注目の投稿

教員免許更新制をやめたと思ったら次は「免許なしでも教員になれる」って言い出したのでマジでホントに勘弁してほしい

ここ十数年ほど免許更新させてたら学校の先生が減ってきて困ったので,免許なしでいいから教員を募集しなさいってそんな虫のいい話があるかい! っていう話題


さっきこんなニュースを見かけました.
教員免許なしでもOK…教員不足で文科省が緊急通知「特別免許制度」(ヤフー・ニュース|FNNプライムオンライン 2022.4.26)
文部科学省が行った調査では、去年5月時点で全国の小中高校などで2000人以上の教員が不足している実態が明らかになりました。
末松文科相は先週の会見で、教員不足について「依然として厳しい状況にある」と話し、1人でも多くの教員を確保するため、特別免許制度を積極的に活用するよう全国の教育委員会に緊急通知したことを明らかにしました。
特別免許制度は去年審査の基準が緩和されオリンピックなどの国際大会での経験や博士号を持っている人は経験や専門的な知識を活かし教員として指導することができます。

日本の行政と,教育への視線が末期的であることを如実に表す事態です.

結構小さな話題として扱われてますけど,実はとんでもない無茶苦茶なニュース.
「恥を知れ」とはこのことですね.


もともと,かねてより,
「教員免許がなくても教壇に立てるシステムがあってもいいのではないか?」
という動きがあったんです.

ただまぁこれってのは,ようするに,コネや人気のある人が「学校の先生」という立場になれる仕組みがあれば,いろいろと悪用して利益をあげたがっていた人がいたんですよ.

今回の件であれば,オリンピック選手のセカンドキャリア・再就職とか,ここ20年間ほど大学院と博士課程作り過ぎちゃったことで高学歴ワーキングプアに喘いでいる人を処理したいっていう思惑があるのです,きっと.

しかし,これまで「教員免許更新制」というトンチンカンな制度が走っていた手前,しかもあれは教育改革推進界隈に人気のあった安倍晋三首相の肝煎り政策だったこともあって,最近では「教員免許がなくても先生になれるシステム」についての議論は下火でした.

でも,免許更新制はあんな感じでめでたく崩壊しました.
というわけで,今度は「免許なしでもOK」っていう話が満を持して躍り出てきたわけです.

狂ってますね.


とりあえず,なんらかの特殊能力があれば「学校の先生」にはなれるだろう,っていう日本人の認識レベルが半端ない.
なんせ,元ヤンキーであっても極道であっても,暴走族でも魔女でも「学校の先生」として活躍できると信じているのですから.
オリンピック選手や博士号取得者がなれないわけがない,って思ってるんでしょう.

こういうのは,昔から「金八先生の見過ぎ」と言ってバカにされて笑いものになっていたはずなのですが,いよいよ笑ってられない事態になりました.

ご案内の方も多いものだと,元ビジネスマンとか企業経営者なんかを,教員や校長・管理職にすれば,きっと,“実社会を知らない世間知らずの教師” を押しのけて活躍してくれるに違いない,っていう幻想のもと作られた仕組みがあったじゃないですか.

あの失敗を見てもまだやろうっていうんだから,懲りないというか何というか.


誤解してほしくないのは,別に「オリンピック選手や博士号取得者は学校の先生にはなれない」などと言っているわけではありません.
むしろ,こうした人達は是非とも教壇に立ってほしいというのが持論でもありますから.

ただ,教員としての資質を持った人を選ぶべきだし,小・中・高それぞれに適した教育能力をトレーニングしておく必要があるでしょ,っていう話です.
極めて単純なこと.


だいたい,教員が足りないってパニックになるのなら,まずはしっかり反省することが先です.
反省して,その責任がどこにあって,どういう経緯でこの事態になったのか,それをしっかり分析するべきで,その上で次の政策に取りかかってほしいものですね.

そういう肝心ところは「スピード感が大事」などと言って放置し,どうせそのまま放置しっぱなしになるのでしょう.
そんなことを続けてたら,いつまでたっても教育改善なんて期待できません.


さしあたって,教員が足りないのは「逃げられている/避けられている」からです.
そんな職場なのに,「免許なしでもOK」などと謳ったところで満足に募集なんかできないでしょう.
典型的なブラック企業の求人広告ですよね.

まずはその辺から考えてほしいものです.

コメント