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何度も言おう「ゆとり教育は悪くなかった」と
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ゆとり教育によって日本の子供の国際的な学力は伸びていました
先月に大々的にニュースとなった日本の子供の「読解力低下問題」.
本ブログでは,それを記事にもしました.
■【国際学習到達度調査】日本の子供の読解力低下について
■インスタ映えと読解力の低下が「学生の質」に影響している
この「国際学習到達度調査(PISA)」については,その調査結果が出るたびに日本の子供学力論争を呼んでいます.
例えば,最も話題となりやすいランキング上下が激しい「読解力」の推移はこちら.
2018 年調査のポイント https://www.nier.go.jp/kokusai/pisa/pdf/2018/01_point.pdf |
「数学的リテラシー」はこちら.
2018 年調査のポイント https://www.nier.go.jp/kokusai/pisa/pdf/2018/01_point.pdf |
「科学的リテラシー」はこちら.
2018 年調査のポイント https://www.nier.go.jp/kokusai/pisa/pdf/2018/01_point.pdf |
このように日本は「科学的リテラシー」はずっと上位をキープし続けているのですが,「数学的リテラシー」と,なかでも特に「読解力」が調査ごとに上下しやすいのです.
で,このランキング上下について,その時代ごとに実施されていた教育方針や指導環境などが槍玉に挙がるわけです.
実際,先日の記事にした毎日新聞の社説にもこのように書かれています.
■PISAで読解力低下 長文に触れる機会作りを(毎日新聞 2019.12.5)
PISAは日本の教育政策に大きな影響を与えてきた。03年調査でも読解力や数学の順位が大幅に低下し「ゆとり教育」が原因と指摘された。それを機に、全国学力テストが始まり、学習指導要領が改定されて授業時間が増えた。
その後、順位はいったん回復したが、前回は再び低下に転じて参加国・地域中8位となり、今回はさらに15位まで急落した。
しかし,その学力論争には一貫性がありません.
その都度,日本の国際ランキングの上下に一喜一憂しているところがあります.
一貫した学力論争になっていない,その最たるものが,
「PISAの結果は,ゆとり教育によって向上し,脱ゆとり教育によって低下している」
という点です.
これについて冷静な分析を呼びかけているニュースがありましたので,ここに紹介します.
■新聞やテレビを信じすぎる日本人の低い読解力(プレジデントオンライン|ヤフー・ニュース 2020.1.9)
今回の読解力低下について、ゆとり教育との関連についてあまり言及されていないが、2003年の読解力順位急落がPISAショックとして受け止められ、ゆとり教育の見直しにつながったという経緯が思い起こされる。
2012年の順位上昇は脱ゆとり教育の成果とも見られたが、実は12年調査の対象者は小1から中3まで授業時間が最も少ない「ゆとり教育」(2002~11年)を受けた世代だったのでそれは間違いだ。そして、今回18年の対象者は、まるごと「脱ゆとり教育」世代なのである。
つまり、皮肉なことに、「読解力はゆとり教育で上がり、脱ゆとり教育で下がった」ともとれる結果なのである。要は、教育行政だけで学力が上下したりはしないというのが実態であろう。マスコミも含めて、かつてPISA調査の結果で「ゆとり教育、是か非か」を大いに騒いだことには知らん顔なので一言ふれておく。
ゆとり教育によって学力は向上した
2003年と2006年当時も,「学力低下をゆとり教育と結びつけてはいけない」と分析する人はいました.
そして,脱ゆとり教育に舵を切った2011年(2012年).
直近に行われた調査結果で,日本の読解力と数学的リテラシーは急上昇したのです.
しかし,慎重に分析できる人なら引っかかることかと思いますが,まず,この調査は各国・都市における「15歳だけ」を対象に行われています.
つまり,その15歳がどのような学力を有しているかは,調査年度より以前に行われていた教育の影響を受けているはずなのです.
ですから,前掲した記事にもあるように,2012年の15歳は,2002年〜2011年に実施されていた「ゆとり教育」を受けてきた世代であり,2012年の結果とは「ゆとり教育の結果」を示しています.
一方,今回の2018年調査は,2011年(2012年)以降に実施されている「脱ゆとり教育」の結果です.
ウィキペディアの「脱ゆとり教育」に,そのことを分かりやすく示している表がありますので御覧ください.
https://ja.wikipedia.org/wiki/脱ゆとり教育 |
これについて,脱ゆとりを推奨してきた人たちはダンマリです.
実際,2015年調査時に読解力の点数が大きく低下しましたが,その当時も,
「脱ゆとりではダメだ.ゆとり教育に戻せ」
という主張をしていた人もいます.
文字媒体で残していないので後出しジャンケンになってしまいますが,私もその一人です.
このブログの「いじめ問題」記事を通じて知り合った,和田慎市先生と対談(と称する飲み会)をした際も,この「ゆとり教育は悪くない」について議論になったこともあります.
※和田先生についてはこちらをどうぞ.
■先生が元気になる部屋(和田慎市ホームページ)
対談した様子を綴った記事はこちら.
そもそも,私の教育思想は「ゆとり教育派」と言えます.
直接的ではないですが,その観点からの記事も書いたことがあります.
ゆとり教育がダメだったのは,その評価方法が曖昧だったことと,新しい教育・指導方法への転換に関する教員への説明不足によるものでした.
その混乱が世間にも飛び火したのです.
「ゆとり教育」そのものの考え方は良かったのですから,もっと丁寧に洗練させていけば良かったのに,現場を知らない人たちのヒステリックな糾弾を受け,「脱ゆとり」へと方針転換してしまったのです.
なんだか,センター試験改革(共通テスト問題)と似たような構図だと思います.
なんだか,センター試験改革(共通テスト問題)と似たような構図だと思います.
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