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シン・ゴジラを見てきてしまった
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『シン・ゴジラ』を記事にしたことがあります.
■ゴジラの新作が出るらしい
■ゴジラと巨神兵
私は映画館で映画を観賞する質ではないのですけど,この度ブログで取り上げた作品ですし,せっかくなので今日は休みをとって池袋まで行ってきたのです.こういう感じで簡単に見に行けるのが都会のいいところかもしれません.
あらすじは既にいろんなサイトにアップされているでしょうし,ウィキペディアでも確認できました.
以降,ネタバレもあるので予めご了承下さい.
とは言え,何から何までネタバレするのもなんですから,特に「ゴジラなんて見ないよ」という人がこの作品を見ようと思うきっかけになる内容にしたいと思います.
見ることを決めている人は読まないほうがいいです.
感想ですが,非常に満足しました.
たまには映画館で観るのもいいですね.迫力が違います.
以前の記事でも「新しいゴジラに期待するもの」として触れていましたが,その期待通り,「まじめなゴジラ」をやってくれたと思います.
「少年《私》」はこれが見たかった!
よくわかんない超兵器を駆る自衛隊とか,なんだかわかんない敵怪獣と戦う「ぬいぐるみゴジラ」に猛烈な興ざめを覚えていたのが25年前の「少年《私》」でしたので.
中身としては,「東日本大震災とその原発事故」をベースに,「エヴァンゲリオンのヤシマ作戦」と「巨神兵東京に現わる」を混ぜたような感じです.
やっぱり今作の監督・庵野秀明にとっては「ゴジラ ≒ 巨神兵」でした.
以前,「ゴジラと巨神兵」という記事を書いたのですが,そこでそんなことを書いていたんです.ゴジラを巨神兵として描いてほしいなぁ〜って.
で,完全に巨神兵でしたね.今回のゴジラ.
さすがに日本全土を焼き払うことはありませんでしたが,もし今作の主人公たちの「ゴジラ凍結作戦」が失敗していたら,おそらくそうなったであろうことを匂わすラストでもありました.
ゴジラの尻尾からたくさんの巨神兵が生まれ落ちようとする描写が,そのラストシーンです.
このラストシーンについてはいろいろな憶測ができますが,続編が企画でもされないかぎり,これは庵野監督なりの「ゴジラ ≒ 巨神兵」を暗喩する遊び心だと思います.
私としても続編は期待しません.
今作のサブタイトルは「現実 vs 虚構」とのことですが,そのまんまでした.
まさに「ゴジラ東京に現る」です.
「巨大不明生物が関東平野に上陸してきた」するとどうなるか? っていうシミュレーションを綿密に描いてみせた映画だと思います.
第1作である1954年のゴジラは,今なら,
「おいおい,あんな怪獣が現れたら世界中の注目を集めるし,政府対応もそんなローカルなものじゃないでしょ」
って思わされますが,今作ではそれを丁寧に補完しています.
さながら,「54年ゴジラ補完計画」です.
あとは政治家や官僚・役人を本気にさせるとどうなるか,っていうところですかね.
「がんばれニッポン」みたいな雰囲気が漂うところがありますけど,そういう感じじゃないんですよ.
ここらへんはエヴァンゲリオンの「ヤシマ作戦」が該当します.
大きな目的のために動き出した組織は,まるで一つの生命体のように振る舞います.各部署の伝達は平時とは打って変わって迅速かつ繊細になり,不思議な協調性を持つようになる.それぞれが個体を構成する細胞や神経ネットワークのように.
ここに,社会的生物である「ヒト」,わけても「日本人」が覚える高揚感があります.
庵野秀明監督は,それをまず「エヴァンゲリオン」でやってみた.そしてきっと考えたはずです,これが現実の日本の役所を舞台として描けるのか? って.
それに,やっぱりゴジラは核兵器と核エネルギーをテーマにしていることを再確認しました.今作でもそれが濃厚に充満しています.
核エネルギーで動いているとされるゴジラは核廃棄物によって誕生した生物で,通常兵器では歯が立たないゴジラに国連は熱核兵器で東京もろとも焼滅させようとします.
それに対し日本政府は,ゴジラを血液凝固剤によって「凍結」させようと考え,その方法というのがゴジラへの薬剤経口投与なんです.福島第一原発事故を意識しているのは明らか.
そこで現れたあのポンプ車って原発事故で注水作業に用いたものですよね.
■国内最大の生コンポンプ車で原発冷やす(日経新聞)
そのポンプ車の写真がこれ.
最初は,
「なんでゴジラに経口投与なのよ?」
って思わされたのですが,このポンプ車が出てきた瞬間,5年前の緊迫した福島第一原発事故を思い出させられました.
作業員は,まさに決死の覚悟で注水作業に向かったのですよね.
ゴジラを凍結させる作戦は,このように描かなければならない理由があったんです.
最後に,この映画に登場するなかで最も有能な政治家は誰かっていうと,実はあの安穏のして無能そうな総理大臣代行(前・農林水産大臣)ではないかと思わされます.
頼りなさそうなに見えて,組織の長がすべきことは全てしている.めまぐるしく動く情勢のなかで,ゆく先々のことも考えて決断している.
「どこに判を押せばいいの?」ってセリフが,「日本の代表とはかくあるべき」ということを如実に示しています.
農林水産大臣だった人物だというのも,これまた意味深長です.
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私は映画館で映画を観賞する質ではないのですけど,この度ブログで取り上げた作品ですし,せっかくなので今日は休みをとって池袋まで行ってきたのです.こういう感じで簡単に見に行けるのが都会のいいところかもしれません.
あらすじは既にいろんなサイトにアップされているでしょうし,ウィキペディアでも確認できました.
以降,ネタバレもあるので予めご了承下さい.
とは言え,何から何までネタバレするのもなんですから,特に「ゴジラなんて見ないよ」という人がこの作品を見ようと思うきっかけになる内容にしたいと思います.
見ることを決めている人は読まないほうがいいです.
感想ですが,非常に満足しました.
たまには映画館で観るのもいいですね.迫力が違います.
以前の記事でも「新しいゴジラに期待するもの」として触れていましたが,その期待通り,「まじめなゴジラ」をやってくれたと思います.
「少年《私》」はこれが見たかった!
よくわかんない超兵器を駆る自衛隊とか,なんだかわかんない敵怪獣と戦う「ぬいぐるみゴジラ」に猛烈な興ざめを覚えていたのが25年前の「少年《私》」でしたので.
中身としては,「東日本大震災とその原発事故」をベースに,「エヴァンゲリオンのヤシマ作戦」と「巨神兵東京に現わる」を混ぜたような感じです.
やっぱり今作の監督・庵野秀明にとっては「ゴジラ ≒ 巨神兵」でした.
以前,「ゴジラと巨神兵」という記事を書いたのですが,そこでそんなことを書いていたんです.ゴジラを巨神兵として描いてほしいなぁ〜って.
で,完全に巨神兵でしたね.今回のゴジラ.
さすがに日本全土を焼き払うことはありませんでしたが,もし今作の主人公たちの「ゴジラ凍結作戦」が失敗していたら,おそらくそうなったであろうことを匂わすラストでもありました.
ゴジラの尻尾からたくさんの巨神兵が生まれ落ちようとする描写が,そのラストシーンです.
このラストシーンについてはいろいろな憶測ができますが,続編が企画でもされないかぎり,これは庵野監督なりの「ゴジラ ≒ 巨神兵」を暗喩する遊び心だと思います.
私としても続編は期待しません.
今作のサブタイトルは「現実 vs 虚構」とのことですが,そのまんまでした.
まさに「ゴジラ東京に現る」です.
「巨大不明生物が関東平野に上陸してきた」するとどうなるか? っていうシミュレーションを綿密に描いてみせた映画だと思います.
第1作である1954年のゴジラは,今なら,
「おいおい,あんな怪獣が現れたら世界中の注目を集めるし,政府対応もそんなローカルなものじゃないでしょ」
って思わされますが,今作ではそれを丁寧に補完しています.
さながら,「54年ゴジラ補完計画」です.
あとは政治家や官僚・役人を本気にさせるとどうなるか,っていうところですかね.
「がんばれニッポン」みたいな雰囲気が漂うところがありますけど,そういう感じじゃないんですよ.
ここらへんはエヴァンゲリオンの「ヤシマ作戦」が該当します.
大きな目的のために動き出した組織は,まるで一つの生命体のように振る舞います.各部署の伝達は平時とは打って変わって迅速かつ繊細になり,不思議な協調性を持つようになる.それぞれが個体を構成する細胞や神経ネットワークのように.
ここに,社会的生物である「ヒト」,わけても「日本人」が覚える高揚感があります.
庵野秀明監督は,それをまず「エヴァンゲリオン」でやってみた.そしてきっと考えたはずです,これが現実の日本の役所を舞台として描けるのか? って.
それに,やっぱりゴジラは核兵器と核エネルギーをテーマにしていることを再確認しました.今作でもそれが濃厚に充満しています.
核エネルギーで動いているとされるゴジラは核廃棄物によって誕生した生物で,通常兵器では歯が立たないゴジラに国連は熱核兵器で東京もろとも焼滅させようとします.
それに対し日本政府は,ゴジラを血液凝固剤によって「凍結」させようと考え,その方法というのがゴジラへの薬剤経口投与なんです.福島第一原発事故を意識しているのは明らか.
そこで現れたあのポンプ車って原発事故で注水作業に用いたものですよね.
■国内最大の生コンポンプ車で原発冷やす(日経新聞)
写真:日経新聞より |
そのポンプ車の写真がこれ.
最初は,
「なんでゴジラに経口投与なのよ?」
って思わされたのですが,このポンプ車が出てきた瞬間,5年前の緊迫した福島第一原発事故を思い出させられました.
作業員は,まさに決死の覚悟で注水作業に向かったのですよね.
ゴジラを凍結させる作戦は,このように描かなければならない理由があったんです.
最後に,この映画に登場するなかで最も有能な政治家は誰かっていうと,実はあの安穏のして無能そうな総理大臣代行(前・農林水産大臣)ではないかと思わされます.
頼りなさそうなに見えて,組織の長がすべきことは全てしている.めまぐるしく動く情勢のなかで,ゆく先々のことも考えて決断している.
「どこに判を押せばいいの?」ってセリフが,「日本の代表とはかくあるべき」ということを如実に示しています.
農林水産大臣だった人物だというのも,これまた意味深長です.
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