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マイナンバーカードを普及させる秘策|柴咲コウ,坂本龍馬,スカイウォーカー

マイナンバー制度を有効活用させないと,カードも普及しない


先日,種苗法改正問題について柴咲コウさんのことを取り上げました.
種苗法改正の件|柴咲コウの指摘は至極真っ当です

この人のことを調べていて,以前にも記事にしたことがある「マイナンバー制度」のことを思い出したんです.
今回はそのお話.


マイナンバーカードが普及しておらず,そもそもマイナンバー制度が機能不全になっていることが,今回の新型コロナ騒動における,一律給付金を支給する上で障害になっているとされています.

なので,これを機会にマイナンバーと個人の銀行口座を紐付けしておけば,対応が迅速になるのではと期待されています.
そんなわけで,あっという間にその流れが出来ています.
マイナンバーのひも付け義務化、1口座に 総務相方針 (日本経済新聞 2020.6.9)
高市早苗総務相は9日の閣議後の記者会見で、マイナンバーと預貯金口座のひも付けについて、国民1人について1口座の登録義務化を目指す考えを明らかにした。災害時などの給付金の迅速な支給に向け、来年の通常国会に関連法改正案の提出を目指す。高市総務相は当初、個人が持つ全口座の登録を目指していたが「希望者のみとする」として方針を見直した。

実際,マイナンバー制度の利便性が見えてこないと,国民の関心も信頼も得られないでしょう.
結果,カードも普及しない.

つまり,これまでは「行政が国民を管理するための制度」として認知されていましたが,国民の側にも得をするところがないとダメだと思うんです.

今回のような「給付金」をスムーズに支給するというのは,明らかに国民の利益として認知される事柄ですので,マイナンバーカードへの関心も高くなったのです.

それなら,他にももっとマイナンバー制度を有効活用できる国民の側のメリットを考えれば,マイナンバーカードの普及やマイナンバー利用につながるはずです.




氏名・姓名という制度は,既にオワコン


過去記事でも話題にしたことがありますが,マイナンバー制度を作った代わりに姓名制度を廃止してしまえばいいと思います.
っていうか,実質,マイナンバー制度によって氏名の意味がなくなっているのですから.

だから,賛否両論あるとされている「選択的夫婦別姓制度」についても,マイナンバー制度を使えば,即効解決できます.
選択的夫婦別姓制度を容認する人が増えているとのこと

「姓名の制度を廃止する」と聞くと,
「そんなことでは,日本の伝統が失われる!」
と反射的に考える人もいるでしょうが,そもそも,現在の姓名制度それ自体,とてもじゃないが『日本の伝統』とは言えない,西欧化・近代化の権化の一つです.
一説には,世界的に劣っていると考えられた日本の姓名制度へのコンプレックスから,西欧の姓名制度を取り入れたのではないかと言われています.

現在のように,全ての日本人が「名」だけでなく「氏(姓)」を持つようになったのは,1875年(明治8年)2月13日からです.
そんなわけで,2月13日は「名字の日」になっています.

1876年からは「夫婦別氏制」が敷かれていましたが,その後,1898年からは現在と同じ「夫婦同氏制」になりました.

ということは,日本の夫婦同姓という伝統も,実は1898年からの120年の歴史しかありません.
ときどき,「夫婦同姓は日本古来の家族・夫婦関係を表している」などという言説を見かけますが,もともと日本の伝統的には夫婦別姓です.
そもそも,氏・姓が無い庶民も多かったんだし.


日本の歴史と伝統に詳しい人は既にご承知のことと思いますが,明治時代以前の日本人は,自分の姓名を結構簡単に,事情や都合に合わせて本人が自在に決めていました.
ここらへんの詳細はウィキペディアを御覧ください.
名字(Wikipedia)

日本に限らず氏名・姓名,名字や名前というのは,個人の存在を特定し,その出自や身分,現状や立場などを,周囲だけでなく家族や自分自身に示すためのものです.


ところが,マイナンバー制度によってその意義は,実質上,失われています.
マイナンバーで個人が簡単に特定でき,「同姓同名」などの心配もありません.

むしろ,かつて私はマイナンバー制度には懐疑的でした.
マイナンバーが普及すれば「姓名」の意義がなくなっていくのではないかと思っていたからです.
しかし,よくよく考えてみれば,最初に登録した姓名をずっと使用し続ける意義もそんなに無いし,日本の伝統というわけでもない.
好きな時に好きな名前を使える方がいいでしょう.




既にマイナンバーで個人が特定できるのなら,「姓名」は本人の自由につけさせたら?


マイナンバー制度を取り入れた現在,姓名は本人の自由にできるという状態にあります.
あとは法律を変えるだけです.

逆に言えば,姓名には個人特定や出自を証明する機能は弱いわけですから,マイナンバー制度でしっかり管理してもらったほうが良いとも言えます.


先日の記事で取り上げた「柴咲コウ」さんですが,これは本名ではなく芸名です.
本名は非公開にして活動していますが,だからといって芸能活動はもちろん,実業家としての活動にも支障をきたしていません.
柴咲コウ(Wikipedia)

多くの人にとって,あの女性は「柴咲コウ」なのです.
誰も困らない.

もっと言えば,柴咲コウさんは他にも音楽家としては「RUI」とか「MuseK」という名前を使って活動しているそうです.

同じような芸能人は他にもたくさんいますよね.
お笑い芸人ではタモリさんやビートたけしさんもそうですし,アニメ監督の富野由悠季さんもたくさんの名義で活動しています.
TMレボリューションっていう例もある.


歴史的にみても,「坂本龍馬」という名前で有名なあの人物も,暗殺される直前は「才谷梅太郎」を名乗っていました.
坂本龍馬(Wikipedia)

近代化した日本人にそういう氏名変更の説明をするのが面倒だから,「坂本龍馬」で統一しているだけ.
同じことが,徳川家康とか上杉謙信,武田信玄などにも言えます.

かつての日本人は,その生涯において目まぐるしく氏名を変えていました.

私のご先祖様も,現在の姓になったのは400年ぐらい前のことです.
それまでは別の姓を名乗っていました.

活動内容や出るところに合わせて,自分の名前をいろいろ変えて工夫するというのは,実は少なくない人がやりたいことなのかもしれません.
むしろ,それが日本の伝統かもしれない.


もっと言えば,自分が気に入らない姓名を捨てることができたり,逆に自分の思い入れがある姓名を自由に名乗れる方が良いでしょう.
その方が,自分の人生をしっかり歩んでいけるようになるやもしれません.


【以下,映画『スター・ウォーズ』のネタバレを含むので注意してください】

例えば,スター・ウォーズ最新作である『スカイウォーカーの夜明け』(2019).
そのラストシーンにおいて,ヒロインの「レイ」が降り立った惑星タトゥイーンで出会った老婆に,
「あなた,お名前は?」
と聞かれた際,彼女は,
「レイ・スカイウォーカー」
と名乗って終幕します.

レイはスカイウォーカーの血も家もひいているわけではありません.
彼女は暗黒卿・皇帝パルパティーンの子孫ですから,彼女の本来の姓名は「レイ・パルパティーン」です.
しかし,それでも「スカイウォーカー」の姓を名乗った理由は,その名前を名乗って生きていくことが自分の存在意義だと悟ったからです.

銀河をまたいだドラマチックな経緯がなくても,自分の人生観と姓名を合致させて生きていきたいと考える現代人もいると思います.


もちろん,これは「自分の姓名は,自分が自由に決めなければならない」という制度にしようというわけではありません.
選択的夫婦別姓の議論と同じように,あくまでも「選択性」です.

さしずめ,「選択的姓名」でしょうか.
だから,親や保護者から与えられた姓名をそのまま使いたい人は,何もしなくていいんです.

それに,本名(かつての諱)はそのままにしておき,通称や活動名として複数の名前を使い分けることもできます.
こういうことは,マイナンバー制度だからできることです.

と言うよりも,マイナンバー制度がより普及してくれば,ほぼ間違いなくそんな時代が訪れるから覚悟しとくべき,と言ったほうが適切でしょう.




そんなことしたら,変な名前が増えるんじゃないか?|いえ,それはフィルタ機能を発揮します


名前を勝手に名乗らせるようにしたら,メチャクチャな名前が増えて大混乱になるんじゃないかと心配する人もいるでしょう.

それは大丈夫だと思います.
なぜなら,そのためのマイナンバー制度だからです.

本人確認は「姓名」ではなく,基本的にマイナンバー照合によって成される社会を目指しているわけですよね.
っていうか,間違いなく近い将来にそうなります.
であれば,その時には「姓名」なんてものは参考データ程度のものでしょう.

そういう社会ではマイナンバーカードは必須になりますから,カード普及を強力に後押しすることになります.
というより,現在のように「姓名」とか「本名」というだけで信頼性があると勘違いしている社会のほうが,なんぼかヤバいと思ったりします.


それに,変な名前,メチャクチャな名前をつける奴がいたとして,それは皆さんが困ることでしょうか?
私はむしろ,そんな事態にはならないと思います.

なぜなら,変な名前,メチャクチャな名前をつけるような奴は,それこそ「変な奴だ」と捉えられて損をすることが多いでしょう.
実際,非常識な奴だと思われる名前をつけていれば,常識的な考え方を必要とする職場や立場には就けないでしょうから,そういう意味では「バカ発見フィルタ」として機能するはずです.
「山田アホ太郎」「馬場鹿男」などという名前をつけてる奴がいたら,その名の通りバカでアホなのですから,書類選考で落とせばいい.

言い換えれば,常識的な考え方や無難な生き方を嫌うタイプの人は,自分の名前を工夫することで,自分自身を適切にプロデュースすることができます.
良い意味で「バカな生き方」がしたい人は,その人の自己実現をサポートできるはずです.


マイナンバー制度による姓名の自由化.
私は結構お気に入りです.


ちなみに,そんな制度になっても私は姓名を変えるつもりはありません.
今のところは.

あくまでも,諸事情あって「名前を変えたい!どうしても変えたい!」っていう人が実際にいるわけですから,そんな人にとって便利な社会を目指すものです.

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