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大学生を相手に初めて授業する人が準備しておくべき3つのこと|【その1】15週分の計画は予め具体的に決めておく

初めて授業をするのは怖いですよね


大学の数がどんどん増えて全国800校を超え,
その授業を担当する人も,専任教員以外に非常勤講師も増えてきました.
これから大学の授業をしなければならない初心者教員もいるのではないでしょうか.

大学の授業は,中学・高校の授業や,ピンポイントでの講演やセミナーとは異なる点が多々あります.

てっきり同じものだと思ってやってみたら,最初の5〜6週はなんとかできても,後半に大変な思いをしたという人もいるかと思います.
それは,「大学生相手の授業」としての準備が足りなかったらかもしれません.


今回は大学教員になるシリーズとして,今回は実際に授業をする際に気をつけておくべきポイントをご紹介します.

なお,他の「大学教員になる」シリーズはこちらです.

大学教員になる方法
大学教員になる方法「強化版」
大学教員になる方法「感想版」
大学教員になる準備


約10年の大学教員歴と,実は学内表彰も受けたことがある私が,大学の授業を担当する上で必須のスキルを解説します.

授業を担当する上で重要なことは,この3つです.
初めてのことでビビってる人や,既に1年やってみたけど失敗し,ちょっと悩んでいるという人は確認しておいてください.

【その1】15週分の計画は予め具体的に決めておく ←今回はこの話題
【その2】成績評価の判断材料を厳格に決めておき,それに対応した授業を展開する
【その3】私語を絶対にさせない環境にする


これら3つが守られていない授業は,一生懸命やったとしても学生からの評価は,

「なんか面白かったような気がするけど,フワッとしていて覚えていない」

とか,

「熱意があって優しそうな先生だったけど,実のところイラッとしたし,ムカつく」

といった授業になってしまいます.
かつての私も,そんな評価を受けていました.


実のところ,上記のことは「大学授業の基本」として,たくさんの書籍が販売されています.
この記事で興味をもったら,その詳細については以下を御覧ください.
   




今回は,「その1:15週分の計画は予め具体的に決めておく」です.

【その1】15週分の計画は予め具体的に決めておく


大学の授業を担当する上では「シラバス」があって,それに沿って各講義を行なうことになります.
ですから,現在の大学で授業を担当する人は,ほぼ間違いなく「15周分の授業計画」を立てた上でやることになります.

ところが,この「シラバス」というのは,あくまで建前上の事前計画であって,なんとなく,
「こんな授業内容でいいんじゃないかなぁ〜」
と,適当に思いつきで書いたものであることが多いのです.

しかも,実際に授業を進めてみたり,学生の反応をみないと分からないという点があることもたしかです.

しかし,この「学生の反応をみないと分からない」を理由に,行き当りばったりの授業を展開している教員はかなり多いものです.

学生としては授業の全体像が見えず,何を学習しているのか分からず,結果的に,

「とりあえず出席して話を聞いておけばいい(もしくは寝てればいい)」

という授業になっています.
「最近の学生は・・・」と文句を言う教員もいますし,実際にその要素もあるのですが,十中八九,教員側の手抜きが原因です.


では,「学生の反応をみないと分からない」という人はどうすればいいのか?

それは,気合を入れて1週目で判断する(できる)ようにしましょう.
そして,その反応を見て残りの授業の計画を立てるのです.

これができていない人は,毎週・毎週,「まぁ,これで良いんじゃないの」と思う授業をやってみて,その都度,学生の反応をみて「あぁでもない,こうでもない」と自分の専門性に優越感を抱いていたり,たんに愚痴っているだけだったりします.
実際のところ,学生の反応をみて授業を計画・展開などしていないのですよ.


どうしてそんなことが言えるか?
かつての私がそうだったからです.

これじゃイカンと思ったので,ちゃんと学生の反応をみて授業が計画できるようにしました.
その対応策が,「第1週目の授業アンケート」です.


【対策1】第1週目に授業アンケートを実施し,その結果を元に来週からの授業内容や手法,難易度を考える


学生がその授業で扱う「事前知識」や「関連知識」「領域についての理解」をアンケート調査するのです.

履修人数が少ない(10人〜20人くらい)のであれば,第1週目の授業では口頭で聞き出してもいいでしょう.

それ以上であれば,質問項目をプリントしたアンケート用紙を配って,それに記入してもらいます.

そして,これが最大のポイントですが,このアンケートをやってもらう上では,
「これが評価テスト(レポート)の時に出る内容です」
と言って回答してもらうのです.

これは,【その2】である,
成績評価の判断材料を厳格に決めておき,それに対応した授業を展開する
とも関連します.

つまり,予め授業の「到達目標」を決めておいて,それに対する学生の事前知識や関心レベルを,全体的・総合的に把握しておくわけです.
これにより,毎回の授業の度に学生の反応をみるような状態にはなりません.

逆に言えば,こうしたアンケートを作成するためには,担当する教員のなかで「15周分の授業の具体的な計画」と,「到達目標」が設定できていなければ不可能です.


例えば,「健康運動論」というスポーツ科学・身体論系の授業があったとします.
この授業のアンケートでれば,私は以下のような質問項目を作成します.


授業の例)健康運動論
以下の質問について,一般的な解釈や,自分独自の解釈を答えてください.

1)健康とは何か.なにをもって健康というのか?

2)運動,スポーツ,体育の違いを答えてください

3)心と体はどのような関係にあると思いますか?

4)運動をすることの魅力は何だと思いますか?

5)あなたは普段,スポーツや運動をしていますか?
※1年間にどれくらいお金をかけていますか?

6)あなたは普段,食事に気を使っていますか?
※1日あたりの食費はどれくらいですか?


上記で全てではありませんが,こうした10〜15項目くらいのアンケートを第1週目の授業で行ないます.
アンケート内容は,テスト問題として出すものや,最終レポートなどのお題になるものを選ぶのです.
その後に予定している,毎週の授業テーマを質問項目にしてもいいでしょう.

これにより,アンケートの回答結果を話のタネにしながら授業を展開することもできます.
例えば,「1」を使ったものであれば,
「皆さんのアンケートでは,健康に対する解釈は◯◯△△のようなものでした.たしかにそれがWHOの定義ではありますが,実は・・・」
といった形で進められます.

また,上記の例で言えば「5」や「6」のように,その授業内容と関連する学生自身の意識調査や実態調査などを盛り込みます.
これも授業を展開する上で話のタネになりますし,第2週目の授業で,アンケート結果を無記名で単純集計して発表すれば,学生同士の授業に対する意識確認にもつながります.


そして,このアンケートがそのまま「テスト」や「レポート」の問題なることを伝えれば,毎週の授業のポイントも分かるというものです.
それに,授業担当者としても,毎週の授業で一体何を優先的に伝えなければいけないのか,再確認することにもなります.


私の場合,これに追加して実際の「テスト問題」も第1週目の授業で公開しています.


【対策2】成績評価用のテストを最初(第1週〜3週目くらいまで)に提示・公開する


これは大学の授業です.
入学試験でもクイズ番組でもないのですから,成績に影響するテスト問題を事前に隠す必要などありません.
むしろ,最初に公開しておき,
「これに回答できるようになる授業を展開するよ」
と伝えれば,本当の意味でフェアな授業になります.

というのも,「テスト問題を公開」しておけば・・・,
テストに強い学生にとっては,事前にテスト問題が分かっているので気持ちが楽になり,授業をゆったり聞くことができます.
テスト問題に関連する部分以外の話題や脱線話も,ゆとりをもって聞いてくれます.
実はそういう脱線話の方が授業の肝だったりすので,そのあたりにフォーカスしてほしい先生側としても有益です.

一方,テストに弱い学生にとっては,事前にテスト問題が分かっているので対策が取りやすく,「授業のどの部分が大事なのか分からない!」とカリカリせずに済みます.
テスト対策が下手な人というのは,どうしても存在するものです.
彼らがちゃんと実力を出せて,しかも普段の授業をしっかり聞いてもらうためには,事前にテスト問題を公開することは有効です.


これは実技・実習系の授業でも同様です.
私はスポーツ系の教員ですので,講義だけでなく体育実技もやりますが,全く同じことが言えます.
最終的に,ここまで出来るようになっていましょう,分かるようになっていましょう,というポイントを最初に用意しておきます.

これについては,【その2】の成績評価の判断材料を厳格に決めておき,それに対応した授業を展開するでその詳細を述べます.


ちなみに,テストにフェイントは無しですよ.
必ずテスト問題は公開しているものを使ってください.
もし違うものを出したら悲惨なことになります.



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【その1】15週分の計画は予め具体的に決めておく ←今ここ
【その2】成績評価の判断材料を厳格に決めておき,それに対応した授業を展開する
【その3】私語を絶対にさせない環境にする

この記事で興味をもったら,その詳細については以下を御覧ください.
   


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