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種苗法が改正完了したので,あらためてその危険性を考える

「農業競争力強化支援法成立(2017年)」「種子法廃止(2018年)」,そして今回の「種苗法改正」


昨日のブログで柴咲コウさんの話をしたので,せっかくですから,私がこの女優さんを知る「きっかけ」となった話にも触れておきたいと思います.

例の,完全無欠の売国政策のことです.
「完全無欠」という字がここまでピッタリな話も,世の中にそうそうありません.

なんせ,「愛国者」を自称する人たちこそが,こぞって賛成している法律ですから.
「もはやこれまで」とはこのこと.


2020年12月2日,予定通り衆議院を通過した「種苗法改正案」が成立しました.
その内容がかなり問題視されている法律改正.
一悶着あって先送りになっていたのですが,再度今国会で審議されて成立となったのです.

その「一悶着」に関与していたのが,あの柴咲コウさんでしたね.

本件についての,過去記事はこちら.


最近,YouTubeでもこの法律が成立したことについてテーマにしているものがアップロードされてました.
私の過去記事を読むのが面倒な人は,以下をどうぞ.


まずはそのタイトルが,
「種苗法改正の真実、なぜ賛成派が間違っているのか?|法律の中身をちゃんと見ろ!」
ということで,まさに過去記事で私が述べてきたことをそのまま語ってくれています.

これを語ってくれている藤井聡先生は,結構影響力のある学者であり評論家の方なので,なにかしらの世間の反応に期待したいところです.



他のYouTube動画でも,その危険性を説いているものがあります.
こちらは,ジャーナリストの堤未果さんが投稿した動画です.




種苗法改正の何が危険なのか知りたい人は,動画だけじゃなく,漫画でも勉強できますので,こちらをどうぞ.
この作者の方は,種苗法の危険性を知らせるために著作権フリーにしていて,コピペ自由だと言ってます.



現在値や平均値で語らないでほしい


この法律改正に賛成派の人の中には,
「現状,登録品種は少ないし,平均的に見れば影響を受ける農家の割合は小さい」
といったことを言う人がいます.

しかし,そういう物言いって現状に即していないんですよ.

まず,こういう法律ができることによって,登録品種を使ったビジネスや工作が活発になります.
今は影響が少ない・小さいのかもしれませんが,今後この法律を利用しようとする人は増えるわけです.
そのなかには外国企業や外国政府も含まれますし,含めることを促進するための法改正になっているんです.

もちろん,種苗法改正だけでそれは達成できません.
その効果を最大限にするため,2017年に「農業競争力強化支援法」を成立させ,2018年には「種子法廃止」までしています.

種苗法改正だけを見てると,
「外国企業や外国政府が入りやすくなるとは言えない」
と思うかもしれませんが,それまでの経緯が明らかに売国の流れなんですね.


それに,上述した藤井先生のYouTube動画でも触れられていますが,この法律の影響を受ける農家の割合は「平均値」で見れば小さいのかもしれませんが,業界によっては極めて大きな影響を受けるのです.

もうここで正直に告白しておくと,私の業界もそのひとつなんです.

つまり,登録品種だけで100%市場が出来上がっていて,多くの農家はそれを自家増殖させて商売をしているんです.
もし登録品種の権利者・企業が「これからは利用するたびにお金をとるよ」って言われると,そりゃもう莫大な利益が出る一方で,中期的には破産農家が次々に出ます.
念のため事業の詳細は公開できませんが,うちは年中栽培・収穫をし続けるタイプの工場型農業なので,それらが自家増殖が禁止されてしまうと,とんでもない事態が発生します.

私が種苗法改正に反対しているのは,実際のところ私自身の業界が危険だからです.

現在のところ,種苗権利をもっている企業は「ロイヤルティだけ払ってくれれば,現在のままの方法で済むようにする予定」と言ってくれていますが,今後は分かりませんよね.
なんせ,私たちのライバルは「中国産」ですから.
中国って,広島とか岡山あたりのことじゃありませんよ.
あの「中華人民共和国」です.

ちなみに,中国産のものは摩訶不思議な方法で栽培され,正体不明の薬品で漬け込んで,激安価格で輸入されています.
かなりヤバいので私たちは絶対に食べませんが,日本人の多くがモグモグしているので将来が怖いですね.

そういう業界って,他にもいっぱいあるわけ.
登録品種の割合が小さいから問題ないっていうのは,平均値だけのこと.
登録品種だけで市場が出来ている農業においては,いきなり国内生産者が壊滅する場合だってあるんですよ.
そういうの,考慮されているんでしょうか?


あと,
「種苗の権利者が守られることは大事」
っていう意見もあるんですけど,これも農業のことをちゃんと分かってない人の意見です.

農業や種苗というのは,工業製品とか情報データとは全然異なる性質を持っています.
というのも,一部のものを除き,種苗というのは「保存」がきかない,または極めて困難なのです.
ですから,ある一つの種苗を守るためには,その種苗を持っている人がこれを栽培し続けられる状態になければいけません.


分かりやすい極端な例を一つしましょう.

例えば,日本で人気の登録品種の「イチゴA」があったとします.
これが美味しくて,日本の農家や種苗権利者は順調に商売ができていました.

そこに戦略的悪意をもったC国の勢力が,イチゴAと同等の味と栽培効率を有する「イチゴB」という苗を開発し,登録品種として日本国内で販売することにしました.

その際,イチゴAの苗よりも,遥かに安い価格で農家に提供したとします.

すると,イチゴAよりも販売価格の安いイチゴBが市場に出回るようになります.
当然,イチゴAは売れなくなります.
イチゴ農家のほとんどは,使う苗をイチゴBに切り替えないとやっていけなくなるわけです.

そうなると,イチゴAの苗を使い続けようとする農家はいなくなり,イチゴAの種苗権利者もその苗を作るのをやめることになります.

するとC国は突然,手のひらを返したようにイチゴBの苗価格を吊り上げるわけです.
実は,C国はそれまで赤字状態で日本にイチゴBの苗を提供していたのでした.
そして,ライバルであるイチゴAの苗がこの世から消えたところで,イチゴBでボロ儲けしようという魂胆だったわけです.

それに気がついた時には,もうイチゴAの苗を復活させて,安定供給するのは困難になっている.

・・・という事態だってあり得ます.


もちろん,上記のような分かりやすいストーリーはそうそう無いでしょうけど,これに類似した状態が,そこかしこの業界で発生する可能性があるわけです.
例えば,あからさまにC国産の苗だと公表することは避けて,C国の傀儡である国内農業企業にそれをさせたりするかもしれませんね.

種苗法改正に反対している人たちが恐れているのは,そういう未来なのです.

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