシャパシャと撮影.
この神社がどれだけ日本神話にとって重要な意味を持っているのか語りましたが,そんなに聞いてもらえず.
「さしずめエルサレムみたいなところだよ」と言っても,「エルサレムってなに?」と言うことで.

次は「香川にうどんを食べに行こう」ということになって,うどんを食べたら,「次どうしよう」ということで悩み,迷った挙げ句に「とりあえず」ということで行ったのが「四国村」なる意味不明な場所.

ところがこの「四国村」,カメラ好きな学生にはことのほか気に入ってもらえました.


四国にある昔の建造物(重要文化財が多数)を集めて野外展示してるんですね.
四国の歴史,日本の建物の歴史が一堂に会している,という感じ.

しかも,ただ集めて展示しているだけでなく,その展示(というか魅せ方)のクオリティが高い!
こういう博物館的な展示って,日本は下手だと思っていましたが,この四国村は見事でした.
わびさびの利いた和風ディズニーランドみたいな.

「また別の季節に来たいですね!」と大好評.
私も地元四国にこんなクオリティの高いところがあるとは知りませんでした.

外国人の方なんか大喜びするんじゃないでしょうか.


で,実際に外国人もたくさん訪れていて,世界遺産クオリティな和のディズニーランドが白川郷.
昨日まで大学職員さんと白川郷旅行に行っていたのです.

雪が強く降っていたので,宿までたどり着けるか心配だったのですが,なんとか無事に到着.
あんまり下調べをせずに行っていたので,そのあまりの “白川郷っぷり” に感動しました(チープな表現だけど).

まさに白川郷.
なんかで見たことがある合掌造り.

村に着いてから初めて知ったのが,泊まる宿もまさに白川郷の合掌造り.

「えっ?ここで,しかも合掌造りに泊まれるの?」
と,嬉しい誤算(というか,宿泊予約を丸投げ放ったらかしにしてただけ).

宿の中も雰囲気抜群.
「まるで昔の家の部屋って感じですね」
と職員さん.

「そうですね.私の実家と同じ感じです」と私.

畳にコタツ.
それ以外なにも無し.
それが良い.

実は「男1:女2」という,他の男が聞いたら羨ましがるであろうシチュエーションで行ってきたのです.しかも,「だけど..」な女性ではなく,今は死語であろう「きれいどころ」です.
おまけに寝るところも,この写真にある一部屋.

ちょっとドキドキするも,この宿,隣の部屋が板一枚で隔たれてるだけなので,その....
うん.何もなかったですよ.
まぁ,何かあったとしても,いわゆる “不適切な関係” が成立するような前提は誰も持っていなかったので構わないのですが.

当たり前ですが,私が企画したわけではなく.
「この人だったら相部屋だけど連れて行っていいや」と思われてるんでしょうね.それって嬉しいことなのかどうか.


・・・とにかく,
雪がこれほどまで似合う集落はないですよ.
さすが世界遺産になっただけのことはあります.

あと,白川郷にいる観光協会(?)の人たちは,観光客が持参したカメラのシャッターを記念撮影として押してくれるんですけど,その時のかけ声が,「ハイ,チ〜ズ」ではなく,

「シラカワ〜,Go!」

って言うんです.
真顔で何度も言ってくる彼らがあまりにシュールで私,「イカン,これ無理!」ってことで耐えられず撃沈しました.
さすが世界遺産.一生忘れることができないであろう,私の白川郷の思い出です.

仕事も終わったし,いろいろ癒された一週間でした.

2011年12月21日水曜日

卒論の書き方

今更ですが,卒論の書き方を考えさせられたので紹介します.
というのも,11月下旬くらいから卒論を10本くらい面倒をみて(私の学生ではない),いやこりゃ結構たいへんな状態だな,ということでヘトヘトになっています.

無事,提出までこぎつけましたので一安心ですが,来年からはもう少し研究論文を書かせる準備を事前に各ゼミでやっていただきたいと感じました.
提出はしたものの,良い出来だと思える卒論は少ないですからね.

締切まで2ヶ月くらいに迫ってから「研究とは?」みたいなことを始めるのはアフターバーナーが過ぎるというものです.
計画的に航行する必要がありますね.

で,その “計画的に” というところですが,どんなことを計画的に準備しておけば卒論に対して比較的楽に取り掛かれるのでしょうか.
大学生のレベルにもよるんでしょうけど,これをやっておけばかなり違ってくるはず,というのを挙げてみましょう.

まずは何かの「研究論文」と先輩の「卒業論文」を読むことです.
それから始めましょう.

ゼミでは各自が興味のあるテーマを取り扱った研究論文を紹介するような演習をしてください.
私の学生時代は,1本の研究論文をA3・1枚分にまとめて発表・紹介(つまりプレゼン)していました.

あとは,何か具体的な課題(例えば「貧血」とか)に対して,いろいろな文献にあたってまとめ,それをプレゼンするのもアリですね.

パワーポイントにする必要はないと思います.資料をコピッて配布するだけで十分です.

他にもいろいろやっていた覚えがありますが,今になって思えば,“Intelligence”とは程遠い私たちのモチベーションを高めるため,ゼミの先生なりに工夫していたんだな,と申し訳ない想いでいっぱいです.

学術的なレベルが低い大学の学生ほど,こういったゼミのやり方にはブツブツ文句を言うと思いますが,これをやらずに卒論とか大学卒業とかありえないな,と今回身にしみて感じました.


「要約してプレゼン」 これ基本です.
地道なことですが,こうした力を養うことが「大学を卒業した価値」みたいなものにつながる一歩です.
学力がきびしい学生ほど,これだけを延々とやるほうが本人達のためになるのかもしれません.


教える側としても,「卒業する頃にはなんとかなってるんじゃないか」 と考えていたのかもしれませんし,教えられる側も,「卒業する頃にはなんとかなるんじゃないか」 と思っていたのかもしれませんが,なんともならないです.

4年生の末にもなって,
「被験者って何?」
「p<0.05って何?」
「考察と結果って何が違うの?」
「私の論文なんだから,私の気持ちを書かせてよ!」
などと言い出す学生もいます.

とにかく,「論文とは何か?卒論とはどういうものか?」 ということは簡単には伝わらないですから,地道に教えていく必要があります.
ギリギリになって押し込んでも,結局は本人のためになっていないようですし.

文章の書き方がなってない,というのは可愛いものです.
もっと本質的なことと言いますか.そこらへんの下地がない学生に対しての卒論指導ほど大変なものはありません.

2年前まで赴任していた大学の学生は,なんだかんだでその“本質的な何か”を汲み取ってくれる学生が多かったのですが,今回の学生たちにはそれが薄く,非常に苦労しました.

この両者の違いについては,自分なりにきっちり観察して整理しておくべきことのような気がしますので,まとまったらまた記事にするかもしれません.

2011年11月27日日曜日

議事録

昨日は大学院の後輩たちと久しぶりに梅田周辺でミーティング.
会場は餃子をメインにした居酒屋です.

教育系の大学院博士課程に進学する人がいるということで,彼を囲んで(といっても3人だが) 「教育」 と 「筋力トレーニング」 について熱く語り合った夜でした.

その議事録を以下に示します.


1.日本の諸悪の根源は「野球」
全会一致で採決された.
会の出席者全員が元球児であることが強い説得力を持つ.

日本社会の根底にはびこる 「パフォーマンスよりもプロセスだ!」 を重んじるくせに,「最終的にはパフォーマンスが大事なんだよね」という理不尽な空気をつくっている根源である.

特に「高校野球」がそれに加担している割合が非常に高いという意見が多かった.
誰も高校球児が「爽やか」で「一生懸命」で「ひたむき」だなんて思っていないくせに,なぜか “それ” を期待していること.
そして,高校球児たちもそれを “演じている” ことが痛々しい.

あの最終回での測ったような 「内野ゴロ,そしてファーストベースへのヘッドスライディング,アウト!」 は,ハリウッド映画における 「あれだけ銃を乱射してたくせに結局最後は殴り合いで決着がつく」 に匹敵するほどのお決まり演出である.


2.教育は本当に大事なのだろうか?を問う
「私の教育論」 を展開する人は多いが,そういった教育がそもそも必要かどうかを問う人は少ない.
大いにこれを博士課程で研究してくれ,との強い応援があった.

“教育は必要” なのだろうが,そのあり方や必要性は常に問い続けるべき.
現代社会とこれからの社会を切り開いていく者にとって “教え,育むべきもの” は何か?
勉強(読み書きソロバンのこと)と教育は別物(のはず)だが,この両者が同質のものとして議論されていることに強い違和感がある.

教育に携わる者たちは文部科学省からの通達をそのまま垂れ流すのではなく,プロとしての自覚を持って,自ら「教育」を考えるべき.
「ゆとり教育」 の崩壊は,文部科学省からの “お言葉を頂戴する” という姿勢の学校教員が招いたものである.
自律(自立)した教員の育成が先にあり,そのあとに「ゆとり教育」を実施すべきであった.

※かなりの酩酊状態で実施された議論であったため支離滅裂に終わる.


3.守・破・離―日本の教育は守ってばかり
守破離が教育に必要.
小・中学校(高校もかな)では 「守」 の教育.
高等教育機関に進んでいる段階では「破・離」の教育ができることが理想,との意見が出された.
大学にまで来て 「授業を聴く」 だけではダメである.
学生同士,そして教員との議論・討論により学んでいくべきである.

帰り道,大阪駅に向かうまでの新御堂筋辺りで引き合いに出されたのは以下の名言,

平凡な教師は言って聞かせる
よい教師は説明する
優秀な教師はやってみせる
しかし最高の教師は子どもの心に火をつける
~ウィリアム・ウォード~

この言葉の意味することは,教師と教育の理想とは自律した子供を育てることにあり,「善い」とされるコンテンツを与えることではないという事である.との意見が出された.

やってみせ
言って聞かせて
させてみせ
褒めてやらねば人は動かじ
~山本五十六~

山本元帥の言葉は教師側からの言葉であるが,ウォードの言葉と比べ見事に反転しているところが興味深い.
やってみせて,言って聞かせた(学校教育)後は,演習,つまりゼミ(高等教育)が必要なのであろう.
演習・ゼミとは教員と一緒になって研究することであり,そうした中でその分野の深淵を覗き込むことができるのではないだろうか.

※シラフな状態で思い返すと,極めてステレオタイプな考えだと反省している.


4.ファンクショナルトレーニングは怪しい
エビデンスの薄いトレーニングを推しすぎるとシッペ返しがくるかもしれない.
ただし,お金儲けのためには仕方ない部分もある.
やっぱり素人相手に「バランス」「軸」「機能」というワードはウケが良い.
適度に利用しよう.


以上

2011年11月20日日曜日

神戸マラソン

なんの捻りもないベタなタイトルをつけてみました.

今日は記念すべき第1回神戸マラソン.
うちの大学の学生達がボランティア・スタッフとして参加させてもらっているということもあり,その挨拶回りに朝から出かけていたのです.

実は珍しく朝寝坊してしまい,スタート地点の市役所前に着いたのがスタート時刻のギリギリ9時ちょうど.
三宮駅から神戸市役所までマラソンのごとく駆け抜けます.

関係者や学生が作業している場所はスタート地点の市役所前.
ところが,当たり前ではありますけどスタート地点である「市役所前」という所(交差点)の,それこそ市役所前は関係者以外立入禁止なんです.

スタート時刻のだいぶ前(昨日の予定では7時半くらいに現地到着予定だった)なら事情を説明し,お世話になっている関係者に一言お礼を言ったり学生の様子をスムーズに見れたのでしょうけど.
遅刻した自分が悪いわけで.
そんでも,諦め切れないのでここは思い切って突入することにしました.

悪気があったわけではないんですけど,スーツに手持ちカバン,それに持ち前のマジメそうな姿に警備員の人もすっかり騙されたようで,難なく通してくれました.
ダメだったんですよね.本当は入っちゃ.
「学生の引率にぃ・・・,」って言ったら「どうぞ」って.

そのエリアに入ったら,みなさん色分けされた「許可証」をぶら下げてて,私だけポツンと関係者外.
まぁ,関係者といえば関係者なのでしょうけど.

地下道から出て市役所の玄関へ.そして学生や知ってる人を探そうとしましたが,ちょうどランナーがスタートしたところでした.

せっかくなので,「どれどれ,ここがスタート地点か」とスタート地点の真横にズケズケと向かいますと,気がつけばそこは来賓者席.周りは要人の皆さんばかりだったようで.
どおりで人がポツリポツリとしかいなかったわけだ.

スタートのセレモニーが終わりますと,私の方に向かって「あ!」と叫んで向かってくる人達が.
「ゲッ,やっぱここに来ちゃまずかった?」と心配しておりますと,
「そこにおられましたか!」と私の隣のオッサンに駆け寄ります.
「ん?誰この人?」と思っていたら井戸敏三知事でした.
向こうからすりゃ,知事の隣に立ってる奴こそ「誰この人?」でしょうが.

TVとかでスタート・セレモニーなんぞみたら,それこそスタート地点脇にミスター・ビーンのように場違いな男が映っているかもしれません.
それは私です.
私はTVを見ないのでわかりませんが.


ようやく学生の面倒をみてくれている方にお会いでき,
「スタートは完璧に進みましたね!いやー,いい天気になってよかったですねぇ.学生はどうですか?ずっと探したんですけど会えなくて」
と,ギリギリに来たことを隠して陽気に振る舞います.

ゴミ拾いをしている学生をたまたま見つけて一言交わし
「じゃ!」
ということで,別の学生達が配置されている10km部門(クウォーターマラソン)のゴール地点に向かいます.


災難はそこで発生しました.
写真はその時に撮った須磨浦公園前のランナーたちの様子です.

学生たちを探していたのですが,全然見つからず,ここは諦めて帰ろうと.
が,一般人の交通が厳しく制限されている上にコースとフィニッシュポイントの地形上,ほとんど身動きがとれない状態になってしまったのです.

次に学生たちが配置されているフルマラソンのゴール地点に向かいたいのに,これではいたずらに時間が過ぎちまう.
しまった,先にフルマラソンのゴール地点にいっときゃよかった.と後悔しても後の祭り.

ゴールして爽やかな笑顔を振りまくランナーや,フルマラソンの10km地点を走るランナーを延々と見続ける趣味もない私としては,早く移動したくてたまらないわけで.
抜け道はどこだ!と焦り探します.

TVとかで須磨浦公園前のシーンなんぞ見たら,ランナーでもない男がスーツ姿で走る場違いな様子が映っているかもしれません.
それは私です.
でも,私はTVを見ないのでわかりませんが.


「どうすれば私は帰れるの?」と聞きますと,「あの山を越えるといいですよ」と警備員.
須磨浦公園の裏山を登り,そして下り.
下で走ってるランナーよりしんどいのではないかと.
でも,ここを源氏と平氏の兵どもが命を賭けて駆け回ったと思うと感慨深い・・,ことはないか.

結局,本気(マジ)で疲れたのでそのまま大学に行くことにしました.
ということで昼からは大学でお勉強.
このところ,ずっと学生の相手をしっぱなしだったので,溜まっている仕事もありまして.

来年もやるんですかね,神戸マラソン.
ジョギングの趣味はある私ですが,マラソンには興味無いのでどっちでもいいと思っています.
とはいえ,来年も開催されるのであれば,全力で学生を送り込んでサポートする所存です.

2011年11月12日土曜日

質問させる

前回の記事では,
毎回の授業で学生に一つだけ質問させ(授業にまつわることが主),それを出席カードの扱いとして回収.
次の週の授業にて,その質問&私の回答をA3両面コピーという形式で返す,という授業を展開していることを紹介しました.

質問の内容や質で点数をつけています.主観的な採点ですが,感想とかレポートも同じようなものですから構わないと考えています.
A3両面コピーも私なりのこだわりというか.実技の授業という事情もあって,A3用紙1枚であれば学生も紙を持ち帰るのが楽かな,という配慮です.こちらとしても配るのも楽だし.

この「学生に質問させ,それに点数をつける」というのは大学教員であり作家の森博嗣氏もやっており,氏のやり方は著書である『臨機応答・変問自在』に詳しいです.

今回はこの「学生に質問させ,それに点数をつける」という授業をなぜやっているのか?というところを取り上げましょう.

それは前任の大学で研究員(「助手」という名前だった)をやっていた時から感じていた,

大学生に “授業” をしても意味がない

そして,自分自身が大学生だった時に感じていた,

授業を聴くより自習した方が効率が良い

ということが原点です.

そんなわけで,自分が大学教員になってしまった時に考え込みました.
「意味のない授業をどうしようか」と.
大学教員は授業をしなきゃいけないことになっていますから,仕方ありません.
学生はお金を払って授業を受けているわけですから,それに見合ったものを提供しなければならないとも思いますしね.

大学の授業に意味を見出せないとは言え,全く無価値かと言えばそういうわけじゃないとも思います.
強いて言えば「きっかけ作り」という価値はあります.
と同時に,「きっかけ作り」にしかならないかな,と.

意味のない大学の授業に意味を持たせようと考え尽くした結果,
「学生の質問に回答する機会を提供する」という授業に至りました.

理想としては,授業中に学生からドシドシ質問が出て,それに私が回答しながら「そういう時はこうするんだ」と実技する授業ができたらいいのでしょうけど,遠慮深い学生たちはそんなことしません.
そうですね,ちょうど『これからの正義の話をしよう』で有名になったマイケル・サンデル氏のような対話式授業ですね.
それを質問・回答用紙の配布という形で具現化しているわけです.

「質問をさせてそれに点数をつける授業」が良いと考えている理由ですが,森氏も著書で述べている,

重要なことは答えることではない,問うことである.

ということ.

大学生になったら勉強は自分でやるはずで,しかも自習の方が効率がいいのです.資格試験対策,採用試験対策に精を出す昨今の大学であれば尚の事.
であるならば,大学教員が授業でできることは,

学生からの質問に答えること

だけなのではないかと.
むしろ,そこが大学の授業の価値ではないかと考えています.

社会に出ると実感しますが,与えられた問題を解決する力ってそんなに大事ではないのです.
それより大事なのは,「問題を見つける力」です.

「この問題はこのように解決しましょう」という能力よりも,
「それって問題じゃないですか?」と問う能力の方が重要です.

学術研究にしたって一緒で,テーマと研究計画を考えるところが一番難しくて,それさえ出来上がれば,あとは学生だけでもできちゃいます.

例えば,たいていの研究室では卒論のテーマは先生からもらいますよね.
学部生くらいであれば,その与えられた問題(つまりテーマ)をどう解決するかに苦心します.
でも,修士・博士くらいになったらわかりますが,テーマ決めや研究計画を練るのが一番難しいのです.
テーマや研究計画は,それまでの研究の経緯や解決方法の選定,得られる結果の価値や意義を吟味しなければいけないからです.

問題解決能力がある人が評価されているように思われます.
でも実は,一般的に問題解決能力があると言われている人ってのは,問題を見つけることができているからこそ問題を解決できていると言えるのです.


ところで,
高得点をもらえる質問とはどんなものか?ですが,前回の記事を見てもらえると,なんとなく分かってもらえると思います.

チョッと考えりゃわかること,そもそも無知によるもの,本人は知りたくてしょうがないのかもしれないが価値の低いものは低得点です.

高得点の質問というのは,回答者である私ならではの回答が引き出せているもの,明確に正解がないものです.
つまり,“本当に問題なこと” を質問できている質問を高得点にしています.
レポート課題とか論文のテーマになりそうな質問という事もできるでしょうか.

簡単そうで,意外とこういう質問をしてくる学生はいません.


まぁでも,「そんなこと言ったって,おまえの自己満足の授業じゃねぇの?」と言われかねないものですね.
でも,自慢話になりますが私の授業は学内でもトップクラスの学生満足度を誇ります.
学生満足度アンケートという代物を私は信用し過ぎないようにしてはいますが,学生が求めるものを提供出来てはいるのだと安心はしています.
以上,自慢でした.
  

2011年11月2日水曜日

私も「臨機応答・変問自在」

ちょっとブログの更新が遅くなりましたね.
科学研究費補助金の申請に手間取っており,ブログの方に意識が向きませんでした.
久しぶりです.

「スカイ・クロラ」の作者で有名な森博嗣氏が出している新書に 『臨機応答・変問自在』 というのがあります.

大学教員でもある氏は,学生に質問させることで出席をとり,その質問への回答を書いたプリントを返すという授業を展開しているとのこと.
この本は,そういった質問・回答のやり取りの一部を載せたものです.

実は,私も以前からこの形式の授業をやっております.
別に森氏がやっていると知ったから始めたわけではなく,このやり方の方が学生のためにもなるし,面白いだろうと考えているからです.

氏の教育哲学には全面的には賛成できないものの,いろいろと同意できる部分があるわけで.

重要なことは答えることではない,問うことである.

同感です.

というわけで,私の授業での質問・回答もここでご紹介しておきましょう.
授業はというと,保健体育の教員になるための実技です.科目名は伏せときます.

教員を目指す授業なので,そういった観点からの質問が多いですね.
回答文の最後にある数字は,その質問の点数です.1~4点で採点しています.

学生は「質問するのは大変」だと言っておりますが,回答する方は意外と楽しいものです.1クラス30人くらいなので,忙しい時にはちょっと大変ですけど.

授業の1~5週目くらいまでは意味不明な質問が散見されますが,少しずつわかってくるようで,後半になると鋭い質問も頻発するようになります.
この変化する学生を見るのが楽しみのひとつです.

では以下よりどうぞ.


Q.静かにしなくてはいけない状況で うるさい生徒に対してどう対応すればよいですか?

A.静かにしなくてはいけない状況なのですから,静かにさせてください.①



Q.バランスボールは,教員になった時,子どもに教えることってありますか?

A.文部科学省からの通達にはありませんが,指導してあげたら喜ばれると思います.②



Q.バランスボールが家にないときはどうしたらいいのですか?

A.家で購入してください.①



Q.私は背骨が1mずれているのですが,ストレッチポールを続けていれば,そのずれもなおりますか?やりすぎはダメですよね?

A.背骨が1mずれている,というのはどんな状況なのでしょうか?それに「背骨がズレている」という表現は様々な意味を含みます.スポーツ・体育専攻の学生ですから,もう少し専門的に状況説明してください. どんなものでもやり過ぎはダメですね.①



Q.レクリエーション時に気をつける事は何か?

A.たくさんあります.①



Q.他に,障害者向けのゲームってありますか?

A.あります.①



Q.教師になると大変ですか?

A.はい.①



Q.体育が嫌いな子にどうやって指導しますか?

A.体育が好きになるよう指導します.①



Q.老人の方が運動不足を解消するには,エアロビクスは有効ですか.

A.皆さんの文章に時々散見される「老人」ですが,この表現はあまり利用されません.「高齢者」と表記するほうが一般的です.
有効です.ただし,集団で行う場合は個人の体力差や動作の理解力を把握して行う必要があります.②



Q.ストレッチを2人以上で行なうとき,一応体が関係しているため,ある程度体格が同じような人と組んだほうがいいですか?

A.はい.②



Q.自分が授業を展開するときに,自分の指示と子供たちが自分で“考える”のは,どれくらいの割合が一番バランスがいいですか?

A.その授業で,あなたがどれくらい“考えさせたいか”によると思います.③



Q.教員採用試験は何をするんですか?

 A.教員を採用するための試験をします.地域によって違いがあります.あなただけでなく,教員を目指す割に教員採用試験で何をするのか調べていない学生が多いのが気がかりです.きちんと調べて大学の授業を受けてください.②



Q.ついていけず,しんどそうな生徒にどうやってやる気を出させますか?

A.ついていけず,しんどそうなわけですから,休ませるなどしてください.②



Q.授業でのり気でない子がいても,同じ内容の授業をしたら,やっぱりダメですよね?工夫してものり気でない子に対してどのように接したらいいでしょうか?

A.「同じ内容の授業をしたら」という意味が不明です.もう少し明確に質問してください.「工夫してものり気でない子」というのはどういう子でしょうか?①



Q.ごはんの後に運動するのと,運動のあとにごはんを食べるのはどっちがいいのですか?時間帯はいい時間とかありますか?

A.どちらでも構わないのですが,筋肉づくりのためには運動の直後に食べることが推奨されています.②



Q.将来,フィットネスの仕事をしたければ,フィットネスのバイトをした方が良いですか?

A.はい.間違いなく有利です.ただし,「有利」というだけで,「確実」ではありません.どんな仕事に就く上でも同じことが言えますが,「アルバイトをした」という事実だけでは意味がありません.そのアルバイトを通じてコミュニケーション能力やマネジメント能力,指導スキルをしっかり勉強することです.フィットネスのバイトでなくても,そのような能力が高まるところであればラーメン屋であろうがボランティアであろうが関係ないと思います.③



Q.教員になるためには,部活動は必要なのでしょうか.また,部を転部することはよくないのでしょうか?

A.部活が必要とか,転部が良くないという噂は私は聞いたことがありません.むしろ私の周りの教員志望者は,「いつ部活を辞めて試験対策に切り替えるか」で悩む学生が多かったような気がします.採用試験は4年次の6月~8月にかけて実施されます.教育実習の準備を含め,試験対策を練るとすれば3年次の10月くらいから始めているパターンが多いです.②



Q.授業をする上で,生徒(小学生・中学生)の安全面で考えて,どこを意識して気をつけていたらいいのでしょうか?

A.意識すべきことはたくさんあります.試しに,以下のことで安全に関わることを挙げてみてください.教場,対象の様子,服装,天候,用具,時間,あなた自身.状況によって様々ですよね.安全を確保するためのマニュアルは,有りそうで無いものです.完全にカバーすることはできませんが,それを求められることも事実です.指導者として不断の心構え(準備と即応力)が大事だと思いますよ.③



Q.子供たちの中に障害の子がいて静かにすることができなければどうしたらいいですか?

A.良い質問です.答えはありません.少なくとも私なりに“応える”とすれば,静かにできなくとも,できるだけ一緒に実施できるプログラムを考えて管理職の人に理解を求めます.学校の授業は1回だけのものではないし,規律正しく静かにさせることが体育教育の本質ではないと思っています.学校生活全体を通して,子どもたちが「善き国民」になってもらうことが大切だと考えています.手段は人の数だけありますので,自分なりの答えを見つけてください.④



Q.教員になるまでは,子どもがすきで指導をしたい.教員に絶対なりたい.って言う気持ちが必要だと思いますが,教員になった後,どんな気持ちが必要ですか.

A.教員になる前に持っていた気持ちを,いつまでも持ち続けることです.
あと,僭越ながら「子どもが好きで指導がしたい.教員に絶対なりたい」という気持ちだけでは教員になってほしくありません.もっと大事な気持ちがありませんか?今見つからなくてもいいので,もう少し自分の心のなかを探してみてください.④



Q.レクリエーションのような、なごやかなふんいきのときも きっちり注意しますか。

A.この質問がいつ来るのか首を長くして待っていました.この授業を受けてもらって考えてほしい重要なことの一つです.私であれば「きっちりと注意」します.しかし,この場合の注意の仕方(つまり,叱り方,怒り方というのでしょうか)は慎重に選ばなければなりません.と同時に,こうした注意の仕方を選べる教員になることが重要なことなのかもしれません.「言うは易く行うは難し」の典型的なテーマです.この紙面では伝えきれない部分ですし,大学で授業を受けたからと言って解ってもらえるものでもないのかもしれません.教員やスポーツ・運動指導者として永遠に考え続けなければならないテーマの一つです.④



Q.授業を受けるとき,先生は一番何を気にしながら指導していますか?

A.「授業をするとき,」でしょうか.
この授業に限らず,当初の(シラバスの)授業の目的を達成することを気にしています.以前は「楽しんでくれている」とか「ウケが良い」といった,その場の雰囲気を気にしていましたが,それは学生に迎合したことでしかありません.授業を受けた学生が成長してくれなければ意味が無いと思っています. 1回の授業でみなさんは何千円も払っているわけですから,その分の学びを提供しようと考えています.1回何千円も払って「授業を受けて楽しかった」では虚しいと思いませんか?何かと「高い」と文句が多いテキスト1冊よりも,たった1回の受講料の方が高いのですから.③



Q.質問がない時はどうすれば良いですか?

A.勉強してください.しっかりと授業を観察してください.普段から疑問をもって大学生活をしてください.私が皆さんから回答ではなく質問を書いてもらっているのは,問題を解く力ではなく,問題を見つける力を身につけてほしいからです.私は,良い回答ができる人よりも,良い質問ができる人の方が良い人材になると考えています.①


実際,鋭い質問をする学生は優れた学生であることが多いです.
でもこれ,秀才とか優等生とは違うんですよ.
頭いいのに,なんでこんな質問しか出せないの?という学生もいます.

このやり方は採点が主観に満ちますが,なんだかんだで有効な方法だと考えています.
   

2011年10月16日日曜日

Excelで多重比較まとめ

けっこう「Excelで多重比較検定するにはどうすればいいのか?」という記事を検索して読んでくれているようなので,このテーマに絞ってまとめてみました.

私のための覚書にもしておきます.

過去の関連記事を以下に示しておきます.

エクセルExcelでの簡単統計(対応のあるt検定と多重比較)

SPSSを購入するほどの余裕はなく,柳井久江 著 『エクセル統計』 が使っているコンピュータに入っていないけどExcelで統計処理をしないと,という場面に出くわした場合にご利用下さい.
多重比較用のエクセルのファイルを作っておくのもアリですね.


さて,
さっそく多重比較のやり方ですが,以前の記事にもあるように,各群で2群の比較検定を行ない,p値を出します.

A群,B群,C群,D群の4群であれば,
【 A×B, A×C, A×D, B×C, B×D, C×D 】
の6通りです.

以下に例として図を示しました.


2群の比較というのはパラメトリック検定であればt検定(対応のある/なし,等分散性のある/なし).
ノンパラメトリック検定であればマン・ホイットニーのU検定(対応のない2群)か,ウィルコクソンの符号順位検定(対応のある2群)です.
※ノンパラメトリック検定のp値をエクセルで正面から取り組んで出すのは難しいですから,統計ソフトを使うことになるかと思います.

※後日,どうしてもExcelでノンパラメトリック検定のp値を・・・,という人のために,
マン・ホイットニーのU検定(エクセルでp値を出す
ウィルコクソンの符号付順位和検定(エクセルでp値を出す
を記事にしました.ご参考までに.


で,こうして出したp値を群の数に応じて修正・補正していきます.

補正の方法には以下のものがあります.

1.ボンフェローニ(Bonferroni)の方法
=P値×組合数

p値に組み合わせ数(この場合6)をかけるだけです.
もっとも簡単なp値の補正方法です.

全部のp値を補正すると,以下のようになります.


2.サイダック(Sidak)の方法
p値に図のような奇妙な式を放り込みます.

=1-(1-P値)^(組合数÷1)

ボンフェローニの方法の改良版とされています.

以下をご覧ください.
ボンフェローニの方法と比べますと,【 A×D 】のところはサイダックの方法では有意水準5%未満が認められました.
ギリギリのところで勝負する時には心強い方法です.


3.ホルム(holm)の方法
この方法は,p値が低いものから順に補正していくものです.
まずは0.0079である【 A×C 】に6をかけて修正します.

次は,2番目に低い【 A×D 】に5をかけて修正.

その調子で,3番目は【 B×D 】に4をかけます.

さて,そんなふうにして4番目の【 B×C 】,そして5番目の【 C×D 】をやりますと,

以下のように,有意水準5%未満を満たさなくなりました.
というわけで,ここで終了です.
【 A×B 】の組み合わせに着手する必要はありません.

p値が小さい組み合わせから順に,かける数値を小さくしながら補正していく方法です.
かなり甘めに補正してくれるので,有意な部分が多くなります.


4.ライアン(Ryan)の方法
この方法はホルムの方法に似ていますが,補正をかけていく組み合わせの順番をp値の大小ではなく,平均値で決めます.
ということで,各群の平均値を以下に出しました.

【 C>D>B>A 】の順ですね.

補正していく順番は,4群であれば
1回目: 最大×最小
2回目: 第2最大×最小 & 最大×第2最小
3回目: その他
ということになります.

ライアンの方法は,補正する数値が群数と何回目か?で変わります.

その数値を導き出す式なのですが,数学や統計学がわかんない,という人のために日本語を多めにした数式をお見せします.
あんまりクールではありませんが,あしからずご容赦下さい.

=(群数×((群数-それまでの検定回数)-1)÷2

「それまでの検定回数」のところですが,1回目の検定であれば0ということで計算してください.


例であれば,まずは【 A×C 】です.4群なので6をかけます.

そのあとは,【A×D】と【B×C】.次は4をかけます.

あとはその他です.2をかけます.



ということで,4種類の多重比較検定を比べてみました.
0.05(5%)以下のところを赤く塗っています.

やっぱりホルムの方法が一番甘いようです.
まあ,うまいこと使い分けてください.


※最近,Tukey法とSteel-Dwass法による多重比較をExcelで行う方法を記事にしました.
ExcelでTukey法による多重比較
繰り返し数(N数)が異なる群を,Excelを使ってTukey法で多重比較する
ノンパラメトリック版Tukey法による多重比較「Steel-Dwass法」
Steel-Dwass法をExcelで計算する方法について,もう少し詳細に

こちらもご覧下さい.


※後日,こんな怪しいブログよりも信頼性が高いものに触れてもらうよう,
独学で統計処理作業をスキルアップさせるための本
という記事を書きました.参照してください.


エクセルや手計算で多重比較をしたい方は,以下の2冊がオススメです.
 

2011年10月13日木曜日

誕生日会

先日,学生たちが「どうせ先生は誕生日も独りなんでしょ」ということで,誕生日会を開いてくれました.
「祝ってあげるから,おごって」なんていう理不尽な要求ができるのも今のうちだから,と心優しく接してあげる私です.

誕生日会がコテコテの居酒屋ってのも初めての経験です.

全員に学生証を提示させ,年齢確認を実施した後,安心して開始です.
未成年と酒を呑んでいたとなると問題ですので.
しかも全員女子ですし.
危ない.

そんでもって,ラストはバースデー・ケーキが登場.
これはサプライズでした.

「これは私たちが買ってきました.ケーキ代は払わんでいいです」と優しいお言葉.
ありがとうございました.


7人で3万円か...
結構,羽ばたいていきましたね.


今回が初めてだったと思います.
自分とこの大学の学生と酒を酌み交わすのは.

同僚や友人と酒飲むのとは全然違いますね.
緊張感があります.まったく酔えません.

目上の先生方と飲むのともまた違った緊張感です.
気を張りつめた状態と言いましょうか.
あの先生方も,こんな感じで学生時代の私たちと飲んでいたんでしょうかね.
だとしたら,結構大変だと思います.
気が抜けないですよ.

お酒の席で大学教員が起こした事件をいろいろ聞いていますので,そんなことにならないように私は気をつけたいと心に誓った誕生日でした.

2011年10月9日日曜日

事実に基づく教育を

「“ゴルフやゲートボールといった生涯スポーツが盛り上がってきている” というデータを教えてくれないか」
と聞いてきた大学教員がいます.

困るんです.
こういう結論ありきの問いかけは.

この教員は以前にもスキャモンの発育曲線のことを聞いてきた人です.
ちったぁ自分で勉強しろよ,と思いますが,これが日本の大学教員の現実です.

別に民間の広告とかであれば許されるのでしょうけど(程度にもよるけど),まっとうな大学教育をしようという人間がこんなことでは困ります.

教育はとにかく中立であるべきです.
自分の想いや思想を反映させるものではありません.
今回は日教組だのDQN教師の話をしようとしているわけではなく,とにかく「事実に基づく教育をしましょう」というのがテーマです.

上記の問いかけをしてきたのは体育・スポーツ系の大学教員です.
体育・スポーツ系の学科の学生たちに,「自分たちの未来は明るいぞ.活躍できるステージがたくさんあるぞ」ということを教えたいがために,その事実(そんな事実はないが)を示したくって私に相談してきたのです.

まず,上記の件について事実確認をしておきましょう.
公益財団法人 日本生産性本部 編「レジャー白書2011」からの引用です.
図のように,残念ながらゴルフとゲートボールは衰退の一途をたどっています.
ゲートボールに至っては,そもそも繁栄したことがあるのか疑問です.ずっと地を這っています.
ついでにレジャーの大御所であるスキーも入れておきました.これも残念な状態です.
こういった現象はスポーツ系レジャーの典型例で,ほとんどの種目が参加人数を減らしているというのが事実です.

そんななか,逆に参加人数を順調に増やしているのがジョギングやトレーニングといった分野です.
「お金をかけなくて済む」「気軽にできる」「年中できる」「自分の成長がわかりやすい」
といった特長が考えられる種目ですね.

私の専門分野でもあるので,ちょっといい気分.
私もこれは肌で感じる部分でもあります.

最近はフィットネス系に風が来ています.
ただ,いつまで吹くかわからないのと,そんなに強い風ではないことが不安なところですが.
あと,いい加減な理論やめちゃくちゃなメソッドが蔓延している分野でもあるので,ぶり返しも怖いですね.

上記のこと,素直にその教員に話しましたが,「わかりました」との返事だけでした.

事実は時に痛みを伴うものです.

でも教育に携わっている者としては,学生たちにかりそめの希望を見せるよりも,事実をしっかり伝え,「ではどうすればいいか?」と考えさせる教育が必要ではないでしょうか.

なんとなくの印象やマスコミ情報を基に教育する大学教員,以外と多いものです.
たしかに授業準備などに時間を割くことが難しくなっている昨今の大学.簡単に学生たちを喜ばせるコンテンツに手を出したくなるところもあるのでしょう.

でも大学教育のプロとしての誇りを忘れてはいけません.

大学教員は “良いこと” を垂れ流す教育ではいけません.
それは学校教育でやることです.テキスト通りの教育,理想思想の教育,子どもに夢を与える教育.それは学校教育です.
大学教育はそうであってはいけないのです.

「王様は裸だ」と問い続けることが,大学教育のあるべき姿のひとつです.
     

2011年10月7日金曜日

凄い人をなくしたもんです

突然でしたね.
びっくりしました.

Apple inc. 元CEO スティーブ・ジョブス氏がお亡くなりになられました.

贔屓にしていた会社ですし,最近もMacBook AirとiPadを購入していましたので感慨深いものがあります.
このブログでもなんどか取り上げていた会社でした.
以下にズラーッと並べてみました.
Appleの対応
Appleよ
Appleよ part2
自分の中での約束を

私の恩師の言葉を借りれば,「持つことに喜びがある」のがAppleの商品です.

ただ,
ぶっちゃけて言えば,私はMacじゃなきゃダメだというタイプのこだわり人間ではないのです.
用途に応じて使いわけていくので,今のところ仕事する上ではWindowsが主力であることには違いありません.
なんで?と聞かれれば,大学で支給されるデスクトップPCがWindowsだから,というところです.

無駄にハイスペックなので気に入っています.
あと,SPSSが使える,Excelがキビキビ動く,不思議なフリーソフトがたくさん使える,というメリットがWindowsの良さですね.

Macでしかできない仕事が今のところないので,Windowsがメインになっちゃいます.
逆にWindowsでしかできない仕事がたくさんありますので.

でも,そのうちMacだけで仕事ができるようになるんじゃないでしょうか.
そんな予感がします.

SPSSもExcelもMac版があります.
最近は貧乏じゃなくなりましたから,不思議なフリーソフトを使って危ない作業に手を出さなくても済むようになりました.
ちゃんと研究費を使って正規ルートでいろいろ購入できます.
(そんでも,この違法感がたまらなかったんですけど.まぁ,立場が立場になってきただけに足を洗うことにします)

支給されているPCもお払い箱にしてMacに乗り換えられないかなぁ...と夢見ています.


魅力ある製品を生み出してきたAppleとジョブス氏.
Appleにはジョブス氏なきあともより良い製品を出してほしいものです.

と同時に,これからは日本純正ハード&ソフトのPCが出てくることを期待しています.
いつまでもAppleの製品を有り難がるのもどうかと思っていますので.
私がAppleの商品に浸りきれないのも,そういう気持ちがどこかに挟まっているからかもしれません.

とは言え,あまりにも偉大な人をなくしました.
それだけに,

がんばれ国産.

そういう想いを再確認させてくれたニュースでした.

2011年10月6日木曜日

福島原発事故について考えたこと

前回は原発事故について “思ったこと” を書いたので,今回は “考えたこと” を書きます.

前回は過激な内容で訴えたいことを羅列させてもらいましたが,今回も十分過激に提案したいことを羅列します.

以下に誤解を生む記述が出てきますが,今回もどうか落ち着いて一つの考え方として読んでもらえればと思います.


前回も取り上げましたが,逃げたほうがいいのに逃げない地域住民がいます.
私には到底理解できない心理なのですけど,逃げないんだから仕方ありません.いろいろな事情があるのでしょうし,そういう生き方も認めることが必要です.

さて,
今回発生した原発事故は人類の誰もが経験したことがないことです.
当然,人体にどのような影響があるのか,予想はできても実際のところ本当に予想通りになるのか解らないのです.

ですから,地域住民をしっかりモニターして追跡調査をしましょう.
汚染レベルもしっかり測定しましょう.
どれくらいの汚染レベルで人体にどれくらい影響があるのか,しっかりと実験できる格好の条件です.
またとないチャンスなので,逃げない住民の皆さんに感謝して隅から隅まで調査します.研究班は,長期間になるでしょうが総力をあげて観察するべきです.
被爆することについて同意は得られたものとして扱えますよね.逃げてないんだから.

不謹慎だ,と言ってきた人がいます.
でも,「不謹慎」 ということで状況を見過ごしていたら次に同じような災害があった時に,さらなる被害を虚しく見るだけになってしまいます.
私は「不謹慎」という言葉ほど後ろ向きで非生産的な言葉はないと思っています.
救えるはずの命を救えないようにしてしまう,人類にとって悪の言葉です(ちょっと言い過ぎた…).

倫理に欠けるのではないか?,住民を利用するのか?,と私に言ってきた学生がいます.
後者はその通りだけど,前者は違います.

例えば今回の件もそうですが,日本は地震の多い国です.この国で地震研究をすることは倫理に欠けることでしょうか?
地震によってどれくらいの被害があるのか?どれくらいの建物だったら大丈夫なのか?被災者の行動パターンや思考はどんなものか?
そういったことを地震が多い日本で調査することは悪いこととは思えません.
むしろ発生数が多いのでやりやすいでしょう.

ところが一方で,日本は地震が多いことがわかっており,それによって多くの日本人が被災することがわかっていながら,なぜ日本人を日本から強制移住させないのか?
と考えられなくもないですよね.

地震がしょっちゅう起きて何十年かに1回は何千人何万人という規模で大量死することが確実だとわかっていても,日本という地域を捨てる対策はしません.諸事情があって実行されていないだけです.

私が仮に地震がほとんど発生しない地域に住んでいる人間であれば,
「なんで日本人は逃げないのかなぁ.地震がない地域に住めば生き残れる可能性が高くなるのに.それでも国民を住まわせ続ける日本という国は倫理に欠けるのではないか?」
と考えてしまうかもしれません.
でも,当事者である日本人の私にはそうしない理由がやっぱりあるわけで.

今回の原発事故の件も同じです.
外の人からすれば逃げたほうがいいのに,と思うことであっても,やっぱり逃げない人がいる.
なので,言葉は悪いですが,そういった人達をしっかり測定調査することで,次に似たような状況があった時の参考資料にすることができます.

まったく健康被害がないのかもしれません.
逆に,目も当てられないほどの悲惨な状況になるのかもしれない.
どれくらいの汚染レベルで,どういった条件であれば,どれくらいの被害が発生するのか?それを調査することは人類にとって重要です.

次は別の国の原発で事故が発生するかもしれませんし,放射性物質が漂うところに住まなければならない事情が今後あるかもしれません.
そのためにも,福島県住民の調査は非常に大きな意味を持っています.


こんなことをここまで書いていて,ふと私の中に禍々しい疑念が頭をもたげてきました.
実は,国はその「実験」がしたくて,福島県の人達を強制移住処置にしないのではないかと.
日本国政府にそんな肝っ玉はないでしょうから,アメリカあたりから間接的圧力があって,内閣が操られているんじゃないこと.
これをいい機会に,今後の原発事故対策や放射線による住民への影響の度合を知りたいでしょうし.

ソ連のチェルノブイリでは,対処を完全にソ連が主導しちゃったから,重要なデータが公表されていない可能性があります.
ここ日本なら適当に隠蔽しながら,その実験ができるのではないかと考えられているのかもしれません.

意図的に逃していないのであれば,それはさすがに倫理に欠けると思います.
私が言うのは,あくまで本人の意志として逃げない住民を被験者にするだけですので.

ま,妄想ですけど.

2011年10月5日水曜日

福島原発事故について思うこと

この話題を取り上げることは意識的に避けていたのですが,やっぱり触れておくことにしました.

誤解を生む表現が以下に出てくるかと思いますが,どうか落ち着いて一つの意見として聞いてください.

福島原発事故について,私がおおいに疑問を感じている点をいくつか.

(1)なぜ原発周辺住民はパニックを起こさないのか?
パニックを起こさないからエラいね.というのではありません.
エッ!?何考えてんの?バカなの?死ぬの?という意味です.
原発事故が起きてんのに,そこに住み続ける根性が凄いです.
私ならすぐ遠方に逃げますが.
だって原発事故ですよ.半径数十キロ圏内が無事で済むわけないでしょ.
逃げたいのに逃がしてくれないんでしょうか?
だとすれば黒いスーツにサングラスをかけた男たちが住民を見張っているのでしょうかね.
サングラスをかけているので,きっと夕方あたりから見えにくくなるはずです.監視の目を盗んで早く逃げてください.

(2)なぜ汚染地域を立入禁止区域にしないのか?
住民がかたくなに住み続けたがっているなら仕方がないのですが,どうやら政府ものんびりしているので手に負えません.
国民・住民の命がかかっているのですよ.
危険だと考えられるところからは強制移住させるべきです.
「まだ安全な汚染レベルだから」などとふざけている場合ではないでしょ.
汚染が進んでいるところは,これから先どんどん汚染レベルが高まる可能性がある(ていうか間違いなく高まる)地域なのです.
今は安全なレベルでも,まだ原発から放射性物質が出続けている以上,いつかは限界を超えるんですから,そういった地域は問答無用で立入禁止にするのが真っ当な判断だと思うのですが.

(3)風評被害?
いやいや,汚染レベルが高まった地域で生産された農産物を流通させんなよ.
風評被害なんて言ってる場合じゃないでしょ.
いや,だいたいが風評被害が発生しないわけがないのです.
むしろ,風評被害を小さくするためにも,一切流通させないようにするべきだと思うのですが.
東北の生産者がぁ〜,とか言ってる場合ではありません.
全国の子どもがぁ〜,とか言う事態になってからでは遅いんです.
諦めることも肝心です.
国は東北地方の農家を手厚く慰めてあげてください.


8月には東北被災地ボランティアの引率をやったりと,被災の現場を間近で見てきた私としましても,被災者の方々がツライ思いをしていることは分からんでもないです.
でも,被災者の気持ちに配慮することを優先して,被害を日本全体に広げることがあってはいけません.

実際,この事故によって発生している様々な状況・現象が,“結果的にどうなるのか” ということとしては誰にもわかりません.
誰も経験したことがない事故だし,被爆量についても原発のテクニカルな部分も先が読めないのです.

つまり,今の状況が安全か危険なのか解んないわけです.
だけど,安全か危険かわからないんだから,安全だという方に賭けてみよう.というのでは笑えない冗談です.
私の感覚では,安全か危険かわからないのであれば,危険だという方で考えて手を打つのですけど,東日本の人々はなんか麻痺しちゃってるんですかね.

今回の事故を通して私が感じるのは,もう少し自分の感覚を信じて動くことも大事だということです.
原発事故が発生して,放射性物質がまき散らされ,現実として汚染レベルが高まっているのです.
なぜその地に留まるのですか?なぜ逃げないのですか?

なんだかんだで国が安全だと言っている.
きっとどこかの誰かがなんとかしてくれる.
そんなこと言ってても大変な事態は回避されるはず.
という気持ちがどっかにあるでしょ?

「国や東電は隠蔽せずに真実を出せ!」
などと責め立てる人がいますが,あれ,非建設的で無意味な要求ですよね.
だって隠蔽しているデータというのは,隠蔽したほうがいいから隠蔽されているのであって.
どれくらいヤバいデータだったら隠蔽してない「真実」として信じてくれるのでしょう.
「日本が終わります」というデータだったら,真実として受け入れてくれるのでしょうか.

別に隠蔽していないデータからして危険過ぎるのですから,素直にヤバい事態であることを汲み取ってほしいものです.

2011年10月1日土曜日

大学教員になってから

昨日は授業1コマ以外の時間をひたすら学生との会話に費やしました.
朝から晩までしゃべりっぱなし.ひっきりなしにドアをノックしてきます.
過去最大の研究室訪問数だと思います.

ある者は卒論のテーマ探し,ある者はテーマ決め,ある者は作業の仕方,ある者は文章の書き方.ぜんぶ私の学科の学生じゃないんですけどね.
アルバイト先の課題とかボランティア先の斡旋だとか,今後の大学生活への不安,なんてのもありました.


今年やる海外研修の詳細を聞きにきたのかと思ったら,そのうち雑談になって,来月が誕生日である私の誕生日会を皆でやってあげるなんて言い出して,「だからその時は先生おごってね」とかいって,祝ってくれるのかタカリにきたのか意図不明な奴もいます.

その時にちょっと話題になったのが,「学生との距離」というやつで,教員は学生とどこまで “仲良く” すればいいのか?というテーマです.
それを卒論のテーマにすればいいのに,とも思いましたが,これはまた別の学生にけしかけてみましょう.

例えば,こうやって研究室におしかけてお菓子食ってお茶を飲んでいく学生いわく,「mixiとかTwitterとかで先生と仲良くするのってマズいんちゃいますか?」 とのこと.
知り合いに教員とmixiしてる学生がいるそうで,別に問題が発生してるわけでもないんですけど,なんか “一線越えてる感” があるようです.

なら研究室に来てお茶飲んだり,誕生日会と称して教員と食事したりするのはOKなの?というところですが.
しかも私の研究室は故あってドアを開きっぱなしにできないので,女子学生との密閉空間になっちゃいます.そして,この話をしている目の前の学生は女子です.
「実際に直接顔を合わせてるから」とか「信頼感が違う」とかいうのですが.

私はmixiやTwitterなどのSNSも,使い方次第で学生との良いコミュニケーション・ツールになると考えています.
問題はやはり使い方で,ネットであろうと顔を合わせたコミュニケーションであろうと,同じような “態度” で臨むことが大事です.

例えばmixiにせよブログにせよ,過去の記事が記録され続けるというのは,ある意味でその教員の特性を知ることができ,信頼を得ることができるのではないでしょうか.

文章によるコミュニケーションならではの信頼性というものがあります.
文章は繰り返し読むことができます.リピート再生不可能な情報ではありません.これは口頭でのコミュニケーションを補完する部分もあるはずです.

どういう考え方の教員なのか?どういう行動をとっている教員なのか?
学生は教員のSNSでの発信内容と大学内での言動とを見比べることができます.

もちろん,見比べた上で見抜けない学生がいて「こんな先生だとは思わなかった」という事態になるかもしれませんが,それはSNSがなくても同じことだと思います.

あと,特定の学生とではなく,複数の学生を巻き込んでのSNS利用であることも大事かもしれません.
やりとりは複数の目がある前で行なわれ,実際に顔を合わせたコミュニケーションとの抱き合わせで進めていくことが理想的でしょうか.


ちなみに,東京の高校には自らを偽ってmixiで自分とこの生徒のコミュニティに潜り込み,そこで交わされる様々な危険な情報を得て生徒指導に役立てているサイバーな教師がおります.
例の伝説の教師です
「いやー,あいつらバカだからmixiでベラベラ秘密をしゃべってるんすよ」
なんて言ってましたが,
そもそも,そういうことにならないよう普段から不断の生徒指導をしてほしいと一国民として願うばかりです.


というわけで,朝にとりあえずパソコン立ち上げたけど,ほとんどいじらずに夜にはシャットダウンという状況.


でもまぁ,こういうのが大学教員らしくていいのではないかとも思っています.



少しずつ涼しくなってきまたした.
なぜか私はこの季節になると無性に焦燥感を覚えてしまいます.
誕生日が近づき,また歳を重ねることになるからでしょうか.

2011年9月27日火曜日

大学教員になる方法3

「2」の続きです.

これまでをまとめますと,
(1)研究業績や教育歴は多い方がいいけど,それで採用されるわけではない.必要最低限確保されていればいい.
(2)採用側(大学)のニーズにピッタリとハマる人物であることをアピールしなければならない.
(3)上記2つのことを知るためにも,大学の内部情報の収集が雌雄を決する(かもね).

といったことでしょうか.


今回は,具体的な細かいことをQ&A方式でとりあげます.


Q. そうは言っても研究業績が多い方が採用されるのでは?

A. 研究業績が多い人が採用された,という求人は元々「研究重視の教員を求めている求人」であることが多いので,結果的に並の人たちより研究業績が多い人が採用されているだけです(当たり前の論理だけど).
5本より6本,40本より45本の人が採用される,というようなスケールの競争ではありません.
業績やなんかで上位数名に絞ったら,あとはニーズにどれだけ合致している人物か?が争点になります.


Q. やっぱりコネ?

A. はい.
私も大学人になってから身に染みて感じていることなのですが,“採用する側として” も,やっぱりコネが必要です.
というのも,僅か1名の教員を採用するのに,どこの馬の骨とも知れない人を引っぱってくるよりも,「私が保証しますから」という内部の推しがあったほうが採る側としては安心なのです.
特に昨今の教育現場を見る社会の目は厳しいもので,教育者としての倫理や道徳,社会性を持った教員を採用しないと,何か問題を起こされたら大学は酷い目に遭います.
特に中・小規模の大学では,完全にオープンな公募は “やりたくない” のが本音ではないでしょうか.
格好がつく程度の業績さえあれば,あとは人間性などの部分をいかに確保できるか?が採用する側の考えです.


Q. では,コネをつくるには?

A. とりあえず仕事を頑張ることです.それしか私は知りません.
あとは,コネの作り方を解説した本などを読んでください.
仕事先や学会の飲み会に参加するのも大事です.
そこに就職口が落ちていることが多いです.


Q. ぜんぜん業績が無くても採用されたりするの?

A. はい.
特に,年齢が高くなるに従って多いのではないでしょうか.
よくあるのが「人脈を持っている」という採用.
ぜんぜん教育歴や研究業績が無くても,学科を立ち上げるにあたって,とか,大学が進めるプロジェクトなどで政治的なところを担当してくれる人は必要です.
議員や市長などと通通の人が誰かいないと立ち行かないですから.
よく「天下り」などと揶揄されたり,「意味不明人事」などと叩かれますが,実は採る側としては熱望している人材でもあります.


Q. 若いうちに採用されるためのコツは?

A. 周りの人たちを見ると,職歴がたくさんある人が採用されているのかも?という傾向を感じます.あくまで主観ですが.
一つのことをじっくりやってきた人よりも,若くてもたくさんの職を転々とした人の方が,大学の仕事をする上で何かと潰しがきく,と思われるのかもしれません.
なので,いろいろな仕事をバラエティ豊かにやってきたかのようにみせる履歴書づくりが大事なのかもしれません.
つまり,見る側にひっかかる釣り針を多く垂らしておくのです.


Q. では,採用に結びつく履歴書づくりのコツは?

A. うまくハッタリをかますことです.
でも,こういうのって就活とか転職とほぼ同じ感じだと思います.
よほど輝かしい業績があるわけでもない限り,魅せ方が大事です.
教育機関での生活が長く,研究畑でずっとやってきた人たちは自己アピールが苦手なようですので,自分でも恥ずかしくなるくらいの事を書いて丁度です.
とは言え,見る側が求めるものを書くように努めなければなりませんが.
それに,経歴詐称になるほど盛ってもいけませんし.
さじ加減が難しいですが...
ある高名な先生の言葉です.
「ウソ書いちゃいけないけど,ホントのことを書く必要もない」


Q. 他に採用されやすい人の特徴は?

A. これまでに書いたことと重複する部分もありますが,「異なる専門を2つ以上持つ」というのも聞きます.
フランス語が専門(学位をとってる)だけど,コンピューターもプロ並みに強い(学位はないけど),楽器が演奏できる(コンサートはしてないけど)とか.
ようは,その人に今後「大学の業務」をしてもらいたいわけですから,何かそれの足しになることがあればポイントは高くなります.
私の場合,専門とまで呼べないのですが「文章技術の指導経験がある」という経歴が功を奏し,「○○の授業を担当してもらえるかもしれない」ということで採用までこぎつけました.
専門外の部分がたくさんミラクルコンボを起こしてくれたのです.


※後日,
を書きましたので,こちらも参照ください.
         

2011年9月22日木曜日

大学教員になる方法2

「2」ということで,前回の続きです.

なかなか 「大学教員に至るまでの道」 がブログとかで話されることは少ないですから,ひとつのネタとして聞いてください.
大学教員を目指している人は参考にしてみてください.

今回はもう少し,“採用” に至るまでの “採る側” の身の内をお話ししましょう.
※ただし,これらは全ての大学にあてはまるわけでも,金科玉条の法則でもありませんので,あしからず.

前回お話ししたことをおさらいしながら,詳しく説明したいと思います.

採る側のニーズに合致すること.
これは我々の間では「タイミングが重要」などと表現されることです.
大学教員というのは採用人数がしっかり決まっています.
思いつきで2人も3人も採れるわけではないので,停年の教員がいてポストが空いたり,新しく学科ができるなどして出来たポストだったりに採用することになります.

もうその時点で大学側は「こういう人を採りたい」というイメージが出来ている場合が多いのです.
任せる業務や欲しい能力,性格や年齢といったことまでも打ち合わせ済みです.
それにいかに合致するか,が全てです.

大学教員はそれぞれ専門性があり,さらにその専門は細分化されています(専門バカとも揶揄されます).
そのポストで求められる専門性と自分の専門が合致しなければ,どんなに業績があろうと能力が高かろうと採用されることはありません.
これは学校と一緒で,理科の先生を採ろうとしているところに,国語の先生が応募しても無駄ということと一緒です.

出てくる求人や公募が,いかに自分の専門と合致しているか? で採用の可否が決します.
たまたま自分の専門と得意分野が合致したポストが出てくれば,労せずとも採用ということになります.

私も以前,業績とか教育歴がほとんどないのに書類審査を通ったことがあります.
え?こんな私でいいの?と逆に心配になりましたが,タイミングというのはそういうものです.
その大学側も人事で話し合ったかなにかで「え?こんな若僧でいいの?」ということになったと推察され,結局もごもごお詫びを言ってきて流れました.
後日談としては,その大学のその人事は無しになったようです(適切な人材が来なかったら無しということもありうる).

このあたりは大学教員を目指している人なら周知のことですし,一般にも理解されやすいでしょう.

しかし,採る側のニーズが決まっているなかで,それとは自分が少しハズレていたとしても,大ハズレでなければ逆転採用の可能性があります.
それこそが「適切な自己アピール」です.

いかんせん大学教員を目指してる人というのは学術的な研究生活をしてきている人が多いので,これまでの自分の研究業績とか職歴の輝かしさをアピールしがちです.
でも,前回も話しましたが,それは大学にとっては価値が小さいというのが本音です.

ようは,その研究だったり職歴がどのように大学のためになるのか,が大事で.
さらに言うなら,
大学側がイメージしている「こういう人を採りたい」に,いかにハマるか,なのです.

なので企業研究ならぬ大学研究が大事だったりします.
大学が求めている教員像とは?これからの大学の方針は?
といった内部情報を知ることができたら半分採用されたようなものです.

だからこそ,その大学に知り合いや先輩,友人がいる人は強いのです.
さながらOB訪問みたいなものです.おおいに活用すべきです.

具体的には,教育歴(具体的な内容),教育スタイル,人脈,性格(例えば改革派or保守派,派手or寡黙など)といったことや,その大学が進めようとしているプロジェクトに必要な能力とかを調べときます.

それに沿うように履歴書,業績書,自己アピール書類を作成すればOK.
余計なことは書かずに,求められる能力を推せれば 「あれ?この人は専門がちょっと外れてるけどウチで活躍してくれそうだね」ということになります.

あとで聞いたのですが,実は私がそうやって決まったのだそうです.
求人の専門とはちょっとだけハズレているけど,それを補完する部分をアピールできれば採用されます.

大学の仕事は教育と研究だけじゃないので,それ以外の能力が採用を決します.
小さい大学ほどそうだと思いますよ.


※後日,
を書きましたので,こちらも参照ください.
         

2011年9月20日火曜日

大学教員になる方法

現在,私の自宅の隣にある高速道路に自動車が全く走っていません.
あまりにも静かなもんで,何かあったんじゃないかとニュースを見ていますが,特に何もないようで.
その高速道路と交差するように走る新幹線の風を切る音だけが響きます.
ここ数十分,1台も走っていないのは流石に変なんじゃないかと思ってるんですが.

まぁ,静かだからいいけど.


さて,ここ最近はずっと飲み会だらけでして.
それも軽く飲むわけではなく,いずれもガブガブ飲む会です.
今日はやっとアルコール無しの夜になりそうです.

トドメは昨日の会.そのまま泊まって直接職場の大学へ.そんなんで今日は朝帰りならぬ夜帰りです.
そんなこともあろうかと,しっかり着替えを用意して参加しております.
でも,今日は一日中頭がボーッとしてて,職員さん達の話も右から左な状態でした.
あれ,さっきの人,何しに来てたんだっけ?てな感じです.

極めつけは午後から大学院の後輩(別の大学の非常勤講師をやってます)が学会発表資料の作成を手伝ってくれ,と言ってきまして.
今の私の脳ミソでは電話やメールじゃ対応しきれないと思って,私の大学に来てもらい一緒に作業することにしました.
働かない頭を無理矢理回し,なんとか形になるようこぎつけました.
やっぱSPSSは便利ですね.


そんで,その帰りに後輩と飯を食べながら話したのが「大学の教員になる方法」というものです.
彼も不安定な非常勤講師から常勤の大学教員になれるよう頑張っている一人ですので.
いろいろと話し込みました.


大学教員になるためには,業績(つまり論文の数)が多ければ損をしないのは周知のことですが,それ以外にどんなものが必要になってくるのでしょうか.

私自身の経験や,いろいろな大学人からこれまでに聞いたことを総合的にまとめてみたいと思います.

20代後半〜30代前半で大学教員になろうと思ったら,業績はその分野としてカッコ悪くない程度あれば十分です.
目安としては,大学院を修了した年から,年に1本ずつ書いていったペースくらいです.
修士を24歳で出た人であれば,30歳の時に5〜6本くらいだと思います.
その間,博士をとる人もいるかもしれませんが,業績の数としてはこんなもんのはずです.
ちなみに業績は学術論文だけじゃなく,著書も含まれることが多いですね.

だいたい,公募や求人には「過去5年間の業績を別刷で3〜5本出せ(コピー可)」というパターンが多いですから,そういう意味でもちょうど良い数だと思います.

ただ,ここからが重要で,業績(だけ)が多ければ多いほど採用に近づくか,と言われれば否です.
その求人が上で挙げた「業績を重視」する採用基準であれば,それこそ多ければ多いほどいいのですが,実はそういった採用基準のケースは稀です.

大学教員であっても普通,採用したい側のニーズに合致した人を採用します.
業績が多い人を採用したい,なんてニーズは普通ありません.

最近の大学は学生の教育に力を入れています.
業績が多いことは大学教員としての魅力も高いのですが,それだけというのも困ります.

小さい大学ほどその傾向があるように感じるのですけど,「問題を起こさない」「何でもやってくれる」「ちゃんとしてる」という部分が必要条件になるんではないかと.

30歳前後での大学教員の採用基準というのは,
研究をメインにやってもらうための「研究者タイプ」
と,
教育をメインにやってもらうための「教育者タイプ」
のいずれかですが,どちらも自己アピールの仕方が重要です.

どうしても大学教員ということで,「私のこれまでの研究」とか「私がこれからやりたい研究」の話でアピールしがちですが,実は採用する側としてはいたって興味薄なところなのです.
そうではなくて,「あなたを採用することで本学にどういったメリットがあるのか?」
が大事なのです.
当たり前ですが,その点に尽きます.

自分のやっている研究テーマや分野がどれだけ社会にとって,大学にとって重要なのか,を説くことは無意味かもしれません.

さしずめ一般の就活の面接などで,
「私は大学時代に野球部に入部してセカンドをやっていました.セカンドというのは重要なポジションです.セカンドにとって大事なことは全部知っています.誰にも負けません.」
なんていう自己アピールに,「そうですか.それが弊社にとってどんなメリットがありますか?」と聞きたくなるのと一緒です.

なにも野球部やセカンドがダメだと言っているのではありません.
アピールの仕方がマズいんです.
場合によっては引き合いに出す必要も無い物だということなのです.

ノーベル賞候補ものの大規模な研究プロジェクトに関わることでない限り,研究テーマで自己アピールすることは,大学時代のクラブ活動やアルバイトを自己アピールに使う就活学生と一緒になってしまいます.

自分がプロ野球選手になれるかもしれない,という学生であれば「野球」をアピールすることは必須なのでしょうけど.
同様に,ノーベル賞候補ものの研究プロジェクトに関わっている人であれば「私の研究」をアピールしなければいけません.

でも,大学教員の世界だからといって猫も杓子も「研究」が全てではありませんから.
自分がアピールできることを今一度練ってみる必要があります.

※後日,
大学教員になる方法「強化版」
を書きましたので,こちらも参照ください.
         

2011年9月12日月曜日

Excelで大量のデータを処理したいとき

今回はExcelで大量のデータを処理したい時のヒントを紹介します.
Excelでのデータ処理に慣れている人にとっては「そんなの知ってるよ」 「もっと便利な方法がある」というものです.

今までExcelは使ったことがあるけど,最近になって大量のデータを扱う作業をしなければならなくなった.
Excelを紹介したサイトとか書籍にあたっても,なんかイメージが沸かない.
という人を対象にしています.


例に出すデータは以下のようなものです.体力測定の結果ですね.
※以下のような見にくい画像は,画像をクリックすれば元の大きさで見れます.

私たちの分野ではよくあるエクセルデータです.
そして,できるだけ早く,かつ楽に処理したいデータでもあります.
じっくり向き合っていても何か返事が返ってくるわけでも,得するデータでもない,そんなデータです.

まずは上記のように,いわゆる “打ち込み作業” は終わっているものとします.


では,データ処理の開始です.

入力作業では上記のように1行目に項目名を入れてリストを作ることが普通かと思います.
そしてデータ処理にかかるのですが,ここで大量データを処理する際のヒントをひとつ.

例えば,以下のようにサンプルが10個くらいだったら,平均とか標準偏差なんかを一番下の行に入力することが多いですよね.それで問題ないですし.

実際,Excelの入力・操作設定としても,「一番下の行」 もしくは「一番右の列」に合計値や平均値を算出するようになっています.
これは当然といえば当然の設定です.
だって通常の数値表は,一番下と一番右に合計値や平均値を示すのがルールみたいなものなので.

しかし,何百何千という行や,数十の列を使ってデータを打ち込んだ場合は,一番下とか一番右の列に合計値や平均値を算出していたら画面を大きく動かさなければならないし,追加データがあるたびに合計値や平均値の算出セルを移動,作り変えをしなければなりません.
なので,以下のようにデータ表の一番上に作ってしまうのが得策です.


上部に7行ほど空けておき,
・平均値を示す「平均値(AVERAGE)」
・データのばらつきを示す「標準偏差(STDEV)」
・最大の値を示す「最大値(MAX)」
・最小の値を示す「最小値(MIN)」
・データが入力されたセルを数える「数値の個数(COUNT)」
などを入力します.
必要に応じて,最頻値を示す 「=MODE」 とか中央値を示す 「=MEDIAN」 といった関数を入れます.

細かいところですが,これらの関数の参照範囲はデータの1行目から65536行目,つまり最下の行までです.
以下では,「平均値」のところの参照範囲を例として示しました.見てみてください.
こうしておけば,途中でデータを追加しても関数の参照範囲を変更しなくても大丈夫,参照漏れ無しということで幸せになれます.


「平均値」 「標準偏差」 「数値の個数」 は統計処理としての数値という意味しか持ちませんが,「最大値 (MAX)」 と 「最小値 (MIN)」 についてはデータ処理としての作業としても便利な関数です.

以下の例をご覧ください.
学年のところの最大値が6,最小値には0が表示されています.
このデータ表は大学生の体力測定データです.大学生は4年生までしかないのに,こういう数値が入っているということは,入力ミスがあることを示しています.

バーっと見てわかる量であればいいのですが,効率的に入力ミスを探すには「フィルタ」機能を使うのも手です.
以下のように項目を入力したセルを選択し,
Excel2007であれば,ここにある「フィルタ」をクリックします.
すると,項目を入力しているセルがこんなふうになります.

例えば身長の入力なんかでよくあるミスは,小数点を打ち間違えたり打ち忘れたりするパターンです.以下のD列のように,1765cmとか1.711cmなんてことがあります.

すかさずフィルタを使って直しましょう.
セルの右端にある下矢印をクリックします.
昇順にすれば,

小さいものから順番に表示されます.おかしい数値を直します.


降順にすれば,
大きいものから順番に表示されるようになります.ありえない数値を直しましょう.


注意してほしいのは,この方法では “完璧に直せたという保証があるわけではない” ということです.
完璧に直すためには,データを入力した元の資料(例えば測定用紙など)と照らし合わせる確認作業をしなければなりません.

この方法を単独で利用する場合は,
(1) 緊急に必要なデータで,
(2) それほどの精度を必要とせず,
(3) なんかの適当な報告書のため
の処理として有用という程度です.

あとは確認作業を終えた後の,さらなる念押しの確認作業としても使えます.
小数点の位置とかは見間違うこともありますし.ヒトの目だけでは心配な時の最後の確認ですね.


画面をスクロールする作業をしていると,平均値とか最大値を見なおしたりするのに大変ですよね.
なので,今回の例であればB列8行目を選択しておいて,「表示」タブの「ウィンドウ枠の固定」のところの「ウィンドウ枠の固定」をクリックすれば,

以下のように統計算出セル群と整理番号の部分を固定して,画面を上下左右に動かすことができるようになります.
一番左側に注目してください.行が7行目で固定されています.
これは知る人ぞ知る超便利技です.


もとに戻したい時は,同じ「ウィンドウ枠の固定」のところを選択して「ウィンドウ枠固定の解除」をクリックすればOKです.
とりあえずはこんなとこでしょうか.
細かいテクニックというのは,こういった技の組み合わせとかバリエーションだったりしますので.
アイデア次第というところがあります.

他にも便利な技を思い出したら,また紹介したいと思います.


いよいよ卒論や修論を追い込みにかかる時期になりました.
頑張ってください!

2011年9月5日月曜日

ノンパラメトリック検定で多重比較したいとき

先日は台風が凄くて,大学の野外実習が中止になってしまいました.
残念そうな学生も多かったのですが,ずっと地味な宿舎に泊まってネットもできずの生活から解放された私は嬉しい部分もあったりで.


さて,前回からの続きです.
現在の(私が確認しうる限りの)SPSSでは3群以上のノンパラメトリック検定を行なった後に多重比較検定を行なう手順がありません.
SPSSはとても普及している統計ソフトですので,このソフトが持つ機能が統計処理の基準だと思われている節があります.
てっきりノンパラメトリック検定は3群以上での多重比較ができない,3群以上の比較は分散分析をしないといけない,と考えている学生や院生が多いようです.

今回はSPSSとExcelの両方を合わせて使って,ノンパラメトリック検定での多重比較をやってみます.


ノンパラメトリック検定(nonparametric test)というのは,t検定や分散分析といったパラメトリック検定(parametric test)とは違い 「母集団の正規性や等分散性を仮定しない検定」 のことです.

実験ではN数(対象数)が5とか,多くても20なんていうことがしばしばあります.
でも,こんな少数では母集団の正規性が認められることは少なく,最近では統計処理手法としてノンパラメトリック検定を薦める記述を目にすることが多いですね.

「母集団の正規性,等分散性」 なんていう意味不明なことは後で勉強しとくから,とりあえずノンパラメトリック検定での多重比較を教えてほしい,という人を対象にして以下に説明します.


例として取り扱うのは以下のデータです.
SPSS for Windows ver11.0を使用しています.

※後日,エクセルでもこの作業ができるよう,
クラスカル・ウォリスの検定をエクセルでやる
フリードマンの検定をエクセルでなんとかする
を取り上げましたので,ご参照ください.

クリックしたら画像が元の大きさで見れます.

これをノンパラメトリック検定の中にある「K個の独立したサンプルの検定」を選択すると,

以下のような画面がでるので,Kruskal-Wallisを選択して検定します.

すると,以下のような検定結果が出て,有意であることが認められました.
ここまでだと,3群以上のノンパラメトリック検定の一つであるKruscal-Wallisの検定により,有意差が認められるデータであることがわかっただけで,具体的にどことどこの群間に有意差があるかを検定したことにはなりません.
なので,多重比較を行なうことになります.

以前の記事ではt検定を用いた多重比較を紹介しました.
参考記事◆対応のあるt検定と多重比較

それと基本的には変わりません.
ノンパラメトリック検定であっても,2群比較を行ない,ボンフェローニ(Bonferroni)の方法でP値を修正をすればOKです.

SPSSにおけるノンパラメトリック検定での2群間の比較は以下のようにします.

※後日,エクセルでノンパラメトリック検定をする方法を記事にしました.
マン・ホイットニーのU検定(エクセルでp値を出す)
ウィルコクソンの符号付順位和検定(エクセルでp値を出す)
ご参照ください.
ここではMann-WhitneyのU検定を選択しました.そしてOKを押します.

それで検定結果はこんなふうに出ます.正確有意確率というところを見るんだそうです.0.690となっていますね.有意ではありません.

SPSSの 「2個の独立サンプルの検定」 はグループ化変数をひとつずつ変えてやっていかなければなりません.
4群なので,全部で6通りの組み合わせです.
それを全部やって,結果をExcelに貼り付けるんですが.
そのExcelに貼り付ける方法はというと,まずは以下のように 「検定統計量」 のところをクリックして四角い枠をつけた状態にします.
そしてコピー,
それをExcelの適当なところに貼り付けますと,以下のようにデータがExcelで扱えるようになります.
例では,縦方向に組み合わせ毎のP値をコピーしています.
ここでは最後の3*4の組み合わせをコピーし,あとの部分は邪魔なので消しました.
では,さっそくこれらのP値を多重比較のP値に修正しましょう.
まずは有名なボンフェローニの方法です.
D列2行目に以下のような式を放り込みます.

=B2*6

めちゃくちゃ簡単ですが,これがボンフェローニの検定です.多重比較する組み合わせの数をP値に乗じるだけです.
今回は4群なので6を乗じていますが,3群であれば3を,5群であれば10を乗じます.

これをオートフィルしてしまうのもいいのですが,今回はボンフェローニの検定以外にも,Excelで簡単にできるP値の多重比較補正を紹介します.

次はSidakの検定です.サイダックと読むんでしょうか.
数式は以下のとおりです.E列2行目に入れました.

=1-(1-B2)^(6/1)

ボンフェローニの検定の改良版ということだそうですが.
たしかにボンフェローニの検定よりはP値を甘く出してくるようです.
今回は4群なので,べき乗する値を「6/1」にしていますが,3群であれば「3/1」に,5群であれば「10/1」にします.

これをオートフィルします.


次はライアン(Ryan)の方法を紹介します.
ライアンの方法のメリットは,ボンフェローニやサイダックといった修正方法よりも群数が多くても有意になりやすことです.
オートフィルで一気に,とはいけませんが,比較的簡単に計算できるので便利です.

この方法は平均値の大きさで多重比較する順番を決め,その順番ごとに計算する際の数値を少しずつ変える,というもの.
まず,以下をご覧ください.
各グループの平均値を出しました.
グループ1,2,3,4の順で大きくなっています.

ライアンの方法では,平均値が最大・最小の群から多重比較を始めます.
「1*4」がそれに該当しますので,そのP値を修正する計算式を以下に示します.

=B4*6

次は最大・第2最小,最小と第2最大を比較します.
例では「2*4」,「1*3」に該当します.

「2*4」は,
=B6*4


「1*3」は,
=B3*4

最後に,残りの組み合わせを以下のように計算します.
画像は省略します.

「1*2」は,
=B2*2

「2*3」は,
=B5*2

「3*4」は,
=B7*2

ライアンの方法を使う上で重要なのは,P値に乗ずる数値です.
それは,以下のようにして決めてください.

=(群数×((群数-それまでの検定回数)-1)÷2

(群数-それまでの検定回数) という数学や統計学が強い人からするとクールではない表現をしていますが,ここが肝です.
1回目の検定であれば0ということで計算してください.

具体例がないとイメージしにくいでしょう.
例えば4群であれば,1回目の検定は,

=(4×(4-1)÷2
であり,P値に6をかけます.

2回目の検定では,

=(4×(3-1)÷2
で,P値に4をかけます.以下,3回目は・・・,と続きます.



これが3群の検定であれば,1回目の検定では

=(3×(3-1)÷2
でP値に3をかけ,2回目の検定では,

=(3×(2-1)÷2
なので1.5をかける,ということです.

どうしてそんな計算式なのか?というのは,ライアンの方法を紹介した書籍やサイトをみてください.
ここではあくまで,目の前にあるデータを処理したい人用のサイトですので,統計学としての解説はすっ飛ばします.


全部を計算して,ボンフェローニとサイダック,そしてライアンを比べてみました.


ボンフェローニよりもサイダックのほうがやや甘め.
ライアンはさらに甘めです.
「2*3」のグループの組み合わせでは,ボンフェローニとサイダックでは有意差なしと判断されていますが,ライアンでは有意差ありということになっています.

一気にバーっと計算しちゃいたいならボンフェローニとサイダック.
一個ずつでも,有意差を出していきたいならライアン,ということになるでしょうか.


もちろん,今回紹介したP値の修正方法はノンパラメトリック検定にしか適用できないわけではありません.
t検定による多重比較にも適用できます.
対応のある/なしも関係ありません.
Excelだけで多重比較したい場合はこれらを利用するとよいでしょう.

Excelで多重比較まとめ
に文字通りまとめましたので,こちらもご参照ください.

統計的有意にこだわらないのであれば,
効果量(SE:effect size)をエクセルで算出する

次回は,Excelで膨大な量のデータを計算する上でのヒントを紹介します.


※後日,こんな怪しいブログよりも信頼性が高いものに触れてもらうよう,
独学で統計処理作業をスキルアップさせるための本
という記事を書きました.参照してください.


エクセルや手計算で多重比較をしたい方は,以下の2冊がオススメです.