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大学生用:時間をつくって映画を見よう
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大学生用シリーズ第三弾.
今回は映画の見方です.
過去記事の■授業と映画でも取り上げましたが,私は学生に「映画漬けの学生生活」を勧めています.
いざ学生生活が始まってから間もなく,「やりたいことが分からなくなった」と言い出す学生は結構いるものです.
なに甘っちょろいこと言ってんだ,と思われる人もいるかもしれませんけど,これが学生本人にとってはかなりボディ・ブローの如く焦燥感をかき立てるんです.身に覚えがある人も多いでしょう.
なので,学生のうちは闇雲でもいいからドップリと打ち込むことを見つけることが大事だと説いています.時間をかけてのめり込んだ経験の有無は,その後大きく響いてきます.そのうちの一つとして,私は「映画」を推奨しています.
映画であれば,今時自宅で好きなだけ見れます.
本を読むのが苦手な人にとってもハードルが低い.
都市部に住んでいるならマニアックな映画を上映しているところに足を運べる人もいるでしょう.
ネットを覗けば,「大学生の時に見ておきたい映画ベストXX」なんていう記事がたくさんあります.
しかし,ただ漫然と見るだけでは「大学生らしい時間の使い方」とは言えません.
つまり,前言撤回するようで申し訳ないのですけど,本当に闇雲に見てはいけないのです.
ましてや,いわゆる「“見ておきたい” 映画論」というのは,「その映画に込められたメッセージをしっかり受け取りましょう」という,受動的な映画の見方を学生たちに促しかねません.
こういうのって,「優等生」にはなれるけど,ユニークな考え方ができる人物からは遠のいていくパターンのように思います.
その映画のキャラクターや,監督,脚本家が意図したメッセージだけではなく,その映画自体を自分なりに受け止め,論じられるようになることが「大学生らしい時間の使い方」ではないでしょうか.
そりゃもちろん,「映画なんて好きなように観ればいい.楽しみ方は人それぞれ」という考え方もありますが.
ここは一つ,時間がたくさんあって,いろんなことにエネルギーを費やせる大学生という身分ならではの映画の見方をご紹介しましょう.
よほどのマニアでないと,大学を卒業しちゃったら時間に追われて映画を見る機会は大きく減りますので.
平たく言えば,テレビを捨てましょう.ということです.
テレビを見ていてもバカになるだけです.それに,大学生が世間のニュースなんか気にする必要もありません.重大なニュースはテレビがなくても受け取れます.
今,1日に2時間テレビを見ているのであれば,1日1本の映画を見れるようになります.
私の場合,学生の頃は1ヶ月に50本を目安にしていました.
最初のうちは,ノルマだと思って頑張りましょう.体力トレーニングみたいなものです.
そのうち,映画の見方というのが自然に分かってきます.
最近はネットで映画を見れるようになりました.
新聞をとるくらいなら動画配信サイトと契約しましょう.
お金がないなら,
■大学生用:おしゃれしない人のためのオススメの服装
■大学生用:生活費を勉強に向けるための食事法
を参考にして捻出してください.
いつの時代に制作されたのか?ということを意識するだけで,その映画が作成された意図がみえてきたりします.
例えば,最近の大学生はピンと来ないかもしれませんが,世界はかつて東西冷戦構造にありました.この時代の映画は,こうした時代背景とその変化を写し撮っています.
見慣れてきたら,この時代にこんな映像をとれたのか!というテクニカルな部分に驚くようにもなる.『十戒』とか『2001年宇宙の旅』なんてのが代表的なものでしょう.
映画の時代背景を把握できるようになったら,映画通の門をくぐったようなものです.
たくさん見ていれば,展開やカメラワーク,セリフの言い回しなどが似たような映画を目にすることがあります.ああ,この映画はこの映画を参考にしたんだな,ということが見えてくるんです.
子供の頃に金曜ロードショーとかで見たことがあるから,もういいや,とスルーしないほうがいいです.大学生になったことによって,見方が変わっていることも多々あります.場合によっては1年に何回か見る映画があってもいい.
例えば私は,『ランボー』を子供の頃に何度か見ましたが,当時はたんに「悪党をかっこよくぶっ殺すアクション映画」としか思えませんでした.でも,大学生になって見てみたら,軍事大国アメリカが抱える悲哀を描いた作品であることがわかります(しかも,そもそもシリーズ第一作では誰も殺していない).
ここで描かれている帰還兵・ランボーの「敵」とは,アメリカ国民なんですよね.クライマックスのランボーのセリフには,思わず目頭が熱くなった.
子供の頃に見て,なんとなくストーリーを知っているけど,改めて見たら印象が全く変わるという作品は多いものです.
小説でもドラマでもなんでもそうですが,それを制作しようとする者は,その物語を通して伝えたい「別のなにか」がある場合がほとんどです.
私も以前,素人ながら小説を書いたことがあるのですが,実際に書いてみたらそれが分かりました.そこで展開している物語の設定や台詞のやり取りというのは,別の何かを伝えるためのスケープゴートであることが多いのです.これはSFやアニメ作品などで顕著です.
例えば初代『ゴジラ』なんかが典型ですが,あれは日本で怪獣が暴れて大変だねっていう物語ではありません.反核のメッセージと,大東亜戦争の捉え方,そして日本が置かれている国際政治的立場に対する問題提起を含んでいます.
昨年の『シン・ゴジラ』にしてもそうです.あれは東日本大震災と原発事故に対する日本政府および国民の態度を描いていると言えるでしょう.詳細は■シン・ゴジラ再考を参照のこと
「こういう状況になったら,人間や社会はどんな反応を示すのか」という思考実験を展開している作品は結構多いものです.
そういう目で見てみると,今までとは異なる受け取り方ができるようになります.
「劇中のキャラクターの誰一人にも共感できなかった」などという感想を目にすることがあります.たいてい,ネガティブな評価の際に用いられます.
でも,映画を見るのに共感する必要はありません.
大学生になったら,映画を見るときは共感ではなく理解しようと務めましょう.
それが大学での学問にも通じます.
自分とは異なる思想信条を持っている人々の姿や行動を見て,なんでいちいち「共感」しなければいけないのでしょう.
作り手にしたって,共感してもらおうと思って作ってなんかいません.
あのキャラクターは,なぜあの時あんな行動をとったのか?
どうしてあの言葉を発したのか?
といったことを考え,それを理解しようとすることが大事です.
そこで映し出されていることから,その事象を理解しようとする.
そのなかにおいて,学ぶものがあるはずです.
共感できないことを否定するつもりはありません.
むしろ,共感できないのであれば,なぜ共感できないのかを考えてみる必要があります.
面白い,つまらないと感じるからには理由があります.その理由を論じられるようになってこその大学生です.
もっといろいろ見方はあるのですが,ひとまず上記のことに留意してみましょう.
そうやって見ているうちに,自分なりの見方や,「映画の見方」を扱った書籍やセミナーなんかに興味が沸いてくると思います.
そのうち,世間や評論家の論評とは異なる見解を持つようになったり,それらに興味がなくなったりします.
自分なりの考え方が紡ぎ出せるようになるわけです.
こういうことは大学生として重要です.
今回は映画の見方です.
過去記事の■授業と映画でも取り上げましたが,私は学生に「映画漬けの学生生活」を勧めています.
いざ学生生活が始まってから間もなく,「やりたいことが分からなくなった」と言い出す学生は結構いるものです.
なに甘っちょろいこと言ってんだ,と思われる人もいるかもしれませんけど,これが学生本人にとってはかなりボディ・ブローの如く焦燥感をかき立てるんです.身に覚えがある人も多いでしょう.
なので,学生のうちは闇雲でもいいからドップリと打ち込むことを見つけることが大事だと説いています.時間をかけてのめり込んだ経験の有無は,その後大きく響いてきます.そのうちの一つとして,私は「映画」を推奨しています.
映画であれば,今時自宅で好きなだけ見れます.
本を読むのが苦手な人にとってもハードルが低い.
都市部に住んでいるならマニアックな映画を上映しているところに足を運べる人もいるでしょう.
ネットを覗けば,「大学生の時に見ておきたい映画ベストXX」なんていう記事がたくさんあります.
しかし,ただ漫然と見るだけでは「大学生らしい時間の使い方」とは言えません.
つまり,前言撤回するようで申し訳ないのですけど,本当に闇雲に見てはいけないのです.
ましてや,いわゆる「“見ておきたい” 映画論」というのは,「その映画に込められたメッセージをしっかり受け取りましょう」という,受動的な映画の見方を学生たちに促しかねません.
こういうのって,「優等生」にはなれるけど,ユニークな考え方ができる人物からは遠のいていくパターンのように思います.
その映画のキャラクターや,監督,脚本家が意図したメッセージだけではなく,その映画自体を自分なりに受け止め,論じられるようになることが「大学生らしい時間の使い方」ではないでしょうか.
そりゃもちろん,「映画なんて好きなように観ればいい.楽しみ方は人それぞれ」という考え方もありますが.
ここは一つ,時間がたくさんあって,いろんなことにエネルギーを費やせる大学生という身分ならではの映画の見方をご紹介しましょう.
よほどのマニアでないと,大学を卒業しちゃったら時間に追われて映画を見る機会は大きく減りますので.
(1)量を見るのも大事.テレビを見る時間を映画に置き換える
平たく言えば,テレビを捨てましょう.ということです.
テレビを見ていてもバカになるだけです.それに,大学生が世間のニュースなんか気にする必要もありません.重大なニュースはテレビがなくても受け取れます.
今,1日に2時間テレビを見ているのであれば,1日1本の映画を見れるようになります.
私の場合,学生の頃は1ヶ月に50本を目安にしていました.
最初のうちは,ノルマだと思って頑張りましょう.体力トレーニングみたいなものです.
そのうち,映画の見方というのが自然に分かってきます.
最近はネットで映画を見れるようになりました.
新聞をとるくらいなら動画配信サイトと契約しましょう.
お金がないなら,
■大学生用:おしゃれしない人のためのオススメの服装
■大学生用:生活費を勉強に向けるための食事法
を参考にして捻出してください.
(2)制作年を意識する
いつの時代に制作されたのか?ということを意識するだけで,その映画が作成された意図がみえてきたりします.
例えば,最近の大学生はピンと来ないかもしれませんが,世界はかつて東西冷戦構造にありました.この時代の映画は,こうした時代背景とその変化を写し撮っています.
見慣れてきたら,この時代にこんな映像をとれたのか!というテクニカルな部分に驚くようにもなる.『十戒』とか『2001年宇宙の旅』なんてのが代表的なものでしょう.
映画の時代背景を把握できるようになったら,映画通の門をくぐったようなものです.
たくさん見ていれば,展開やカメラワーク,セリフの言い回しなどが似たような映画を目にすることがあります.ああ,この映画はこの映画を参考にしたんだな,ということが見えてくるんです.
(3)見たことがある映画ももう一度
子供の頃に金曜ロードショーとかで見たことがあるから,もういいや,とスルーしないほうがいいです.大学生になったことによって,見方が変わっていることも多々あります.場合によっては1年に何回か見る映画があってもいい.
例えば私は,『ランボー』を子供の頃に何度か見ましたが,当時はたんに「悪党をかっこよくぶっ殺すアクション映画」としか思えませんでした.でも,大学生になって見てみたら,軍事大国アメリカが抱える悲哀を描いた作品であることがわかります(しかも,そもそもシリーズ第一作では誰も殺していない).
ここで描かれている帰還兵・ランボーの「敵」とは,アメリカ国民なんですよね.クライマックスのランボーのセリフには,思わず目頭が熱くなった.
子供の頃に見て,なんとなくストーリーを知っているけど,改めて見たら印象が全く変わるという作品は多いものです.
(4)物語の設定を別のものに置き換えてみる
小説でもドラマでもなんでもそうですが,それを制作しようとする者は,その物語を通して伝えたい「別のなにか」がある場合がほとんどです.
私も以前,素人ながら小説を書いたことがあるのですが,実際に書いてみたらそれが分かりました.そこで展開している物語の設定や台詞のやり取りというのは,別の何かを伝えるためのスケープゴートであることが多いのです.これはSFやアニメ作品などで顕著です.
例えば初代『ゴジラ』なんかが典型ですが,あれは日本で怪獣が暴れて大変だねっていう物語ではありません.反核のメッセージと,大東亜戦争の捉え方,そして日本が置かれている国際政治的立場に対する問題提起を含んでいます.
昨年の『シン・ゴジラ』にしてもそうです.あれは東日本大震災と原発事故に対する日本政府および国民の態度を描いていると言えるでしょう.詳細は■シン・ゴジラ再考を参照のこと
「こういう状況になったら,人間や社会はどんな反応を示すのか」という思考実験を展開している作品は結構多いものです.
そういう目で見てみると,今までとは異なる受け取り方ができるようになります.
(5)共感するな.理解しろ
「劇中のキャラクターの誰一人にも共感できなかった」などという感想を目にすることがあります.たいてい,ネガティブな評価の際に用いられます.
でも,映画を見るのに共感する必要はありません.
大学生になったら,映画を見るときは共感ではなく理解しようと務めましょう.
それが大学での学問にも通じます.
自分とは異なる思想信条を持っている人々の姿や行動を見て,なんでいちいち「共感」しなければいけないのでしょう.
作り手にしたって,共感してもらおうと思って作ってなんかいません.
あのキャラクターは,なぜあの時あんな行動をとったのか?
どうしてあの言葉を発したのか?
といったことを考え,それを理解しようとすることが大事です.
そこで映し出されていることから,その事象を理解しようとする.
そのなかにおいて,学ぶものがあるはずです.
共感できないことを否定するつもりはありません.
むしろ,共感できないのであれば,なぜ共感できないのかを考えてみる必要があります.
(6)面白くない映画に出会ったら,どうして面白くないのか考える
面白くない映画に出会ったら感謝しなければいけません.自分が面白くないと感じた物語や設定には理由があるはずです.
むしろ,思考を研ぎ澄ます絶好の機会です.
これはちょうど,スポーツの試合で面白くない試合をしてしまった,実りのない練習をしてしまった,という状況に似ています.
なぜそうなったのか? を考えられれば,今後の糧となります.
例えば,ハリウッド映画に『ドラゴンボール』というクソみたいな映画がありましたね.
これを「つまらん」と切って捨てることは容易ですが,どうしてこれがクソみたいな映画なのかを考えることが,大学生になったら重要になります.
私の場合,原作の『ドラゴンボール』と何がどう違っていて,どこに問題があるのかを考えました.詳細は■スポーツとニーチェとドラゴンボールに書きましたが,そうすることで見えてくる思想哲学があります.
最近は『デスノート Light up the new world』という酷い映画がありましたが,それもいろいろ考えさせられました.
面白い,つまらないと感じるからには理由があります.その理由を論じられるようになってこその大学生です.
これは,「いいね!」と手軽にクリックすることで意思表示させる昨今の社会において,重要な思考力トレーニングです.
もっといろいろ見方はあるのですが,ひとまず上記のことに留意してみましょう.
そうやって見ているうちに,自分なりの見方や,「映画の見方」を扱った書籍やセミナーなんかに興味が沸いてくると思います.
そのうち,世間や評論家の論評とは異なる見解を持つようになったり,それらに興味がなくなったりします.
自分なりの考え方が紡ぎ出せるようになるわけです.
こういうことは大学生として重要です.