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これまでの大学改革の結果が現れる2023年まで,あと1年

(最近の読者各位)大学改革を批判するブログでした


もともとこのブログは,「教育改革」「大学改革」といった近年(2000年頃から)の日本社会の動きを批判的に捉える記事を熱く,そしてフザケながら取り上げていました.

でも,どうやらこの国の教育改革・大学改革のお祭り騒ぎは収まりそうにないし,むしろ悪化するばかり.
なので,途中から興味関心が薄れ,しかも私自身この業界から足を洗うことにしたわけです.

興味関心が薄れたとは言え,無くなったわけではありません.
たまにはチェックしてます.

Amazonが出してくる「あなたへのオススメ」なんぞを見ても,最近は「教育改革」「大学改革」について,批判的に論じる書籍も目立ってきましたね.
もう手遅れだとは思いますけど.

ちなみに,以下は私のオススメです.

 


ただ,私も教育界から離れてみて思うのは,もう手遅れなんだから妥協点の探り合いに落ち着くしかないかもね,ってことです.
あと,「手遅れ」っていうか,この日本で真っ当な教育議論は「無理」ってことかなと.

無理だからここまで来てしまっていて,無理だから今後もズルズルと改革が進んでいくのだろうなと.
どこまでズルズル行くかは,「教育」という業界が地盤沈下するまで続くでしょう.

「地盤沈下」って何を指すのか? ってことが気になるかもしれませんが,例えばそれは,多くの一般庶民が「教育による恩恵」が感じられなくなることです.
そこに至って,「教育って一体何のために存在するのか?」っていう議論をようやく始めるはずで,そこで初めて妥当な改革案が提示されるものと思います.


さて,そんな現在の「やっつけ仕事的『大学改革』」が進んでいるなか,昨年はこんな記事を書きました.


「コロナ禍においては,営業努力に注力する大学から真っ先に淘汰される」
という予想が,ものの見事に的中してしまったのです.

知り合いの方々が多数在籍している大学ですし,私の卒業生等々もいますから(いやマジでホントに)心苦しいのですけど,あぁやっぱりね,の心境でもあるのです.

「営業努力することが悪いことなのか?」とお思いになる方もいるでしょうが,そういう単純なことではありません.
つまり,「学生募集は営業努力でなんとかなるはずだ」などと考えて,それに依存してきた体質の大学は,コロナ禍などのストレスがかかったら,真っ先にその市場価値が失われちゃうよ,ってことです.

実際,その大学はこんなことをしています.


で,先日,久しぶりにこの大学の先生と電話会談したんですが,そこで「今年の入試戦況」を尋ねてみました.
さすがに今年は回復傾向にあるかなと思ったんですが,惨憺たる結果になっているようです.

現在の大学というのは,文科省あたりからの指示で,ホームページ等に「入試状況」を公表・掲載しなきゃいけないんで,入試の結果がだいたい分かるようになっています.
なので,それを覗いてみたんです.

いやマジでホントに「惨憺たる結果」でした.


そんなわけで,これはいろいろな過去記事でも言ってることですけど....

「だからあれほど言ったのに」

ですね.

あと,電話会談したその大学の先生曰く,私が昨年の記事である■私が赴任していた大学が,今年の入試で撃沈していた件|責任者は責任をとってほしい で言ってたことが,ものの見事に実現しているらしい.

つまり,

「権力を集中させて,責任の所在を明確にすればするほど,その最高責任者による責任逃れが酷くなる」

ということ.

これは,大学改革のひとつである「大学ガバナンス改革」の賜物です.
大学ガバナンス改革とは,大学の運営方法を,それまでの教授会中心のボトムアップ型ではなく,理事長・学長などによる「トップダウン型」へと改革するものです.

この改革は,大学も,イケてる民間企業みたいにトップダウンの意思決定を展開すれば,なんか良いことがあるんじゃないかということで進められてきました.

まあ,そんなぼんやりとした理由で始まった改革なので,当然,うまくいくはずありません.


トップダウンなのだから,責任者が責任をとればいいのですけど,残念ながらそんなことにはならないのです.
責任者は,この顛末の責任が誰にあるのか分析することに責任をもってあたるだけで,自分に責任があることを認めようとしない.
それが大学ガバナンス改革の実態です.

そう言えば,別の切り口でそんな話を以前にもしましたね.
これは世間を騒がせた「例の大学」の話です.


どんどん「大学間格差」が広がっていく昨今ですが,それが少なくない大学の経営崩壊へとつながりだすのも時間の問題です.
で,そのタイムリミットを当初私は「2025年」と考えていて,このコロナ禍でそれが早まり,「2023年」だと予想していました.
それが以下の記事です.

あと1年に迫りました.

間違ってほしくないのは,すべての大学が経営難になる,っていう話をしているわけじゃありません.
学生募集が極めて困難になる大学と,逆に楽になる大学との二極化が進むということであり,しかもそれは,上述したように,
「学生募集は営業努力でなんとかなるはずだ」
などと考えて,安易に広報・イメージ戦略を採用してきた大学からヤバいことになるってこと.

つまり,きちんとした中身のある研究教育に取り組んできた大学しか生き残れません,ということです.

なお,この潮流に今から逆らおう,流れに乗ろう,などと考えても手遅れだと思います.
大学というのは,「これから私達はこんなことをしようと思っています!」などと叫んでもダメなんです.
それまでに,どんなことをしてきたのかが問われるのですから.

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