2015年6月9日火曜日

追記:自転車の取り締まり強化後,一週間

前回,
「自転車の死亡事故の状況がどのようなものか,その統計データがあれば紹介します」
と言って記事を書き終わったそのすぐ後に「そのデータ」を見つけました.
その時に追記するのが面倒だったので,今回ご紹介します.

前回記事■自転車の取り締まり強化後,一週間の続きとして見てもらえればと思います.
※逆に言うと,前回記事を読まないとイマイチよく分からないかもしれません.

とは言え,前回の図表を見ながら少しおさらいすると,
(1)自転車事故を含め,交通事故件数は全体的に低下している
※というか,自転車事故はもともと多くない.

(2)自転車事故は圧倒的に「対自動車」である
※それにたぶん,自転車側が死んでるはず.

(3)自転車事故は「安全運転義務」違反によるもの
※違反なしでの死傷者も結構多い.

 (4)自転車事故は「出会い頭の衝突」と,「右左折時の衝突」事故が圧倒的に多い
※こういうのって,きっと車道で起きてるはず.
※図表の説明は省かせてもらいました. 
といったところです.

なので,自転車を車道で走らせるような指導を徹底してしまうと,実は自転車事故が多発するようになるんじゃないか?という危惧があるわけです.
特に死亡事故のような重大事故が.

この点について,もう少し詳細に分析してみたいと思います.

では,自転車事故と一口に言っても,どんなシチュエーションで重大事故(死亡事故)が起こっているのか?
それを示したのがこれ↓
交通死亡事故の特徴及び道路交通法違反取締り状況について(警察庁)
で,それを基にして作成したのが以下のもの.

まずは自転車事故における,対車両事故類型別の死亡事故と負傷事故を出してみました.
ようするに,どんな接触で事故っているのか?ということです.
水色のバーが死亡事故件数,青色の線が負傷事故件数です.ご覧のとおり,両者は相関関係にあると言っていいでしょう.

自転車事故の対車両事故の類型別死亡事故件数と負傷事故件数(警察庁2014年)

ついでに,対人事故も見ておきたいと思います.
それがこちら↓
昨年は死亡事故は2件と非常に少ないので,例年の傾向をみてみるために,2011年からの4年間も一緒に出してみました.
自転車事故の対人事故の類型別死亡事故件数と負傷事故件数(警察庁2014年)
統計データからはあんまり状況が読めないですね.各自,気をつけましょうとしか言えない気がします.

次に,どんな違反によって死亡事故が起こっているのか,それを示したのが以下.
対車両事故類型と同様,グラフにしてみました.
緑色のバーが死亡事故件数,オレンジ色の線が負傷事故件数です.これもほぼ全体的な事故件数と死亡事故件数は相関しているように見えます.
特に負傷事故と同様に「安全不確認」による死亡事故が多いのですが,他には「一時不停止」や「運転操作不適(ハンドル操作,ブレーキ操作ミス)」といったものが重大事故につながりやすいことがうかがえます.

こうして見ていきますと,自転車事故のなかでも重大事故につながる状況というのがイメージしやすくなります.
それは交差点や曲がり角での衝突であり,一言で言えば自転車側からすると「どうせ大丈夫だろう」という思い込みで駆け抜けようとした時に起きるのです.
ただ,それは自動車側にも同じことが言えますが.

逆に,意外と事故発生数が少なく,しかも重大事故につながっていない状況というのが,自動車等との「すれ違い衝突」や「追い越し,追い抜き時に引っ掛ける」というものです.
お互いが並進している時には事故は起こりにくいのでしょう.

しかしながら,だからと言って「じゃあ自転車は車道で自動車と一緒に走らせても大丈夫なんだ」と考えるのは危ないと思うのです.

前回記事の結論の繰り返しになりますが,自転車が車道を走ることが当たり前になってくると,ほぼ間違いなく自転車の走行速度は上がります.ということは,出会い頭や右左折時の衝突における運動エネルギーも高まるわけで,結果,重症・死亡事故へとつながる可能性も高くなると考えられます.

しかもこうした事故における責任は,なんだかんだで自動車ドライバーの皆さんがその多くを負わされることになるわけで.

それに,「追い越し,追い抜き」時の事故は現時点で少ないとは言え,今後の取り締まり強化の状況次第では変化があるやもしれません.車道で自転車を追い越し,追い抜く機会は今後増加するのですから.

“自転車に車道を走らせる” ことは結局,自動車側に一層の負担を強いることになることを意味するのです.
ここらへんのことを考慮した法整備と取り締まり,インフラ整備が求められるところです.


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海外(オランダ)の自転車事情と関連付けて論じてみた記事です↓
「自転車は車道を走らない方が安全だろう」

この記事の前編です↓
自転車の取り締まり強化後,一週間