2012年2月9日木曜日

【やってはいけない】卒論・ゼミ論を1日で書く方法

この時期の大学はといいますと,いくつかの研究室のドアから
「今からでも卒業論文を書け.じゃないとゼミの単位出さないからな」
という怒声がこぼれてくる季節でもあります.

日本の冬の風物詩ですね.

「明日までだぞ!」
と言われてしょんぼりドアを後にした学生もいるかと思います.
そんな学生がこの記事をググって見つけていたりするのでしょうか.

以前,
卒論が終わったので紀要を書いてみた
でも紹介したように,その気になれば + 方法がわかれば卒業論文は1日でできてしまいます.

切羽詰まった学生は 「その気」 にはなっているでしょうから,問題となるのは 「方法」 ですね.

じっくり挑みたいのであれば,中田亨『理系のための「即効!」卒業論文術』とか小笠原喜康『新版大学生のためのレポート・論文術』などを参考にしてください.
少しだけ時間があるのであれば,後日記事にした,
危ない大学でもちゃんと卒論を書きたいとき
や,具体的な文章の書き方を示した
【やったほうがいい】卒論・ゼミ論をまずまずの日数で書く方法 その1
【やったほうがいい】卒論・ゼミ論をまずまずの日数で書く方法 その2
を参照してもよいでしょう.

さらに後日,やたらと学生が卒論でやりたがる「アンケート調査」の簡便な方法を記事にしました.
エクセルだけで統計処理する卒論・ゼミ論用アンケート調査のオススメ方 part1
(故あって指導教員から指導を受けられない場合は参考にしてください)

でも,1日で論文を書かなければならないうえに,

(1)今現在,卒論は全くゼロの状態である
(2)生理医学系,スポーツ・体育系の学生である
(3)ある程度寛大に見てくれる指導教員である
(4)卒論も大事だけど,今日の夜はコンビニのバイトがある

という条件の人は,以下の論文作成法に手を出してしまう可能性があります.

今回の記事では,
【絶対にこんなやり方をしてはいけない】という論文作成法を紹介します.
ただし,「なぜそれがダメなのか?」ということを取り上げるんだよ,という趣旨として読んでください.
あくまで「この論文の書き方は違反だ」という認識でお願いします.


この季節,
いろいろな大学で以下のような悪徳論文指導法が春の萌芽に先駆けチラホラ出現するので気をつけましょう.
これに水を撒くのはブラックな大学院生であることが多いようです.

数年前,関西の某体育大学には以下の方法を密かに(時に大っぴらに)学生に伝授する助手がいたようで,恐るべきことに彼は今,別の大学に移って教員をやっていると聞いております.

良い子は以下を読んでもマネしないように.

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世にはびこる悪徳論文指導の

まずはテーマ決め,そして緒言(序文)づくり.
今の今まで卒論に取り掛かっていない君は適当なテーマで構いません.そんな君が良いテーマを今から1・2時間で思いつくことはできません.
きっと指導教員も君のことをバカにしているので,適当なテーマでいいから出させて卒業に持ち込もうとしています.

何でもいいから,一般常識的に知られていないけど,簡単そうな課題を1つ出しましょう.
考えてはいけません.出すのです.

テーマ決めというのは本来非常に重要です.
着眼点が試されるところですので,ある意味,論文はこの部分で良し悪しが決まるといっても過言ではなかったのです(あえて過去形).

例としてここでは,「障害者スポーツの現状」ということにして進めていきます.

ポイント一つ目
●「~の現状」というテーマにする

「~の現状」という書き方やタイトルはかなり稚拙ではありますが有用です.
「体育教師の現状」とか「地域スポーツクラブの現状」,「交通事故とそのリハビリテーションの現状」というふうにもできます.

断っておきますが,「~の現状」という研究テーマで活動している優れた研究者はたくさんいます.君と一緒にしてはいけません.

「とりあえず本研究は現状の把握を目的としたので...,それで許して」
ということです.
もっと言うと,
「私はバカだし時間もないから...,それで許して」
という訴えを含んでいます.
己の立場と能力を,ここでは大いに利用するのです.

このテーマ決めですが,大きなテーマを扱ってしまうと,その道のプロである指導教員が絶句するような幼稚な論文になってしまう可能性があります.
卒業できればOK,と考えている君にとっては高度なテーマだと思っていても,その道の人であれば当たり前のことだったりするのです.

ということで重箱の隅をつつくような細かいテーマにすれば,指導教員から君の不勉強さ・無知さを指摘されることは少なくなります.
んがしかし,あまりに細かいテーマだと無知な君では作業に支障が出る可能性があるので,これにはサジ加減が必要です.

また,その現状をどのように解決すればいいのか?というところまで踏み込むと良い卒論になるのですが,こんな時期まで卒論を書いていない君にとってはリスキーな段階に踏み込むことになるのでやめときます.
なんてったって1日で終わらせねばならぬのですから.

テーマが決まれば次は緒言づくりです.

緒言の書き方を以前
この方法で…,「緒言でつまずいたとき」
でも紹介しましたが,これは正攻法(とも言えないが...)ですので無視.
書くのが苦手であろう君が1日で2万字くらいを達成しようとするわけですから.

そんなわけで,1日卒論作成法における緒言の合言葉は,
●困っている人がここにいるから助けてあげたい
です.
まるで民◯党の歴代総理がつかってきた言葉のようですが,バカな君にもピッタリなのです.

(1)困っている人とは誰か?
(2)困っている人はどんな人か?
(3)困っている人はどんな状況で困っているのか?
(4)困らせている要因は何か?
(5)その要因はどんなものか?
を緒言に書きます.

なるべく危機感を煽る内容で,同情を誘うようなものにしましょう.
でも,前述したように「ではどうすればいいのか?」というところには触れてはいけません.

あと,自分で文章を創作しようとしてはいけません.
4年間遊んで暮らした君にそんな能力はありませんので,真摯にコピペをします.

そのコピペ資料を探すことになるのですが,
数年~十数年前に書かれたもので,参考文献を明記,かつ多用している教科書的な本を何冊か用意する

これが最も重要.4年間ダラダラと過ごしてきた君の力であっても,それを最大限に発揮して,この “福音の書” を探してください.

さっきの例のテーマに沿うということで,ここでは私の本棚にあったこの矢部京之助 編『入門 運動神経生理学』をあげときますね.これは2003年に出版されたものです.
君にとってはオカタイ本の部類です.でもオカタイ本を引っぱり出しておけば,あとが楽です.

それをコピペします.

ここでのポイントは2つ
面倒でもこの段階ではインターネットからコピペしない
参考文献を使いながら書いている文章を選んでコピペする

緒言でも楽をしようとしてインターネットの文章をコピペしてしまうと,往々にして失敗します.
後述する本論のところと密接に関連するのですが,「~の現状」というテーマで書いている限りは,数年前(昔)に出版・刊行された書籍や論文の文章をコピペしましょう.

インターネットで出回っている文章は 「いつ書かれたのか」 という時期・時間がわかりにくいので,そんな配慮ができないであろう君は最初から手を出さないことです.
出版された年が特定される紙媒体のもののほうが,君にとっては安全です.

この説明を聞いて「“そんな配慮”ってどんな配慮?」という君の場合,詳細を説明するのが面倒なので黙って本からコピペしてください.


参考文献を使っている文章というのは,以下のような文章です.
文章の最後に上付き文字で 「 29)」 と書かれていますね.これが参考文献です.
この本の後ろの方にある参考文献リストに 「 29)」 がどんな参考文献なのか載っています.以下のような感じに.
この参考文献リストの29番が,上記の文章の基になった資料ということです.
この29番をそっくりそのまま,君の卒論の参考文献としていただくのです.

これを一般的に「孫引き」と言いまして,バレてはいけない悪徳行為です.
なぜかというと,この文章の著者である矢部先生の文章を盗んでいることになるからです.

ただ,この孫引きは簡単に自分の論文の参考文献を増やすことができる作業でして,悪徳論文作成法の主力とも言えます.

卒論は体裁が大事です.君の参考文献リストにズラッとたくさんの文献が並ぶと,「なんか卒論ぽいね」ということで指導教員もお喜びになるでしょう.そういうことです.

緒言の最後の言葉は,

~~~.
このように社会的関心の高い障害者スポーツであるが,2012年現在における状況を詳しく調査したものは少ない.そこで本研究は,2010年から2011年における障害者スポーツを取り巻く現状を整理し,障害者スポーツを発展させるための基礎的資料の作成を目的とした.

てな感じにしておきます.

基礎的資料” ってなんだ?基礎的じゃない資料ってあるの?
という疑問は結構鋭い着眼点なのですが,今はそんなところに構っている暇はないので次にいきます.

緒言が終わったので,今度は本論です.
ここ最近に書かれたもので,参考文献を明記,かつ多用している教科書的な本,および最新のXX白書を用意する

最新のものであるほど効果的です.
緒言において数年前~十数年前に書かれた本を用いた真価がここで出てきます.
上述のつながりとしては矢部京之助 編『スポーツサイエンス入門』2010年出版を使いましょうか(矢部先生すみません).

そして白書的な刊行物をここで最大限に活用します.
こういう刊行物は,図書館を探せばあるはずです.

例で言えば,内閣府より『障害者白書2011年版』が出ていますし,これはHTML形式で作成されていることも多いので,文章や図をインターネットからそのままコピペできます.
笹川スポーツ財団の『スポーツ白書』『スポーツライフに関する調査報告書』も有用です.

緒言で書いたこととつなげて「xxx年の時点ではXXだったが,現在はXXだ」という論調で書いていきます.
白書的な刊行物であれば,こういう文章自体を書いてくれていたりします.
謹んでコピペさせてもらいましょう.

もちろん,コピペ・孫引きした参考文献はしっかりとメモしておいてください.

もともとバラバラの内容ですから,文章のつなげ方や表現方法に少し力が必要になってきますが,1日で仕上げなければならない君は心配するだけ無駄です.

文章の始まりと終わりで矛盾やねじれが起こらないように気をつけてください.
まぁそれでも無理やり連結させます.場合によってはミラクルな名文ができるかもしれません(ほぼ無いけど).

さあ,最後は結論ですね.
結論は慎重な内容,または絶望的な内容で

ここまでくれば文章を書くのにも慣れて,しかもハイテンションになっているでしょう.
結論も大胆かつ希望に溢れた内容を書いちゃう人もいるかと思います.
しかし,それはやってはいけません.安易に希望溢れる内容を書いてしまうと,論文が非常にチープに感じてしまうのです.
ここはひとつ,慎重な,もしくは絶望的な内容を書いてみましょう.

斜に構えて絶望を語るだけで,なぜか人はクールで知的に見えます.

「“困っている人がここにいるから助けてあげたい” と書き始めているのに,なんで絶望的な内容を書いて,解決策を書かないのか」 ですって?

それは今までなまけて卒論を書かなかった君が言う台詞ではありません.
どうせ書けないんだから.

官僚・閣僚答弁風に言えば,“助けてあげたい” であって “助けてあげる” ではありません.
結論は “助けてあげたかった” ということにしておきます.
指導教員から 「これじゃレポートを長くしただけじゃないか.何でもいいから解決策みたいなものを書いとけ」 と言われた時だけ書きましょう.

4年間を適当に過ごしてきた君の頭だと簡単にファンタジーが出来てしまうかもしれませんが,世の中そんなに甘くないという趣旨の文章の方が評価されやすいものです.

これについて立場も弁えず「そんなの何か間違ってるよ!」と感情的になった君は,バカで無能ですが正義感はあります.そこは大事にしてください.うまくすれば将来きっと良い人になります.

結論を書く方法については以前,
で取り上げましたが,ここで紹介している1番と3番を参考にしてみてください.

最後に,以下を確認します.

参考文献リストの作成は手を抜かない
ここを適当にする学生が多いのですが,神は細部に宿るものです.手を抜いてはいけません.
なかには書籍や論文のタイトルだけを並べるバカ野朗もいます.
しっかりとページ番号や出版都市まで書いておけば,それだけで指導教員は納得する場合もあります.

指示された提出書式にしっかり合わせる
表紙や図表,目次など,「こういうふうにしなさい」と指示が出ている場合は,それをしっかり守ります.

フォントは明朝体で,フォントサイズも統一する
なかには行書体やポップ体で書いてくる不届き者もいますが,明朝体で書いてください.
ようはWordの一番最初の設定で書いてもらえればOKということです.
余計なことはしないに限ります.


これで完成です.
あとは指導教員のお許しをもらうための交渉をするだけです.
検討を祈ります.

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上記の論文作成方法は,切羽詰まったダメ学生が手を出しかねない1日卒論作成法です.
先生方におきましては,こういうことを学生にやらせないよう,しっかりと監督してください.

真面目な学生さんは絶対にこんなことはしないように.

後日,文章の書き方を掲載しました.
【やったほうがいい】卒論・ゼミ論をまずまずの日数で書く方法 その1

アンケート調査方法を適当に勉強したい場合はこちら.
エクセルだけで統計処理する卒論・ゼミ論用アンケート調査のオススメ方 part1


参考になる文献