沖縄はなぜイジメられるのか

ようするに，「ひがみ」から惹起された「マウンティング」

今回は，このブログで何度も取り上げている「沖縄問題」について，あまり公言されないことを指摘してみます．


沖縄は，なにかとトピックがあるたびに論争になります．
先日も「首里城火災事件」がありましたが，そこでも原因や事情が不明確な現在までにも，苛烈な「沖縄的な問題」にスポットが当たっている状況です．

なかでも目立つのは，ウヨク系の人たちからの執拗なマウンティング．

「米軍基地がなければ経済的に自立できない」
「南国気質が色濃くて，無能な人間が多く，日本の足を引っぱっている」
「米軍基地問題を盾にした補助金をあてにしていて，タカリ根性がある」
「自由奔放な性格な人が多く，教育レベルも民度も低い」

よく見聞きするものとしては，上記のようなものでしょうか．


たしかに沖縄は，日本のなかでも特殊な背景をもった地域と言えます．
しかし，こうした「特殊」な存在，つまり「マイノリティ」は，人間社会においてイジメの対象となりやすいのです．
これは，「北海道」にも同じことが言えるかもしれません．

沖縄がイジメを受けるのは，冷静に事情を分析すれば「そりゃ仕方ないね」と言われるものなのに，早漏思考であるウヨクが，我慢できずにヒステリーを起こしてしまうことに由来します．

その最たる例が，
「米軍基地がなければ経済的自立しない」
とか，
「沖縄は不必要に莫大な補助金を受け取っている」
といったトンデモ理論です．

これについては，先般の記事でもそのデタラメぶりを解説しました．
■沖縄基地問題｜もうそろそろ補助金漬けで優遇されているわけではないことを知るべき
■沖縄基地問題に関する正しい「補助金批判」をしよう

政府がアホなのはこの際脇に置いておきましょう．
しかし，なぜに沖縄は本土の，特にウヨク系から叩かれなければいけないのか？

ノンポリの人であれば，こうした事情を疑問に思う人は多いでしょう．

沖縄という存在は，ウヨクにとって遠ざけておきたい腫れ物

バッサリと結論から言いますね．

沖縄とは，「国家主義」にシンパシーのあるウヨクが大事にしている，
「国民や民族としての連帯」
について，ウヨク自身が過去に裏切ってきた地域なのです．

もっと言えば，ウヨク達が大事にしている「愛国」や「民族としての連帯」といったものを，忠実に実現したのが沖縄であるのに対し，その思想・哲学とは真逆の行動をとってしまったのがウヨク自身ということ．

そんな罪悪感を誤魔化したいウヨクは，沖縄を「左翼」や「日本に敵対する地域」と認定することで自分たちの心の安定を図っています．

まさに，いじめっ子の精神です．


では，何がウヨクの罪悪感やコンプレックスとなっているのか？ という点が気になりますよね．

御存知の通り，沖縄は第二次大戦後にアメリカによる統治を受けていました．
これは，戦後に「占領政策」を受けた日本とは比べ物にならないほど特異な状況です．

事実，日本がアメリカから独立した時も，沖縄返還が実現する1972年までアメリカの占領統治を受け続けたのです．


さて，「国家」や「国民や民族としての連帯」を大事にしたいウヨクであれば，彼らなりに筋を通すためには，死に者狂いで沖縄奪還に動くはずです．

ところが，当時の日本は「敗戦国は戦勝国に従うものだ」という日和見根性を発揮してしまい，事実上，沖縄を見捨てました．


しかも，日本は戦中，国土防衛のために「一億火の玉・総玉砕」を謳っていました．
最後の一人になるまで，日本を守るために全力を尽くすことをスローガンにしていたのです．

これを沖縄は実際にやってのけました．
記録によれば，本土の犠牲者が人口の約４％であるのに対し，沖縄では約30%が犠牲になったとされています．
沖縄の土地を守るため，県民は死力を尽くし，まさに沖縄の人たちは火の玉となって総玉砕の覚悟で戦ったのです．


ところが日本本土はそれに続かず，「本土決戦」をやるやると言っていたのに，結局やりませんでした．
やるやる詐欺ですね．

もちろん，これにはウヨクも反論したいところがあるでしょう．

「本土決戦を諦めたのは，国の存続を憂う昭和天皇の英断だった」

「沖縄を見捨てたわけではなく，日本軍も死力を尽くしたのだし，戦艦大和の特攻があった」

しかし，そんな言い訳をしたところで，沖縄が見捨てられた事実に変わりはありません．
客観的に見れば，たった10隻の軍艦を「特攻（救援する気のない「面子」としての部隊）」として寄越しただけであり，自分たちの命が惜しくて沖縄を捨て駒として扱ったのです．

なにも私は，本土決戦を回避した天皇陛下の英断を非難しているわけではありません．
捨て駒になった地域と国民がいたことは事実なのですから，日本は戦後，そのことと正面から向き合って，これに対処しなければいけなかったのです．


この「見捨てられた感」を払拭するためには，1952年の独立回復の時に，是が非でも沖縄を奪還すべきでした．
それができれば，日本独立の象徴にもなったはずです．
けど，やりませんでした．
やっぱりここでも，日本にとって条件の良い独立のための捨て駒になったわけです．


さらには，1972年に沖縄返還を実現したときも，沖縄のアメリカ軍による支配を軽減することはありませんでした．
そのまま米軍基地は沖縄に押し付けておき，補助金を渡しておけば黙ってくれるだとうと，状況を放置したのです．

挙句の果てには，
「米軍基地のある沖縄はアメリカが真っ先に守ってくれるのだから，むしろ感謝すべきじゃないのか」
などといい出す奴もいる．

こういうのって，「国家」としてどうよ？
「国民や民族としての連帯」なんか生まれるの？
って思うのが一般的・常識的感覚でしょう．

そんな態度で「右翼」とか「保守」とか「愛国心」とか，よくも恥ずかしげもなく言ってられるな，って思いますよね．


いえ，そんなことはウヨクも重々承知です．
重々承知しているからこそ，もの凄い罪悪感を感じているからこそ，彼らは無理筋の屁理屈を使ってでも沖縄を叩くのです．

自分たちの側に課せられていたはずの，
「保守・右翼的な思想と，それに基づく行動」
を選択しなかったことを隠すために，
「実は沖縄にも悪いところがある」
という態度をとっています．

そうでなければ，「愛国保守」を標榜したい自分たち自身に否があることが明白になってしまうので，この都合の悪さを軽減したいわけです．

もうお分かりですね．
自分たちに「日本への愛国心」「日本への忠誠」があることを示すためには，沖縄を「日本の敵」にすれば，立場がイーブンになると思い込んでいるのです．
美人でかわいい友達を持っている女が，その友達の悪いところを無理やり探し出して，裏でネチネチと悪口を言っているのと似ています．

つまり，僻みから惹起されたマウンティングなのです．


でも，よーく考えてみればいい．
本当に保守的で右翼的なのは，ウヨクの連中よりも，むしろ沖縄県民だということを．
自分たちの郷土，文化，共同体を愛し，その独立性を謳うことが，本来の保守であり，右翼のはずです．

それをウヨク達は，
「沖縄は独立しようとしている」
と言います．

でも，本心ではこう思ってるんでしょ？
「沖縄は日本に従属することを嫌っているんじゃないのか？」
って．

バカ言っちゃいけない．
地方自治や文化を蔑ろにする政府や国家を，誰が慕うというのか．
そりゃ独立したくもなるわ．


結局，日本に巣食っているウヨク達は，実は「右翼」などではなく，「寄らば大樹の陰」を行動規範とする，日和見の腰巾着なんです．
こういう連中が大手を振って大声張り上げてられる国は，もうそろそろお終いなのかもしれません．


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