2016年5月7日土曜日

超便利:授業内レポート(小レポート,リアクションペーパー)作成のコツ

今回は学生用の記事です.ハウツーモノなので,そのつもりがない人が最後まで読むと苦労します.

大学の授業では,授業内レポートとか小レポートリアクションペーパーと呼ばれるものが課されることがあります.
たいてい,500〜1500字くらいでしょうか?
A4もしくはB5の用紙1枚,少ないものだとA5サイズの分量です.
授業内レポートといっても,授業時間を使った本格的なレポート作成課題のことを指しているわけではありませんので注意してください.

授業内で課されるため手書きである場合が多く,用意される時間(そのほとんどが授業の最後あたり)によって要求される量と質が決まると言っていいでしょう.

こうした授業内レポートは学生にとってかなり曲者で,提出すれば内容はなんでもOKというものから,授業期間に複数回提出するものが積もり積もって最終的な成績に大きく影響するものまであります.

ネット上や書籍で紹介されているレポート作成術の多くは,2000字以上〜1万字程度の長めのレポートを想定したものですが,短いレポート作成術を紹介したものは意外とありません.まぁ,需要が少ないから当然だけど.

私も非常に短めの授業内レポートを毎度の授業で課す教員の一人ですが,実は全てのレポートにしっかり目を通しており,そこで「あっ,この学生は賢いな」という評価をしていたります.
そういう学生は,何百人規模の授業であっても名前を覚えてもらえます.
それが最終的な成績評価や,何かの成績トラブルの際にいろいろ作用する可能性は無きにしもあらず.

特に,「リアクションペーパー」などと呼ばれる提出物だと,ついつい感想や要望だけ書いて提出するかと思いますが,そこに気の利いた小論を入れると教員の評価も変わってくるというものです.

そこで今回は,少なくない学生が気にしている,
「もしかすると重要かもしれないからホントは慎重に書きたいんだけど,結局いつも面倒くさくて適当に書いて提出してしまっている授業内レポート」
について,
このポイントさえおさえておけば低評価にはなりにくい
というレポート作成術をご紹介します.

“君” がこの記事をネットで見つけて開いている時点で,学力や学習意欲は察しがつきます.だからそういうつもりで書いています.
でも,以下に示してることは「ものぐさな学生のため」だけでなく,大学での学びにおいて重要なことでもあるので,これを覚えてもらって損はさせません.
※全てのレポート・論文作成の基本として必要とされるもの(テーマ選び,である調で書く,きれいな字で書く等)は省きますので,よりレベルを上げたいのでしたら本文末に示したものを参考にしてください.

(1)基本的なレポート構成はこれだ
君が死ぬほど勉強が嫌いな学生だったら,せめてこのパートだけでも読んでからブラウザを閉じてください.

いくら短いレポートであっても,大学教員に差し出す文章は以下の6つの構成にします.これに無理やり当てはめれば,君のレポートは劇的に変わります.

1.問題意識の表明(テーマみたいなもの)
  何について書こうとしているか表明するところ.既に教員から提示されている場合もある

2.自分の意見(仮説)
  掲げた問題についての自分の意見を書く

3.自分の意見を裏付ける根拠
  自分の意見を裏付けるデータや事実を書くところ

4.自分の意見を批判する意見
  自分の意見に反対する意見とその論拠を書くところ

5.自分の意見を批判する意見への反論
  「そうは言うけど私の意見のほうが正しいんだ」という文章を書くところ

6.再度,自分の意見または結論
  このような短いレポートの場合,自分の意見を再度書くくらいでいい

少なくない学生は,短いレポートだからってんで,「4」「5」を抜いてしまいがちです.代わりに,多くの学生は「3」だけたくさん書いてきます.ちなみに,新聞の社説も「3」をたくさん書くことが多い.だから新聞の社説を手本にしてはいけません.

短いレポートだからこそ,「4」「5」をしっかり書いてくる学生は光ります.特に,「5」を鮮やかに展開できるか否かで勝負がつくのです.
なお,理想を言えば「1」が最も重要ですが,それはあくまで理想.
とにかく初心者学生は,「4」「5」を必ず書くことを肝に銘じておきましょう.

それに,単なる授業後のリアクションペーパーであっても,以下のような内容だと思わず「!」となります.具体例として参考にしてみてください.
スポーツ・体育の座学授業を受けた後のリアクションペーパーの例です.もちろん【 】の部分は実際には書きませんよ.
【1.問題意識→】今日の授業では心肺持久力を鍛えるためには有酸素トレーニングを重視することが大事だということでしたが,長距離選手のトレーニングはそれだけではないように思います.
【2.自分の仮説→】心肺持久力を鍛えるためには,筋力トレーニングも必要ではないでしょうか.
【3.自分の仮説を肯定する意見→】私の友達は陸上部なのですが,走ってばかりではありません.以前,テレビ番組で長距離選手が腹筋運動などの筋力トレーニングをしていたシーンを見たこともあります
【4.自分の仮説を批判する意見→】たしかに授業では心肺持久力を重視したほうが良いという実験やデータが紹介されていましたが,
【5.自分の仮説を批判する意見への反論→】長距離走ばかりだとケガをすると聞いたことがあります.
【6.再度,自分の意見または結論】心肺持久力を鍛えるためには有酸素トレーニング以外も必要ではないでしょうか.
スポーツ・体育学を専門にしている教員にすれば「なんだか稚拙な内容だなぁ」と思われるものですが,それでも論旨はしっかりしています.
しかも所詮リアクションペーパーです.ポイッと読み捨てる教員もいるでしょうが,私ならこういう文章をリアクションペーパーで書いてくる学生には期待しますよ.だいたい,こういう感想文を書いてこれる学生は最後のテストの成績も高い.

それに,こういう文章を書く癖をつけていれば,いつかきっと化ける日がやってきます.
というか,それを鍛えるのが大学です.がんばってください.


(2)実は,問題意識を書く部分で全てが決まっちゃう
たいてい,授業内レポートの類は教員から「◯◯について書け」などと指示があるのでしょうが,自由度が高い場合は時間が許される限り練ったほうがいい部分です.
ですが,授業内レポートは時間的制約が大きいですから,適当なテーマを出し,あとは以下を書くことに注力しましょう.
「なぜそのテーマで書く必要があるのか,その理由」
をレポートの冒頭に短く明確に書くのです.
もし過去の授業内容や教科書内にそれと思しきものがあるようでしたら,担当教員はそのことについて触れてほしがっている可能性が高い.

仮に「現代の日本において民主主義はどのようにあるべきか」というテーマを与えられたとしましょう.
いきなり「私は民主主義はカクカクシカジカであるべきだと考える.なぜなら・・」などと書き出してはいけません.
この場合,「なぜ『現代日本における民主主義』を論じなければいけないのか」をまず書くべきで,それを書いてしまえば教員は大喜びです.
例としては「安保法制整備などで日本の民主主義が問われている」とか「タレント議員の乱立で日本の民主主義が問われている」などといったことをチョロっと書き,「だから民主主義の在り方を考えなければいけない」と大見得を切れれば上々のスタートです.

ただ,これは考えれば考えるほど時間を食います.ヤバいと思ったら早期撤退した方がいいでしょう.
でも,ここが最重要だということは憶えておいてください.

※後日,この部分を簡単に書くコツを掲載しました.
【問題意識の表明の書き方】超便利:授業内レポート(小レポート,リアクションペーパー)作成のコツ


(3)自分の意見は直感的に決めていい
授業内レポートですから時間がありません.予め考える時間があれば別ですが,いざ書く段になって「どんな意見にしようかなぁ」などと悠長なことは言ってられませんので,直感的に決めましょう.
本当は良くないのでしょうけど,レポート作成を学生に課すのは,理論を組み立てていく力を養う効果を狙っている側面もあります.
ひとまず,自分が「こうじゃないか?」と考えた理屈で進んでみるのも,今の君にとっては大事な訓練かもしれません.


(4)可能であればスマホや携帯を使って「数的データ」や「専門用語」を確認して入れる
自分の意見を表明したら,次はその意見を裏付ける根拠を示す必要があります.これは比較的イメージしやすいかと思います.
その際,ノートや配布資料,教科書などからその「論拠」を探すことが多いと思いますが,可能であればスマホなどを使ってしまうのも手です.
授業内レポートですから,スマホ使用の制限は緩い場合もあるのではないでしょうか?
大教室での大人数講義であれば,良い意味で使いたい放題だと思います.ゲームやLINEばかりやってないで,レポートのために活用すべきです.
特にリアクションペーパーの類においては,そうした一手間かけて客観性と専門性の高い記述が入っているだけで高評価を受けるものです.
これは以下の「反対意見の収集」にも効果的です.


(5)自分の主張とは反対の意見・見解を必ず入れて,それに反論する
レポート作成に限らず,私が初年次教育として大学1年生に必ず説くのがこれです.
君は,これを学ぶために大学に来ているようなものです.
そのためにスマホなどを使用することは無駄でも違反でも卑怯でもありません.

よく,「最近の学生は,すぐにスマホやPCで正解を探し出そうとして,自分で考えようとしない」などと言われます.
たしかにネットへのアクセスが容易になることで,その傾向は加速したかもしれませんが,厳密にはこれは間違いです.
昔だって自分で考えようとせず「書籍」や「新聞」から正解を探し出そうとする学生がいました.
両者は一緒.大卒のバカは昔からいます.問題なのは,ネットや図書館に「正解がある」と考えるこの態度です.

一方,高評価を受けるレポートは,「正解」をチョイスしたレポートではありません.タフな理屈を持ったレポートのことです.
タフな理屈とは,批判に強い理屈のことです.

自分のレポートがタフな理屈かどうか,それを示すには一つしかありません.自分の主張や理屈に反対する意見とその論拠を示し,それに反論してやるのです.
紙面と時間が限られているなら,むしろこの部分を集中して書くのもありでしょう.

例えば,「日本はもっと大学教育を拡充させるべき」という意見を表明したとします.
これには様々な反論がありますので,それを示すのです.
え? 思いつかない? だからスマホでネットを使って探すのです.
これを自分で練り出すことも大事ですが,それができないから悩んでいるんでしょ?

この例の場合,「大学教育の拡充」に批判的なキーワードで検索すればいろいろ出てきます.
すると,「日本には大学が多過ぎる」「予算の財源がない」「自立化が急務」「少子化」などのネット記事や論考が見つかるでしょう.
授業内レポートですから,その全てを取り上げる必要はありませんが,代表的な反対意見に反論する文章を作ります.

難しい?もちろん簡単ではありません.でも,それをやろうとするのです.なんなら,それに反論している記事を探してきて参考にすればいいのです.
それってコピペじゃないかって?
違います.こういうのはコピペとは言いません.
言うは易し.やれるもんならやってみてください.かなりの労力ですから.

敢えて言うなら,自力でレポート文章は書けません.いろいろな論考をツマミ喰いしていく中にあって,徐々に「真のレポート」を書く力がついていきます.最初から書けるなら大学に来る必要はありません.
授業内レポートに限らず,レポート全般で悩んでいる学生は,今はここに己の全エネルギーを集中しましょう.


(6)最後に
ここで紹介したのは,授業内レポートで低得点を取らないようにするための戦略です.高得点を取るためには,さらなる研鑽が必要ですし,一般的なレポート作成には向かないこともあります.

例えば,(5)で紹介した「自分の意見への反対論を書く」を誤用しないでください.これは自分の意見を押し通すためのテクニックではありません.
また,「簡単なレポートでは自分の意見への反対論を書く程のことはない」という人もいましょうが,逆に言えば,それが書かれているレポートは低評価されにくいはずです.

私がこの手法を強調するのは,自分の意見への反対論としっかり向き合い,それに反論しようとする癖をつけることによって,よりよいモノの考え方を身につけてほしいからです.
それらの反対論と向き合うことで,場合によっては「あれ? 俺の意見よりこっちの方が正しいんじゃないのか?」となることもあるでしょう.

授業内レポートの作成途中では方向転換の余裕もないでしょうし,もともと答えありきの問題が出題されたりします.
しかし,レポート作成で身につけてほしいのは,物事を批判的に捉える態度です.事実と事実,批判と批判をぶつけ合い,そこからより良いものを探しだすことが,大学での学びとして重要だからです.

一連の記事
自分の意見への批判とその反論の書き方
最終奥義(読むことをオススメします)

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