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近況:農業のこととか,暮らしのこととか

ご無沙汰しております.
もう更新しなくなったのではないかと思っている人もいるでしょう.
半年ぶりのブログ更新となりました.

4年前から,のんびり過ごしたいと思って農業生活を始めたものの,やっぱりというかなんというか,世間の多くの個人事業主と同じく,せわしい活動をするようになってしまったのです.
で,ブログ更新に手を回す気分が恐ろしく低下し,現在に至っておりました.

けど,せっかくこれまで書き続けてきたものですから,気分一新あらためて書いていこうと思います.

今回は,前回からここまでの近況と,そこから考えさせられたことをお話します.

ネコが死んだよ

うちには2匹のネコがなついていました.
この2匹です.


その2匹のうちの白いオスネコが,春頃に亡くなりました.
名前はガリガリ君でした.
うちに来たときは体がガリガリだったので,ガリガリ君と名付けたのです.

原因はおそらく猫同士のケンカです.
ある日大ケガをして帰ってきていたので,病院で診てもらったりしていたのですけど,このガリガリ君は喧嘩グセがあるようで,せっかく治ってもすぐにボコボコにされて戻ってくるのです.

ガリガリだった時代は弱すぎてボコられることもなかったようですが,うちに来てからというもの,餌をたっぷり食べてマッチョになっていました.
その結果,どうやらこの土地の覇者となっていた時期もあるのです.
それらを記事にしたこともあります.

「俺って強いんじゃね?」と勘違いしたガリガリ君は,それから負けるようになってもケガをした状態でもケンカを続けてしまい,ついに致命傷を負ってしまいました.

遠くでフラフラになりながら歩いている姿を見たのが最後となり,それ以来いなくなってしまいました.

このガリガリ君,もう一匹のメスネコである三毛猫のミーを押しのけてでも膝の上にあがってくるなど,ものすごい甘えん坊でした.
特に「挟まれる」のが好きだったネコで,体全体を適度に圧迫されるのを好みます.
なかでもガリガリ君のお気に入りの状態がこちら↓

お腹を上にしながらモゾモゾ動いて,背中を私の膝と膝の間に挟まれるようにして潜り込むんです.
この状態になったら,気持ちよさそうに落ち着いた顔になって眠ります.

さらに脱力してくると,頭が後ろの方に倒れてきて完全無防備体勢になったりもします.

こんな呑気な性格ですから,ボスネコとして君臨し続けることも難しかったのですね.

それにしても,やっぱり悲しいです.
もう一匹のミーに比べると,ちょっと頭が弱いバカネコでしたが,それでも可愛らしさに差はありません.

ケンカが過ぎているなと思った段階で,外部との隔離生活に切り替えた方がよかったかもしれないと後悔しています.
うちに来ることで,ガリガリ君は幸せな一生を過ごせていたのだろうか? と考えさせられもしました.
たしかに,食うに困らず,甘えられる存在にも恵まれたのですが,それらによって命を短くした可能性もあるわけで.

あと,ガリガリ君からは,「足るを知る」とか「身の程を知る」ことの重要性を教えてくれた気がします.
いわゆる,「現状認識能力」の大切さですね.

で,私の話になります.
ブログ更新を全くしてなかった今年の夏ですが,その現状認識能力を鋭敏にしなければならない状態に突入してきました.


生産物が評価されるようになったよ

当初はのんびり過ごせればいいと思っていたものの,やっぱり資本主義社会,評価経済社会の波にのまれてきた今日このごろ.
私の農場でも,農協を通した一般的な市場出荷だけではない,特殊な販売戦略に手を付けるようになりました.

私だけが取り組んでいるわけじゃなくて,県や自治体の人との共同でやっています.
いわゆる,地場産品の価値や魅力向上に向けた取り組みというやつ.

これまでいろいろなことをやってきましたし,自治体の方々の熱心な協力もあって,実際のところ非常に順調です.
担当してくれている役場の職員さんも,結果がついてきているので結構楽しそうですしね.

どんな結果なのかというと,まず,関東首都圏でブランド力のある食品卸売業に私の生産物が採用してもらえました.
上述した記事である,
の最後の方でも少し触れている話なのですが,ここは主に高級飲食店を取引先にしている卸業者さんで,その業者さんに「採用してもらえている」こと自体が価値魅力向上につながっているとのことらしい.

こちらとしては,これで大儲けしているというわけではないのですけど,生産物のクオリティ向上のモチベーションにはつながっています.
実際,それによって新しい生産方法や商品が生み出せていることは間違いありません.

最初に結構強いラッキーパンチが入ったこともあってか,第2第3の話が転がり込んでくるものです.
つまり,「あの〇〇さんのところで採用されている」ということがお墨付きみたいなものになって,評価されやすくなるわけです.

当初,同業者さんや従業員の中からは「儲けられないのに,手間のかかる商品を出すことになんの意味があるのか?」との声もありましたが,やっぱり高級ブランドの影響力って凄いものでして.

「高級飲食店で採用されている商品です」っていうだけで,発信力がまるで違います.
一般的なスーパーで並ぶ商品との差別化がしやすいのです.

その後,県内でもちょっとずつ名が知れてきているので,今後の商品展開が楽しみです.

そして最近の話ですが,一緒に取り組んでいる自治体や関係者さん一同ガッツポーズで喜んだ案件.
世界的にチェーン展開している,あの超高級ホテルの食材として採用される運びになりそうです(まだ見込みですけど,担当者曰く,内諾をもらったのでおそらくいけるだろうとのことです).

かつて私は出張したり海外に行ったりすることは多かったのですが,このホテルに泊まる経験なんてありゃしないので,今回あらためて調べてみたんです.

お一人様1泊10万円くらいするところです.
まあ,実際のところ,調べてみたら一人で泊るプランは少なくて,2名で1泊20万〜50万くらいのプランがよく出てきますね.
お高いスイートルームだと1泊200万とかするらしい.

もう,意味わかんない.

そのホテルの方がうちの農場に足を運んできてくれたので,いろいろプレゼンしました.
こういう「営業」みたいな活動から身を引きたいと思ってここ何年間か過ごしていたのに,やっぱり気合を入れてやっちゃってる.
「なんかこういうの久しぶりだなぁ」とか思いつつ,ちょっとやる気になっている自分が情けない.

農家にとって生産物って,さしずめ「研究成果」とか論文みたいなものなんですよね.
その概要とか意義とかをプレゼンしろって言われているようなものですから,かつての感覚が蘇っちゃうわけですよ.

なんかね,こういう飲食店の料理長とか卸業者さんたちの「現地訪問」って,学会とかのポスター発表会場でのやり取りに似ている気がします.
私としては,こちらからガンガン説明するよりも,相手が気になってくれている点をディスカッションするスタイルがいいかなぁって感じている次第です.


順風満帆に思える今日このごろですが,それだけに調子に乗らないよう気をつけないと,と自分に言い聞かせているところです.
商品に箔をつけて儲けを狙うのではなく,あくまでも「商品価値を高める」ことと「地場産品の魅力を高める」という,地域・社会的な意義を見失わないようにしたいですね.
儲けることも大事ではありますが,それが優先され始めると,仕事としてつまらなくなってしまいますから.
儲けはあくまでも結果であって,目的になってはいけないと思います.

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