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あの小説の作者である私にとって,思い入れのある登場人物4〜6

1〜3の続きです


前回の記事で,3名を紹介しました.
あの小説の作者である私にとって,思い入れのある登場人物1〜3


今回も同じように3名ほど紹介します.
前回は男性ばかりでしたが,今回は女性にしました.
(4)鈴原美紀(学生課職員)
(5)岸本佳苗(テニス部員)
(6)穂積里香(教員)


そして,前回と同じ文言になりますが,この記事を読むにあたって以下のことに注意してください.

この記事では,小説のネタバレをちょっと含みます.
ですが,ネタバレしたところで小説の読み応えはあまり変わりないと思います.
既に読了した人であっても,読んでる途中の人であっても参考になるものです.

また,
「小説なんて趣味じゃない」
とか,
「ちょっと読んでみたけど稚拙で面白くない」
という人もいるでしょう.

そんな人でもこの小説を一読してみようかな,って思ってくれるきっかけとなる話として読んでください.

※小説はこちら
大学の小説


(4)鈴原美紀(学生課職員)


小説内における一連の事件は,「だいたいコイツのせい」であることがクライマックスで分かります.
現実世界においては,ここまでスマートな連動性はありませんが,概ねこんなものだったと思ってもらってOKです.

この小説における,影の主人公とも言える存在.
雰囲気は,ドクタースランプ・アラレちゃんが,メガネをとった感じです,
姿格好も,しゃべり方もそっくり.
本人を知ってる人は,「あぁ! 言われてみれば似てる!」って言うはず.

まだ小説を読んでいない人は,「学生課」に着目してもらえると,楽しさが倍増するでしょう.

の記事で,「小説を読んで1日寝込んだ人がいる」という話をしましたよね.
その人がこのキャラクターのモデルとなった人です.

自分がほとんどの出来事に関係していて,しかもその裏事情や各人の思惑などを知り,ショックを受けてしまったとのこと.
べつにトラウマになったわけじゃないので勘違いしないでください.
本人は至って興味深く読んだそうです.

あと,私にとっては小説を書く上で,職員サイドや学生・保護者関係に関する情報提供をしてもらった中心人物でもあります(無論,守秘義務に反しない中で).

なかでも一番面白かったのは,PM2.5が飛んで騒動になった年,ダース・ベイダーみたいなガスマスクをつけて「シュコー・・・,シュコー・・・」って呼吸しながら学生課に来る教員がいるっていう話.
それを事務員一同,「絶対に笑っちゃいけない」と決めて対応していたとのこと.
で,「笑わないように耐えるのに必死で,何言ってたのか分かんなかった」って.
シュールの極みですよね.

まあ,でも,事務員さんたちが教員や学生をどのように見ているのか? っていうところを,いろいろと知ることもできました.

将来的に,彼女を主人公にした外伝的な小説を書こうかとも思っています.


(5)岸本佳苗(テニス部員)


藤堂道雄の側近にして,最も彼の言動を知る者です.
なお,藤堂ゼミの学生でもあります.

岸本さんからは,学生サイドからの藤堂道雄に関する多角的な情報提供をしてもらいました.
もちろんクラブ活動の主務をやっているので,例の「ショートケーキ療法事件」や「熱中症は冷やしてはいけない事件」以外にも,藤堂が指導しているクラブ活動における,違反行為や非倫理的行動を告発してもらっています.
16:2012年8月29日

どうして彼女が私にペラペラとしゃべってくれるのか? っていうと,当然,信頼関係があるからっていうところですが,実は私が青葉大学に着任する前から面識があったんです.
何かって言うと,藤堂監督への愚痴まじりの相談にのっていました.

あと,当時は私も危ないことしてたんだなぁって思い出すんですけど.
卒論が終わったので遊んでみた
の記事で,一緒に四国まで遊びに行ったという学生の一人も,この岸本さんです.
ちなみに,職員さんのエピソードの方は鈴原さんじゃないです.

考えてみると,もう10年近く前のことなんですね.



(6)穂積里香(教員)


シチュエーション的にモデルとなった教員は実在しますが,実はその人とこのキャラクターの共通性は少ないです.

もともとのオリジナル版では,藤堂道雄先生がクビになる原因となった事件だけに登場していました.
ただ,新しく書き直すにあたって,「永山・橿原」のバディ・スタイルの小説に,ちょっとスパイスを入れたくて,この先生との接点を増やしたんです.

現実の穂積先生は,極めて温厚な性格です.
でも,それだとスパイスにならないなぁと思って,キツい性格にしておきました.
この性格のモデルは,「私のもう一つの性格」です.
私っていうのは,この僕のことです.

なので,書き直し版の橿原一如は少し温厚になり,その分,穂積里香が激しい性格になっています.

そして,橿原と穂積は,思考回路が非常によく似ています.
両者とも一見すると,「公益」を大事にしたがるように映りますが,実はその考え方の基盤は,安定した「私益」の確保です.
衣食足りて礼節を知る,というタイプなんです.

言い換えれば,礼節を大事にするために,その基となる衣食を確保するためには強硬な手段や,さまざまな犠牲を厭わない人でもあります.

彼女が「私のムスクは53万です」と言ったのは,そういうところがあることを自覚しているからです.

ただ,橿原の方はと言うと,「ムスク」で表現されるようなタイプの行動はとりたがりません.そういうのが私(橿原)は嫌いなんです.
そんなことするくらいなら,「離脱」や「回避」によって私益を守ろうとする.

つまり,両者は,自分にとって最適な環境を求める上で,違いがあります.
穂積は環境掌握型,橿原は環境発見型です.

両者とも,より良い社会のためには「環境」という構造因子が重要だと考えていますが,それをどのように用意するか,そのアプローチが異なるわけです.

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