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大学教員をやめて,次どうするのか? その2
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■大学教員をやめて,次どうするのか? その1
の続きです.
今回は,ちょっと前に取り上げたことのある,
■大学教員志望者なら気に留めておいた方がいいこと:ある女性研究者の自殺が象徴するもの
について,もう少し突っ込んだ話をしたいと思います.
あと,このブログでは以前から2022年頃から大学が大混乱に陥る,という話をしてきましたが,その詳細についても後半部分で触れます.
元になった記事はこちらです.一部引用しておきます.
■文系の博士課程「破滅の道。人材がドブに捨てられる」 ある女性研究者の自死(朝日新聞 2019.4.10)
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せっかく研究を続けてきたのだから,大学教員になりたい.
研究者といえば,大学教員だろう.
研究をするためには,大学に職を求めるしかない.
特に,大学院まで進学した人には,そう考えている人は多いと思います.
しかし,現在の大学は「研究をする人」をそこまで評価していません.
あくまでも「大学経営」をしてくれる人を評価しています.
自殺した研究者の方はお気の毒だと思いますが,そのあたりのことをもう少し熟慮された方が良かったと思えてなりません.
そもそも,現在の大学に就職できたからと言っても,思う存分研究できないのです.
私の大学院の先輩で,現在大学教授をやっている人がいるのですけど,その人は科学研究費もバンバンとって研究活動をしています.
めちゃくちゃ若いのに教授に昇進したのも,研究業績が凄いからです(41歳で教授になりました).
ところがこの人,とにかく学内の雑務に追われて疲労困憊状態です.
「大学教員になれば,安定して研究ができる」と思っている人は,おそらく現時点での50歳代以上の大学教員の研究生活を見て,そのように思っているのではないですか?
研究できる人がいたとしても,ほんの一握りです.
の続きです.
今回は,ちょっと前に取り上げたことのある,
■大学教員志望者なら気に留めておいた方がいいこと:ある女性研究者の自殺が象徴するもの
について,もう少し突っ込んだ話をしたいと思います.
あと,このブログでは以前から2022年頃から大学が大混乱に陥る,という話をしてきましたが,その詳細についても後半部分で触れます.
元になった記事はこちらです.一部引用しておきます.
■文系の博士課程「破滅の道。人材がドブに捨てられる」 ある女性研究者の自死(朝日新聞 2019.4.10)
大きな研究成果を上げ、将来を期待されていたにもかかわらず、多くの大学に就職を断られて追い詰められた女性が、43歳で自ら命を絶った。
(中略)
90年代に国が進めた「大学院重点化」で、大学院生は急増した。ただ、大学教員のポストは増えず、文科系学問の研究者はとりわけ厳しい立場に置かれている。首都圏大学非常勤講師組合の幹部は「博士課程まで進んでしまうと、破滅の道。人材がドブに捨てられている」と語る。
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せっかく研究を続けてきたのだから,大学教員になりたい.
研究者といえば,大学教員だろう.
研究をするためには,大学に職を求めるしかない.
特に,大学院まで進学した人には,そう考えている人は多いと思います.
しかし,現在の大学は「研究をする人」をそこまで評価していません.
あくまでも「大学経営」をしてくれる人を評価しています.
自殺した研究者の方はお気の毒だと思いますが,そのあたりのことをもう少し熟慮された方が良かったと思えてなりません.
そもそも,現在の大学に就職できたからと言っても,思う存分研究できないのです.
めちゃくちゃ若いのに教授に昇進したのも,研究業績が凄いからです(41歳で教授になりました).
ところがこの人,とにかく学内の雑務に追われて疲労困憊状態です.
本当ならもっと実験や調査,論文執筆や書籍を出しててもおかしくない人なんです.
しかし,勤めている大学がそんな時間を許しません.
しかし,勤めている大学がそんな時間を許しません.
研究がしたい.大学教員は研究をすることが仕事だ,という情熱と,家族を養うという責任感で仕事を続けていられるのでしょう.
もっと時間的にも研究費的にも余裕のある大学に勤められればいいのですが,そんな大学はどんどん減っています.
「大学教員になれば,安定して研究ができる」と思っている人は,おそらく現時点での50歳代以上の大学教員の研究生活を見て,そのように思っているのではないですか?
ですが,新規参入してきた大学教員はそれができません.
研究できる人がいたとしても,ほんの一握りです.
それまでにどんな研究業績があるとか,賞を獲得したことがあるとか関係ありません.
むしろ,研究員や助手,非常勤講師の仕事に甘んじている人が最も研究できる立場です.
ところが,そんな人たちほど「専任教員になれれば,安定した立場で研究できる」と夢を持ちます.が,そうはならない罠が待っています.
皮肉だし,難しいですね.
私も今,非常勤講師だけの生活になって初めてわかったのですが,一番気楽で,時間があって,好きなように研究に没頭できるのが,専任教員以外の立場なんですよ.
でも,専任教員になったことがない人,それを目指している人にとっては,「専任教員」という立場は研究者のスタート地点であり,理想的な存在に思えてしまう.
専任職に就いた人たちだって複雑です.
あれだけ憧れたポストなのに,生活環境は以前より苦しくなります.
たしかに経済的には安定します.でも,割に合わないのです.
お金の心配をしなくてもいい,かつて憧れていたポストだ,と自分に言い聞かせますが,現在進行系で職場環境は悪化の一途を辿ります.
もちろん,そのことを熟知している人もいます.
だから,あえて専任教員のオファーがあっても断って,非常勤講師や助手の立場で研究している人もいるんです.
当然のことながら,これは研究領域によっても違います.
特に理系では,専任教員になれた方が有利です.
しかし,どの大学に赴任するかが非常に大きな要素となってきます.
理系の研究領域に理解がない大学に奉職してしまうと,たんなる「研究願望の強い教員」としてストレスフルな教員生活を送ることになります.
こういう大学では,学生もそんな教員をバカにするので「あの先生,意識高い系らしいよ(笑)」という扱いになっています.
次の就職先を目指してひたすら公募を気にする状態になり,
「俺はこんなところで終わる人間じゃない」
と心の中で連呼しながら仕事するハメになるので,精神が病んできます.
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自殺したくなるほど熱望しても,旨味のない仕事になってきているのが大学教員です.
もちろん,経済的に楽になれることが旨味だというのであれば良いでしょう.
ですが,そういうニヒリストやリアリストが増えると,国や社会,そして人類全体にとってマイナスになるのが大学という職場でもあります.
現在の大学の現状を悲観的に話してきましたが,今いる大学教員の方々を応援したいとも思っています.
大学がもっと良い教育環境になり,研究を充実できることに越したことはありません.
日本の国力を高めるためには,大学教育を受けられる機会を増やすことは大切なことです.
しかし,それを実現するためには,今の大学経営方法では不可能ですし,これを改善するには国と文部科学省の意向と影響が大きいのですが,どうやらそれを期待することもできません.
よって,私は大学教育の現場からはドロップアウトします.
ですが,大学教育の未来について悲観しているわけでも,無関心になっているわけではありません.
実際ところ,もし奇跡的に大学教育が(私の考えるところの)良い職場として復活する兆しがあれば,復帰することも吝かではないんです.
それなりに思い入れはありますし,楽しい職場ではありますので.
でも,ドロップアウトするからには「ドロップアウトしたなりに大学教育を支援したい」と考えています.
そのためにはまず,現実的な「大学の将来像」を分析する必要があります.
これからの大学教育がどうなるか?
私は,現在の大学教育の方針では,近い将来に「教育機関」という形態は崩壊すると踏んでいます(だからドロップアウトするんだし).
ある特定の条件を満たしながら,あと5〜6年もすると,大学は大きな選択を迫られるはずです.
その条件の一つは,これからの日本は労働力不足になり,これが解消されないまま放置されることです.
それによって,以下の状況が大学に降りかかります.
1つ目は,企業が,大学の卒業生をわざわざ採らなくても,十分に労働者として使える人材が確保できることを実感するようになります.
それにかかる時間は5〜6年ほど(2025年頃)だと考えられます.
高卒でもいいから雇って仕事を与えた方が得をする.
むしろ,高卒と大卒で給料の差をつけていられない.
という状況が発生するのです.
2つ目は,そうした状況を受け,高校生や保護者が,大学に入学することのメリットを再検討するようになります.
もしかすると,大学に行かなくても就職できるんじゃないか.
高校の先輩の何人かも,高卒で大卒並みの仕事をして,大卒と同じくらいの給料をもらっている.
今後は大卒か否かよりも,実際のキャリアが優先されるんじゃないか.
実のところ,そもそも大学に通うだけの学費が払えないんだし,奨学金で地獄を見ている30代(現在20代半ば)の人もたくさんいるようだ.
そういう状況になってくると,一部の有名大学や高偏差値大学以外は,入学する必要のない大学とみなされるようになります.
今はまだ「とりあえず大学に行かせておこう」という楽観的な保護者層がいるので安泰です.
目下,「2018年問題」による受験者数の大幅減少が各大学ではもちきりですが,まだ営業努力でなんとかなるレベルです.
ですが,それももって5〜6年ほどでしょう.
あと5〜6年すると,2025年頃に18歳以下の子供を持つ親の世代は,2019年現在で40歳前後の世代に突入します.
実はこの世代が,ロストジェネレーション世代.就職氷河期世代ですね.
世帯収入の少ないところが増え,しかも,彼らは「大学進学による旨味を経験していない世代」です.
学費を払える世帯が減り,払った学費分のリターンがあるかどうか熟慮する世代.
つまり,自分の子供に大学進学を躊躇しやすくなる世代と言えるのです.
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この状況に対する「大学として」の適切な対処は,
(1)学費を抑えること
(2)まじめに学術活動をすること
です.
逆に,「就職用の大学」なんてものを作っても失敗します.
理由は過去記事にあります.
■専門職大学に思うところ(1)
そもそも,今年度から始まった専門職大学の制度ですが,現時点でろくに機能してないようですし.
■「質の高い職業人」育成の新大学制度、初認可は1校のみ(朝日新聞 2018.10.5)
まず,学費については,国や文部科学省が覚悟を決めて動いてもらい,年間の学費を私立30万円,公立20万円くらいまで下げることが必須だと思います.
国や文部科学省は,そろそろ,いい加減まじめに大学教育の将来を考えた方がいい.
そして,大学を就職予備校として捉えず,まじめに学術研究の場として充実させることです.
そうしないと取り返しのつかないことになります(もう既になっているけど).
上記の2つは,私が以前からずっと繰り返し述べてきたことです.
継続して読んでくれている人には,目新しい話ではありません.
簡単な理屈です.
大学に通うだけの価値を,大学が持っていないければいけない.
大学教育に,大学教育ならではの価値がなければいけない.
その教育と価値は,できるだけ多くの人が享受できたほうが良い.
ですが,これを日本で期待することは極めて困難です.
全然やる気ないですし,国民の多くもそれを望んでいません.
自分自身に直接利益がないですからね.
なので,大学教育は崩壊していきます.かなりの高確率で.
大学も予想はするでしょうから,いよいよとなってきたら慌てふためきます.
混乱し始めるのは2022年頃でしょうね.
だから「大学は2022年頃に大混乱に陥るだろう」ということなのです.
その頃から,いろいろと摩訶不思議な経営策をとり始めると思います.
教職員の負担はさらに増えます.
それについてはまたの機会にしますが,現時点でまじめに学術研究を推進していない大学は,このあたりから脱落することになるでしょう.
そして,明確に「事が起こるようになる」のが,その3年後の2025年くらいではないかと想像されます.
だって,現状でも就職予備校としての機能すらないところに,4年間かけて,安くても500万円を投じる価値があるのか.
大学としての正念場がこのあたりです.
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自殺したくなるほど熱望しても,旨味のない仕事になってきているのが大学教員です.
もちろん,経済的に楽になれることが旨味だというのであれば良いでしょう.
ですが,そういうニヒリストやリアリストが増えると,国や社会,そして人類全体にとってマイナスになるのが大学という職場でもあります.
現在の大学の現状を悲観的に話してきましたが,今いる大学教員の方々を応援したいとも思っています.
大学がもっと良い教育環境になり,研究を充実できることに越したことはありません.
日本の国力を高めるためには,大学教育を受けられる機会を増やすことは大切なことです.
しかし,それを実現するためには,今の大学経営方法では不可能ですし,これを改善するには国と文部科学省の意向と影響が大きいのですが,どうやらそれを期待することもできません.
よって,私は大学教育の現場からはドロップアウトします.
ですが,大学教育の未来について悲観しているわけでも,無関心になっているわけではありません.
実際ところ,もし奇跡的に大学教育が(私の考えるところの)良い職場として復活する兆しがあれば,復帰することも吝かではないんです.
それなりに思い入れはありますし,楽しい職場ではありますので.
でも,ドロップアウトするからには「ドロップアウトしたなりに大学教育を支援したい」と考えています.
そのためにはまず,現実的な「大学の将来像」を分析する必要があります.
これからの大学教育がどうなるか?
私は,現在の大学教育の方針では,近い将来に「教育機関」という形態は崩壊すると踏んでいます(だからドロップアウトするんだし).
ある特定の条件を満たしながら,あと5〜6年もすると,大学は大きな選択を迫られるはずです.
その条件の一つは,これからの日本は労働力不足になり,これが解消されないまま放置されることです.
それによって,以下の状況が大学に降りかかります.
1つ目は,企業が,大学の卒業生をわざわざ採らなくても,十分に労働者として使える人材が確保できることを実感するようになります.
それにかかる時間は5〜6年ほど(2025年頃)だと考えられます.
高卒でもいいから雇って仕事を与えた方が得をする.
むしろ,高卒と大卒で給料の差をつけていられない.
という状況が発生するのです.
2つ目は,そうした状況を受け,高校生や保護者が,大学に入学することのメリットを再検討するようになります.
もしかすると,大学に行かなくても就職できるんじゃないか.
高校の先輩の何人かも,高卒で大卒並みの仕事をして,大卒と同じくらいの給料をもらっている.
今後は大卒か否かよりも,実際のキャリアが優先されるんじゃないか.
実のところ,そもそも大学に通うだけの学費が払えないんだし,奨学金で地獄を見ている30代(現在20代半ば)の人もたくさんいるようだ.
そういう状況になってくると,一部の有名大学や高偏差値大学以外は,入学する必要のない大学とみなされるようになります.
今はまだ「とりあえず大学に行かせておこう」という楽観的な保護者層がいるので安泰です.
目下,「2018年問題」による受験者数の大幅減少が各大学ではもちきりですが,まだ営業努力でなんとかなるレベルです.
ですが,それももって5〜6年ほどでしょう.
あと5〜6年すると,2025年頃に18歳以下の子供を持つ親の世代は,2019年現在で40歳前後の世代に突入します.
実はこの世代が,ロストジェネレーション世代.就職氷河期世代ですね.
世帯収入の少ないところが増え,しかも,彼らは「大学進学による旨味を経験していない世代」です.
学費を払える世帯が減り,払った学費分のリターンがあるかどうか熟慮する世代.
つまり,自分の子供に大学進学を躊躇しやすくなる世代と言えるのです.
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この状況に対する「大学として」の適切な対処は,
(1)学費を抑えること
(2)まじめに学術活動をすること
です.
逆に,「就職用の大学」なんてものを作っても失敗します.
理由は過去記事にあります.
■専門職大学に思うところ(1)
そもそも,今年度から始まった専門職大学の制度ですが,現時点でろくに機能してないようですし.
■「質の高い職業人」育成の新大学制度、初認可は1校のみ(朝日新聞 2018.10.5)
まず,学費については,国や文部科学省が覚悟を決めて動いてもらい,年間の学費を私立30万円,公立20万円くらいまで下げることが必須だと思います.
国や文部科学省は,そろそろ,いい加減まじめに大学教育の将来を考えた方がいい.
そして,大学を就職予備校として捉えず,まじめに学術研究の場として充実させることです.
そうしないと取り返しのつかないことになります(もう既になっているけど).
上記の2つは,私が以前からずっと繰り返し述べてきたことです.
継続して読んでくれている人には,目新しい話ではありません.
簡単な理屈です.
大学に通うだけの価値を,大学が持っていないければいけない.
大学教育に,大学教育ならではの価値がなければいけない.
その教育と価値は,できるだけ多くの人が享受できたほうが良い.
ですが,これを日本で期待することは極めて困難です.
全然やる気ないですし,国民の多くもそれを望んでいません.
自分自身に直接利益がないですからね.
なので,大学教育は崩壊していきます.かなりの高確率で.
大学も予想はするでしょうから,いよいよとなってきたら慌てふためきます.
混乱し始めるのは2022年頃でしょうね.
だから「大学は2022年頃に大混乱に陥るだろう」ということなのです.
その頃から,いろいろと摩訶不思議な経営策をとり始めると思います.
教職員の負担はさらに増えます.
それについてはまたの機会にしますが,現時点でまじめに学術研究を推進していない大学は,このあたりから脱落することになるでしょう.
そして,明確に「事が起こるようになる」のが,その3年後の2025年くらいではないかと想像されます.
だって,現状でも就職予備校としての機能すらないところに,4年間かけて,安くても500万円を投じる価値があるのか.
大学としての正念場がこのあたりです.
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■大学教員志望者なら気に留めておいた方がいいこと:ある女性研究者の自殺が象徴するもの