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米が無ければパンを食べればいいじゃない

マリー・アントワネットは正しかった...,っていうシンポジウムを思い出した

令和の米騒動が始まった2024年の夏頃,
「米が無ければパンを食べればいいじゃない」
という言葉が流れていたことがありました.

最近はめっきり聞きませんね.
どうしちゃったのでしょうか.

ご存知,マリー・アントワネットの,
「パンが無ければケーキを食べればいいじゃない」
をもじったものです.

この言葉は,史実では彼女の発言ではないとされていますが,なんにせよ当時の彼女の性格や言動を端的に示すものとして語り継がれているセリフです.


私がまだ大学院生の頃(なので,2006-7年頃だろうか),参加した健康科学系の学会でこの言葉を紹介しながらシンポジウムをする登壇者がいたことを思い出します.
曰く,
「マリー・アントワネットは正しかった」
というもの.

シンポジウムのお題は,「世界の貧困と健康」みたいなやつでした.

世界には,食料確保に困っている人がまだまだ存在する,そんな人々は満足な栄養状態にはない...,とかそういう内容なんですが.
そこで登場した話題が,「貧困国にこそ,肥満問題がある」というものでした.

当時の私はそこでその事実を知って驚いたのです.
ちなみに,現在ではこの関係性は健康科学系の領域ではほぼ常識的な話です.


だいぶ昔の記事で,そんなことを話題にしたこともありますので,記事内で紹介したグラフを引っ張っておきますね.

こちらの記事からです.時が経つのは早いもので,これを書いたのは12年前になります.
詳細はこの記事を読んでください.
今後の米騒動の行方にも関連あると思いますし.



貧困国でこそ肥満問題が深刻である,という現象の理由は,
(1)貧困者はなるべく安くカロリーを摂取しようとする
(2)貧困者の多くには栄養学的な知識や技術が不足している
ということによります.

ここで「貧困国」と書きましたが,実際のところ「貧困層」と称したほうがいいかもしれません.
なぜなら,富裕国・先進国であっても,その「貧困層」には肥満者が多いからです.

てっきり,お金持ちの富裕層にこそ暴飲暴食ぎみの人が多くて,肥満者が多いと思われがちですが,実際のところは逆なのです.

ここでマリー・アントワネットの言葉が出てきます.
「パンが無ければケーキを食べればいいじゃない」

実は,材料費が同じであれば,パンよりもケーキ(お菓子類)の方がカロリーが高いものが多いんです.
油脂や糖分が多く含まれているので,カロリー的にはコスパがいいんですね.

貧困層らしい食事を挙げれば,フライドポテトにベーコンとコーラであったり,ポテトチップスにバターたっぷりのパンケーキと砂糖たっぷりのコーヒーといったものです.
映画とかで出てくる,いかにも「アメリカの貧乏アパートの住人の食事」って感じでしょ?

これらにはビタミンやミネラルといった微量栄養素が少ないので,ヒトは本能的にこれらを補給しようとしますから,どうしても食事の絶対量を増やすことになります.
すると,カロリー(特に油脂による)が超過傾向になり,結果として肥満になりやすいのです.

富裕層であれば,ビタミンやミネラルは良質の野菜や米,パンなどから摂取できるため,肥満にはなりにくいんです.
でも,こうした「野菜」「米」「パン」といった食材は,相対的に高価な贅沢食材になります.
なぜなら,保存管理技術が高い,強力な流通網が必要な食材だからです.
結果として価格が高くなりますので,貧困層には手が出ないんですよ.

そんなわけで,
「マリー・アントワネットは正しかった.パンよりケーキの方がコスパがいいのだ」
っていうジョークなんです.


米が無ければパンを食べられるだけ幸せでは?

さて,昨今の令和の米騒動ですが,過去記事にも書いたように,米が高いのは皆が米を買おうとするからなので,米を買わなければいいのではないかと思うんです.

米の購入希望者が減れば,米は安くなります.当然のことです.

今の日本には,米が無くてもパンがあります.
パスタもたこ焼きもうどんもある.
コーンも,豆も,芋もあるではないですか.
これは幸せなことです.

むしろ,そんな主食系の食糧がまだまだ豊富にある状態で,なぜに非常事態用の備蓄米なんぞ放出したのか,そっちのほうが反省すべき課題として後世に引き継ぐべきです.

パンは1切れ37円に対して,ご飯は一杯58円になってしまった!
と怒り狂って主張している声がありますが,だったら素直に安いパンを食べればいい.
お金に余裕があるなら高い米を食べればいい.

それだけのことだと思うのですが,どうしてこんなに怒り狂っている人が多いのか?

なんか全国的に発狂し過ぎだと思うんです.
どうかしてる.

パンも米も無くなってきたから,ケーキでも食べなきゃ...,ってなってきたら,いよいよこの国も終わりですが,まだまだそんな事態にはありません.

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